天性の、恥ずかしい性癖 第154話:『代償の暴走 ―― 墜ちたモラル、歪んだ契約の対価 ――』
源氏名を沙耶と名乗った女に、いつものようにしゃぶるように丁寧に抜いてもらうと、岡本夏生はようやく頭の芯に張りついていた熱が引いていくのを感じた。射精の余韻の中、沙耶は相変わらずニコニコと笑っている。
「ねえ、夏生さん、また困ったことあったら電話して? 沙耶、大好きだよ」
それ以来、彼女は頻繁に電話をかけてくるようになった。 最初は下ネタ混じりの世間話だったが、その中に、ある「不可解な事故」の話が混じり始めた。
自転車の女を車で轢いた、保険外交員の女――。
その供述は、支離滅裂だった。
「自宅から出た」「郵便局へ寄るつもりだった」と言い張りながら、現場は全くの逆方向。 しかも、窓口すら開いていない早朝、彼女は制限速度を30キロも超過し、何もない場所を精神を病んだような状態で徘徊していたという。
夏生がその女の周辺を嗅ぎ回ると、悍(おぞ)ましい事実が浮かび上がった。
発端は、顧客の男からの不躾な要求だった。
「今忙しい、仕事が終わって帰宅した20時頃、自宅に来てくれるかな?」
入ったばかりの新人の女の子は、本能的な恐怖から即答を避けた。 会社に戻り、所長にその旨を伝えると、仕事は60代のベテラン外交員に回された。 しかし、海千山千のベテランがどれだけ手練手管を尽くしても、その男は頑として首を縦に振らなかった。 男が飢えていたのは、保険の内容ではなく「若い躰」だったからだ。
その噂を聞き付け、足を運んだのが、被告の女だった。
彼女は新人のような瑞々しさも、ベテランのような技術もない。 あるのは、過去に何度も「ごり押し」の末、**躰(からだ)**で契約をもぎ取ってきたという歪んだ自信だけだった。
外交員は本来、過去に実績のある場所を嗅ぎまわる。 だが、彼女が足を踏み入れたのは、屈強な男ですら二の足を踏むような、廃屋が立ち並ぶ地区の奥深く――「部落」と称される場所だった。
飢えた獣のような男にとって、幾分マシに見えた彼女に、見事に食いついた。
契約書と引き換えにホテルに連れ込まれ、衣服を剥ぎ取られた。 一旦関係を結ぶと、今度は引き落としがどうのと難癖をつけ、集金方式に変えさせ、取り立てに行くと払う代わりに男の部屋での情事を強要された。 割に合わない取引だが、彼女は男の、このような激しい欲求に弱かった。 求められ、貪られるほど、愛されているような錯覚に陥いるのだ。
さらに最悪なことに、男は彼女の意識を混濁させるための「妖しい粉」を酒に混ぜていた。 理性を溶かし、躰を意のままに操るための、禁断の刺激物。
行為の後、彼女は放心状態のまま、男の家から自宅に向け車を発進させた。 混濁する意識の中で支配していたのは、契約を取れたという浅ましい達成感だけだ。
制限速度40キロの裏道を、70キロを超えるような速度で暴走。 交差点を右折した瞬間、自転車の後方に激突し、空中にはね上げたまま数メートル暴走。 路面は血の海、叩きつけられた犠牲者を前に、彼女は激高こそすれ救急対応すらしようとしなかった。
後日、夏生は裁判所の傍聴席にいた。
そこには、例の顧客と思われる男が、何食わぬ顔で座っていた。 女に不適切な刺激を与え、尊厳を蹂躙した張本人が、平然と「正義の場」に居合わせている。
裁判が始まると被告席の女は、一貫して容疑を否定し続けた。
「自転車が進行を妨害した」
目撃者のタクシー運転手が「右折車が横断歩道上の自転車を轢いた」と証言してもなお、頑なに相手が悪いと言い張った。
(……保険の契約ひとつで、自分の躰を売り、混濁した意識の中で『達成感』に浸る女か)
夏生は吐き捨てるように呟いた。
契約という目先の「益」のために、最低限のモラルを投げ捨て、薬 物に頼ってまで「躰」を差し出した彼女の魂は、事故を起こす前からすでに死んでいたのだ。
「夏生さん、ずいぶん熱くなってるね……次は沙耶が、もっと優しく抜いてあげようか?」
電話の向こうで笑う沙耶の声が、今の夏生には冷酷な審判のように聞こえた。
女のモラルが地に堕ちる時、そこには必ず、それを嘲笑いながら貪る「漢(おとこ)」の影がある。
夏生は、窓の外の淀んだ空を見つめ、自身の股間の熱が再び澱のように溜まっていくのを感じた。
※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。
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