天性の、恥ずかしい性癖 第152話:『指先の密通 ―― 偽りの聖母、躰の完全降伏 ――』
(……なにしろ、中卒ですから)知佳はそう自嘲しながら、深夜の休憩室でスマホの画面を見つめている。
学歴なんて、女の性癖の前には何の防波堤にもなりゃしない。 かつて施設で働いていた頃の自分を思い出す。 本命の彼氏がすぐ隣にいても、知佳の頭の中は別の**漢(おとこ)**たちからの誘いで充満していた。
昨夜A男の部屋に泊まったとしよう、すると勤務が始まって間もなく、B男から誘いのメールが画像付きで送られてくる。 幾度も幾度も。 それに応じているうちに「子宮がキュンキュンする」と、知らず知らず口走っていた。
そんな淫らな言葉をスマホに打ち込み、彼が焦って結婚を迫ってきても、心の中では次に泊まりに行く男との情事の段取りを考えしまうほど、欲情しきっていた。 男たちの部屋から職場へ直行するのは日常茶飯事。 結局、職場仲間と言い争いの末別れ、お泊り旅行に出かけた既婚男性と結婚することに。 女という生き物の頭の中は、いつだってエッチなこと、ただそれだけで埋め尽くされているのだ。
それは、今この時、隣の部屋で夫が寝ている状況で、スマホを握りしめている沙耶も同じだった。
沙耶は相手の名前を拓海であると認識しているようだがこの男、言葉巧みに部屋に連れ込み、二度と引き返せないほど追い詰め、貢がせるのが彼流のやり方だった。
この男が街に姿を現したのは4年半前、弄ばれた女の家庭は崩壊、やり口が徹底していたためか女は街から姿を消した。
男は学生時代、強制わ い せ つ行為を疑われ、少年鑑別所に入れられている。 被疑者とされた女がからかい半分誘惑し、事後チクったからだ。 学校は中退を余儀なくされ、履歴には中卒と書かざるを得なくなった。 運よく酒販が流行りだし、アルバイトで雇ってもらえたが、飲酒の法的規制が強まると、徐々に左前になり解雇された。
その後生まれ育った街から離れ、職を転々とする。
沙耶の住む街に姿を現した時の男の血色は良かった。 貯金など一切せず、ひたすら体躯を作ることに専念した男の体はご無沙汰続きの主婦から見れば光り輝いていた。 たちまち沙耶は、その男に夢中になった。
「女の人と話をするのは久しぶりです、なんかうれしいな、ホントなら女 学 生と話してみたかったですけどね」
鑑別所に刑期はない。 あるのは観護措置と呼ばれるもので、せいぜいひと月。 だが本人からすれば前科がついたような気持ちになる。
「あらっ、そんな立派な体して、ロリコン趣味なの?」
沙耶は笑ったが、男はその言葉に顔を曇らせる。
「何かあったの?」
「いや、別に、それよりそっちは気晴らしがしたくて、声かけて来たんじゃなかったのかい?」
「……ずいぶん直接的な言い方ね、わかる? 嫁いでからというもの、ずっと家に縛られっぱなしよ、化粧もしないで」
「かなり、融通の利かない旦那だな、さぞかし監視の目も厳しかったんだろうな」
「まあ、でも亭主はそれなりに稼いでくれたから、生活費には苦労しなかったわ」
「あんた確か、むりょこうじとか言ったね」
男は確かめてきた。 女には偽名を名乗っておきながら、引くに引けない気持ちにさせ、ちゃっかり住所や氏名を訊き出す、その上で転がそうというわけだ。
場所は深夜のファミレス。 カウンター席で煙草をくゆらせていた男は、ふと隣に座った女性に目を留めた。
三十代半ばくらいか。 化粧は薄く、髪は少し乱れ気味。 結婚指輪が左手の薬指で鈍く光っている。 男は鼻で小さく笑った。
「はぁ……女ってのは、所詮そんなもんだよな」
男が独り言のように呟くと、女性――沙耶はビクッと肩を震わせた。 男は構わず続ける。
「家に帰れば旦那が待ってるはずなのに、こんな時間に独りでファミレスか、しかもスマホ片手に、誰かとやり取りしてるんだろ? 『今日も疲れた』とか『早く帰りたい』とか嘘ついて、実は別の男の匂いを消しに来たとかさ」
沙耶の指がスマホの画面を握りしめる。 男はコーヒーを一口啜ると、嘲るような目つきで女を見た。
「俺は女のそういうところが嫌いなんだよ、本命の旦那がいるくせに、欲求不満になるとすぐ他の男に目移りする、『ご無沙汰だから』って言い訳しながら、股を開く、子宮が疼くって本音を漏らしながら、次の男の予定を頭の中で立ててる、学歴とか性格とか、全部どうでもいいんだ、ただチンポが欲しくてたまらない、それだけだろ?」
沙耶の頰が赤く染まる。 恥ずかしさか、怒りか、それとも別の感情か。
男は身を乗り出して、低い声で続けた。
「どうだ? 今夜も『ヒトトキ』欲しくてここに来たんじゃないのか? 旦那が寝てる間に、誰かに抱かれたいって疼いてるんだろ?俺はそんな女が大嫌いだけど……嫌いな分、ちゃんとわかってやることぐらいできるよ、お前みたいなご無沙汰妻が、どれだけ惨めで、どれだけ淫らなのかをな」
沙耶は唇を噛み、目を伏せた。
指先が微かに震えているのは、恐怖からか、それとも予感される悦びからか。
対峙する男は、獲物を追い詰めた肉食獣のような笑みを浮かべた。
「さあ、どうする? ここで帰るか……それとも、俺についてきて、旦那には絶対に言えない『ヒトトキ』を味わうか」
自信に満ち溢れた男の視線が、沙耶の理性をじりじりと焼き払っていく。
男には、確信があった。つい先だって、久方ぶりに自腹を切り、人妻たちを強請って得た軍資金を投じて、ある「検証」を終えたばかりだったからだ。
ターゲットは、寒空の下、公園のベンチで防寒衣を纏い、空虚な時間と向き合っていた若い女。
先立つものも、頼れるあてもない――同じ泥の中で育った男には、その「飢え」が痛いほどわかった。何の前触れもなくホテルへ誘うと、女は救いを求めるように、素直にその背を追ってきた。
男は女を抱くためだけに、己の肉体を鋼のように鍛え抜いている。
衣服を剥ぎ取られ、筋肉の盛り上がった太股や、隆起する上腕を目の当たりにした瞬間、女の瞳から理性は消え去った。行為が終わる頃には、「また会える?」と縋り付くように繰り返す、ただの「牝」に成り果てていた。
えてして、底辺で育った人間は、知能は高くとも「判断力」に欠ける。
それは、目の前の誘惑に対するあまりに無防備な抵抗力であり、自らの未来に対する無関心さだ。女の躰(からだ)というものは、一度その火を付けられれば、性衝動に抗う術など持たない。重なり合わなければ寂しくて壊れてしまう。男は、その「女の業」を知り尽くしていた。
だからこそ、目の前で震える沙耶も、同じ穴の狢(むじな)だと見抜いている。
沙耶もまた、この男の強靭な腕に抱かれ、すべてを奪われないことには、もはや生きている実感すら得られないほどに、その躰は飢え、疼き始めているのだ。
※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。
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