天性の、恥ずかしい性癖 第148話:『同床異夢(どうしょういむ) ―― 萎えた純愛、秘め事の残滓 ――』
夜の寝室は、以前と変わらず静かだった。沙耶は夫の浩之の胸にそっと寄り添い、指先で彼の腕を撫でていた。 事務所での出来事がまだ身体の芯に残っている。 乳房は甘美な腫れが引かず、敏感になってしまった乳首はシャツの布地に擦れるだけであの瞬間の甘い疼きが蘇る。
「ねえ浩之……抱いてくれないの?」
沙耶の声は、あの事務所で男たちの名を叫び続けたせいで、痛々しく掠れていた。その響きを耳にするたび、浩之の股間は冷え切り、逃げるようにベッドを離れるしかない。
妻の喉に残った「他人の情事の痕跡」が、彼の男としての矜持を粉々に粉砕していた。
(まだだ……まだ十分でない、くそ、沙耶の体が俺を欲しがってるというのに……俺のこのチンコめが、反応してくれない……)
浩之は沙耶に気づかれないよう股間にそっと手を忍ばせ、萎えかけたものを指で扱き始めた。
(くそ……沙耶の体がこんなに欲しがっているのに、俺のこのチンコじゃ到底敵わない……体格も、太さも、持続力も……全部、奴らに負けている)
何度も思った。
妻を他の男に抱かせた後、俺が自分のもので性根を叩き直してやればいいと。
だが実際にチャンスが来ると、妻の匂いすら感じられなくなり、腫れ物に触るような遠慮がちな愛撫しかできなくなる。
ないないづくめの情けなさに、歯噛みしながら無理やり勃起させようとしていた。
彼は沙耶の腰を引き寄せ、姦通で学び得た技巧を、歯噛みしつつ施し、頃合いをみて正常位の体勢を取った。
沙耶の太ももを優しく開かせることが出来、熱い秘部に無理やり使える状態にまで持ってきた先端を、祈るような気もちで添わす。
夢にまで思い描いた妻の股間、いよいよ結合という段に至って、浩之の中でようやく湧きかけた微かな熱が、潮が引くように消え失せた。
無理やり硬直させていたものが、まるで嘲笑うようにみるみる萎え、皺だらけの情けない姿に戻っていく。
「…………今日は無理だ、長時間外回りで疲れが溜まってるみたいだ。なあに、ただの疲れだよ」
浩之はそう言いながら、沙耶の太股の間から腰を浮かせ、横に転がると勢いそのまま、ベッドから離れた。
沙耶は一瞬、目を伏せ、浩之がベッドを離れると、後ろ姿を目で追った。
(浩之、まだあの事を気にしてる……? 私と事務員の女を比べてるの? 私じゃ満足できなくなったとでも言いたいの……?)
「うん……わかった、無理しないで早く治してね」
彼女は微笑み、賢妻の顔に戻って夫の背中に視線を這わせた。
「私、シャワー浴びてくるね、浩之も一杯飲んだら早めにベッドに、今夜はゆっくり休んで」
沙耶がバスルームのドアを閉めた瞬間、浩之は書斎に移動し、スマホを手に取った。
送信者不明のアドレスから、今日の事務所の続きが送られてきていた。
若い男の手が沙耶の乳房を鷲掴みにし、捏ね回し、乳首を指で弾いている映像。
萎えていた股間に微熱が戻って来始めた。
彼は素早くズボンを下ろし、頭をもたげ始めた自分のものに下から優しく手を添えた。
(沙耶……お前、こんなに乱れて……俺の名前を呼んでたのに……今はもう、俺じゃダメなんだろ……?)
それは沙耶へというより、妻を堕とそうと躍起になる男の持ち物への嫉妬だった。
(沙耶……お前、こんなに乱れて……)
妻が隣の部屋でシャワーを浴びる音を聞きながら、浩之はスマホの光に齧り付く。画面の中で、知らない男の太い指が、先ほど自分が触れたばかりの妻の乳房を無慈悲に捏ね回している。
その背徳感だけが、彼の情けない逸物を、皮肉にも鉄のような硬度へと変えていった。
彼らに負けまいとして指が激しく上下に動き始める。
浩之の逸物が硬度を取り戻すと、画面の中の沙耶が甘い声を上げ、身体をくねらせる。
浩之は目を閉じ、妄想をさらに過激な方向へ、引き戻せない方向へと膨らませた。
――今度はもっと若い男を、沙耶が好みそうなふたり呼んで、沙耶を前後から同時に襲いたくなるよう仕向けてやる。 俺はその様子をすぐ横で、椅子に座って見学としゃれこむ……。
沙耶がシャワーを終えて戻ってきたとき、浩之はすでにベッドの上で横臥したまま息を整え、スマホを枕の下に隠し寝たふりをしていた。
数日分の射精を終えた虚脱感が、彼の胸を重く覆っていた。
沙耶は夫の隣に横になり、背後からそっと腕を絡めてきた。
「浩之……寝た? それとも、ただ単に疲れてそうしてるだけ? 私、何か悪いことしたかな……」
背中にピトリと唇を寄せる。
口ではそう言いながら、沙耶の頭の中では、事務所の柔らかい照明と、若い男の荒々しい息遣いや手つきが鮮やかに蘇って下腹部全体を支配していた。
彼女は太ももをそっと擦り合わせた。 秘部がじんわりと濡れていくのを感じた。
(浩之が抱いてくれなくたって……今の私は、思い出だけで……)
夜が更けるにつれ、沙耶の呼吸が少しずつ乱れ始めた。
浩之が寝息を立て始めた頃、彼女はそっと自分の胸を揉み、乳首を摘まみながら、過去の快楽に浸っていった。
そして、浩之の名前を呟く代わりに、今日の男の名前を小さく、面影と照らし逢わすように唇の奥で繰り返していた。
ふたりはひとつのベッドに横たわりながら、
それぞれがそれぞれの「満足」を、別の方法で貪っていた。
沙耶は夫の寝息を聞きながら、太ももを静かに擦り合わせた。 浩之という「形式」を抱きしめながら、脳内では「タカシ」という「実利」を反芻する。
浩之は枕の下のスマホを握りしめ、自分を去勢した「動画の中の妻」を抱く。
繋がっているようで、決定的に分断されたふたり。 その虚無こそが、壊れた関係を維持するための唯一の接着剤だった。
ふたりとも感じていた。 現代の夫婦とは、きっとこういうものなのだろうと。
※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。
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