
キャリアアップを目指して日々取り組んでいると、他者と自分を比べて焦る瞬間があるものです。
しかし、市場価値を高めている人ほど、ライバルとの比較ではなく「自分の好奇心」を成長の燃料にしています。あなたの好奇心は単なる感情ではなく、人生を豊かにし、創造性や学び、そして幸福感を高めるための「貴重なリソース」です。
それを、ムダに放置していませんか?
もちろん「ライバル心」も、爆発的なエネルギーを生み出す強力な燃料になるでしょう。ただ、それだけでは息切れしてしまう可能性があります。
本記事では、ライバル心を燃やすだけで終わらせず、好奇心へと転換していく有用性に着目します。そして、スキルや専門性に変えるための考え方と「ノート=好奇心を資産化するツール」という視点に基づく、実践的なノート術を紹介します。
ライバル心より「好奇心」でキャリアを伸ばす
「あの人には負けたくない」
そんなライバル心が、プラスのエネルギーになることがあります。たとえば、次のようなケースです。
- ライバルの存在がなければ、切磋琢磨して頑張ることはできなかった。
- ライバルに恥ずかしくない仕事をしようという気持ちが、行動につながった。
しかし、人間の脳はポジティブな感情よりも、ネガティブな感情を強く感じやすいと言われています。そのため、ライバル心はマイナスのエネルギー(嫉妬、妬み、不安、敵対心)のほうが強くなりやすい可能性があります。
たとえばこのような状況です。
- ライバルと自分を比較して落ち込んでしまい、やる気がなくなった。
- ライバルの活躍を喜べない。しかも悔しくて集中できない。
- ライバルの失敗を願ってしまう。こんな自分が嫌だ……。
また、ライバル心で視野が狭まり、短絡的な行動に偏ってしまう可能性もあります。たとえば、チーム全体の利益よりも自分の手柄を優先してしまうような状況です。その場合、短期的な評価は得られたとしても、周囲からの信頼という長期的な評価を失ってしまいます。
ライバル心のネガティブ要素を払拭する観点
「私はライバルばかり気にしているからダメだ……」
そんなふうに落ち込む必要はありませんよ! 以下に示す例のように、そのライバル心を「なぜ?」に変えてしまえば、プラスに転じることができます。
- 「なぜあの人はいつも成果を上げているのか?」
→「その秘訣を知りたい」 - 「なぜあの人の意見ばかりが通るのか?」
→「どんな発言が多いのか知りたい」
つまり、好奇心に転換させるのです。
『HBR Guide to Crafting Your Purpose』などの著作で知られる、目的主導型リーダーシップの第一人者ジョン・コールマン氏は、好奇心について次のように述べます。*1
プロフェッショナルとして成功するうえで、好奇心は不可欠な要素だ。好奇心のある人は問題を見つけて解決し、新しい挑戦を恐れない。他人の知見を尋ね求め、柔軟に思考を広げる。好奇心のある人はけっして無気力に陥らず、たえず成長とイノベーション、改善を追求する。
好奇心は内発的動機にひもづきます。非常に強い原動力をもち、外部評価に左右されにくい内発的動機づけは、問題発見力・学習継続力・視点の柔軟性といった、キャリアに直結する能力の土台になっているのです。
ノートを「好奇心の保管庫」にする方法
そこで提案したいのが、ノートを好奇心の保管庫とし、それをもとに将来のスキルや専門性につなげていく方法です。つまりそれはライバル心というリソースを、ポジティブな好奇心に転換させ、キャリアアップの燃料にしていくことを意味します。
たとえば、次のようにライバル心が湧き上がったとしましょう。
- 「あの人ばかり評価されていて悔しい」
- 「同僚がリーダーに抜擢されて悔しい」
こうした感情をそのまま放置すると、自己否定や消耗感につながりかねません。そこで、「気になったこと」「引っかかったこと」をそのままノートに記録し、自分がどのようなことに関心があり、何に問題を感じるのかというデータを集めます。それを再度見直し、独自の視点や新たな問い(好奇心)を生む土台とするのです。
たとえばこのようなかたちです。
- 「あの人はなぜ評価されているのだろうか?」
- 「そこにはどのような行動や工夫があるのだろう?」
- 「その行動や工夫を私が取り入れるとしたら?」
このようにとらえ直せば、他者との過度な比較思考から脱却でき、好奇心へとつなげることができます。そして自分の価値を高めるための行動に移せるはずです。
精神科医の樺沢紫苑氏も、相手と自分を比較してネガティブになるよりも、相手を観察し、マネできる部分がないか探すことをすすめています。*2
相手を観察するのは、キャリアを伸ばすための情報収集と同じです。ただ、それを頭のなかだけで処理するのは大変なので、逐一ノートに記録していくことが大切です。学びへの変換が最適化されるでしょう。
好奇心を市場価値に変えるシンプルなノート実践法
筆者もさっそく、ライバル心を好奇心にとらえ直すためのノート術を実践してみました。今回活用したのは、100均で購入したB6サイズの方眼ノートです。罫線よりも自由度が高いため、方眼タイプを選んでみました。

このノートに、日々生じたライバル心に相当するもの(自分と比べてよい状況にあると思える人・物事に関すること)などを1週間ぶん書き留めました。
好奇心にとらえ直す前提で、すべて疑問符にします。たとえば「SNSや記事で共感を集めている人は、どのようにして言葉や表現を選ぶのだろう?」といった内容など。
その様子がこちらです。

分析などはせず、まずは手軽に書き留めていきます。また、あとからメモをつけ足せるよう、空白を残しながら書いています。
そして週末にノートを見直し、以下2点をメモしました。
- 疑問が生じた背景の考察
- そこから読み取れる願望
その内容がこちらです。

疑問が生じた背景を右矢印の先に書きます。たとえば「→パーソナルなエピソードなどをオープンにするのが苦手に感じている」など。
そして、そこから読み取れる願望に星マークをつけ書き込んでみました。たとえば「☆自分の感情の出し方、読者視点のトーンを上手に調整できるようになりたい」といったことです。
やってみた感想
今回実践して感じたのは、脳のクリアリング効果と視野の広がりです。そこから得られたことを具体的に説明しましょう。
よかった点
- 頭のなかのノイズが整理され、集中力が上がった
少なからずモヤモヤした思いを言語化すると、思考が整理されて集中力が高まる感じがしました。いいノイズの除去になった印象です。
- 客観性で視野が広がり、思考の解像度が上がった
「あの人はすごい」「どうしてうまくできるのだろう」と思うだけではそれで終わりですが、ノートにメモすると客観的に自分の思考をとらえ直すことができます。「どうして自分はそう感じた?」という振り返りに自然とつながり、自分の関心領域やなりたい姿に気づくことができました。
工夫が必要な点
- リマインド機能で継続させる
1クールの実践で満足してしまう可能性もあると感じました。リマインド機能を設定するなどして、月1でこの活動を思い出すようにするといいかもしれません。
- 問いを小さな行動に落とし込む
振り返りによって思考の整理や関心領域が明確になっても、それを具体的な行動に落とし込まなければ成長にはつながりません。「いつ、何を試すか」までセットで考えたほうがよさそうです。
ただ、そこまで落とし込むと手軽さはやや損なわれます。すべてを完璧に実行しようとせず、試せそうなものから小さく取り入れることが現実的だと感じました。
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ライバルにばかり意識のベクトルが向いてしまうと、成長機会や信頼構築の機会を見失ってしまいます。ライバル心が燃えているときこそ、意識を自分に向け、好奇心へととらえ直すのが重要です。
日々の違和感や関心をノートに記録し、問いとして育てていく——その積み重ねこそが、スキルや専門性の道筋となり、自分だけの市場価値をかたちづくる土台となるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. ライバル心は悪いものですか?
A. いいえ、ライバル心自体は悪いものではありません。切磋琢磨のエネルギーになることもあります。ただし、人間の脳はネガティブな感情を強く感じやすいため、嫉妬や不安に偏りやすい点には注意が必要です。大切なのは、ライバル心を「なぜ?」という好奇心に転換し、自分の成長に活かすことです。
Q. 好奇心がキャリアに役立つのはなぜですか?
A. 好奇心は内発的動機に結びつくため、外部評価に左右されにくい強い原動力になります。問題発見力、学習継続力、視点の柔軟性といったキャリアに直結する能力の土台として機能し、持続的な成長を支えてくれます。
Q. ノートを「好奇心の保管庫」にするには、何を書けばいいですか?
A. 日々の「気になったこと」「引っかかったこと」をすべて疑問形で記録します。たとえば「あの人はなぜ評価されるのだろう?」のように書き、週末に「疑問が生じた背景の考察」と「そこから読み取れる願望」をメモすると、自分の関心領域やなりたい姿が明確になっていきます。
Q. このノート術を続けるコツはありますか?
A. リマインド機能を設定し、月1回はこの活動を思い出すようにするのがおすすめです。また、振り返りで得た気づきを「いつ、何を試すか」まで落とし込むと効果的ですが、完璧を目指さず、試せそうなものから小さく取り入れるのが現実的で続けやすい方法です。
*1: DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|どんな仕事にも意義を見出す4つのシンプルな方法
*2: ダイヤモンド・オンライン|「嫉妬を一瞬で消したい!」精神科医が教える心理テク
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。