話していて、心がすり減る相手とは距離をとれ

人にも、仕事にも「相性」があります。働いていると、どんなに向き合ってもうまくいかない相手や、無駄なストレスになるだけの仕事は少なくありません。

そういった相手から逃げずに向き合い続けた結果、心ばかりがすり減ってしまう。

こんな悩みをかかえる人のヒントになるのが、阿部圭司さんによる著書『経営メモ』の一節です。

大事なのは「向き合うべき相手と、距離を取るべき相手を見極めること」。16年で3社を創業から売却まで導いた著者による、仕事人生の攻略法を本文の抜粋でご紹介します。

人間には必ず相性がある

「人事は配置がすべてである」と、私はかつて教わった。

そしてそれは、16年間の経営人生の中で揺るぎない確信になった。

人間には必ず相性がある。どれだけ優秀な人同士でも、どうしても噛み合わない組み合わせというものが存在する。そして中には、接しているだけで自分の感情がすり減っていく相手もいるものだ。

しかし、それを事前に100%見抜くことは、どんな凄腕の人事であっても、当人同士であってもほぼ不可能である。だからこそ、そういう相手に出会ってしまった場合は、無理に向き合い続ける必要はない。仕事は仕事として割り切ってこなしつつ、必要以上に感情移入せず、距離を取ればいい。

HPは削っても、LP(ライフポイント)は削るな

私はよく、たとえが古くて恐縮だが、「仕事人生はロマンシングサガ2のようなものだ」と話している。

このゲームにはHPやMPのほかにLP(ライフポイント)という概念があり、これが0になると二度と生き返れない。しかもLPは宿屋に泊まっても回復しない。当時のRPGの中ではかなり衝撃的な設定だった。

これを現実社会に当てはめてみると、HPは体力を使う仕事、つまり時間をかければ成果が出やすい仕事。MPは精神を使う仕事だが、休めば回復するタイプのもの。これに対してLPは、寝ても回復しない精神を削る仕事だ。話が通じない相手との仕事、希望の見えない仕事、先が読めない不確実な仕事などがそれにあたる。

もちろん、仕事で成果を上げようとすれば、LPを削る仕事は必ず発生する。だからLPを削る仕事を完全に避けることは難しい。重要なのは、それがLPを削る仕事だと理解し、認識することだ。そして、そういう仕事だと分かっているなら、ダラダラと精神をすり減らすのではなく、できるだけ早く駆け抜けることだ。

HPは削ってもいい。しかし、LPを削る相手は見極めなければならない。何でもかんでも正面から向き合う必要はない。感情をすり減らす相手とは距離を取りながら、自分のLPを守りつつ前に進む。それもまた、長く仕事を続けるための大事な戦略なのだと思う。

いかに精神を削らずに、経験値を積み上げるか

ちなみにロマンシングサガ2には、もうひとつ象徴的な仕組みがある。

自分より強い敵と戦うと必殺技を覚える確率が高く、弱い敵と戦ってもほとんど何も起こらない。ある程度成長すると、弱い敵では経験値もほとんど積めないため、さらに強い敵を探して戦わなければ先に進めない。このゲームの攻略は、いかにLPを削らずにシナリオを進めるかに加え、いかに早い段階で強い敵と戦い、経験を積み上げるかにかかっている。

これを現実社会に置き換えると、いかに精神をすり減らさずに仕事を前に進めるか、そしていかに早い段階で自分の身の丈を少し超える挑戦を繰り返し、経験値を積み上げていくかという話になる。回復しない精神を削る仕事なのかどうかを見極めること。そして、本当に成長につながる戦いを選ぶこと。

このふたつが、仕事人生の攻略においても重要なのだ。

仕事の悩みに効く、経営者の知見

仕事で重要なのは、すべての人や仕事に正面から向き合うことではありません。大事なのは、精神を削るだけの仕事や相手を避けながら、挑戦を重ねて経験値を積み上げること。

それこそが、長いキャリアのなかで消耗せずに生き残るために、欠かせない考え方になるのです。

📘 書籍紹介

『経営メモ』(阿部圭司 著)

著者・阿部圭司さんが、実際に16年の経営人生のなかで書き溜めた膨大なメモが元になった一冊。本記事で紹介した項目のほかにも、お金、マネジメント、マーケティング、採用、経営、M&Aの全方位を網羅した、珠玉の約200項目を収録しています。

すでに経営をしている人も、日々の仕事に悩む人も。『経営メモ』のページをめくれば、どこかに悩みを軽くする言葉があるかもしれません。

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【ライタープロフィール】
株式会社WORDS

言葉のプロ、伝えるプロとして、おもに経営者の発信をサポートをする会社です。 2026年5月に出版事業の第一弾として『経営メモ』を刊行。これまで培ってきた編集・執筆の知見をもとに、仕事や学びに役立つ考え方をお届けします。