これまで創薬ベンチャーにほとんど触れてこなかった方向けの「入門編」です
創薬ベンチャーの経営者や研究者と話していると、よくこんな声を聞きます。 「サイエンスは優れているのに、なぜ製薬会社は我々の開発品に興味を持ってくれないのか」 本記事では、製薬会社が創薬ベンチャーをどのように評価し、ディールにつながっていくのかを整理していきます。最後には、評価される側として準備できることについても触れます。 私自身、投資銀行時代には製薬会社のライセンス案件や買収案件に数多く関わり、その後製薬会社に移ってからも複数のディール評価に関与してきました。本稿は、
この記事は連載開始時に書いたものです。 連載後6か月後に、同じテーマで書いた記事がこちらです。→半年間、創薬スタートアップについて書いてみてわかったこととこれから|新生キャピタルパートナーズ株式会社 革新的な技術で社会に貢献する創薬ベンチャーはじめまして。創薬ベンチャーを中心に投資を行う「新生キャピタルパートナーズ」代表の中村学といいます。 みなさん、「創薬ベンチャー」ってご存じですか? バイオベンチャーとか、ディープテック・スタートアップとか、英語では、単にBiot
日本の創薬ベンチャー支援はここ数年で、資金・制度・人材の面で様々な支援策を打ち出しています。 高市政権の誕生2025年10月、日本は新たな転換点を迎えました。高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に就任し、「強い経済の再建」を掲げる高市政権が誕生したのです。 所信表明演説では、「強い経済の基盤となるのは、優れた科学技術力であり、イノベーションを興すことのできる人材です」と明言。AIや量子技術と並んで、医療・バイオ分野を戦略領域に位置づけ、「大胆な投資促進、国際展開支援、人材育
2025年12月、大阪大学坂口先生がノーベル生理学・医学賞、京都大学の北川先生がノーベル化学賞を受賞されます。日本はノーベル賞受賞者が多いのに、なぜ、日本の創薬ベンチャーは世界で戦えないのでしょうか? この問いをデータから検証した結果、「ノーベル賞受賞」と、「創薬ベンチャーの成功」の間には、大きな隔たりがあることを見つけました。その隔たりこそが、ノーベル賞技術を「学術的な金メダル」で終わらせず、「医薬品」へと変換する米国の創薬エコシステムの力でした。 では、本当にノーベル
創薬、もしくは金融が分かる方向けの「上級編」です
前回、2025年の米国バイオテックのIPOについて記事を書きました。それを読んだ友人からこんな質問を受けました。 「米国のバイオテックのIPOがすごいのはわかったけど、なぜ日本はうまくいっていないの?」 私はそのとき、こう答えました。 「米国では、以下のサイクルがうまく回っているんだと思う。 IPO→調達資金で臨床試験の進捗→大型M&A→VCやクロスボーダー投資家が資金回収→次の起業 一方、日本では、上場した創薬ベンチャーが大きな金額でM&Aされるケースはほとんどな
同じメカニズムの薬でも、売上規模は大きく変わります。 免疫チェックポイント阻害薬である「オプジーボ」と「キートルーダ」は、その代表例です。作用メカニズムは同じPD-1阻害であり、発売時期もほぼ同じ、臨床効果にも明確な優劣は示されていません。 それにもかかわらず、年間売上は約1.5兆円と約4.5兆円*という大きな開きがあります。売上の差を生んだのは、薬の効き目そのものではなく、臨床開発の設計でした。(*為替は1ドル155円で換算) なお、抗がん剤への投資と市場構造について
2025年の東証のIPO数は65社、創薬ベンチャーの上場はゼロでした。米国でもIPO市場は2020年前後のブームから減速していますが、2025年もNASDAQのトラディショナルIPO(通常の新規株式公開)だけで全体で162社、うち創薬ベンチャーは10社でした。 2025年に、どのような創薬ベンチャーがNASDAQでIPOしたのかを整理し、日本の創薬ベンチャーにも同じ道が開けるのかを考えてみます。 米国のIPOにもいろいろある米国市場のIPOといっても、いろいろな方法があり
欧州発の創薬ベンチャーであるArgenx(アルジェニックス)は、ユーロネクスト市場からNASDAQ市場へと2段階に上場しながら、成長に合わせた大きな資金調達を成功させることで巨大な創薬ベンチャーへと成長しました。 2014年、欧州市場でわずか240億円の時価総額で上場してから、いまでは9兆円にまで達し、上場来の株価上昇率は90倍とも言われています。 本稿では、Argenxがどのようにメガファーマと比肩するほどの時価総額に至ったかを見ながら、「日本企業にも同じことができるの
創薬ベンチャーをもっと知りたい方向けの「中級編」です
創薬ベンチャーのパートナリングは、資料やオンライン面談だけではなかなか前に進みません。 実際に相手と会い、空気を感じ、短い会話の中で信頼の芽をつくる。その重要性を、あらためて痛感したのが、2025年6月にボストンで開催された「BIO・インターナショナル(BIO International Convention、通称「BIO」)」でした。 今回は、投資先のパートナー探しを目的に現地に足を運び、見えてきたことを書いてみたいと思います。に、投資先のパートナー探しのために参加して
投資先の創薬ベンチャーのパートナー探しのため、2025年11月3日から5日にオーストリア・ウィーンで開催されたBIO-Europeに参加してきました。 創薬カンファレンスの全体像、BIO-Europeについて、ウィーンでの現地レポート、創薬ベンチャーのパートナリングのリアルについてお伝えしたいと思います。 創薬ベンチャーのグローバル・カンファレンスとは創薬関連のグローバルなカンファレンスは、①学会関連と②パートナリングイベント関連に大別されます。 学会関連は、医師・研究
皆さんこんにちは。新しい抗がん剤の開発にチャレンジしている創薬ベンチャー(バイオテック企業)、Chordia Therapeutics(コーディア セラピューティクス)株式会社で代表取締役を務めている三宅洋です。 中村学さんが9月8日に配信されたnote なぜ日本の創薬ベンチャーはM&Aされにくいのか?日米の事例から見えた大きな差|新生キャピタルパートナーズ株式会社 でも紹介されていましたが、2023年のグローバル抗がん剤市場の売上高は32兆円に達し、薬効カテゴリー別では最