
「ミスしないように心がけているのに、また同じミスをしてしまった」 「最近ミスをしがち。同僚からの信頼を失っているかも」
仕事でミスが続くと落ち込んで、周囲からどう思われているのか心配になりますよね。しかし、大切なのはミスや失敗をどう受け止め、どう考えて、どう行動するかです。
ミスの再発を効果的に防ぐためには、体系的なアプローチが必要です。そこで今回は、ミスの再発防止策を導くフレームワーク:4M4E分析を紹介します。この手法は、JR東日本も採用している実践的なツールで、以下の利点があります:
- ミスの要因を多面的にとらえられる
- 広い観点から対策を検討できる
- 実践する人が理解しやすい
筆者自身がこの4M4E分析を実践し、その効果を確かめてみました。データ入力や時間管理に関する実際のミスケースを分析し、具体的な再発防止策を導き出します。
この記事を通じて、ミスを成長の機会に変える方法を一緒に学んでいきましょう。
【プロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。
ミスの再発防止に4M4E分析がいい理由
人間、誰にでもミスはあるものです。しかし、ミスをしたあとの行動次第で、周囲からの評価は大きく変わります。
スタンフォード大学工学博士、東京大学特任研究員の飯野謙次氏によると、ミスをして評価を落とす人には次の特徴があるそうです。*1
- ミスや失敗の記憶を消し去ろうとし、結果として同じミスを繰り返す。
- ミスしないよう気をつけているが、注意力が途切れると再びミスをしてしまう。
つまり、ミスを忘れようとするのも、単に気をつけようとするのも効果的ではありません。では、どうすればよいのでしょうか?
飯野氏は、「ミスや失敗の原因を客観的に分析し、二度と繰り返せないレベルで克服する」ことを推奨しています。これが、ミスを乗り越えて成功する人の特徴だといいます。*1
したがって、周囲からの信頼を獲得するには、意志を持って自分のミスと向き合い、再発防止のための具体的な方法を検討し、実行する必要があります。このアプローチこそが、ミスを成長の機会に変える鍵となるのです。

そうしたことをふまえ、今回は4M4E分析を取り上げることにしました。JR東日本は4M4E分析の(独自)改良版を活用しているとのことですが、もともと導入した理由は以下メリットがあると判断したからなのだそうです。*2
- ミスの要因を多面的にとらえられる
- 広い観点から対策を検討できる
- 実践する人が理解しやすい
また、長野県透析研究会誌の資料には、「慣れないと難しい」、対策の「実行まで至らない」といった意見がある反面、以下の効果が報告されています。*3
4M4E分析表の導入により、仕事に対する注意力が高まった、様々な視点から考えて行動できるようになったなど、スタッフの意織改革につながった。そして今後も4M4E事故分析表を用いた対策は必要であるとスタッフ全員から回答が寄せられた。
これは期待できそう……!
そこで筆者は、長崎大学病院の資料にある実例を参考に、4M4E分析のステップを以下のとおり設定してみました。*4
- 【ステップ1】 まずはインシデント事例をあげる(あと一歩で大きなミスになりうる出来事)
- 【ステップ2】 ステップ1で挙げたインシデント事例について4つのMで具体的な要因を分析
┗Man(人的な要因)
┗Machine(機械やモノの要因)
┗Media(環境の要因)
┗Management(管理上の要因) - 【ステップ3】 各要因に対して4つのEの観点から対策を検討
┗Education(教育・訓練による対策)
┗Engineering(技術・工学的な対策)
┗Enforcement(強化・徹底による対策)
┗Examples(模範・事例による対策)
では、さっそく実践してみましょう。
データ入力関連を4M4E分析
ここからは、過去に筆者が経験したことをインシデント事例として挙げ、先の3ステップに沿い、4M4E分析を行なっていきます。
【ステップ1】:インシデント事例を挙げる
今回はデータ入力関連の、共通項が多いふたつのインシデント事例をまとめて分析することにしました。
- 社外に出す資料の数字に誤りがあった
- 上司に送信したメールに誤字があった
【ステップ2】:4つのMで具体的な要因を分析
ステップ1で挙げたインシデント事例について、4つのMで要因を分析します。
例)疲れによる集中力の低下、見直しせずに提出してしまった、時間に追われて焦ってしまった(人的要因)
【ステップ3】:4つのEで対策を検討
ステップ2で挙げた各要因に対して、4つのEで対策を検討します。
例)上記の人的要因に対して⇒提出前に見直すことをクセづける、時間が足りないときは上司に相談する(強化・徹底による対策)
筆者が実践した現物はこちらです。

時間管理関連を4M4E分析
さらに、もうひとつ4M4E分析をやってみます。
【ステップ1】:インシデント事例を挙げる
今度は時間管理関連のインシデント事例を挙げてみました。前項と同じく、ふたつのインシデント事例をまとめて分析します。
- タスクの締切に間に合わなかった
- 主催したミーティングの時間超過でメンバーに迷惑をかけた
【ステップ2】:4つのMで要因を分析
例) 議論が白熱しがちで時間を区切りづらい(環境の要因)
【ステップ3】:4つのEで対策を検討
例)上記の環境要因に対して⇒ミーティング冒頭であらかじめ時間配分のアナウンスをする(強化・徹底による対策)
こちらが実践例です。

4M4E分析の実践でわかったこと
筆者は4Mで要因を分析する際、人的要因はすぐに思いついたものの、それ以外の要因を挙げるのにやや苦戦しました。
そこで気づかされたのは、これまでミスをしたあとに、人的要因とそれに対する解決策ばかりを考えてきていたということ。
自分なりにきちんと反省したつもりでしたが、実際には要因の4分の1にしか目を向けられておらず、再発防止策も十分に立てられていなかったことがわかったのです。たしかに過去を振り返ると、同じミスを繰り返してしまった記憶が……。
しかし、今回はこの4M4E分析の実践で、同マトリックスを用いなければ見落としていたであろう要因と、データ入力関連・時間管理関連あわせて15個も再発防止策を挙げることができました。この数は、頭であれこれと反省するだけでは思いつかない数でしょう。対策が具体的になれば、行動に移す際にもスムーズです。
これからひとつひとつの再発防止策と、向き合っていきたいと思います!
***
今回は4M4E分析の実践例をふたつ紹介しました。個人で実行できる対策には限りがあるので、同僚や上司を巻き込んしまうのもおすすめです。そうして、たとえばチームメンバーからアドバイスをもらう、上司にWチェックを依頼するなどするといいかもしれません。
筆者は実践を通して、4M4E分析がミスの再発防止に役立つことを実感しました。みなさんも、ぜひ実感してください。