読書の記録に“スクラップノート”を作ってみた。気軽に始める、古典的情報整理術。

筆者が作成したスクラップノート

「本を読んでもすぐに内容を忘れてしまう」

「読書記録は面倒で続かない」

「仕事に役立ちそうな情報を本から集めて記録してみても、情報がバラバラで振り返りにくい」

もしこれらの悩みに心当たりがあるなら、読書の記録方法を見直すだけで解決できるかもしれません。その記録方法とは、スクラップノート術です。

スクラップノート術は記憶に残りやすく、気軽に続けられる記録法です。

今回は、筆者の実践を交えながらそのやり方と効果をご紹介します。

本だけでなくビジネス雑誌でも実践するので、ぜひ参考にしてみてください。

記憶に残るスクラップノート術とは?

スクラップノート術は、記憶したい内容を整理・可視化し、あとから振り返りやすくするのに効果的な記録法です。

現在ではスマートフォンやタブレットを用いてテキストや画像をメモすることが多いと思いますが、今回はあえて紙のノートでのスクラップについてお伝えしていきます。それは、紙のノートを使うことで次のようなメリットを得られるからです。

記録が記憶を定着させ、創造性が向上する

紙のノートを使うと記憶が定着しやすくなり、新たなアイデアや創造的な発想にもつながります。

その根拠として、東京大学大学院と株式会社日本能率協会マネジメントセンターおよび株式会社NTTデータ経営研究所で行なわれた共同研究が挙げられます。

研究では、スケジュールを紙の手帳に書き留めるグループと電子機器にメモするグループに分け、それぞれの場合での脳の活動を観察しました。その結果、手帳に書き込んだグループのほうが脳が活性化し、より深い記憶情報を取得できることが明らかになったのです。その結果として、新しい思考や創造的な発想に対しても役立つのだそう。*1

さらに、記憶力がアイデアやひらめきの助けになることに関して、東北芸術工科大学教授で編集者の菅付雅信氏は、アイデアを生み出すには「大量のインプット」が必要だと語っています。*2

せっかくインプットした情報も忘れてしまえば、アイデアを生み出すことはできないでしょう。アイデアのもととなる情報を記憶することが重要で、その記憶の助けとなるのが紙に書く行為なのです。

付箋に書き込む人の手元

思い出すのに役立つ

ノートを活用し、あとでその情報を簡単に取り出すには、情報をエピソードとして記憶することが有効です。

エピソードとして記憶するとは、情報が「さまざまな感覚、感情、思考がほかの記憶と結びついて記憶され」ることです。*3

作業療法士の菅原洋平氏は、「(ノートの)ページのすみに『保留箱』のスペースを用意して書き入れ」ると、それがエピソードとなって記憶につながるのだと話します。*3

つまり、「保留箱」に情報を書き込む動作自体がエピソードとして脳に記憶されるため、その情報が必要なときに、脳がその行動を思い出しやすくなるのです。具体的には、「保留箱まで手を動かしてメモを置いた」という感覚的な記憶が、情報の場所を思い出す手助けになるという考え方です。

筆者も手書きでメモした内容を振り返るときに、「右ページのあのあたりに赤ペンでメモしたはず」のように視覚情報や空間的な配置といった情報が結びつき、思い出しやすくなった経験があります。

情報を一元化できる

本や雑誌、参考資料などさまざまな媒体から学ぶ人も多いと思います。たとえば、本の内容はノートに書き留め、雑誌や参考資料には直接メモするなど、情報がバラバラになりがちではありませんか? これでは、あとで振り返るときに不便です。

そこに役立つのが、バラバラの情報をひとつにまとめるスクラップノート術です。異なる情報源からのメモを一冊のノートにまとめることで、整理整頓された一元的な情報管理が可能になります。

スクラップノートに情報を集める

ここからは、筆者がスクラップノートの作成を実践していきます。実践にあたり、『読書は1冊のノートにまとめなさい』の著者である奥野宣之氏がすすめる「スクラップ式読書ノート」を参考にしました。「『その本にまつわるもの』を集めて、感想などのメモと合わせて収録しておくという方法」です。*4

今回の実践で使用したものは次のとおり。

筆者が今回の実践で使用したノートなど

スクラップ用のノート、テープのり、本の帯、本の補充カードです。奥野氏の言う「その本にまつわるもの」が、帯や補充カードにあたります。

ノートは次の基準で選びました。

  • 大きめである→スクラップをいろいろ貼ることができる
  • 罫線つきである→メモしやすい

無印良品のA4サイズのノートです。

筆者が今回の実践で使用したノート

奥野氏によれば、その本を「読んだ場所のシチュエーションの記録」として、飛行機や電車の切符や、購入した書店のショップカードなどを貼るのもおすすめなのだそう。そうすることで「買ってから読み終わるまでの読書体験」を記録でき、「何かの拍子に思い出したり、内容について再考したり」できるからです。*4

カフェで読書をしたのなら、読書しながら飲んだコーヒーや、食べたケーキなどの写真を貼ったり、レシートを貼ったりするのもおもしろそうです。

筆者が本にまつわるものを貼った様子がこちら。

筆者がノートに貼った本にまつわるもの

本によっては補充カードがない場合もあると思います。そんなときは、ページ最後にある「奥付」のコピーがおすすめです。帯を貼りたくない場合も同様に、帯をコピーして使うのはいかがでしょうか。

ノート余白には次のことをメモしました。

  • 読書体験を記録するため、本を手に取ったきっかけをメモ
  • 読書の目的を忘れないため、本に期待することをメモ

今回は「得た知識をコミュニケーションに活かす」ということを期待して読書し、大切だと感じたことや気づきなどを付箋にメモしていくことにしました。

筆者が本を読み進めながら書いた付箋

奥野氏が「『このページこそ、この本の代表だ』と思えるような」ページをコピーしてスクラップすると、読書ノートを読み返したときに内容を思い出しやすくなると話していたので、読んでいる本を表すようなページを決めるための判断材料としたかったからです。*4

そして、付箋にメモする行為は前出の菅原氏による「保留箱」にもなると考えました。

このようにして完成した紙面がこちら。

筆者が作成したスクラップノート

この本の代表と思えるページをコピーし、そう思った根拠となる文にラインマーカーを引きました。学びはノートにメモし、気づきなどをメモした付箋は余白にぺたり。

ほかにも、ビジネス雑誌をスクラップしてみたのがこちらです。

筆者がビジネス誌をスクラップしたノート

実践画像はすべて筆者が作成した

学びになったところをラインマーカーで印をつけたり、直接メモを書き込んでからスクラップしたりしました。また、本に比べると雑誌は1つのテーマについてページ数が少ないので、興味があるページはページごと切り取って貼ることに。

さらに、雑誌はさまざまな有識者による発信が多いので、誰が述べている文章なのかわかるよう発信者のプロフィールを顔写真つきでスクラップするようにしました。

実践して感じたメリット

スクラップノート術を実践してみてよかった点は次の3つです。

気軽に取り組めた

筆者はこれまでも読書ノートをつくっていましたが、書くことに時間がとられるのが負担に感じ、何度も挫折していました。しかし今回は本にまつわるものを貼りつければいいので、気持ち的にハードルが低く、気軽に取り組めました。

内容をとらえやすかった

本を読む目的を軸にして「本の代表と思えるページ」を探すことで、全体を俯瞰しながら読め、本質をつかむのに役立ったと感じました。

つくるときに楽しい!

自分の好きなものや興味のある情報を集め、自分だけのかたちで整理できるので、まるで自分専用の宝物箱をつくっているような感覚で楽しみながら取り組めました。

デスクにて、ノートとペンをもちほほ笑む女性

デメリットと注意すべきこと

逆に、デメリットとして挙げられるのは次の3つです。

スクラップや付箋が膨大になってしまうかも

夢中になって読んでいるうちに、あれもこれも大切だと感じて付箋やスクラップが増えてしまいがちです。実際に筆者も「得た知識をコミュニケーションに活かす」という目的で読んでいたはずが、歴史的背景など枝葉の部分まで付箋にメモをしてしまい、情報が散らかりそうになりました。

ノートが煩雑になるかも

ひとつのノートにさまざまなジャンルのスクラップをしていくと、あとで見返したときに情報が探しにくくなる可能性があります。

視覚的に乱雑になるかも

雑誌などをスクラップすると、どうしても紙面がカラフルになりがちです。異なる色が多く入り混じるとなにが重要なのかわかりにくくなり、思考の整理を阻む可能性があります。

作成上の注意

これらをふまえ、次のように注意するといいでしょう。

  • スクラップする際に、本を読む目的に沿っているか確認しながらまとめていき、付箋やスクラップが膨大になるのを防ぐ
  • もくじやインデックスをつけたり、テーマごとにノートをわけるなどして、情報を探しやすくする
  • ラインマーカーやペンの色を統一するなど、ノートが見やすくなるような工夫をする

あとで見返したときのことを意識しながらノートをつくっていくのがポイントです。

カラフルな付箋

***
スクラップノート術を活用して読書で得た知識を記憶し、アイデアやひらめきのもとをためていきましょう!

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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