メモは「情報保管庫」ではない。成果につながる人のメモの取り方

勉強メモ術の実践例|要約して箇条書きにまとめたノート

勉強会やセミナー、資格の勉強などで一生懸命メモをとったのに、あとで見返すと「何が重要だったのか思い出せない」「結局行動に活かせていない」──そんな経験はありませんか?

多くの人が、毎日せっせとメモをとっているにもかかわらず、「役に立つメモ」にならないという悩みを抱えています。

じつはその原因の多くは、メモの「書き方」ではなく「使い方」にあります。

メモは情報を残すためだけのものではなく、理解を深め、行動を変え、成果につなげるための思考ツール。しかし、その前提を知らないまま書き続けてしまうと、どれだけ努力しても "使い勝手の悪い倉庫" にメモが蓄積していくだけになってしまうのです。

そこで本記事では、勉強や仕事に活かせる「質の高いメモのとり方」を紹介します。単なる記録から脱し、実際に "使えるメモ" へと変えていくための考え方と実践方法を、順を追って解説していきます。

メモが「役立たない」と感じる理由

情報を漏らさないように必死で書き留めるスタイルは、「記録」にはなるけれど、「理解」にはつながらない可能性があります。

筆者もメモをとるとき、つい全部を残そうとしてしまうタイプでした。でも、それだとどこが重要だったのかがわかりづらく、「自分は何を学んだのか」が曖昧なまま終わってしまうことが多かったのです。しかも、頭にはほとんど残っていない……。

このような状況から脱して、使えるメモに変えていくためには、「何のために書いているのか」を見直す必要があります。

下地寛也氏の著書『考える人のメモの技術』(ダイヤモンド社,2022)では、こうした「書き留めるだけで終わってしまうメモ」から脱却するためのヒントが語られています。

下地氏は、メモを "情報の保管庫" としてではなく、自分の頭で考え、行動に結びつけるための道具として使うべきだと説きます。*1

その第一歩となるのが、何をメモし、どう活かすのかという「自分なりの基準」をもつこと。むやみに情報を集めるのではなく、後の思考や行動につながるメモだけを選び取ることが、質の高いメモにつながるとしています。*1

そうしたことをふまえ、次項からは「勉強の質を上げるメモ術」を3つのステップで提案していきます。

1. 重要な情報を「選ぶ」

下地氏は「自分らしく考えるためのメモ」について、こう述べています。*2

自分の知識に一度取り込む情報を選別し、血肉化した上で活用するというスタンスに立つ必要があります。

これはつまり、「自分にとって何が必要なのか」を見極めることが大切だということ。

たとえば資格試験の勉強であれば、講義内容をノートにまとめるとき、以下のような観点で書く内容を選ぶとよいでしょう。

  • 「この情報は過去問でよく出ていたか」
  • 「講義だけでは理解できなかった、復習が必要な部分か」

すべてを同じ重要度でメモするのではなく、「ここが特に大切」という箇所だけを選んで書く。それだけで、記憶に残りやすいメモに変わります。

2. 自分の言葉で「要約」する

情報を選んだら、次に大事なのが「自分の言葉で要約する」ことです。

広島大学などの共同研究チームが「文章理解における要約作業の機能」を調べた実験では、「あらかじめ提示された要約をもとにテストを受けた場合」と「自分で要約を作成してからテストを受けた場合」を比較。その結果、自分で要約を作成したほうがテストの成績がよかったのです。*3

つまり、他者がつくった要約を読むだけでは不十分。自分の頭で情報を整理し、言葉にするプロセスこそが理解を深めるのです。

筆者の実践:「選ぶ+要約」でメモが変わった

筆者も資格試験の勉強中にこの方法を試してみました。

まずは、従来のメモをご覧ください。とにかく情報を漏らさないように書いたものです。

従来のメモ術|情報を詰め込みすぎたノートの例

情報量は満載ですが、どこが重要かわかりません。

次に、重要な部分だけを選び、因果関係を自分の言葉で整理したメモがこちらです。

改善後のメモ術|要点を要約して整理したノートの例

数日後に復習したところ、後者のほうが圧倒的に理解しやすく、思い出しやすいと感じました。情報量を絞り、自分の言葉で書き直したことで、メモの質が大きく変わったのです。

3. 「行動」につなげて完成させる

情報を選び、要約して理解を深めても、それだけではまだ不十分です。理解した内容を実際に使わなければ、知識は定着しません。

筆者自身、過去のメモを見返して「確かにメモしたけど、結局何も行動しなかったな」と思うことが何度もありました。

下地氏は次のように述べています。*2

課題の本質が見つかったら、どう行動に移すのか打ち手を組み立てて構造化する。このプロセスを経て、自分の答え(アウトプット)は生まれてくるわけです

つまり、メモは「理解して終わり」ではなく、行動計画の土台として機能させることで、はじめて価値を発揮するのです。

筆者の実践:「明日やること」を1行追加

筆者はいま、勉強ノートの最後に「この内容をもとに明日やること」を必ず1~2行書くようにしています。

  • 語学学習の本を読んだあと:「次の英会話レッスンで "断る表現" を3つ使ってみる」
  • 参考書を読んだあと:「今日勉強した条文を、明日見ないで書けるか試す」

行動につなげるメモ術|明日やることを書いたノートの例

この一行があるだけで、「よい話だったな」で終わっていた学びが、「次に何をするか」という具体的なアクションに変わりました。勉強が知識の収集ではなく、実践のプロセスになったのです。

実践してみての感想

こうしたメモのとり方を実践するようになって、私はようやく「役に立つメモ」が何たるかを理解し始めました。ポイントは以下の3つです。

  • 自分の目的に応じて情報を選ぶ
  • 自分の言葉で要約する
  • 行動に移すための一歩を添える

特によかったのは、メモが「自分の考えを深める場」になったこと。以前はただ受けとるだけだった情報が、「どう活かせるか」を考える材料に変わりました。

一方で、注意点もあります。それは「メモをとること自体が目的化してしまわない」こと。あくまでメモは手段であり、成果ではありません。重要なのは、メモを見返し、考え、動くことです。

なお、アメリカン大学名誉教授のナオミ・スーザン・バロン氏によれば、手書きと記憶の関係を調べた研究のほとんどが、コンピューター入力より手書きのほうが記憶に残りやすいことを示唆しています。*4

そうしたことをふまえると、メモをとる際は手書きが望ましいかもしれません。

ただし、大切なのは「質の高いメモを取れるかどうか」に加え、「継続できるかどうか」。ご自身に合うツールを選ぶのが最善です。

***
メモの技術とは、「情報を自分のなかで咀嚼し、未来の行動につなげる思考の訓練」なのだと思います。

「読んでも意味がわからないメモ」から、「自分の考えと行動を変えるメモ」へ。そんな変化を感じてみたい方は、ぜひ今日から "書き方" ではなく "活かし方" を意識してメモをとってみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. メモをとっても内容が頭に残らないのはなぜですか?

情報を書き写すだけの「記録型メモ」になっている可能性があります。頭に残すためには、自分の言葉で要約し、「なぜ重要か」「どう活かすか」を考えながら書くことが大切です。受動的な書き写しではなく、能動的な思考をともなうメモが記憶の定着を促します。

Q2. 勉強メモは手書きとデジタル、どちらがおすすめですか?

記憶の定着という観点では、研究により手書きのほうが効果的とされています。ただし、継続できることが最も重要なので、ご自身のライフスタイルに合った方法を選びましょう。検索性を重視するならデジタル、理解を深めたいなら手書きがおすすめです。

Q3. メモに何を書けばいいかわかりません。選ぶ基準はありますか?

「過去問で出題されやすい内容か」「自分が理解できていない部分か」「明日から行動に移せることか」の3つの観点で選ぶと効果的です。すべてを書こうとせず、目的に合った情報だけを厳選することで、質の高いメモになります。

Q4. メモをとっても見返す習慣がつきません。どうすればいいですか?

メモの最後に「明日やること」を1行書く習慣をつけてみてください。行動計画が書いてあれば、翌日に確認する必要性が生まれ、自然と見返す習慣がつきます。また、メモを見返すタイミングを決めておく(朝の5分、寝る前など)のも効果的です。

(参考)

*1: 下地寛也著(2022),『考える人のメモの技術 手を動かして答えを出す「万能の問題解決術」』,ダイヤモンド社.
*2: ダイヤモンド・オンライン|見返した時に「ちゃんと役立つメモ」になる"たった3つの書き方"
*3: 石田潤, 桐木建始, 岡直樹, 森敏昭(1982),「文章理解における要約作業の機能」, 日本教育心理学会, 30巻, 4号, pp.322-327.
*4: ナショナル ジオグラフィック日本版サイト|科学が証明 「手書き」の絶大なメリット、「脳全体が活性化する」

【ライタープロフィール】
髙橋瞳

大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。

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