100均カレンダーでOK!「影響力トラッカー」でキャリアを強くする方法

筆者が作成した「影響力トラッカー」

筆者が作成した「影響力トラッカー」
※記事内の実践画像はすべて筆者が作成した

「毎日一生懸命働いているのに、正当に評価されている気がしない」

「自分の強みが何なのか、自信をもって答えられない」

そんなお悩みを抱えていませんか。

成果が売上や数値で明確に示せる仕事なら、評価の根拠もわかりやすいものです。一方で、調整役やサポート、改善提案といった "縁の下の力持ち" 的な貢献は、どうしても見えにくくなりがちです。

特に在宅ワークが増えたいま、お互いの働きぶりを把握しにくい環境では、自分の価値を客観的にとらえることも難しいでしょう。

こうした状況でよく聞くのが「評価されるためには自己アピールも大切」というアドバイス。株式会社人材研究所・代表取締役社長の曽和利光氏も「自分から積極的に上司にアピールしないとなかなか正当な評価は得られません」と話しています。*1

しかし「何をアピールすればいいのかわからない」状態で自己主張しようとしても説得力を欠いてしまい、かえって評価につながらないリスクもあるでしょう。

そこで役立つのが、自分の影響力を日々 "事実ベース" で整理する仕組みです。

その仕組みのひとつとして筆者が提案したいのが、100円の手帳ひとつで始められる「影響力トラッカー」。カレンダーに書く、たった1日1行のログです。

それが積み重なることで、自分でも気づいていなかった強みが浮かび上がり、キャリアを強くする材料になります。

なぜ影響力を可視化するとキャリアが伸びるのか

近年では、「言われた仕事を正確にこなせる人」よりも「自ら課題を見つけ、解決に動ける人」が求められるようになりました。*2

自ら課題を見つけて動くたびに、周囲が抱える思考の負担や現場の "不" が解消され、チーム全体の動きが加速します。それはチームのパフォーマンスの向上につながるでしょう。

つまり、主体的な行動とは「自分が頑張った」というだけの話なのではなく、「周囲にどんなプラスの変化をもたらしたか」という影響力の話でもあるのです。

そしてその影響力が評価に関わり、キャリアを強くします。

しかし、こうした「自発的な課題解決」や「周囲へのプラスの影響」は数値化しにくく、本人も周囲もつい見過ごしてしまいがちです。

「あのときのフォロー、助かったよ」「あなたのおかげで会議がスムーズに進んだね」

こんな一言も、時間が経てば忘れられてしまうでしょう。

だからこそ、日々の貢献を "見過ごさない仕組み" が必要です。

影響力を記録に残せば自分の価値が明確になり、自己効力感も高まります。それは「自分には何ができるのか」を言語化する手がかりとなり、自分のキャリアを強くするための土台となるのです。

話をするふたりのビジネスパーソン

3分類で書き分ける1日1行の簡単ルール

「影響力トラッカー」のやり方は極めてシンプルです。用意するのは手帳(またはカレンダー)と筆記用具のみ。

1日の終わりに、その日の行動を次の3つのカテゴリーのいずれかに当てはめ、1行だけ書き込みます。

S I C

他者貢献(Support)

(例)新人の資料レビューや同僚のヘルプなど

主体的(自ら考えて)行動(Initiative)

(例)会議アジェンダ改善の提案など、自ら考えた行動

コミュニケーション価値(Communication)

(例)顧客調整を円滑に進めたなど、人とのコミュニケーションを必要とするもの

重要なのは、行動の大小ではありません。また、記録の内容も「S:資料レビュー」「I:手順メモ作成」といった簡潔なもので十分です。

こうして1行ずつ積み重ねていくと、カレンダーのマス目が「自分が周囲に与えてきた価値」の一覧へと変わっていきます。

しばらく続けていくと、偏りや傾向が見えてくるでしょう。毎日のようにSが並んでいたり、思ったよりもIが少なかったり。これは偶然ではありません。日々の選択や判断の積み重ねが、そのまま行動ログとして現れているのです。

その偏りや傾向こそが「自分はどんな価値を発揮しやすいのか」を示すヒントになります。

S・I・Cの割合から見えてくる強みは、たとえば次のように整理できます。

Sが多い人 → 調整力・育成力・チーム貢献が強み

Iが多い人 → 推進力・改善力・リーダーシップが強み

Cが多い人 → 交渉力・信頼構築・橋渡し役が強み

これは感覚的な自己評価ではなく、行動ログという「事実」に基づいた分析です。

だからこそ、「自分の強み」を説得力のある言葉で語れるようになります。

考える女性

月末に「影響力の地図」ができる

さっそく筆者も実践してみました。

筆者が使ったのは、無印良品の「ノートマンスリー」A6サイズ。

筆者が用意したノート

筆者が用意したノート

1週間ほど書き込んだ様子がこちら。

筆者が書いた「影響力トラッカー」

筆者が書いた「影響力トラッカー」
「I」に分類される記録が多い

週末にS・I・Cの比率や内容を振り返ってみると、筆者の場合は「I」に分類される記録が多いという傾向が見えてきました。

一見すると、自己完結的な作業が多いようにも見えます。ですが、内容を分析してみると、次のようにとらえ直すことができました。

筆者が「I」に分類した事項とその影響力

  • 学習計画の立案・情報収集
    → 知識がアップデートされれば、チームでの作業の質が上がる。未来への投資になる
  • 前倒し作業
    → 時間の余裕が生まれ、まわりをサポートする時間に充てられる
  • レッスンプランの改善・更新
    → 提供するサービスの質の向上につながる

家で仕事をすることが多い筆者は、これまで「自分は周囲にどんな影響を与えているのか」を実感しにくいと感じていました。

しかし、記録をもとにした振り返りによって、自分もまわりに影響を与えられることに気づけたのです。

この1行ログを積み重ねていくと、S・I・Cがカレンダー上に分布します。それはまるで「自分がどの方向に、どんな形で影響を広げてきたのか」を示す地図のようなもの。

「影響力トラッカー」は日々の行動を可視化するだけでなく、「自分の影響力の地図」を描き出してくれるツールとも言えるでしょう。

ノートに書く人の手元

これから「やってみよう」と考えている人へ

実践して感じた注意点は、I(主体的行動)を書く際に「影響の向き」を一言添えたほうが振り返りやすいということです。

たとえば、「執筆の情報集め」だけだと、自己完結した行動に見えます。一方で「(読者の理解を深めるための)執筆の情報集め」と書けば、その行動が誰に向いているのかが明確になります。

このひと工夫を重ねることで振り返りに役立つだけでなく、普段から「自分の仕事の先にいる人」を意識する習慣がつき、日々の行動の質も変わっていくでしょう。

***

S・I・Cの中で多い "強み" を伸ばすのもよし、少ない要素にあえて挑戦するのもよし。

影響力トラッカーは、現在地を把握するだけでなく、次の一手を考えるための材料にもなります。たった1日1行の記録が、自分の価値を可視化する土台になるのです。あなたもまずはカレンダーに1行書くところから始めてみませんか?

よくある質問(FAQ)

Q1. 「影響力トラッカー」とは何ですか?

A. 影響力トラッカーとは、自分が日々どのような形で周囲にプラスの影響を与えているかを、1日1行で記録する仕組みです。手帳やカレンダーに行動ログを書き残すことで、数値化しにくい貢献や強みを「事実ベース」で可視化できます。

Q2. どんな人に影響力トラッカーは向いていますか?

A. 売上などの数値で成果を示しにくい仕事をしている人や、在宅ワークが中心で自分の貢献が見えにくいと感じている人に向いています。また、自分の強みが分からず、評価に自信を持てない人にも役立ちます。

Q3. 毎日どれくらい時間がかかりますか?

A. 影響力トラッカーは、1日の終わりに1行書くだけなので、数分あれば十分です。内容も「S:資料レビュー」「I:手順メモ作成」など簡潔で問題ありません。負担が少ないため、継続しやすいのが特徴です。

Q4. 行動が小さくても記録して意味はありますか?

A. はい、行動の大小は重要ではありません。日々の小さな選択やサポートの積み重ねこそが、後から振り返ったときに自分の価値や強みとして浮かび上がります。小さな行動でも、周囲に与えた影響があれば十分に意味があります。

Q5. 記録した内容はどのように活用できますか?

A. 一定期間続けることで、S・I・Cの偏りや傾向が見え、自分が発揮しやすい強みを把握できます。その結果、自己評価や上司への説明、キャリアの方向性を考える際の材料として活用できます。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

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