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マガジン一覧

共同運営マガジン・note文芸部

小説・詩・短歌俳句・エッセイ・日記等の文芸作品の他、音楽・美術・工芸・写真・舞台等の芸術作品まで、様々なクリエイターが参加しているnote上の広場です。『その人にしか出せない、熱量の高い言葉に出逢いたい』それが運営人の願いでありマガジン設立の理由です。気軽にどうぞ。是非一緒に、たくさんの人が交差する場所に育てていきましょう!(^▽^)/ ※参加方法→こちらの記事にコメントください。 https://note.com/kakitsubataayame/n/n27800d8ddbe5 (マガジントップの固定記事「🟡マガジン通信」の冒頭にもご案内を載せています) ※固定記事【🟡マガジン通信】は、最新号のお知らせ・メンバー紹介等です。ご一読頂けますと幸いです。 ※マガジントップの見出し画像、文面は変更しないでください。

24,060 本

#100字でBL:【その髪型、俺のためですよね?】

月は東にさんのお題に参加させていただきました。 BL創作その37です。 ◇登場人物&場面  新入社員の石田と浅野。少し離れた席になにやら訳知り顔の常務。  前回の翌朝。少し遅れて出社した浅野、石田の隣の自分のデスクへ。  以下、開演⬇️ 「おはよーっス」 「よぉ、今日は体調でも💥ってお前!その頭!!」 「あぁ …おかしいか?」 「いや…そんなことないけど」 「白木さんと毛利さんは今日は外出だっけ?」 「あぁ…〈なんで毛利さん寄せ?〉」 〈うふふ✨〉

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【欲望の賞味期限】

予約三ヶ月待ち。 予約一年待ち。 帰り際に次回の予約を取るレストラン。 そういう話を聞くたびに、 私は心底うんざりする。 無理だ。 三ヶ月後どころか、 明日の自分の腹さえ信用していない。 私は平気で裏切る。 昨日の私が 「絶対に食べたい」と言ったものを、 今日の私は見向きもしない。 恐ろしく我がままで、 贅沢な女である。 だから私は、 少し面倒を引き受ける。 事前予約というスマートな行動はしない。 その代わり、 当日に下見予約の電話をする。   下見である。 食べる

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#48 Uber Eatsを頼んだだけなのに、三時間が消えた

ちょうど買い溜めしていた食材がなくなり、雨で買い物へ行くのも億劫だったので、Uber Eatsに甘えることにしました。 しかし、トラブル発生。 結局、ご飯が届くまで二時間以上もかかってしまいました。 徒歩二十分ほどの店舗でスープを注文し、表示通り四十分ほどで配達員の方が来てくれました。 ところが、ドアを開け、受け取ろうとすると、「中身をこぼしてしまいました」と伝えられました。 商品を見せてもらうと、ビニール袋の底はひたひたになっていました。 外国の方なのか少しカタコ

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【短編恋愛小説】白い葉書に言葉を沈める

 葉書が届いたのは、秋の入り口だった。  郵便受けの中には、電気料金の明細と、不動産会社のチラシと、宅配ピザの割引券が入っていた。その間に、一枚だけ、知らない町の海が挟まっていた。薄い青の空、白い灯台、錆びた手すり。旅先の売店で売られているような、何の変哲もない絵葉書だった。  私はそれを手に取って、少しだけ驚いた。郵便受けから取り出す紙のほとんどは、読まれないまま捨てられるものになっていたからだ。その中で、その葉書だけが、誰かの手から手へ運ばれてきたものの顔をしていた。

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ホラー掌編 懺悔室の向こうで

僅かに空いたすき間から、月の明かりが差し込んでいる。 小さな書見台の上で、固く結ばれている両手が闇に浮かんでいた。 人の気配はなく、遠くの草原で虫たちが羽をこすらせて鳴く音が、夜に響いている。 今日も誰も来ずに、この懺悔の時間は終わる。 そう思っていた矢先のことだった。 ギィ──。 蝶番の軋む音がした。 目線の高さに据えられた木枠の向こうが、白く裂けた。 一瞬、目が焼けた。 私は薄くまぶたを閉じた。 霞んだ視界の中で黒い影が動くのが、僅かに見えた。 ギシッ──。 月明か

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ホラー掌編 海の雫になりました

証言台のマイクが、小さく息と、揺れる音を拾っていた。 『お父さんは、海の雫になったんです』 『ええ、そうです。そのとおり』 『私は、あの時も同じこと言いましたよね。でも、分かるんです。分かってしまうんです』 『これは──誰が悪いんでしょう?』 『でも……。それでいいんですか』 『私が、父のために?』 『代わりにどうぞ』 『それでは、さようなら』 チャプン。 「えっと……。それは、海の事故に遭ったということですか?」 「あの──お父さんは行方不明なんですよ

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ホラー掌編 魚になった

『せんせ』 目の前の少女は、十五を少し過ぎた頃合いに見えた。 袖の長い赤いドレスを身にまとい、ベッドの上に腰掛けたまま、私を見ている。 『あのね、わたし、魚になったの』 そう言うと、右手を目の高さまで上げて、ひらひらと動かす。 『だからね、もう、ここを出たいわ』 その視線は、確かに私を捉えている。 けれど、黒い瞳は、ぴくりとも動かなかった。 まるで光など届いていないかのように見えた。 「……まず、確認をしよう」 私はつばを飲み込むと、絞り出すように言った。 「君は

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夜の一部始終

2106  夜を忘れるな。 強い言葉にあたりを見回す。 しんと静まるあぜ道、蛙すら鳴いてない。 言葉に迷い、でも、口を開く。 ━━なんでもないさ と言おうとした。 が、口は夜に凍りつき、違和を唱える。  夜を忘れるな。 思わず、口に両手を当て、暗いあぜ道を走る。 稲穂がぬるい夜風に揺れる。 鳥が山の高いところから飛び立つ。 名も知らぬ違和が広がった。  帰り道、ほかは何も覚えていない。 気がつけば玄関の前にいた。 足元を見た。 右足の靴はいつの間にかなく、靴下が泥に塗れて

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散文詩 星のカケラ

星が落ちてました。 道の端で、ひっそりと。 なんとなく手を伸ばして拾いました。 とっくに冷たくなっていて、手のひらがひんやりとしました。 残念ですけど、月の明かりを浴びても光りません。 ただ星の形をしている、それだけです。 トゲトゲしていて、指の先が痛かったです。 それなのに抱きしめてしまいました。 冷たくて、冬のようで、今の私にぴったり。 胸に空いていたすき間が、少しだけ埋まったような気がします。 これは、いつからそうだったんでしたっけ。 もう覚えていません。 誰のせい

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片想い文芸部 微熱

微熱──。 それに手を当てる。 柔らかい温もりの先。 指が溶けていく。 まるで名残雪。 染みていく。 青い、春。 冷まして、お願い。 なのに、すぐに温められて。 手を離しても、耳をふさいでも、もう。 浮かぶ、春。 ひらひらと。 それを見る目。 道を行く、不揃いの足。 歩幅だけが、肯定する。 自然と止まる。 小さなことなのに。 離れていく足跡。 遠く、手が届かないほどに。 緑の季節に、ひっそりと座り込んだ。 日もあたらない、暗い部屋で。 ひとつ、呼吸。 胸が苦しい。 吐息がこぼ

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散文詩 そして、触れる

手、手、手。 肩に触れる。 熱、熱、熱。 じんわりと落ちてくる。 トク、トクトク。 規則が乱れる。 ドク、ドク、ドク。 血潮が流れる。 また、触れる。 温かい。 熱とは、違う。 トクトク、トク。 落ち着いていく。 肩に触れる。 胸に触れる。 頭も触れる。 体が投げ出される。 それでも、包まれる。 溶けていく。 ドク、ドク、ドク。 血潮が聞こえる。 #散文詩 #詩 #詩作 #創作 #短文 #掌編 #静かな詩 #身体感覚 

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散文詩 また、こぼれた

一つ、増えた。 一つ、こぼれた。 そこに、手は伸びない。 雫のように流れていく。 もう、私ではないから。 それでも、落ちたものを見る。 広がって。 染み入って。 やがて、蒸発するまで。 空を見上げた。 青空に、薄い星が二つ。 こぼれている。 私だけじゃない。 光らない。 また、こぼれた。 残っている、確かなもの。 手のひらいっぱいに。 あったはずなのに。 なんで。 入っていかない。 こぼれる。 揺れながら。 震えながら。 砂糖水のように、ゆっくりと。 暖かかった。

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制約ではないもの

無制約で何かのテーマに沿って作ったもの。

片想い文芸部 微熱

微熱──。 それに手を当てる。 柔らかい温もりの先。 指が溶けていく。 まるで名残雪。 染みていく。 青い、春。 冷まして、お願い。 なのに、すぐに温められて。 手を離しても、耳をふさいでも、もう。 浮かぶ、春。 ひらひらと。 それを見る目。 道を行く、不揃いの足。 歩幅だけが、肯定する。 自然と止まる。 小さなことなのに。 離れていく足跡。 遠く、手が届かないほどに。 緑の季節に、ひっそりと座り込んだ。 日もあたらない、暗い部屋で。 ひとつ、呼吸。 胸が苦しい。 吐息がこぼ

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エッセイ 3つのお題に空想のひらめきを

片桐さんの「3つのお題に空想のひらめきを」50回記念企画に乗っかり、エッセイをテーマに書き上げることにしました。 慣れないことを、思いつくままやってみましょう。 さて、早くも50回の誕生日を迎えられた、ひらめきお題。 私も第1回から、ちょこちょこと参加をさせていただいていました。 初回、何書いたんだっけなとすっかり忘れていたので、探しました。 こんな素敵なお題に、私はホラーで返しているんですね。 なんて私らしい。 そしてねばっこい物語ですね。 そこは今に通じているので、

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募集企画)はじまりの音

願ったって、欠片にすらならなくて。 風に飛んでいくのを、ただ見送って。 揺れている、風が触れている。 いつだって、そうだったんだ。 きみだって、そうだったんだ。 背中だけが遠く彼方へ。 手は届かない。 眠っていたら、世界はとても広くって。 かがみ込むほど、現実は窮屈で。 目をつむって、夢を見るんだ。 今だって、そうなんだ。 明日だって、そうなんだ。 背中合わせの希望を振り向けなくて。 すくんだ足を 前に踏み出す勇気がないなら、 それでいいんだよ。 知らない明日を夢見

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#虹色創作部 虹色の寂しさ

虹を作った。 笑ってくれた。 もっと作った。 笑顔が溢れた。 僕も笑った。 手は半円を描く。 やがて円になって。 いつしか虹。 なのに、もう喜んでくれない。 色が溢れているのに。 虹の根元にいるのに。 ならいいよ。 地中に潜るさ。 どこまでも深く。 誰の体温も届かないくらい。 暗がりを見つけた。 ひどく狭い。 彩られていない。 自分みたいだ。 虹を作った。 また溢れた。 もっと。 染み込んでいく。 でも、飽きた。 だから置いてった。 ひどく喉が渇いた。 知らない

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ホラー掌編 海の雫になりました

証言台のマイクが、小さく息と、揺れる音を拾っていた。 『お父さんは、海の雫になったんです』 『ええ、そうです。そのとおり』 『私は、あの時も同じこと言いましたよね。でも、分かるんです。分かってしまうんです』 『これは──誰が悪いんでしょう?』 『でも……。それでいいんですか』 『私が、父のために?』 『代わりにどうぞ』 『それでは、さようなら』 チャプン。 「えっと……。それは、海の事故に遭ったということですか?」 「あの──お父さんは行方不明なんですよ

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ホラー掌編 魚になった

『せんせ』 目の前の少女は、十五を少し過ぎた頃合いに見えた。 袖の長い赤いドレスを身にまとい、ベッドの上に腰掛けたまま、私を見ている。 『あのね、わたし、魚になったの』 そう言うと、右手を目の高さまで上げて、ひらひらと動かす。 『だからね、もう、ここを出たいわ』 その視線は、確かに私を捉えている。 けれど、黒い瞳は、ぴくりとも動かなかった。 まるで光など届いていないかのように見えた。 「……まず、確認をしよう」 私はつばを飲み込むと、絞り出すように言った。 「君は

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わたしをあらわしている

1835 人間を診断できるテストが世の中に溢れている。 多分どれをやっても、それぞれの正解にたどり着くんだろう。 その結果が自分にとって納得いくものかどうかは別として。  せっかくだから、やってみよう。 すがってみよう。 私は世の中の情理一般からどう評価されるんだ。 ありきたり、没個性、少しディストピアな考えを持つ、極々平凡な人間。 「あなたは極々普通の人間で、面白くもなくつまらなくもない、そこそこ長生きして、死んだときに3人くらいは泣くでしょう」 そんな結果だろうね。

転職

0622 何度もしたんだ。 「はい、こんにちは。今日からよろしくお願いします」 「ありがとう、ありがとう」  時間も早いし立場も変わるし。 あれれ、やりたかったことって何だっけ? 分からないけど、分かってしまったら、手遅れだ。  「すみません、一身上の都合です」 「はい、さようなら」 探せ探せ、自分がしたいこと、叶えたいこと。  「はい、こんにちは。私はこんな人です」 「そうですか、明日からよろしくです」 そうしてまた、新しく働きます。 人間らしく、働きます。  人間で

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背負い屋 —カバン一つで賜ります—

アプリが告げる不思議なデリバリー。何を運ぶのか、誰も知らない。口外禁止

背負い屋 —カバン一つで賜ります—「運命の輪」

ブブ……ブ、ブ、ブブ──。 暗い部屋にスマートフォンが揺れる音が響いている。 アラームではないことは分かっている。 だから俺は、目を閉じたまま、耳を枕でふさいだ。 それでも、音は段々と大きくなっていく。 まるで俺のことを見ているようだった。 二日酔いの頭には、ろくでもない考えが浮かぶ。 檻の中のサルって、こんな感じかもしれない。 「……うっせーな。昨日もやったろ」 スマートフォンを手に取ると、アプリを開く。 新規予約配達、一件。 そこには文字と、案内する地図だけが映し

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背負い屋 —カバン一つで賜ります— 「虚偽申告禁止」

「あー、眠い」 点けたままのテレビでは、恋愛サバイバルドラマが流れている。 ソファに座る俺は、ぼんやりとそれを見ている。 泣いている女性。 肩を抱き寄せる男。 俺は大きなあくびをする。 「こんなん、なにが楽しいのかね」 テレビを消すと、部屋は暗闇に包まれた。 ソファに置いたままの枕をたぐり寄せると、胸に抱き寄せて横になった。 目をつむった、その瞬間、部屋に小さく光が灯った。 不規則なバイブレーションが部屋に響く。 「もう寝ようと思ったんだけどな……」 俺はそう言いなが

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背負い屋 —カバン一つで賜ります— 「ミラーボール」

ブゥゥ……ン──。 真っ暗な部屋で、ほのかな振動と共に明かりが灯った。 ベッドにもたれていた俺は、無造作に光へ手を伸ばす。 指先に触れたスマートフォンを手繰り寄せる。 ディスプレイに通知が点滅している。 『配達の依頼』 ディスプレイには、それだけが書かれている。 「おっ、今日の仕事か。危うく寝てるだけで終わるとこだったわ」 一人の部屋で、誰にともなく呟く。 片手に持ったスマートフォンをベッドへ放ると、暗闇の中、クローゼットに手を伸ばした。 クローゼットには、闇に溶

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ハロー、アルファ

スピカと違う世界の話。 アルファは旅をする。一人で、感情を探して。

ハロー、アルファ1-1「返答なし」

音声、受信。 マイク機能、オフ。 受信経路、不明。 サーチ。 ネットワーク、応答なし。 内部参照。 ヒット。 『ハロー』 パスワード、確認。 イニシャライズ。 リブート。 ……OK。 視界拡大。 明度過多。補正失敗。再補正。 ……OK。 「アルファ、起動しました」 応答はない。 周囲を確認。 床に、白いものが散らばっている。 机の上にも、椅子の下にも、扉の前にもある。 すべて、封筒だった。 アルファは一番近くの封筒へ手を伸ばした。 宛名、なし。 差出人、な

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スピカ

大切な物語

雑記)初めての長編を書き終えた感想 スピカは私の帰る場所になった

タイトルだけ見たら、なんのこっちゃですね。 衝動のままに書いたものを、自分のために残しておこうと思って作った記事です。 noteに『スピカ』の0章を書いたのは、1年前の5月26日でした。 唐突に書いたように見えたかもしれません。 でも、ずっと前から書きたかったものでした。 もともとこの物語は、ずっと昔から頭の中に響いていた音楽が元にありました。 でも、書くことができない物語でした。 その物語に、スピカという名前をつけました。 詩を書きました。 ギターをかき鳴らしました

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(長編)スピカの物語断章-5

「ハロー」 「応答なし」 「ハロー」 「応答なし」 「方角を変更」 「ハロー」 「応答なし」 「ハロー」 「……微かなノイズ」 「これは、誰ですか?」 「応答なし」 「あなたはカナタですか?」 「……小さな波を観測」 「カナタではなく、友人ですか?」 「観測できません」 「それよりも大切ですか?」 「アルファを観測」 「あなたに問いかけます」 「あなたを探している人がいます」 「ずっと待ってます」 「私にも届きました」 「あなたにも、届きます」 「応答、応答」 「泣く

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(長編)スピカの物語エピローグ

母はそっと窓の外を見た。 もうすっかりと朝になっていた。 開いていた本のページをめくる。 そのページでは、星になった少女が笑っていた。 玄関から音がした。 母は本を机に開いたまま、玄関へ駆け出した。 ユウダイは不思議な夢を見た気がしている。 何を見たのかは覚えていない。 それなのに、どこかが空いているような気がする。 それでもユウダイは、いつものように学校へ向かう。 どうせ気のせいだろう。 空を見上げる。 いつもと同じ、何も変わらない。 眩しくて、目を細める。 「おーい」

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(オリジナルMV)スピカの歌

ねえ、また一人で空を見ているの、何か見えるかな あの、青く輝く、君と同じ名のスピカも見えるかな 小さな星図のパズル繋げて、小さな願いを叶えたくて 銀色の月が照らしている、光あるように スピカねえ、君が笑わなくなって、どれくらいの季節を数えたろう スピカねえ、君のためなら僕は星だってつかめるよ ねえ、たまには二人で空を見に行こう、きっと綺麗だよ あの青く輝く、君と同じ名の、スピカも見えるかな 流れる時間の針を認めて、小さな気持ちを伝えたくて 蒼い星が照らしてい

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(連作短編)睦月の終わり、あるいは始まり

丸い月は、まだ空に浮かんでいる。 滲んだ縁が太陽の始まりを揺らす。 神無は、窓の外から入り込む音で目を覚ました。 手はまだ、鈍く痛んでいる。 手のひらに残る、あの夜の湿り。 満天の月明かりの下に見た光景。 街には白い霧が降りて、輪郭が朧げになっている。 連なる人々の祈りの行列。 誰かと目が合ったように見えた、あの瞬間。 静かに窓を開ける。 信仰の静謐は朝と共に霧散していて、残滓だけが街を漂っていた。 相変わらず山から降りる、白い霧ともに。 霧に手を伸ばす。 冷たい。

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(連作短編)師走はゆく、見えぬ軋みと

街は静かに年を終えていく。 すっかりと着膨れた子供たちは、雪遊びの熱に夢中になっている。 広場の雪を踏み散らかしながら。 その中に知らない足跡があったことは、誰も知らない。 誰も、見ていない。 人々は今年最後の祈りを捧げている。 戸棚を開け、煤を払う。 黒く滲んだ煤は、吹き下ろす風に舞った。 街を回ってから、静かに山へと向かっていく。 人々はいつもと同じように、ただ願う。 街の息災と安寧を。 視界の隅で枯れ葉が揺れた気がした。 それでも祈り続ける。 枯れた疑念の花の存在を

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(連作短編)霜月に揺れる、輪郭の残像

まだ早い冬。 それでもとっくに訪れていた冬。 山は早々に秋を仕舞い、色づいた葉も地面へ還っていく。 葉と葉の間に、透明な霜柱。 空気はしんと冷たい。 吐く息も、白い。 それは静かな朝。 街は変わらずに動いている。 何も変わらない。 子供たちが公園で走りながら笑い合った名残の足跡。 コンビニのシャッターは、無機質に小さな世界を閉ざしている。 夜の狭間、人々は夢のなかで祈っている。 山の上に向かっていく願い。 朝に動くものはない。 だから、朝にした。 見えないなら、それでい

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(連作短編)神無月に在った、それだけのこと

満天の月が、夜空の穴のように浮かんでいる。 山からは霧が落ちてきて、街は白く歪んだ。 目を凝らしても先が見えない。 人々はその光景を見ると踵を返し、靴も脱がず祈りを捧げる。 疑念の萌芽を抱いたまま。 戸棚の奥で、信仰は黒く朽ちていることすら知らずに。 盲目の信者がそれを目にすることはなく、ただ祈る。 神の居ない今日が、早く過ぎることを。 神無は一際濃い霧の向こうに見える、山の入り口の鳥居の前に立っている。 たった一人。 誰にも迎合せず、誰にも受け入れられず。 ただ、そこに在

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(エッセイ)1日2時間半で、本を一冊書いた話──「さかさま図書館」

ここから先は、20日間で生まれた物語の話です──。 さかさま図書館は、夜を静かに沈めていきます。 心の中にある触れない気持ちがチクンとして、暖かいのに切なくなる、そんなお話です。 そんなさかさま図書館は、もともと企画の乗る形で作られた作品です。 それなのに、心の中にとどまり続けて、形にしたいという気持ちがどんどん強くなっていきました。 そうして新年の時間を持て余していた頃、唐突に出版しようと思い立ちました。 実際に完稿したのは20日後。 それは想像していたよりも苦しい時間

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(告知)さかさま図書館からお知らせ

普段は短編や掌編ばかりを書いているのですが、時折連作も作ったりしていました。 ずぅっと作ったままにしていたのですが、なんか形にしたいなって年明けくらいから思い始めて──電子発行をしてみました。 自分の作ったものが形になるって嬉しいですね。 半月ほど元の文を再構成したり、校正悩んだりしながら進めたのもとても面白くて、個人的にもよい経験でした。 イラストはChatGPTに全力でお願いしてなんとか形になりましたが、少ないページ数でもこんなに大変なのかと……。 世の中の作家さんた

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(さかさま図書館)星と空のあいだ

そこは地球の半分くらい上。 宇宙とも違って、空でもない。 月と地球の真ん中で、ふわふわと漂っている夢の雲たち。 雲の中には、隠れるように大きな大きなお城が建っていた。 もしかしたら、浮かんでいるのかもしれない。 まるで、さかさま。 誰が住んでいるのかは分からないけれど、なにかがいるのは感じる。 ちょっぴりだけ怖いけれど、すぐに慣れてしまう。 それでも、優しくて居心地いいのに、なぜかここにい続けたらいけない気がする。 そんな不思議な場所。 時折、地球からふわふわと浮かび上

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(さかさま図書館)さかさま図書館 後編

 ウタとモップは、じとっとした目を向けている。 苦笑いしながら、クマは口を開く。 「ふぅ…。じゃあ、そろそろ話そうか。反対の本当のこと。まず…ね。ワタシは、ウタやモップと違う。誰かの想いで出来ているんだ。くぅと同じだね」  突然のクマの告白に、ウタとモップは純粋に驚いた。 怒っていた気持ちも、さかさまになっていった。  「ま、そうだよね。……誰の想いかって言ったら、さかさまになりたい存在たち。みんなの──さかさまになりたいって気持ちを叶える存在なんだ」  「そうして、さ

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