1980年代前半、「さすがの猿飛」の猿飛肉丸など、コミカルな三枚目や人間以外の個性的なキャラクターを多く演じていた、三ツ矢雄二(みつや ゆうじ)さんですが、
1985年には、一転、テレビアニメ「タッチ」で、不器用ながらも繊細な二枚目の主人公・上杉達也役を務めると、テレビアニメは最高視聴率31.9%の大ヒットとなり、三ツ矢雄二さんも、たちまち大ブレイクしました。
今回は、三ツ矢雄二さんが、テレビアニメ「タッチ」で、上杉達也役を務めるに至った経緯、役作りの裏側などをご紹介します。

「【画像】三ツ矢雄二(声優)の若い頃から現在までの代表作やキャラは?」からの続き
三ツ矢雄二は「タッチ」で上杉達也(兄)役と上杉和也(弟)役の両方のオーディションを受けていた
「タッチ」の主人公・上杉達也(兄)役で大ブレイクした三ツ矢雄二さんですが、実は、「タッチ」のオーディションでは、上杉達也(兄)役と弟の上杉和也(弟)役の両方、受けていたといいます。
ただ、プロデューサーから、
兄の上杉達也役の方が、役的に複雑だから勉強になるから、絶対オーディション頑張れよ
と、耳打ちされていたそうで、
上杉和也(弟)のオーディションの時は、あえて、あまり気合いを入れなかったそうです。
(兄・上杉達也は、単純なヒーローではなく、弟・上杉和也の死をきっかけに、明るさ、諦め、喪失感、優しさ、照れ、覚悟ほか、様々な感情が交錯するキャラクターで、三ツ矢雄二さんは、この上杉達也役で、声優としての幅を大きく広げることとなりました)
また、オーディションでは、審査員が、三ツ矢雄二さんのこれまでのイメージ(甲高い声でしゃべるコミカルでクセの強い役柄の印象が強い)に左右されずに選考できるよう、名前を伏せて番号のみで呼ぶ「覆面オーディション」の形式がとられたそうで、
普段なら「○○役の三ツ矢雄二です」と名乗ってからセリフを読むところ、「タッチ」のオーディションでは、候補者全員が自己紹介なしでセリフだけを読んだそうです。
すると、三ツ矢雄二さんは、応援してくれたプロデューサーの期待に応え、見事、上杉達也役を射止めたのだそうです。
(実際、合格後に「達也役は三ツ矢さんです」と明かされた際には、周囲は「えっ、大丈夫か!?」と驚いたそうです)

「タッチ」の上杉達也。
三ツ矢雄二は「タッチ」で上杉達也の感情の出し方に苦労していた
とはいえ、上杉達也のキャラクターは、三ツ矢雄二さんとは正反対の性格だったそうで、上杉達也を演じることは、大きな挑戦だったといいます。
そんな中でも、特に難しかったのは、上杉達也の感情の出し方だったそうで、
浅倉南が高架下で泣いているシーンでは、監督から、
三ツ矢くん、心の中では号泣しているけれど、聞こえてくる声は泣かずに「渇いて」いなきゃいけないんだ
と、厳しい要求が飛んだといいます。
(このシーンでは、BGMのみが流れ、上杉達也は、その場に居合わせていたものの、明確なセリフがなかったのだそうです)
つまり、大声で感情をぶつけるのではなく、むしろ、渇いた声の奥に悲しみをにじませるということで、それは、上杉達也という人物の本質をとらえた高度な演出で、三ツ矢雄二さんにとって、忘れられない演技指導になったのだそうです。

「タッチ」で、浅倉南が高架下で泣いているシーン。
三ツ矢雄二は「タッチ」の上杉達也役が当たり役となっていた
ちなみに、そんな苦労を重ねながらも、三ツ矢雄二さんは、上杉達也の声を務めることに、
苦労したと同時に、どこかやりやすさも感じていた
と、語っているのですが、
最終的に、アニメ「タッチ」は、最高視聴率31.9%を記録し、社会現象となるほどのヒットとなっており、三ツ矢雄二さんにとって、上杉達也役は「最大の当たり役」となったのでした。
三ツ矢雄二の上杉達也の声に当初「タッチ」の原作者・あだち充は違和感を持っていた
また、「タッチ」のアニメ放送が開始した当初、「タッチ」の原作者のあだち充さんは、三ツ矢雄二さんの声に少し違和感を持っていたそうですが、
回を重ねるごとに、その声が耳に馴染んでいったそうで、やがては、「上杉達也」を描いていると三ツ矢雄二さんの声が聞こえてくるようになったといいます。
三ツ矢雄二は朝倉南役の新人だった日髙のり子のサポートも頼まれていた
ところで、アニメ「タッチ」の声優選考では、三ツ矢雄二さんが上杉達也役に決まるも、原作連載の段階で既に絶大な人気を誇っていたヒロイン・朝倉南役の選考は難航していたといいます。

日髙のり子さんと三ツ矢雄二さん。
そして、ようやく、朝倉南役が日髙のり子さんに決まると、
三ツ矢雄二さんは、監督から、
(日髙のり子さんは)アイドル出身で、声優としては駆け出しだから面倒を見てやってくれ。それも含めてのキャスティングだ
と、言われたそうで、
三ツ矢雄二さんは、「タッチ」で一番苦労したことを聞かれた際、
日髙のり子さんのお世話だった
と、冗談交じりに語っており、
アニメ「タッチ」では、上杉達也と朝倉南の関係が物語の中心なのですが、声優の現場でも、三ツ矢雄二さんが日髙のり子さんをサポートしながら、2人が中心となって、「タッチ」を共に作り上げていったようです。

「タッチ」より。上杉達也と朝倉南。
三ツ矢雄二は弟・上杉和也役の難波圭一に「死んでも人気があると生き返る」と励ましていた
ちなみに、アニメ「タッチ」では、物語の初期に死んでしまう弟・上杉和也役は、難波圭一さんが務めており、
三ツ矢雄二さんが、自身が、過去の出演作「六神合体ゴッドマーズ」で演じたマーグ役が死んだ後、ファンの要望で生き返った例を引き合いに出し、
死んじゃっても、人気があってファンが騒ぐと生まれ変わるよ
と、冗談混じりで話したことがあったそうですが、
リアリティを重視する「タッチ」で、上杉和也が生き返ることはなかったことから、
後日、難波圭一さんからは、
生き返らなかったじゃないですか
と、突っ込まれたそうで、
三ツ矢雄二さんは、
SFと現実物とは違うね
と、謝ったといいます(笑)

「タッチ」の上杉和也。
「三ツ矢雄二の病気は?急性膵炎に前立腺ガンも!闘病生活は?」に続く
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