日本とベトナムの輸出入で関税をゼロにする方法【EPA活用の実務ポイント】
日本の商品をベトナムに輸出する、またはベトナムの商品を日本に輸入する場合、輸入国側で関税(輸入税)が課される可能性があります。
この記事では、日本とベトナムの間で商業目的の輸出入を行う際に、関税を減額またはゼロにするための実務的な方法を解説します。なお、対象は日越間の事業取引です。個人使用目的(手荷物として入国する時の免税など)は対象としていません。
ベトナムと日本の輸出・輸入で関税がかからない仕組み
ベトナムおよび日本は、自国に海外製品が入る際(輸入時)に、関税などの輸入税を課します。
例えば、日本製品をベトナムに輸入する際に関税率5%が設定されている品目もあります。逆に、ベトナム製品を日本に輸入する場合も同様です。
しかし、**EPA(経済連携協定)**を正しく利用すれば、これらの関税を免税または大幅に軽減できる可能性があります。
2026年1月現在の日越間の関税優遇制度(EPA)
2026年1月現在、日本とベトナムの間では次の4つのEPAが利用できます。
- 日ベトナムEPA
- 日アセアンEPA
- CPTPP(TPP11)
- RCEP
同じ商品であっても、どの協定を使うかによって関税率が異なります。実務では、最も有利な協定を選ぶことが重要です。
ベトナム側の関税イメージ(例)
例えば、化粧品の場合、通常は約20%の関税率が設定されています。しかし、日本からベトナムへ輸出する際にEPAを適切に適用できれば、この関税がゼロになるケースがあります。
同様に、ベトナム製品を日本に輸入する場合も、EPAにより関税の削減や撤廃が行われています。
EPAは誰に関係する制度か
EPAは、理論上は個人が海外ネットショップで商品を購入する場合にも関係します。ただし、本記事では商業目的の輸出入に限定して説明します。
特に、取引金額が大きくなるほど、EPAを活用する効果は大きくなります。
例として、取引価格が1,000万円、関税率が5%の場合、EPAにより0%になれば、50万円分の関税負担が不要になります。
EPAの利用形態は、輸入(ベトナムから日本)と輸出(日本からベトナム)の2つに分かれます。実務上、負担が大きいのは主に輸出者側です。原則として、輸出者が原産地を証明する資料を準備する必要があるためです。
日越間EPAの活用手順と注意点
日本とベトナムの間には複数のEPAがあり、同じ商品であっても適用協定により関税率が変わります。
例えば、日本からベトナムへりんごを輸出する場合、協定ごとに関税率が異なる可能性があります。発効から日が浅い協定では、想定より税率が高いケースもあるため注意が必要です。
また、EPA選択の前提として、日本側とベトナム側でHSコード(統計品目番号)の解釈が一致しているかを確認してください。HSコードの解釈がずれると、原産地判定や関税率そのものが否認されることがあります。
輸入でEPAを使う場合(ベトナムから日本)
輸入でEPAを利用する場合、基本的にはベトナム側の売り手が原産地証明に関する対応を行います。輸入者は、売り手から提供された書類を日本の輸入申告時に提出します。
CPTPPは原則として自己申告制度を採用していますが、日本とベトナム間の実務では、第三者証明(商工会議所発行)を併用または選択するケースが一般的です。自己申告のみと誤認すると、ベトナム税関での通関トラブルにつながる可能性があります。
輸出でEPAを使う場合(日本からベトナム)
輸出でEPAを利用する場合、日本側の輸出者が原産地証明の準備を行います。一般的な流れは次の通りです。
- ベトナム側の関税率を確認
- 適用協定の原産地ルールを確認
- 原産性を証明する資料を作成
- 日本商工会議所へ企業登録
- 書類審査
- 承認後、証明書を発給申請
原産性資料の内容が不十分な場合、審査に数週間から数か月かかることがあります。実務では、専門家の助言を受けながら進める方が安全です。
遡及発給(Retroactively Issued)に関する注意
ベトナム向け輸出では、原産地証明書の発給タイミングが重要です。原則として、船積みから3日以内に申請・発給されない場合、証明書に「ISSUED RETROACTIVELY」の表示が必要になります。
この表示がない場合、ベトナム側でEPA適用が否認されるリスクがあります。
参考:少額貨物と原産地証明の誤解
よくある誤解として、「20万円以下なら原産地証明は不要」という説明があります。この20万円基準は、日本に輸入する際の日本税関のルールです。
日本からベトナムへ輸出する場合は、ベトナム側の僅少基準が適用されます。協定ごとに基準額は異なり、日アセアンEPAでは200米ドル以下など、日本基準よりも低いケースが一般的です。
そのため、輸出時に「20万円以下だから不要」と判断しないよう注意が必要です。
まとめ
- 日越間では4つのEPAが利用可能
- 協定ごとに関税率や運用が異なる
- CPTPPでも第三者証明を使うケースが多い
- HSコードの解釈一致が前提条件
- 原産地証明の発給タイミングに注意
- 日本の20万円基準は輸出には適用されない

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