「知らぬは本人ばかり」とことわざにあるが、本人どころか国民も知らないところで謀(はかりごと)は進んでいた。世界平和統一家庭連合の解散命令請求について、東京高裁が即時抗告棄却を公表した3月4日、清算人が即座に全国の教会施設に立ち入り信者を締め出した。
この日1日だけでも相当数の人間が動いたが、当日夜、記者会見した清算人の伊藤尚弁護士は清算手続きに当たる弁護士などは数百人規模で2、3週間かけて、全国450カ所の教団施設に立ち入ることを明らかにした。これを見れば、高裁決定公表のはるか前に清算人は決まり、教会に立ち入る体制を整えていたことが分かる。すべては主権者の目の届かぬところで進み、この日、我々が目の当たりにしたのは正体を現した”宗教迫害”の実像なのである。
民主主義・法治国家で類を見ない宗教迫害がいつから始まったかと遡(さかのぼ)れば、2022年7月、安倍晋三元首相暗殺事件直後にたどり着く。警備で失態を犯した警察当局が国民からの批判をそらすため、山上徹也被告と教団との関連性をリーク。自民党総裁の岸田文雄氏(当時首相)は教団との関係「断絶」を宣言する一方、教団解散のために要件を民法上の不法行為まで広げた。それまでは解散命令を請求できないとした文科省もルビコン川を渡り、教団をつぶすための国家的な”謀略”が本格化したのだ。
坂を転がる大きな岩は誰も止められない。抗告審決定文は結論ありきで屁理屈を並べたにすぎない。法治主義と「信教の自由」を踏みにじり少数派教団を潰した日本の、国際社会における威信失墜を憂う。
