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【Interview】岩井絵美 × 上田絢加 ファンランナーからアスリートへ。 山を楽しむ現在地

THE NORTH FACEのアスリートとして活躍する岩井絵美選手と上田絢加選手。ファンランとして山を楽しんでいた二人は、やがて競技としてトレイルランニングに向き合い、それぞれのフィールドで活躍する存在になりました。ロングを走る岩井選手と、テクニカルな山岳レースに挑む上田選手。互いの変化を近くで見てきたからこそ語れる、出会い、競技への向き合い方、そしてこれからトレイルランニングを始める人へのヒントを、THE NORTH FACEの中村真記子さんが聞きました。

 

(左)岩井絵美(右)上田絢加

 

陸上競技、ファンラン、そしてトレイルランニングアスリートへ

 

中村真紀子(以下、中村) 二人はどのようにして出会ったのですか?

岩井絵美(以下、岩井) ロードランニングのイベントで一緒になって、同じグループで走ったのが出会いでした。そこで絢加ちゃんが「トレイルランニングをやってるんです」「伊豆トレイルジャーニー(ITJ)に出たんです」と話していたのを覚えています。

上田絢加(以下、上田) 2017年くらいですよね。それで絵美さんが「筑波山で練習会があるから一緒に行かへん?」って誘ってくれたんです。たまたまその日、すごく雪が積もっていて、筑波山であそこまで雪が積もるのは珍しいんですけど。どんな練習会かも聞かずに行ったら、結構レベルの高い人たちが集まるスカイランニングの練習会で、私もよく分からないまま参加していました。

 

中村 トレイルランニングはどれくらいやっていたんですか?

上田 1年くらい、いや、1年もやってなかったかもしれません。前年の夏に初めてトレイルランニングのレースに出て、その流れで参加した感じです。絵美さんはもっと前からやってましたっけ?

岩井 いや、私もほぼ同じくらい。でも絢加ちゃんは「伊豆トレイルジャーニー(70k)」のような長い距離にチャレンジしていて、私は15kmや20kmをちょっと走るくらいだったので、「すごいな」と思っていました。

上田 いや、その頃は泣きながら走ってましたよ(笑)。

 

岩井絵美

 

中村 その後も定期的に会ったりしていたんですね?

岩井 よく会ってたよね。レースは一緒に出てないけど、普通にご食事に行ったりしていました。

 

中村 上田さんの方が先にアスリート志向になったんですね?

岩井 私はロードのマラソンにも出たりしていたのですが、絢加ちゃんがスカイランニングに本格的に取り組み始めたんです。久しぶりに会った時には体がすごく絞れていて、3kgくらい落としていました。私はゆるく続けていた一方で、絢加ちゃんはスカイランニングで優勝して活躍していて、雲の上の存在だなって思って見てました。その後、私もスカイランニングに興味を持ってやり始めたのが5年くらい前。私はビリ争いで、絢加ちゃんは優勝争いみたいな感じでした。スカイランニングシリーズ戦でも、私は下位、絢加ちゃんは優勝という結果で、「すごいな」と思っていました。

上田 白根山でアセント形式のレースがあって、600〜650mアップくらいのバーティカルなんですが、トリオの部で合計タイムを競う大会に毎年一緒に出ていましたね。

岩井 最初に出た時は絢加ちゃんがすごく速くて、私は全然で、「頑張ってね、私たちはゆっくり行くから」って感じでした。

上田 私は「タイムを稼ぐぞ」っていう感じでした(笑)。絵美さんは最初はかわいい感じのイメージだったんですけど、その後一気に頑張り始めたんですよね。印象がガラリと変わりました。陸上をやっていたベースがあるので、本気で取り組み始めるとやはり違うなと感じました。結果を見てもすごかったです。私は最初、70kmにも出ていましたが、完走することが目標でした。その後スカイランニングに魅力を感じてやっていて、長くても40kmくらいなので。絵美さんが100kのレースを走っているのを見ると、すごいなって思います。今の自分にはまだその距離を走れる自信はなくて、どっちかっていうと40kmくらいまでをスピード上げて走る方が合ってるかなって思っています。

 

中村 距離感が最初と逆になった(笑)。

上田 私は絵美さんに誘ってもらったことでスカイランニングを始めましたし、その時に初めてSKIMO(スキーマウンテニアリング)というスポーツも知ったんですよ。自分の世界が広がりました。ランニング友達もあまりいなくて、一人で走っていたので、絵美さんが誘ってくれなかったら今の私はないと思っています。

 

上田選手は「Mt.FUJI 100」の、SAKUYA 9kでは2位に入賞。 Photo:Doryu Takebe

 

中村 最近、直接対決したことはありますか?

上田 2年前に一度あって、その時は絵美さんの方が速かったです。

岩井 バーティカルだったから。

 

中村 現在はお互い本格的にトレイルランニングに取り組んでいて、活躍も見ていると思います。お互いのパフォーマンスについてどう思っていますか? 今のコンディションで戦ったら?

岩井 私は下りはまだ苦手なので、そこは絢加ちゃんの方が上手いです。ただ、走れる区間なら戦えるかな。

上田 絵美さんは林道などでリズムよく淡々と走り続けるのが、めっちゃ強いイメージ。ロードのベースがあるからですかね。

 

上田絢加

 

 

初心者が始めやすいトレイルランニングへ。山を走る楽しさは、空気、景色、食事。

 

中村 二人とも陸上競技を引退してからファンランをしていた時期があったんですよね?

岩井 はい、私は結構長くて、8年くらいファンランでした。

上田 私も平日のストレスを発散するために走っていたのですが、ファンランというよりは追い込まないと発散できないタイプでした(笑)。

岩井 分かる。私たちは当時、会社は違えど同じ営業職だったので。休日に極限まで追い込むことで、仕事のストレスを中和していたのかもしれません。

 

中村 二人には、トレイルランニングを始めた頃に「女性だから相談しにくい」とか「ハードルが高い」と感じたことはあった?

上田 私は性格的にサバサバしているせいか、男性と一緒に走って強くなることに抵抗はありませんでした。ただ、山に一人で行くのは怖かったですね。「道に迷ったらどうしよう」という不安。だから、まずはマーキングや補給がある「レース」にエントリーすることから始めました。レースは安全だと思ったんです。

岩井 私も最初は大会でした。「ちゃんと生きて帰ってこれるのか」という怖さがあるから。でも、いきなり30kmというのはハードルが高いですよね。ロードのハーフマラソンまでしか経験がない人にとって、山で5時間以上動き続けるのは別世界。15kmくらいの短いカテゴリーから入るのが一般的かなと思います。

上田 ウェアや必携品も、最初はどれを買えばいいか分かりませんよね。大会側とメーカーが連携して「まずはこのあたりを揃えれば間違いない」というレクチャーをセットにしてくれると、初心者はもっと入りやすくなると思います。

 

中村 周りのトレランをやっていない友達が「やってみたい」と言ってきたら、どうアドバイスする?

上田 単に友達と集まって喋るだけじゃなく、自然の中で気持ちよくなりたい、あるいは目標を持って休日を過ごしたい。そういう層には、まずは低い山から誘いますね。

岩井 私の練習会に来る初心者の方も、仕事の責任が重くなって居場所を求めている人が多いです。会社での孤独感から解放されて、趣味の仲間と運動して、景色を見て、美味しいビールを飲む。そういう空間を求めて入ってくる人は増えていますね。

 

THE NORTH FACEスポーツマーケティング部の中村真記子さん

 

 

中村 昔のトレイルランニングは「ストイックに追い込むスポーツ」みたいなイメージだったけど、今はファッションから入る若い子も増えて、多様性が出てきましたね。お二人、コーディネートのポイントなどはありますか?

上田 私はセットアップが好きです。上下同じ色で揃えるのが「本気」って感じがしていいですね。

岩井 私はアクセサリーですね。帽子を工夫したり、アクセサリーをつけるだけで全然気分が違います。Sunski(サンスキー)のサングラスなどもカジュアルで可愛くて気に入っています。

 

中村 トレイルランニングを楽しむコツをアドバイスするとしたら?

岩井 都心の空気を離れて、新鮮な空気を吸い、景色を見ること。そして「食」です! 運動した後のご飯ってこんなに美味しいんだ、というのを体験してほしい。実は私、その後のご飯を最高に美味しくするために、練習の終盤はあえて補給を控えて、お腹をペコペコにしてゴールするようにしています(笑)。

上田 私も「動くこと」と「食べること」はセットです。遠征するなら、その土地の雑貨屋さんや温泉を事前に調べておいて、終わった後の楽しみまでパッケージ化して考えます。温泉に入って、美味しいものを食べて、自分のベッドで寝る。この充実感が幸せなんです。

 

中村 ありがとうございました。

 

(左)岩井絵美(中)中村真記子(右)上田絢加

 

 

 

THE NORTH FACE Women Athletes Meetup 

 

Photo:Doryu Takebe

 

今回、「Mt.FUJI 100」のエクスポ会場で初めてTHE NORTH FACE女性アスリートを囲み、ドリンクを飲みながらカジュアルにコミュニケーションを楽しむMeet Upを開催しました。これまでのように、大会のひな壇にアスリートが並んで一方的に話す形式とは違い、アスリートと参加者が身近に接し、「女性ならではのトレランの楽しみ方」を共有。岩井選手、上田選手はもちろん、THE NORTH FACEのグローバルアスリートも日本の一般ランナーとの交流を楽しんでくれました。

 

 

 

 

岩井絵美(Emi Iwai)
1991年生まれ。中学・高校時代は陸上競技の中・長距離種目で活躍。大学駅伝部に進むも故障で競技を離れる。就職後、地元クラブをきっかけに走る喜びを取り戻し、山を走る中でトレイルランニングに出会う。現在は高尾山を拠点に競技と「竜太練」の運営に携わり、その魅力を発信している。

 

上田絢加(Ayaka Ueda)
1993年生まれ。スカイランニングとSKIMO(スキーマウンテニアリング)で国内外のレースに挑むアスリート。陸上やマラソンを経てトレイルに出会い、標高差を攻める競技に魅了された。現在は群馬県片品村を拠点に活動し、講演などを通じて経験を発信している。

 

 

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