TrailRunner

【ARC’TERYX】スピードと安定性を再構築した次世代トレイルレーシングモデル 「Sylan 2」

 

ARC’TERYX(アークテリクス)が米国ポートランドに設立した「フットウェアデザインセンター」から2024年に送り出された初代「Sylan(シラン)」は、中足部に配置された急峻なロッカープロファイルと高いエネルギーリターンを持つソールユニットを備え、山岳地帯における推進力を重視した象徴的なトレイルランニングシューズでした。

そのスピードに加え、さらなる信頼性を備えたシューズとして開発されたのが、ニューモデルの「Sylan 2」です。テクニカルな地形を走る際に妨げとなる要素を排除することを念頭に置き、パワーアップと安定性の向上をバイオメカニクス的アプローチによって同時に高めることに成功しました。今回のアップデートにより、ランナーは接地時の微細な修正にエネルギーを割く必要がなくなり、より効率的な走行へと移行することが可能になります。

 

 

「『Sylan 2』の開発において、私たちが目指したのは単なる速さではありません。初代シランでスピードを体現した次のステップとして、『Sylan 2』ではスピードと信頼性の高度な両立を目標に掲げました。テクニカルな地形で走りを妨げる要素を徹底的に排除することが、デザインの根幹にあります」とARC’TERYXのデザインディレクター、クリス・ポープ氏は語ります。

 

クリス・ポープ氏。「Sylan 2」の解説動画はこちら

 

 

高反発素材とフォーク状プレートで実現する“制御された推進力”

ロードランニングで使われてきた素材をそのまま流用するのではなく、山岳環境に合わせて再設計したのが「Sylan 2」の出発点です。ミッドソールに採用された超臨界発泡フォームは、高い反発力を持つ一方で、不整地での使用に最適化された素材ではありません。そこで他の素材と組み合わせることで、その反発性能を活かしながら、トレイルに必要な安定性と保護性能を補強しています。結果として、エネルギーリターンを維持しつつ、実際の山岳環境でも安心して踏み込めるバランスに仕上げられています。

 

 

スタックハイトはヒール31.5mm、フォアフット25.5mm、ドロップは6mmです。ミッドソール内には、先端が二股に分かれた3/4長のカーボンコンポジットプレートを搭載。一枚板のプレートは縦方向の剛性を高める一方で、不整地では路面の傾斜に対してシューズ全体が傾きやすいという課題があります。そこでフォーク状に分岐させることで、左右のピースが路面の凹凸に応じて個別に追従し、推進力を維持したまま横方向の安定性を確保しています。プレートは存在を強く主張するのではなく、動きをガイドしサポートする役割を担います。

 

 

 

 

マーティン・カーン「堅牢な耐久性と軽快な応答性を両立させています。これまでは、強度を優先して重量を受け入れるか、速さを優先して脆さを許容するかの選択が必要でしたが、『Sylan 2』はその制限を解消しました。テクニカルな山岳地帯において、妥協なく速度を維持できる道具です」

 

 

ロッカー形状とアッパー刷新によるコントロール性とフィットの進化

 

高いピッチを維持する高速走行時のバイオメカニクスに基づき、ロッカー(ソールの反り上がり)の頂点を中足部から前足部(フォアフット)側へ移動しました。前足部では軽快に転がりながら、ヒール側ではしっかりと沈み込む設計とすることで、下りや不整地でのコントロール性を高めています。

 

アウトソールをフルレングスで配置する設計は、耐久性に対するブランドのこだわり。ラグに段差を設けてグリップ力を高め、間隔を広げることで泥詰まりを防止。

 

フルレングスのアウトソールには、ライトベーステクノロジーを搭載したVibram メガグリップを採用。4.5mmと3.5mmの高さが異なる段付きラグパターンにより、ドライ・ウェット両方の路面で安定したトラクションを発揮しつつ、テクニカルな地形でもスピードを維持しやすい設計です。また、ラグの間隔を広げることで泥詰まりを防ぎ、重量増やトラクション低下の抑制にもつながっています。

 

繊維の方向をシューレースシステムと同期させることで、高いホールド感と安定性を実現。疎水性に優れ、部位ごとに織りを変えることで通気性も確保。

 

アッパーは伸縮性の高いニットから、エンジニアード・ジャカード・ウーブンへと変更されました。ウーブン素材の繊維をレースシステムと同方向に配置することで、高速走行時や急な方向転換時の足の横ズレを抑制し、ホールド性を向上させています。また、疎水性の高い素材のため、ウェットコンディションでも重量増加を抑えます。補強にはTPUフィルムを追加し、耐久性と保護性能を強化。履き口は初代シランと同様のニットカラー構造を採用し、アップデートされたフラットニットのタンが足をしっかりとサポートしながら、通気性を高めて快適性とパフォーマンスの向上に寄与しています。

 

 

ジャズミン・ローザー「『Sylan 2』は足元が軽くて速く感じられ、推進力のある走り心地は、ペースが重要な場面で私に大きなアドバンテージを与えてくれます」

 

 

Ambassador’s Review
西岡賢一

プレートが生み出す推進力とストライドの進化

ARC’TERYX コミュニティアンバサダーの西岡 賢一さんからは、次のような感想をいただきました。

 

 

「初代『Sylan』が強いロッカー構造による回転(転がり)を主軸に置いていたのに対し、『Sylan 2』は新たに搭載されたY字型プレートにより、走行フィールが推進力と反発を強調するものへと進化しています。前作は常に足を回し続けなければコントロールが難しいピーキーな側面がありましたが、今作ではロッカー形状を抑えつつプレートの反発を加えたことで、単に前へ転がるだけでなく、上方へのエネルギーリターンが向上しています。これにより、ピッチ走法だけでなく、ストライドを広げて走るランナーでも扱いやすくなります。ロードのプレートシューズのカーボンプレートよりはマイルドで安定感がありますが、似たようなフィーリングでスピードに乗ることが可能です。また、アウトソールのラグパターンが大型化されたことで、泥や小石の詰まりが解消され、路面を確実に噛むグリップ力が強化されています。走り方としては、体重をしっかり乗せて踏み込むことでプレートの恩恵を最大限に引き出せるため、特にスピードの乗る林道や下り局面でその真価を発揮します。自分なら路面状況を制御しきれる50km程度までのレースにおいて、最も効率的なパフォーマンスを発揮するのではないかと思います」

 

 

 

Editor’s Review

スピードと接地安定性のバランスを再構築した進化形

 

アッパー構造は前作と同様に、タンと一体化したブーティー構造のインナーレイヤーを持つ2レイヤー構造です。アウターのメッシュは前作よりもしっかりと足をラッピングしつつ、屈曲を妨げないように、力がかかる方向に応じて強度と柔軟性を使い分けています。タイトすぎず、ゆったりしすぎない、適度な横幅に仕上げられています。

 

足との一体感が高いインナーレイヤーを備えたアッパー。

 

スタックハイトは2.9mm高くなっていますが、安定感はむしろ高まっています。前作の「Sylan」は、ロッカーの効きが強く、ハマったときのスピードは非常に魅力的だった一方で、接地のタイミングやフォームによってはやや不安定さを感じる場面もありました。特にテクニカルなセクションでは足の置きどころに気を使う必要があり、使いこなすにはある程度のスキルが求められるシューズでした。

 

(上)「Sylan 2」(下)「Sylan」

 

一方で「Sylan 2」は、そのスピード性能を維持しながらも接地の安定感が明確に向上しています。凹凸のある路面でも接地が暴れにくく、リズムを崩さずに走り続けることができます。テクニカルなトレイルにおいてもスピードを落とさずにラインを選べる安心感があり、「速いのに扱いやすい」という印象が強くなりました。

フラットな林道では、このシューズの速さが際立ちます。軽快な転がりと反発によってテンポよく距離を刻むことができ、ロードのスピードシューズに近い感覚で走ることが可能です。前作も同様の特性は持っていましたが、「Sylan 2」では接地の安定性が高まったことで、そのスピードをより“再現性のある形”で引き出せるようになっています。

 

ホールド性が高く、補強もしっかりしたアッパー。

 

テクニカルトレイルでは、アッパーのホールド性とソールの安定感が効き、登り・下りともに快適に走ることができます。アッパーの補強がしっかりしている点に加え、フルレングスで配置されたアウトソールや、ヒールエンドがスクエアにカットされている形状も安心感につながっています。

 

スクエアにカットされたヒールエンドと段差をつけたラグ。

 

グリップに関しては、ドライ・ウェットともに幅広いコンディションで安定したトラクションを発揮します。ラグに段差を設けたことで、特に踏み固められたサーフェスの急な登りや下りでの安定感が際立ちます。また、ラグの間隔を広げたことで泥詰まりが起きにくく、コンディションを問わず安定したグリップを維持できます。この点も前作と比較して安心感が増しているポイントです。

 

 

「Sylan 2」は、前作が持っていたスピードという強みをそのままに、接地の安定性と操作性を高めることで、“速さを使いこなせるシューズ”へと進化しています。ショート〜ミドルレンジのレースやテンポの速いトレイルにおいて、その性能を最も発揮する一足といえるでしょう。

 

 

 

SYLAN 2

Men’s:Mantis / Mantis
Women’s:(左)Shincha / Shincha、(右)Mallow / Mallow

・価格:37,400円(税込)
・スタックハイト:31.5 / 25.5mm
・ドロップ:6mm

Men’s
・サイズ:25.0-28.0cm
・カラー:1色
・重量:268g(27.0cm)
Women’s
・サイズ:22.5-24.5cm
・カラー:2色
・重量:231g(24.0cm)

 

 

TRY ON!

ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO

東京・八王子市の高尾山に期間限定体験拠点「ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO」がオープン。「SYLAN 2」をはじめ、アークテリクスのトレイルランニング製品を実際に試すことができる国内初の機会を提供中です。

≪概要≫
・名称:ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO
・住所:〒193-0844 東京都八王子市高尾町 1799-3
 Mt.TAKAO BASE CAMP(高尾ベースキャンプ)
・開催期間:2026年4月17日(金)〜 6月28日(日)
・レンタル・カフェ営業時間:平日 8:00〜20:00 土・日・祝日 7:00〜20:00 (L.O. 19:00)
※期間中の土・日・祝日はARC’TERYX STAFFが 16:00まで駐在。

※ギアの貸し出しは 平日‧土日祝日とも16:00 まで。

■詳細はこちら
「ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO」特設ページ
http://trailrun.arcteryx.jp/
ARC’TERYX TRAIL HUB YOYOGI

街から山へ。ロードランナーの“山への入口”として「ARC’TERYX TRAIL HUB YOYOGI」を代々木公園内に期間限定展開。新製品「SYLAN 2」をTRY ONできる国内2番目の拠点となります。

≪概要≫
・名称:ARC’TERYX TRAIL HUB YOYOGI
・住所:東京都渋谷区神南1丁目1-1 3F Runtrip BASE YOYOGI PARK
・開催期間:2026年5月2日(土)〜 5月31日(日)
・営業時間:平日7:00-22:00(最終受付21:00)/土日祝7:00-20:00(最終受付19:00)

■詳細はこちら
ARC’TERYX TRAIL HUB YOYOGI 特設ページ
https://trailrun.arcteryx.jp/yoyogi

 

 

 

◾️ARC’TERYX:https://arcteryx.jp/