「人付き合いが楽にできる人」が大切にしている3つのこと。人間関係で消耗する人とは何が違う?

窓際の明るいオフィスで、複数人のチームが円になってミーティングをしています。窓に付箋が貼られ、男性がタブレットを持ち、女性がノートを開いています

「同僚の相談に乗っていたら、なんだか疲れてしまった……」
「上司から言われた嫌味のことを、いつまでも引きずっている……」

このように、職場の対人関係で消耗していませんか? 人間関係に疲れやすいあなたは、もしかすると "アレ" ができていないのかもしれません。

今回は、「人間関係で消耗する人」と「人付き合いが楽にできる人」の違いを3つご紹介しましょう。

1. 人付き合いが楽にできる人は【聞き方】が違う

同僚の話に「わかるわかる」「私もそう思います」と過剰に同感してしまうことはありませんか?

公認心理師・産業カウンセラーの大野萌子氏によると、近年 "聞き疲れ" を感じる人が増えているそう。その理由のひとつとして大野氏が挙げるのが、「相手の言葉に同調しすぎてしまう」こと。

相手に同感しすぎると、自分の感情が揺れて疲労するうえ、相手が依存してくるようになります。では、人間関係がうまくいく「疲れない聞き方」とは、どのようなものなのでしょう。

たとえば、雑談の場で同僚が「せっかくいい提案をしても、上司は評価してくれない。やっぱり経歴で人を差別しているんだよね」と愚痴をこぼしたとしましょう。ここで「そうだよね」と同意するのはNG。

「あなたはそう感じたんだね」「なるほど。そう思ったんだ」

と、相手にとっての事実として認めるスタンスをとりましょう。

中立的な相づちを打てば、自分の本心を偽ることもありません。相手に感情移入しようとするのではなく、「そうなんだ」「なるほど」と距離を置いて聞いてみれば、自分の心を消耗させずにすむはずです。

白い背景に、赤・青・黄・緑のひもが交差して張られ、複数のカラフルなリングでつながった「ネットワーク(関係性)」を表すイメージ

2. 人付き合いが楽にできる人は【断り方】が違う

「この仕事をお願いできる?」と頼まれると、自分がどんなに忙しくても断れない……。責任感の強いビジネスパーソンほど「断る」ことに苦手意識を感じており、じつは"断り下手" も対人関係で心がすり減る原因のひとつ。

心療内科医の鈴木裕介氏は、人間関係で消耗しやすい人は「過剰適応」傾向にあると指摘しています。

鈴木氏によれば、心理学では以下ふたつの「適応」があるとのこと。

  • 「外的適応」|社会的要求に応えている状態
  • 「内的適応」|自分の気持ちが満たされている状態

「過剰適応」とは、「外的適応」はできているが「内的適応」ができていない状態を指します。つまり、他人の要求を優先するあまり、自分の欲求を抑圧している状態のことです。

言い換えると、「自分の領域」に他人を入り込ませてしまっているともいえます。

"ココロとカラダをつなぐカウンセラー" のおのころ心平氏によると、自分と相手の領域を分けるために必要な境界線のことを、心理学では「バウンダリー」と呼ぶそう。上記のような状態は、「バウンダリー・オーバー(境界線越え)」が発生しているといえます。

明るい部屋のテーブルで、女性が目を閉じてこめかみに手を当て、疲れた表情を浮かべている様子

相手の要求に応え続けてバウンダリー・オーバーの状態をつくることの悪影響は、心が疲弊するだけに留まりません。

鈴木氏は、要求を断らずに受け入れてばかりいると、しだいに相手の期待値が高くなると言います。そこで、NOと言う技術を身につけ、相手との境界線を引きましょう。

コミュニケーション講師の吉井奈々氏が提案するのは、「100%断る」のではなく、「70%だけ断る」「50%だけ断る」という方法です。

断るのが苦手な人は「頼まれたら、YESかNOか、完全に引き受けるか完全に断るかの二択しかない」と考える傾向にあるそう。

それを払拭するのに有効なのが、「部分的に断る」スキルを身につけること。具体的には——

「今週中にこの仕事をお願いしたい」と頼まれたとき

  • 「ご依頼ありがとうございます。申し訳ありませんが、今週中だと目途が立たなく難しいです。来週末までならできるのですが……」
  • 「依頼されたものの5割はできます。ですが、あとの半分は難しく、どなたか助けてくださると幸いです」

このように100%断るのではなく、「ここまではできるけど、ここからは難しい」と自分にとって無理のない範囲を伝えてみましょう。

罪悪感による心の疲れをなくせますし、少しでも "協力したい意思" が相手に伝わり、お互いの関係もよくなるはずです。

明るいオフィスで、スーツ姿の男性が書類を手に笑顔で話し、手前の女性が聞いている様子

3. 人付き合いが楽にできる人は【言い返し方】が違う

上司から嫌味を言われたり、同僚が自分のミスをあなたに責任転嫁したり——。このような場面で、あなたは我慢せず言い返すことができますか?

対人関係で消耗する人としない人の違いは、"言い返し方" にもあります。

脳科学者の中野信子氏は、「上手にキレる」ことは自分を守るための重要なスキルだと説きます。理不尽な場面でさえ何も言い返せない人はどうなるでしょうか。中野氏は、悪意のある相手は「反撃しない人」をターゲットに攻撃し続けるため、「怒れない人」はいずれ搾取される側になると指摘します。

とはいえ、感情的に怒りをぶつければ関係は悪化してしまいます。そこで、精神科医のゆうきゆう氏が提案するスマートな言い返し方を試してみてください。

  1. 「要するに、問題は〇〇ということですね」と要約して返す
    相手が感情的になっているケースで特に有効。要約して返すことで、相手が自身の感情を客観的に見つめ直しやすくなり、攻撃の勢いが収まります。さらに、「聞いています」という好意的なメッセージを伝えることもできます。

  2. 「どういう意味でしょうか?」と返す
    皮肉や嫌味を言われたときに効くフレーズ。ゆうきゆう氏によれば、相手が皮肉や嫌みを言うのは悪口をぼかすため。相手は、はっきりと悪口を言うほどの勇気をもっていないので、「どういう意味ですか?」と真意を尋ねるだけで相手をしり込みさせられます

理不尽な場面で言い返すスキルを磨いていきましょう。きっと、人間関係で疲れきってしまうことが減るはずです。

***
職場の対人関係で消耗しやすいのは、自分のことを後回しにしているから。今回の記事を参考に、自分と相手の双方にとってちょうどいい関係を築いてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 同僚の愚痴を聞くとき、どう相づちを打てばいいですか?
「そうだよね」と同意するのではなく、「あなたはそう感じたんだね」「なるほど、そう思ったんだ」と相手の感情を認める中立的な相づちを心がけましょう。自分の感情を揺さぶられずに話を聞けるため、聞き疲れを防げます。
Q. 仕事を断るのが苦手です。どうすればいいですか?
「YESかNOか」の二択ではなく、「部分的に断る」スキルを活用しましょう。「今週中は難しいですが、来週末ならできます」「5割はお引き受けできます」のように、できる範囲を明示することで罪悪感を持たずに断れます。
Q. 上司の嫌みに対して、感情的にならずに言い返すにはどうすれば?
2つのフレーズが有効です。相手が感情的なときは「要するに、問題は〇〇ということですね」と要約して返す。嫌みや皮肉には「どういう意味でしょうか?」と真意を問い返す。どちらも冷静さを保ちながら相手の攻撃の勢いを削ぐことができます。
Q. バウンダリーとは何ですか?
心理学の用語で、自分と他者の間に引く「心理的な境界線」のことです。バウンダリーが曖昧になると、他人の要求を断れなくなったり、相手の感情を自分のものとして背負い込んだりしやすくなります。適切な境界線を意識することで、人間関係の消耗を大幅に減らせます。

【ライタープロフィール】
青野透子

大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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