「王道の勉強法がしっくりこない。でもゼロからつくるのはめんどくさい」――そんな人のための"勉強法のセミオーダー" の4ステップ

自分に合う勉強法をカスタマイズして学んでいる社会人の写真

「自分に合う勉強法が見つからない」――こんな悩みを抱える人は少なくありません。

ポモドーロテクニックやスキマ時間の活用など、いわゆる「王道の勉強法」を試してみたものの、なんだかしっくりこない。

しかしそもそも、市販の勉強本やSNSで紹介されている方法がそのまま自分にジャストフィットすることは、ほとんどありません

かといって、ゼロから自分専用の勉強法を組み立てるのは、正直めんどくさい。そんな時間も気力もないから、結局また合わない王道のまま、しっくりこないなぁと思いつつ続けてしまう――。

本記事では、この「めんどくささ」を回避するための発想として、勉強法を"フルオーダー"ではなく"セミオーダー"でつくる、というアプローチをご紹介します。具体的な4ステップとあわせて解説していきましょう。

自分に合う勉強法は"見つける"のではなく"つくる"――ただしセミオーダーで

いろんな勉強法を試してみたものの、どれもしっくりこない――そんな悩みがある人は、ちょっとした思い違いをしているかもしれません。

それは、「世の中で推奨されている勉強法のなかに、自分にベストフィットする方法が必ずある」という考え方です。

たしかに有名な勉強法は、多くの人に当てはまるように設計された標準的な方法です。しかしそのまま誰にでも完璧にフィットするわけではありません。教育学の研究でも、画一的な「万人に最適な学び方」は存在せず、学習者の特性や状況に応じて方法を調整する必要があると指摘されています。*1

ではどうするか。「自分でつくる」しかありません。

――こう書くと、たいていの人はここで本を閉じてしまいます。「自分でつくる」と言われた瞬間に、ゼロから勉強法を設計し直すような重たさを感じるからです。そんな時間も気力もない。正解にたどり着ける保証もない。それくらいなら、しっくりこないなぁと思いながらも王道を続けたほうがマシ――。

その感覚は、まったくまっとうです。

ただ、ここでひとつ視点を変えてみてください。勉強法はフルオーダーでつくる必要はありません。セミオーダーで十分なのです。

✔ フルオーダー と セミオーダー

フルオーダー:ゼロから設計する。手間がかかる。正解にたどり着けるとも限らない。

セミオーダー王道をベースに、自分に合わない部分だけを少し詰める。大外しはしないし、ハードルも低い。

スーツや靴のセミオーダーと同じ発想です。型は既存のものを使い、丈・身幅・甲の高さといった気になる部分だけを自分用に調整する。一からパターンを引くわけではないので、現実的な手間で、確実に着心地のよい一着が手に入ります。

勉強法も同じです。世に出回っている王道のメソッドを土台にして、自分に合わない部分だけ少しずつ詰めていく。それだけで、ぐっとフィットするようになります。

視点を、こう転換してみてください。

「数ある勉強法のなかに、必ず自分にぴったり合うものがあるはず」
  ▼
「王道をベースに、自分に合うかたちへ少しだけ詰めていく」

そして、セミオーダーであっても、まず一度「試着」しなければ始まらないのはフルオーダーと同じ。「自分に何が合うのか」は、頭の中で考えているだけではわかりません。実際に手を動かし、「合う・合わない」を体感することではじめて、詰めるべきポイントが見えてくるのです。

勉強法を模索する社会人女性のイメージ

勉強法をセミオーダーする4ステップ

ここからは、王道の勉強法をベースに、自分に合うかたちへ少しずつ詰めていく具体的な4ステップを紹介します。

ステップ1. 王道のなかから「ベース」を選ぶ

まず最初に、結果を出した人が取り入れていた方法や、自分に似た能力・環境の人の取り組み方をリサーチしましょう。

東大生の勉強法に詳しい青戸一之氏は、東大生は勉強法を確立するとき、まず徹底した情報収集からスタートすると語ります。*2 完全オリジナルを発明するのではなく、すでに成果を出している型のなかから、自分の状況に近いものを選ぶ――これがセミオーダーの起点です。

◇ポイント

リサーチの前に、自分が目指すゴール・勉強に使える時間・いまの状況を明確にしておくと、ベースを選びやすくなります。

◇具体例

【TOEIC800点以上を目指したい】
→ いま600点台で、平日に勉強に使える時間は長くて1時間程度。通勤時間は片道30分ほど。似た状況(フルタイム勤務・スキマ時間活用)の人の勉強スタイルを探す。

【社内昇進試験(論述・面接)を突破したい】
→ 実務経験はあるが、論理的に説明するのが苦手。平日はインプット中心、休日にアウトプット練習が可能。短期間で表現力を伸ばした人の対策法を探す。

ステップ2. 一度「試着」する

「これはよさそうだ」と感じる勉強法を見つけたら、実際に試してみましょう。

「ひとつずつ試すのは効率が悪いのでは」と感じる人もいるかもしれません。しかしセミオーダーでは、試着しなければ、どこを詰めればいいのかわかりません

青戸氏は、世の中にある勉強法は「根っこの部分は同じで、枝葉の部分が違うだけ」だと指摘します。基礎の重視、勉強の習慣づけ、反復の質と量、集中力の維持といった本質的な要素は、どの勉強法にも共通して含まれているということです。*2

つまり、どの王道を選んでも、本質の部分は外しません。だからこそ「まず着てみる」ことに意味がある。そのうえで、どこが窮屈で、どこが余っているのかを確かめる。それが次のステップへの入口です。

「完璧な方法が見つかってから始めよう」と考えていると、いつまでも調整は進みません。試着すること自体が、セミオーダーに必要な採寸になっています。

自分専用の勉強法をつくる4ステップを示すイラスト

ステップ3. 「合う・合わない」を分析し、自分の"サイズ"を知る

試着して「合う・合わない」がわかったら、その理由を分析してみましょう。この過程で、自分の性質――つまり"サイズ"が見えてきます。

◇具体例

【ポモドーロテクニックを試してみた】
→ 25分で区切られるたびに集中が途切れてしまい、かえって非効率に感じた。一方で、一度集中に入ると60〜90分は続けられるため、「長時間集中+しっかり休憩」のほうが合っていた。

この例からわかるのは、この人は「一度集中すると長く没頭できるタイプ」であり、強制的に区切られることがストレスになる性質があるということです。

このように自分のサイズが見えてくれば、次に勉強法を試すとき「この型は自分の体に合いそうか」を基準に判断できるようになります

もちろん、人はひとつの性質だけで成り立っているわけではありません。ほかの勉強法を試すなかで、「多少の雑音があるほうが集中しやすい」「ルーティンが決まっているほうが取り組みやすい」といった別の側面に気づくこともあるでしょう。気づいたサイズはメモに残しておくと、次の選び方・詰め方の精度がどんどん上がっていきます。

ステップ4. 王道の本質を残して、合わない部分だけ詰める

ステップ3までで、比較的自分に合う勉強法を見つけることはできます。ここからがセミオーダーの本番、いわゆる「お直し」のステップです。

大切なのは、勉強法の「本質」は残し、自分の性質に合わない「枝葉」だけを詰めること。骨格まで変えてしまうとフルオーダーになってしまい、そもそも王道をベースにした意味がなくなります。

以下の2つの例は、どちらも「勉強法の本質」と「自分の性質」を掛け合わせてカスタマイズした実例です。フォーマットを参考に、自分の場合に当てはめてみてください。

◇具体例①「毎日同じ時間に勉強する」の場合

試着の結果 仕事の都合で時間がズレるたびに計画が崩れ、ストレスになった
残すべき本質 学習を習慣化し、継続的に取り組むこと
自分のサイズ 厳密なルーティンよりも柔軟性があるほうが継続しやすい
お直し 「毎日30分」と固定するのではなく、「週合計3時間」といった柔軟な目標設定に変更する

◇具体例②「朝に勉強する」の場合

試着の結果 朝は頭が回らず効率が悪かったが、音読やリスニングはスムーズにできた
残すべき本質 脳がクリアで集中しやすい時間帯を活用すること
自分のサイズ 朝に弱く、思考負荷の高い学習は難しい。しかし耳を使う軽い学習は大丈夫
お直し 朝は音読やリスニング、夜に問題演習など思考負荷の高い学習を配置する

骨格(本質)を残したまま、合わない部分(枝葉)だけを詰める。それだけで、既存の王道は驚くほど自分の体になじむようになります。

勉強法の合う・合わないを分析する社会人のイメージ

セミオーダーなら、めんどくさくない

勉強法に「自分だけのベストフィット」は最初から存在しません。とはいえ、ゼロから自分専用を発明する必要もありません。

王道のなかから自分の状況に近いものをひとつ選び、試着して、合わない部分だけ少しお直しする。それだけで「自分専用」と呼べる一着が、現実的な手間で手に入ります。

大外しはしないし、つくるハードルも低い。セミオーダーという発想を持てれば、「自分に合う勉強法を探し続ける疲れ」からも、「ゼロから設計するめんどくささ」からも、両方とも解放されるはずです。

完璧な方法を探し続けるより、まずは王道をひとつ、今日試着してみること。それが、あなたの勉強法をセミオーダーする最初の、そして最も重要なステップです。

よくある質問(FAQ)

Q. 自分に合う勉強法が見つからないのはなぜですか?

既存の勉強法は「多くの人向け」に設計されており、そのままでは誰にでもフィットするわけではないためです。学習効果は個人の特性や状況によって変わるため、王道を土台にしつつ、自分用に少し詰める「セミオーダー」の発想が必要になります。

Q. ゼロから自分専用の勉強法をつくる必要があるのですか?

その必要はありません。ゼロから設計する「フルオーダー」は手間がかかるうえ、正解にたどり着ける保証もありません。王道をベースに、自分に合わない部分だけ詰める「セミオーダー」で十分です。骨格は王道のままなので大外しせず、つくるハードルも低く済みます。

Q. ポモドーロテクニックが合わない場合はどうすればいいですか?

「長時間集中+しっかり休憩」など、自分の集中パターンに合わせた時間設計に変えるだけで、学習効率が改善するケースがあります。「25分」という枠にこだわらず、「集中して取り組み、しっかり休む」という本質を残したまま、時間の長さだけ自分用にお直ししましょう。

Q. 試着の時間がもったいなくないですか?

世の中の勉強法は、根っこの部分が共通しています。どの王道を選んで試しても、基礎の重視・反復・習慣化といった本質は身につくため、試した時間が無駄になることはありません。むしろ「合う・合わない」を体感することが、自分のサイズを知る材料になります。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。