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マガジン一覧

ちょっとした書きもの

どこかで目にしたことがありますが、子供の頃、物語の主人公になりきってワクワクしたあの感覚。大人になった今、それは遠い思い出ではなく、僕たちの暮らしの中にひっそりと隠れている気がします。 隣で一緒にコーヒーを冷ましているような寄り道だらけです。疲れたときや、言葉にできない欲のようなものに戸惑った夜、少しだけ深い時間を一緒に過ごしませんか。役立つ知識は、何もないかもしれません。ただ、読み終わったあと、夜がいつもより少しだけ、静かで豊かなものになりますように…🌙 投稿は、「毎月20日」です。

6 本

ひとりごと

梅雨空に消えていく水滴の冷たさが、記憶のどこかに妙な温もりを持って残っている気がしています。アイスコーヒーが入ったグラスから結露が流れ始めるのが、ずいぶんと早くなり、五月の爽やかな風が去り、六月の重い空気が部屋に流れて、また少し季節が動き出した頃。 夏になる少し前 外を眺めていたら、傘を広げている人が見えた。レインコートを着て自転車をこいでいる人も。人通りはまだ少ないけれど、草は濡れて、土の臭いなんかがするのが当たり前のことのように感じて、今日も日常が始まった気がした。そ

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消えないものを残したまま、散ったあとの緑を見上げる

毎年必ず、一本だけ先に咲く木がある。いつも通る道の、少し大きな十字路の一角。左にはイオンモール、右にはショッピングセンター、向かいには住宅街、まっすぐ行けば国道。消費と交通と生活が、四方からきっちりと押し寄せてくる場所に、その木だけがある。 他の桜がまだ固い蕾のうちに、その木だけが薄いピンクをまとっている。最初に気づいたとき、桜ではないのかな、と思ったこともある。毎年、同じ頃に、同じように咲く。今年も地元のそこにあった。あれはやはり桜だ、と今は思っている。 モールに吸い込

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身体が先に知っていた、内側の話

身体は、季節に正直だ。頭では「まだ三月だから」と上着を手に取るのに、背中がもう汗ばんでいる。あるいは逆に、暖かくなってきたはずなのに、夕方になると決まって肩が固まっている。「寒い」とも「暑い」とも言えない微妙な体温で、一日を終える。そういう日が続いている。 季節の変わり目は、外の気温の話だと思っていたのですが。ここ数年、それは同時に、身体の内側が「今の自分」を静かに報告してくる時期でもあるのだと、なんとなく気づいてきた。 コーヒーを淹れながら、腰が少し重い。自分で言ったに

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室温に馴染んでいく「手触り」と「季節のトゲ」

すべては冷めていくものだと、どこかで諦めながら、それでもその冷たさを愛おしむ時間が必要なのかもしれない。「悲しい笑顔」と「嬉しい涙」。正反対の感情が混ざり合う瞬間に、人の心の美しさが本当に宿るのだろうか。喜びだけ、悲しみだけというのは、案外少ないもので、たいていの感情は、何かが混じる。笑っている人の目が潤んでいたり、泣いている人の口元が微笑んでいたり。その矛盾した表情は、不思議なものです。 にごった笑顔の居場所 この時期らしい、独特の空気感がある。冷めたカップを両手で包む

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日々のちょっとした雑記

日々のちょっとした雑記をまとめています。 日々の暮らしの中で感じる情けなさや欲を、少しずつ。

38 本

窓辺で

薄暗い青い空が、部屋の隅からゆっくりと広がってくる。時計を見ると、夜の七時を回ろうとするところだった。六月の日は長くて、まだ空の低いところにぼんやりと光が残っているような土曜日の夕暮れ。 先週から、これといって予定も入れず、週末は静かに過ごしている。ただこうして時間が過ぎていくのを眺めているだけで、なんとなく落ち着いている時間が心地いい。 そろそろ、冷蔵庫からよく冷えた缶ビールとグラスを用意したくなった。テーブルに戻って、静かにビールをグラスに注ぐ。トクトク、シュワー。白

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それなりの足で、どこへ行っても

十時のビジネスホテルのロビーは静か。フロントにカードキーを渡す。「追加料金はございません、ありがとうございました」最近では精算機が多くて、あまり聞かなくなっていた。 胸の奥がじわっと苦しく呼吸が浅くなるような、酸素不足になっているかのような感覚だと気が付いたのは、静かなロビーに紛れ込ませるように小さく息を吐いて、扉から流れ込んできた外の空気を飲み込んだとき。 以前はね、「次は、うまくやれるかもしれない」そう言えていた。変化への渇望というよりは、ただの延命処置。 いつも通

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混ざり合う崩壊を願う

ゴールデンウィークの真っ只中、最近は外にいることが増えてきたけれど、近所の夕焼けを見て、一息ついて、落ち着いている自分がいて、賑わう街の音を背にして、ホテルの部屋に収まる夜もある。 今見えているのは、遮光カーテンの隙間から細く差し込む、埃の舞った光だけ。この部屋に溶け出していくような感覚に陥ってしまう。 最近思う。かわいすぎてめちゃくちゃにしたい、と感じたり、めちゃくちゃになってしまいたいくらい、何かしたい。壊したいとか、崩してしまえばいいとか、そういう、理性というのか、

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夜の隣で

いつものホテルの部屋に帰ってきた。何度も洗浄されている使い古したタオルの、ざらついた手触り。そんな、何でもないものに、囲まれているときだけは、強張っていた肩の重みが、ようやく床に落ちる気がする。 すぐにシャワーをして、よれよれになったシャツに袖を通し、短パンに履き替える。その瞬間だけは少しだけ気持ちが和らぐような気がする。 ウイスキーを買っておいてあるから、いつもの棚から持ち出して、コンビニで買った炭酸水で割り、薄いグラスでハイボールを作る。今日も自分ひとりのためだけに、

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プロフィールと、小さな余談

自身の紹介や、少し独り言をまとめています。お気兼ねなく、通りすがりのついでに覗いていただければ幸いです。

15 本

おじさんが、退屈な緑にそっと癒される不思議_。

少し前のことにはなりますが、車を運転していると、藤の花やバラを目にしたり、あちらこちらで話題になっているのを耳にしたり。華やかで、分かりやすく、気持ちを向けたくなるような景色は綺麗ですよね。そんな中、ただただ緑と水がある山奥のダムへ。 頭の中の雑音とは関係なく、ただただきれいな空気が胸いっぱいに吸い込めて、鮮やかな緑がまっすぐに目に入ってくる。本当に時間がゆっくりと流れているように思えたりします。 日々の生活や仕事、朝起きたときからすでに体が重いような、そんな持ち越し疲労

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おじさんが、最短距離で迷子になるような_。

この部屋には、風がよく入ってくる。地上から木を見上げたときに見える、いちばん上のほうにある細い枝や葉っぱが集まっている部分。そんな部屋にいる、そんな日常の場所です。 何も思わなくなってしまうのが怖いけど、いつもは考えないようにしている。何が原因で、次はどう動くべきか。胸の奥を冷たい風が通り抜けてしまう。 詰め込んで、迷わず最短距離で答えに辿り着くのが賢さでも、理屈で誰かを説得できても、その人の心が少しも動いていないのを見たとき、自分のやり方がすごく不器用で、冷めたものに思

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おじさんでも、青の影に触れることから_。

春の柔らかさとはまた違って、少し力強くて青い香りがする。気温の変化や連休の余韻に、体と気持ちが噛み合わなくて、ただ忙しく一日が過ぎていく。もう春じゃないんだと突きつけられるような日差しの下で、余計なこだわりなんかを、少しずつ手放していく時期だと、そう思ってみるのもいいかなと思えています。 今はその「影」の部分に惹かれるんですよ。相手が抱えている「割り切れない悩み」や、言葉にできない静かな余白という隙間として触れたとき、この人と出会えてよかったなと感じることができると思うから

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おじさんの独り言|GWに取り残された風_。

少しだけ窓を開けると、駐車場でエンジンがかかる音が何度も聞こえてくる。連休を終えて、それぞれの日常へ戻っていく。外を見ると、葉っぱが揺れていて、その影を眺めた。今月は、どういうわけか「風」というものに頼ってみたい。なんだか、そんな気分なんです。 昨日、自分では「よし、最後まで書ききった」と手応えを感じていた文章があったんです。けれど、今日改めて読み返してみたら、なんだかおかしい。話のつなぎ目がバッサリしていて、どこか不自然に感じました。心の中をいろんな感情が出入りしていたの

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