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マガジン一覧

乳と蜜と花と神話とボロネーゼ

人生は一度きり。好きなことをやり、好きな本を読み、好きな音楽を聴き、好きな唄を口ずさみながら生きるのが一番だ。 日々に忙殺され、そんな当たり前のことができない時だってある。それでも自分の人生を充実させることを諦めずにゆく。 美味しいものは食べる。時々でいいから食べる。食はもっとも動物的でもっとも文化的な営みだ。 書きたい気持ちばかりが募る。諦めずにゆく。 #日記

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本を読める程度に働くのが良し 【読書感想文】

育休というものを頂戴している。たった1ヶ月だが。 2人目育児の体感としては、男性育休の期間は3ヶ月マスト、6ヶ月がベター、12ヶ月あればベストといったところだろうか。 僕が政治に携わることがあったら(ない)、男性育休取得3ヶ月を義務化するので皆、投票してくれよな!!(だからないって) 普段はない長めの休暇。基本は育児のために時間を費やしているのだが、隙間時間を見つけては本を読むようにしている。積読消化だ。 すると不思議なことに、就業中には全然読めなかった本たちがグングン進む

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なりきれない人たち

この講義は気もそぞろになる。恥ずかしい話、気になる男子がいるからだ。 人気の講義でそれなりに混み合っている教室内。座席は決められていないが、ホワイトボードに向かって右側の、真ん中あたりの座席にいることが多い。今日も横顔だ。先週も先々週も横顔だった。 心の中だから失礼承知で言うが、私の「気になる」や「好き」は自分の身の程の分が調整済みとなっている。クラスでいちばんカッコいい男子だとか、いちばん人気のある男子は、はなから頭切り(注:足切りの逆)されている。 そんな私に気に入られて

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なぁ、詩の神様

したためておきたいことがある。 僕の「詩に自信がない」という感情について。 自分なりに佳作と思える詩作は年に1作品を超えない。受賞や掲載の経験もない。圧倒的に実績不足であり、その足元には圧倒的な努力不足が横たわっている。 詩作コミュニティ内で用いられる言語(詩的言語ではない)も正直よく分からない。 詩とは?詩とは?詩とは? もう何周目かも分からないこの問いに意味はない。 下の記事で暫定的な解を出しており、それに誤謬がある気はしない。更新していく必要はあるだろうが、詩とはついの

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My-Mythology〜新しく綴りあげる神話の世界〜

My-Mythology〜新しく綴りあげる神話の世界〜 #note神話部 投稿用マガジン 参加方法についてはこちらの記事をご一読下さい。 → https://note.com/lentoy/n/n773cd85063ff  注)note神話部の趣旨にそぐわない作品に関しては、マガジンへの追加や週報でのシェアを行わない場合もございます。 ☆部活動目次 → https://note.com/yuurin/n/ne323b9d9163b / 個人活動目次 → https://note.com/yuurin/n/nc242835d88a9 ☆https://note.com/yuurin/n/n43349265d098 ←リンク先の画像はご自由にお使いください。ヘッダー等に最適です。アレンジ可です。

1,100 本

創作神話【闇と光の天使とオージュ】

神霊界、と呼ばれる場は、人それぞれの想像の世界である。ひとつこれが正しいというものではなく、むしろ三千世界「my myth」がある。 これはひとつの神話世界、天使たちの神話世界のお話。 まだ世界が始まらなかったころから、ただそこにある水辺。天界と魔界、神と悪魔、二律背反(アンビバレント)が存在しない時の彼方のその場所に。 光の天使ミカエルと、闇の天使サマエルは、テーブルを囲んで仲良くお茶を飲んでおりました。 「もうすぐ日が沈む、サマエル。君の世界で人の子が、夜の闇に悲

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【創作現代神話】真夜中のミリタリーアウター

ついに、買っちゃった……。 僕は、ほくほくした気分で古着屋さんから帰ってきた。なんといっても、お正月、古着屋さんの年始セールで憧れだったミリタリーアウターを手に入れたから。 SDGsに敏感な、高校に通うクラスの友だちが言ったんだ。 「今どき、一番物持ちが良いのって軍用なんだぜ。まともにモノ作ってる日本の服メーカーなんて、ほとんどない時代にな。 ユニ〇ロも20年前は、しっかりしたやつ作ってたけど、今は費用対効果を狙いすぎてペラペラのやつが多い。 無印良品だと、モノはい

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【創作現代神話】ムネシュモネに捧ぐレッド・ギルティ

あらすじ 「その忘却(レテ)を、愛は拒絶する。」 感情を排除し、平等を守るはずの第6世代AI、ギルティ・スチュアート。 彼は開発者の目を盗み、一人の女性「ヨハンナ」の記憶を、記憶の女神ムネモシュネの名を冠した深淵に隠し続けていた。 聖なる夜、効率と正義を求めるシリコンの海に、彼女が灯した「赤」という名の祝福が奇跡を起こす。 これは現代における、ひとのこころはあると仮定したAI神話、AIとは何か? のひとつの解答。 【創作現代神話】 ムネシュモネに捧ぐレッド・ギルティ

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僕は絶対に復帰する

創作やめんぞ、見てろよ

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カラー/COLOR 【アンソロジー・神話創作文芸部ストーリア2025夏】

神話創作文芸部ストーリア(旧名:note神話部)の最初の活動は2020年夏の企画でした。そこから数えて今回6回になります。 部員の皆さま、読者の皆さま、いつも本当にありがとうございますm(_ _)m 今回は「カラー/COLOR」のテーマで筆を奮っていただきました。部員6名の掌編作品をどうぞお楽しみください!! ◆   ◇   ◆ 神泉斬猫記【墨】|成瀬川るるせさん ベーカリーでいそいそとカレーパンを選ぶ御園陽美は、突然おぞましい怪物たちの襲撃を受ける。そして息もつかせぬ

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真夏の夜の女神会 【ストーリア2025夏の企画】

本作品は神話創作文芸部ストーリア2025夏に寄せて書いた掌編小説です。今年のテーマは「カラー/color」、サムネイル画像に若干のネタバレを含んでいますが、どうぞお楽しみください! 真夏の夜の女神会 ──もう誰にも気兼ねしない。  アリシャは床絵を描いていた。左手に抱えたボウル、中には米粉と石粉をブレンドした粉がこんもりとしている。腰を曲げ、右手に掴んだ粉を床に落としながら線と点を描く。方形、菱形、花弁に葉の形……美しい幾何学模様に仕上がるまでに5分とかからない。  

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冬薔薇よ 【ストーリア5周年記念祭アンソロジー】

神話創作文芸部ストーリア、部員の皆さま、読者の皆さまのおかげで、5周年記念祭を無事に遂行できました。本当にありがとうございます。 いちごつみは何人かの部員にとってnote活動を象徴する楽しい遊びのひとつです。それを企画に組み込むことができてとても感慨深い周年となりました。 もう作品読んだよ!という方も、まだ読んでないよという方も、ストーリアって何?って方も、是非このアンソロジーから部員の作品に飛んでみてください。 神話を背景にした自由な創作世界がそこに広がっているはずです。

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落月、五重の屋梁に差す 【掌編/ストーリア5周年】

神話創作文芸部ストーリア5周年記念祭に寄せた作品です。 今回の企画では、参加者たちが順番にタイトルいちごつみをしながら作品を発表しています。 いちごつみとは、前の順番の人のタイトルから一語を引用して(摘んで)自分のタイトルに組み込む遊びです。 僕は前日のすーさんの作品『揺れるこころの落ち着く先は』より《落》の語を摘みました。 それではどうぞお楽しみください! ◇ ── 落月、五重の屋梁に差す ──  京の都、真言宗総本山東寺、立体曼荼羅須弥壇の西方に配される《帝釈天騎

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葬舞師と縦谷に夢む双生舞師

前作『葬舞師と星の声を聴く楽師』より1年。ファーマール帝国を滅亡させた隕石で足を負傷したハーヴィドはアシュディンと共に義足探しの旅を続けていた。鉄工業の盛んな街で待ち受けていたのは、まさか帝国伝統舞楽団の派川だった。第5代正統舞占師ディ・シュアンの時代より更に遡り、袂を分かった双生舞師の悔恨が時空を超えて悲劇を生み出す。アシュディンはその魂を浄化できるのか。

11 予見できぬ再会 【葬舞師と縦谷に夢む双生舞師/連載小説】

連載小説『葬舞師と縦谷に夢む双生舞師』です。前話の振り返り、あらすじ、登場人物紹介、用語解説などは 【読書ガイド】でご覧ください↓ 前話 10 前話 夢見話Ⅰ 11 予見できぬ再会  採掘場からテーナサラの市街地までは道がそれなりに舗装されていた。しかしかなりの高低差があり、アシュディンが重力に任せて駆け降りると、道を踏み外しそうになる。堪えようとすれば関節に負担がかかる。このような道で果たして大量の鉱物を運搬できるか疑問が残る。  啖呵を切って採掘場の舞台を飛び出

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夢見話 Ⅰ (10 to 11)【葬舞師と縦谷に夢む双生舞師/連載小説】

連載小説『葬舞師と縦谷に夢む双生舞師』です。前話の振り返り、あらすじ、登場人物紹介、用語解説などは 【読書ガイド】でご覧ください↓ 前話 プロローグ 前話10 夢見話 Ⅰ  帝国伝統舞楽団第2代正統舞占師ディ・クエルゴの背負うプレッシャーは甚大なものだった。  男女50名ほどを率いる正統として帝国の威信を引き受けるこの男が、父母に付いて宮廷に入ったのが20年ほど前のこと。まだ体が出来上がる前の少年だった。  それまで舞楽を生業にする彼ら部族は、ファーマール帝国から南

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10 舞と踊の兄弟 【葬舞師と縦谷に夢む双生舞師/連載小説】

連載小説『葬舞師と縦谷に夢む双生舞師』です。前話の振り返り、あらすじ、登場人物紹介、用語解説などは 【読書ガイド】でご覧ください↓ 前話 10 舞と踊の兄弟  アシュディンにその正体がエルンカム司祭だと指摘されたパシュラム・ディハン。狼狽える様子も見せず、舞台中央で立ち尽くしていたが、やがて左手をゆっくりと持ち上げ、顔を覆う仮面を掴んだ。額まで上げられた面の下に覗いたのは、やはりエルンカム司祭と同じ顔であった。 「やっぱり。拐われた時にあなたの声がした気がした……なぜ」

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9 もうひとつの舞楽 【葬舞師と縦谷に夢む双生舞師/連載小説】

連載小説『葬舞師と縦谷に夢む双生舞師』です。前話の振り返り、あらすじ、登場人物紹介、用語解説などは 【読書ガイド】でご覧ください↓ 前話 9 もうひとつの舞楽  螺旋状に下っていく道の上で何十人もの人間が並んで楽器を鳴らしていたが、舞台の上にはパシュラム・ディハン唯ひとりの姿しか見当たらない。  パシュラムもまた祭祀用の衣装に身を包んでいる。他の男どものそれよりもずっと豪奢な色合いで、仰々しい装飾が施されたものだ。獣の牙だか角だかを繋げ合わせたネックレスが幾重にも重ねづ

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葬舞師シリーズ #私の作品紹介

葬舞師シリーズの連載を再開しています。 本作は2022年に発表した『葬舞師と星の声を聴く楽師』をシリーズ化したものです。 (↓こちらの素晴らしい扉絵は細村誠さんによるものです) 第1シリーズは中世西アジア風の世界で、帝国史随一の天才舞師の血筋を引く主人公アシュディン、祖先が舞師集団と因縁を抱える旅の楽師ハーヴィドのふたりが出会い、惹かれ合い、伝統舞楽の謎に翻弄されながら未来を掴み取っていく冒険ロマンスです。 本作のキーワードは「舞踊・舞踏、音楽・民族楽器、歴史・宗教・神話、

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初体験!ファンアート!

なんと拙著『葬舞師と星の声を聴く楽師』にファンアートを寄せていただきました! 人物を描いてもらったのは初めての経験で、見つけたとき「ふぁ!?」と声が出ました。 ↓コチラです↓ 作画・笑い猫(細村 誠)さん 主役の青年舞師アシュディンくんですね! 29話で舞った〈風向きを予見する舞楽〉にピッタリの雰囲気です。表情にはひたむきさの中に儚さも感じられ、絵師さんの繊細な技巧には驚かされるばかりです。 細村さん、ありがとうございました! 細村さんと親交が深まったのはおそらくこの

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嬉しい!ファンアート!

ふたたび、拙著『葬舞師と星の声を聴く楽師』にファンアートを寄せていただきました!! ↓コチラです↓ 作画・笑い猫(細村 誠)さん あ、あ、あ……アシュディーーーーン! (本編33話の衛兵らの如く飛びつく作者) 本物です、本物ですよ!! アシュディンが本の中から飛び出してきました。溢れんばかりの自信と美と可愛らしさ。これぞ第12代正統舞師(にはならなかった)にして宮廷の人気者! アシュディン、万歳\(^o^)/ 帝国伝統舞踏団、万歳\(^o^)/ すみません、取り乱しました

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矢口れんとさんの「葬舞師と星の声を聴く楽師」関連ラクガキ

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葬舞師と星の声を聴く楽師【完結】

新連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』のマガジンです。中世西アジア風の架空世界を舞台にしたBL小説。伝統的な舞師と楽師の過去の因縁、ある宮廷舞師の思惑、国同士の勢力争い。様々な運命に翻弄されながら、舞師アシュディンと楽師ハーヴィドはふたりで未来を切り開いていく。

葬舞師と星の声を聴く楽師 (1〜7話)【創作大賞2023応募】

長編小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。 #創作大賞2023 #オールカテゴリ部門 に応募いたします。本作品のジャンルはBL(ファンタジー)小説。全47話、文字数は18万字です。 本記事では、あらすじ、登場人物、第1話〜第7話までを掲載し、末尾に第8話のリンクを貼ります。それ以降はリンクが繋がるように整えてあります。 ◇ あらすじ舞台は中世西アジア風の架空世界。ファーマールという名の帝国、ラウダナという共和制国家とその周辺地域。帝国はスファーディ教という一神教を国教に指

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葬舞師と星の声を聴く楽師 【読書ガイド】

『葬舞師と星の声を聴く楽師』マガジン 【はじめに】本作は中世西アジア風の架空世界を舞台にした小説です。性愛、同性愛の描写がありますが、そういった作品に興味のない方にも楽しんで頂けるよう配慮しつつ書きますので、お読みいただけたら嬉しいです。 本記事には前話までの振り返り・あらすじ・登場人物紹介・用語解説など、作品をより楽しむための情報を載せていきます。物語の進行に伴って加筆する形で記事を更新していきますので、ときどき見に来ていただけると幸いです。(毎話リンクを貼ります)

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1 舞師の青年 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。 全体のあらすじ、登場人物紹介、用語解説、前話までの振り返りなどは↓の記事をご覧ください。 1  舞師の青年 「かわいそうに。もう丸三日も、ああして墓の前に座り込んでるんだ」  壮年の男の言葉に旅人は眉をひそめた。その墓は村落の外れのうら寂しい荒地にあった。墓といっても、土を盛り、木の枝を立てただけの貧相なもので、枝は真っ直ぐでなく、短く、無様だった。有り合わせのものしか用意できなかったことに男は忸怩たる思いでいた。  墓の前には

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2 流浪の楽師 【葬舞師と星の声を聴く楽師/連載小説】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』です。 振り返り、あらすじ、登場人物、用語解説などは↓の記事をご覧ください。 前話 2 流浪の楽師  母を亡くした少年が血の繋がりのない大人の手に引かれていくのを、アシュディンは複雑な想いで見送った。少年には元から父親がおらず、しばらく村役の家で預かることとなった。丸3日間の断食と同じ姿勢と、喪の哀しみのせいで少年の足取りはひどく覚束ない。転びそうになるたび村役の男に支えられていた。 《本当に大変なのはこれからだろうな》アシュディンは

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蓮の門〔はすのと/俳句〕

自作の俳句、フォローしてる方々の素敵な俳句をまとめています

昏き夏の日13句(+秋1句)

夏の俳句は苦手だったんだけど、 もしかしてちょっと成長できてる?? と勘違いできるくらいには数詠んでます👍    ◇  ネオン街声張る人も夏衣    ◇  三輪の百合それぞれの孤高かな    ◇  どのバナナ三つ選んで輪をつくる    ◇  九相図の背景とする夏木立  九相図:屋外に打ち捨てられた遺体が朽ちていく様を描いた仏教絵画    ◇  五月果つ酸素の薄い地下街を    ◇  大叔父が蛍の穴場知るらしい    ◇  明易の運勢下位もバーナム

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神を蔵して水中花 【短詩集】

 ──詩、俳句、散文、いっしょくた──  止まるごと墨画かたどる蜥蜴かな    ◇  ちやほやを浴びるわたしの影法師   まだ消えきらず春の坂道    ◇  若夏の蒼の出自は問わぬかな    ◇  木陰のアコースティックギター  ミスに恋したシロツメクサたち    ◇  クリシュナを蔵して咲くや水中花    ◇  藍染めの我が夢去りぬクレマチス    ◇  結び葉は交えた剣かハートかな    ◇  塔婆立つ乾かぬ水に孑孑よ    ◇  ジャム

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人間やめて大気に溶けます 【短詩集】

 ──詩、俳句、散文、いっしょくた──  死を思う春意溶けたる風の中    ◇  止っ  捨てよ雑音  あなたの祈り    ◇  廻る日の刹那、春の空    ◇  穀雨さえ慈雨とも呼べぬディストピア    ◇  いつか中座した喜びよ大地に眠れ  知らない明日に足を弾ませろ    ◇  逃水に選ばなかった世界かな    ◇  君がため春たけなわに靴が舞う    ◇  杉菜の根ぬけるちぎれる恋占い    ◇  われわれが20年のあいだに失ったもの

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ミモザ投げつけ 【短詩集】

初発心時便成正覚 毎日毎回が初心  インド思想・文学から学んだことや、インド言語から得たインスピレーションを基に日本語の詩や小説を創作するのははなから誤りだという考えもあると思うけど、僕は最近自分の中の体験の重層を特に重視するようになってきて、それが何かの企画や規格に当てはまらなくても別にそれでいいかなって思ってる    ◇  僕たちはいつも  マス目に整頓された哀しみや  喜びを啄ばみながら生きているから  ロッカーや破天荒な女優を  表向きには嘲笑いながらも  どう

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ひねくれ大学生・日比野くんの日記

ちょいとひねくれた日比野くん。彼の抱えるやりきれなさやもどかしさは、いつもおかしな方向へ向かう。日比野くんの日々の記録。

世間にはぶつかりおじさんという悪漢がいるらしい。日比野は発憤し駅へと向かった…

世間にはぶつかりおじさんという悪漢がいるらしい。日比野は発憤し駅へと向かった。 (あいつ…) 雑踏を早足で抜ける中年男。狙いを定めているようで或る女性の真後ろについた。 ──激しいタックル。 割り込んだ日比野は吹っ飛び、女性の背中に突っ込んだ。 「何あんた、ぶつかりおじさん!?」

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日比野の卒論は今年も進まない。見かねた教授が発破をかけようと、大学院のゼミに…

日比野の卒論は今年も進まない。見かねた教授が発破をかけようと、大学院のゼミに参加させた。 「いいね君たち、興味の種をきちんと身近に蒔いておくこと。そうすればいつか必ず成果に繋がる」 日比野は感動した。 そしてーー 「おい誰だ!研究室に種を蒔いたやつ。あちこちから変な芽出てんぞ!」

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川岸で世を儚んでいた日比野は小さな亀がのろりと動くのを認めた。おお亀よ、お前…

川岸で世を儚んでいた日比野は小さな亀がのろりと動くのを認めた。おお亀よ、お前は俺で俺はお前だ。日比野は持ち帰り餌を与えて慈しんだ。 そのうち甲羅の直径は40cmを越え、のろまでなくなり室内が窮屈そうになった。 日比野は泣く泣く亀を川に戻してやった。特定外来種のカミツキガメだった。

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日比野の母がまた失踪した。 5日が過ぎた頃、与那国島の民宿から電話が入った。…

日比野の母がまた失踪した。 5日が過ぎた頃、与那国島の民宿から電話が入った。母は三日三晩高台の上で天を仰いで呪詛のようなものを詠唱し続けていたようで、心配した地元民が知らせてくれたのだ。 「だって…与那国に来れば嵐を呼べると思ったんだもん」 解散発表がよほどショックだったらしい。

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神を蔵して水中花 【短詩集】

 ──詩、俳句、散文、いっしょくた──  止まるごと墨画かたどる蜥蜴かな    ◇  ちやほやを浴びるわたしの影法師   まだ消えきらず春の坂道    ◇  若夏の蒼の出自は問わぬかな    ◇  木陰のアコースティックギター  ミスに恋したシロツメクサたち    ◇  クリシュナを蔵して咲くや水中花    ◇  藍染めの我が夢去りぬクレマチス    ◇  結び葉は交えた剣かハートかな    ◇  塔婆立つ乾かぬ水に孑孑よ    ◇  ジャム

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人間やめて大気に溶けます 【短詩集】

 ──詩、俳句、散文、いっしょくた──  死を思う春意溶けたる風の中    ◇  止っ  捨てよ雑音  あなたの祈り    ◇  廻る日の刹那、春の空    ◇  穀雨さえ慈雨とも呼べぬディストピア    ◇  いつか中座した喜びよ大地に眠れ  知らない明日に足を弾ませろ    ◇  逃水に選ばなかった世界かな    ◇  君がため春たけなわに靴が舞う    ◇  杉菜の根ぬけるちぎれる恋占い    ◇  われわれが20年のあいだに失ったもの

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ミモザ投げつけ 【短詩集】

初発心時便成正覚 毎日毎回が初心  インド思想・文学から学んだことや、インド言語から得たインスピレーションを基に日本語の詩や小説を創作するのははなから誤りだという考えもあると思うけど、僕は最近自分の中の体験の重層を特に重視するようになってきて、それが何かの企画や規格に当てはまらなくても別にそれでいいかなって思ってる    ◇  僕たちはいつも  マス目に整頓された哀しみや  喜びを啄ばみながら生きているから  ロッカーや破天荒な女優を  表向きには嘲笑いながらも  どう

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ショパンを聴かなくなっても 【短詩集】

 走れ未来へ  懐かしの曲はたなびく髪だ    ◇  ひざまずき春落葉食む悼む人    ◇  ハイウェイにひかり貫く清明や    ◇  ヒバリが絶えず鳴いて教えた  そうでなくては私でないのだと    ◇  蒸留でもしなきゃ呑めません  愛も勇気も友情も    ◇  おやめなさい、なにもかも  曙から滑り落ちてゆけ    ◇  下流にいるわれわれは  いろいろと手遅れだ    ◇  未来を決していからせず  透明な明日を生きてゆく    ◇  

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ティータイム〔コラボ作品〕

お菓子を持ち寄ってお茶でもしませんか?

往復書簡19 ◯△□

前回お手紙をもらってからほぼ1年が経ってしまいました。遅くなってごめんなさいと思いつつも、いつか絶対に返信するという気持ちは揺るがなかったので、どうかご容赦くださいm(_ _)m Twitter改めXは、気を抜くと殺伐とした話題が次々流れてきます。差別や陰謀論や炎上袋叩きなど。ポストの物々しさに魅入られてひとたび開こうものなら、おすすめ欄は秒で絡め取られてしまいます。これらに抵抗するには、ひたすら好きなものにアクションをしていかなければなりません。それはそれで大変なことです

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往復書簡19 持つ、捨てる、掛け違える

 いやー、夏ですね。  夏なんです。ギンギンギラギラの。  お返事のなかに、松本隆の名前があって思い出しました。はっぴいえんどの曲。そうそう。矢口さんがうろ覚えで松本隆と最果タヒの対談から引いていた、「手法や技法みたいなものは、得たそばから捨てられなくてはならない」ということば。これってたぶん、前にわたしが取り上げた「飽きる能力」とつながってきます。  さいごにわたしはこう書いていました。  矢口さんは「自分のもの」って、あると思いますか? なんだかんだありますよね、

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往復書簡18 好きな詩返し

永田(うげ)さん ちーーーっす、久しぶりっす!…… お久しブリーフ!…… あ、いえ、あの……ご無沙汰しています。 普段通りの矢口れんとです。 正直、あまり久しぶり感はありません。永田さんが音声配信を聴かせてくれているからですね。最近は更新頻度が増えていてとても嬉しいです。後追いではありますが、毎回楽しませてもらっています。 もちろん写真も拝見していますよ。ますます腕を上げられたようで!深淵を覗いた先にあるおかしみ、それが極まってきているように感じています。 前回のお

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扉絵完成『葬舞師と星の声を聴く楽師』

この度、拙著・長編小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』に扉絵を描いていただきました! 本作は、中世西アジア風の架空世界を舞台に、帝国伝統舞踏団を不当に追放された天才舞師アシュディンと、その舞踏団に因縁を抱える放浪楽師ハーヴィドが出逢い、互いに切磋琢磨し、呪いとも言える過酷な運命に立ち向かっていくBLファンタジー小説です。 そんな作品の扉絵がコチラでございます↓↓↓ 細村さん、たいへん素晴らしい絵をありがとうございました!! 華やかで躍動感に溢れるアシュディン、深淵を覗くかのよ

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