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マガジン一覧

詩│完成度

自作詩のなかで、比較的完成度の高いものをまとめています。

詩・短歌│きみだけが語れる天の川

   夢だけにでてくる海のエレベーター     (ひらく)ボタンを押しても沈む   まだ明かりを知らない部屋で、窓から永い海底をみていると、魚の骨が泳いでいる。甲板から投棄された料理だったころのメカジキが醤油を洗っている。 「わざわざ潜ってくる必要はなかったんじゃないか」 今なら教えてあげることができるのに、料理になる前、いのちは傲慢だと知っていて、瞳の裏が潤うだけ。 「もう腰まで浸ってるの、いまさら戻れない」 生きている側の道半ば、窓を遠くの月極駐車場に放つ。海は仕方なく寝

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詩│愛だよ

草原の青空を口移しでもらえない日々が きみに訪れることをだれも知らない 血が招待状と混ざる限りまだ言える 絆はあたたかい 季節は移ろう、うつくしい これは愛だよといって爪をたてて痛みを与える 窓の外は海、サメが泳いでいる これは愛だよといってきみの眼球をかじる 命乞いを受け入れるつもりはない ふたりで死ぬべきだから いちかばちかで 鳩の胃腸に天使のタトゥーを彫ってるきみ 嘘と真実の境界に除光液をかけて擦る 虹が七色でばかみたいだから田舎の夜を塗る 剃り残した髭を同じ巻き爪

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横殴りの晴れ

くっそひさしぶりじゃん 元気にしてた? いや、いまのは忘れてくれ、 元気って言うしかないもんな。 明日やすみ? なんだよ仕事かよ 付き合わせちゃって悪いな 髪切ったよな、切ってないか。 今日はどうしても喋りたいことがあったんだ。 生きてれば辛いこともあるし、楽しいこともあるし、退屈もあるし、忙しいときもあるし、哀しかったり、幸せだったり、この間をゆらゆらゆらゆらしてるわけだけど、そんな海原を揺られてる木舟。 木舟ってクジラに勝てそうじゃね 頑張ったら珊瑚礁にも勝てるのかな ど

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詩│こめとひかりのおにぎり

まだ 近くで惑星をみたことがないから言えるんです 真夜中 、空はうつくしいと 愛だけが終われない霞でおぼろな明かり、と 合鍵を渡される 鍵穴はつぶれている せっかく腕があるんだから 底の抜けた紙コップに水をためてよ 、と眼が言っているのがわかる それができるひと だからといって、 一緒の網膜で景色を見たくない 一緒の肺で呼吸を続けたくない 痩せた顔から瞳を盗んで、点字ブロックの上の自転車を燃やして、老いていく首から喉を奪って、心臓に新鮮な息を埋めて、消毒済みのマイクを

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賛美しています

うつくしい

話題表体部品

 形と表すことによって対象が認識を共有化させることは、夢からの意識によってから発音されるものと領る。  たとい、のみなる書き物で大いなるを代表とする(どちらかったら新しい)聖書にあるかもとあそばすも、このあそびはみそかな争なのかな、このHuldrych/Ulrichのやっこに潰えた。  強固にて、スウィッザランドや、skepticalよりこれを例説と為さん。  記号的ソシールは、またはいったい、更に材料として集うべきものがある。それは母語話者が、その母語を理解していることが

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【詩集】佳作集

詩誌で佳作入選だった作品をいくつか公開しています。 1.結託  夜が落ちてくる場所に レジャーシートを敷いて 僕達は待っている 日中 その心一杯に育てておいた 愛が瞬間冷凍されるのを 体の中を腐食していく 心地良い熱を 食い止めるにはどうすればいいだろう 好きなものを見つけるたびに すぐに手に入らないもどかしさを身体に潜らせて くすぐったさを覚えるそんな風に寂しさを追い出す 僕も君も 同じ作業をする者だから もう十分機能し切った ただのつめたい皮膚同士で 結託をすれば なん

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2.18〜3.8

2.18 早起きできて、すごく久しぶりにほんと久しぶりに外に海を見に八栗へ行った。去年は何回行ったかわからないのにいつのまにか面倒さを感じてきていた?わからない。忙しかったのは事実だしいつもとは違った種類、触れたことのない異物に対しての速さと忙しなさに対処を続けて体が少し変わったんだろうと思う。風が強い。 2.19 寝不足 すこしだけなら我慢する 金を稼いだら黙る人がいくらもいる 2.20 田舎のおじさんたちはみんな若者におれが教えてあげるからって態度があり、当たり前のど

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詩「OKO TALE」

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たまに書くエッセイのような

エッセイみたいなかんじで書いてみました。

エッセイ│微熱の指先で「いいね」を押すこと。

noteはもちろん、SNSでも「いいね」がもらえると嬉しい。 もっと「いいね」をもらうために、文章のスキルを磨いたり、ウケそうな文章を考えるひともいるだろう。 インターネットが個人の世界を広げて、自分のちっぽけ加減が目につくようになって、認められたい欲求はあっちこっちで膨らんだ。 古代、宮邸や農村で言葉を詠んで遊んだ。 かつて、「本」は世界の娯楽を、芸術を、占有していた。 今はどうか? 気軽にみれる種々の動画がある。 イヤホンひとつで、どこでも聴ける音楽がある。 スマホ

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「一緒に死にたかった」と言われた日。それは過去形で、死期を逃す。

寒波が来ているらしい。 僕は雪を待っていた。 でも、東京には降らないらしい。 うつくしい空だ。 普通に生きていて、空を見上げることはない。 最近は、空よりみるべきものが多すぎた。 恋人と別れてからは、それが何もなくなったから、空をみようなんて、くだらないことを思いついたんだろう。 僕にとって生きるとは 「迎合」であり、「信仰」だった。 「死んでもいいな」とは思うが、「死にたい」とおもってるわけではない。 そんなことを思っても何も楽しくないから、思うことは無駄だとわかってる

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エッセイ│人に怒るやつは全員、刑務所に入れろ!——こたけ正義感『暴論』にて

(出演者みんな面白かったです)   ゲーテという偉大な詩人がいる。 はじめに、ゲーテの格言とされているものをひとつだけ紹介したい。  「人間最大の罪は、不機嫌だ」 そうだろうか? ゲーテは埼京線の満員電車で、見知らぬおじさんの湿った背中に顔を押し付けられたまま新宿まで運ばれたことがないから、そんな悠長なことが言えるのだ。と、思わないでもないのだが、ここではゲーテの言葉を全面的に支持したい。 さて、我々人間は不機嫌になるように設計されている。そして赤ん坊の頃から、不機

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2026/3/11  中側悠という厄災と、死んだ僕の話。

22歳で結婚というものをした。 あの頃は人間じゃなかった。 何者かになりたくて、もがいていた。 お金を払って、弁当を買う。 成果をだして、認められる。 世界の掟を知っていたのに、愛し方を覚える前に、愛されることだけを望んでいた。 僕の元奥さんのことはあまり書きたくないが、超面白くて、超優しくて、超可愛かった。 元僕のこともあまり書きたくないが、超クズで、超クズで、超クズだった。 26歳で離婚をした。 クズにはお似合いの結末。 元妻にとっては、あまりにも迷惑な話だ。

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音楽│13月のしあわせ

月1くらいの頻度で楽曲のPVを公開しています。

詩│うつくしい爆発 【MV】

あのお方が言うように 生活を生活に委託したら 臆病なわたしたちは かわるがわる犯された 痛みに恨みに退屈に 諦観に陰茎に陰核に 怠惰に紙幣に未練に 戻してほしい 雪に埋もれて白かったわたし 代わりに返してあげます 不幸に研ぎ澄まされた眼 耳、鼻、口 のっぺらぼうで やりなおそうとするわたしを 赦すほかの手段で止めないで ブレーキの壊れた列車で壁に向かう ちゃんとみてて このうつくしい爆発 見終わったら引き返して 轍を残しておくために 火山が灰を撒かないように蓋をして

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詩│13月の序文

空には太陽なら 私は13月の匿名の星だし 辺境に地平線を描く大地でもある 僕は近所でしか顔が利かない派遣された風だし 波に濡れた足元の砂でもある あなたはとても偉い なんにもなくても喋るでしょう 昨日に向かって泣いてみたり 明日に向かって猛ってみたり 今に向かって憂いてみたり 心臓のためなら だれも幸せにしない会議で手を挙げる 電子レンジでタッパーのカレーを温めて チラシだらけの机 それでも、予定を建築して 天気予報で傘を睨む 私はきらきらを言おう

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詩│私たち幸せ

そんなに膝を赤くしてどうしたの 勢いまかせに走って転んだだけなら綺麗な赤 お湯はしみない? 痛いのはそのうち治るよ 私のせいじゃなければもう大丈夫だからね 痛みをひとりぼっちにはしないよ 悲しみを置き去りにはしないよ 穴のあいたポケットにカイロを詰めこむよ 海の枯れた海岸に雲を流すよ 私は爆撃よりも響くおはようを言うし、 道草より静かなおやすみを言うし、 泣かなくていい野原まで連れていって シャボン玉をつくって、それを漕いで 隣駅の中華料理屋で青椒肉絲を しれっと食べよう

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短編小説│文学っぽい

短編小説を書きはじめました。 たまに載せていきます。 (明るい話は少ないと思います)

ショートショート│念のため外で吸ったほうがいいです。

 床はよく滑った。  佐野はシンクの下に潜り込み、モンキーレンチでナットを締めていた。グリスと錆びた鉄の匂いが鼻をつく。業務用の食洗器を設置しているところだったが、1時間ほど前に挨拶をした店長には、床を中心に店舗の清掃をするべきだと言いたかった。時刻は深夜11時。 「まだかかる?」  背後で気怠そうな若い声。雇われ店長の女の顔には、とても接客業を務めているとは考えられないような厚い化粧が浮いている。 「もうすぐです」佐野は腹に力を込めて言った。「ただ、配管の状態が良くないな

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短編小説│笛の鳴らない金魚鉢

    過ぎ去った夜。これからの夜。     この金魚鉢では笛が鳴らない。  金曜日の夜に賑わう街が嫌いだった。  道も店も混んでいるし、声が声に消えていくのも嫌だった。仕事の帰りに、街の喧騒を横目でみながら、市民プールの前を通りかかり、たまに運動するのもいいかもしれないと思いたって、そのまま中に入った。  受付の女性に、水着とゴーグル、それからキャップを一通り薦められた。帽子は必要なのか尋ねると、「他の利用者の方もいますので」と言われる。買えということだろうから、買う。

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短編小説│ベッドルームの雪

 口紅のついた吸殻が灰皿から落ちた。  女はあさひの股に向かって顔を前後に往復している。あさひは煙を吐いて、少しだけ開いたカーテンから、東京の初雪をみていた。 「もういいよ。横になって」  あさひは女の顔がみえるように両腕で半身を支えて覆いかぶさる。自分の影が、女の顔から陰影を奪う。名前を呼ぼうとして、呼べる名前がないことに気付く。仕方なく、可愛いね、と繰り返し声にだす。 「ほんとう?」女は枕を握りながら訊く。「だれにでもいってない?」  あさひはなにも答えずに、はかなく笑い

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短編小説│13月の鐘

中側悠の処女作  氷点下の腕時計。無菌の慣性。  秋吉は朝、駅前の喫茶店でコーヒーを飲んでから得意先に向かった。化粧品の箱が入った鞄は、毎日同じ重さだった。客先で話すことも同じ。アイスブレイクに、野球の話。新色の口紅の話。季節の肌荒れの話。棚を一段広げてもらえませんか、という話。  昼になると、駅前にある蕎麦屋の暖簾をくぐる。ざるを頼んで、ネギを多めに入れる。食べ終えて、蕎麦湯で口の中を温める。店の人に湯気の奥から「ありがとうございます」と言われる。秋吉は会釈して陽射しを

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