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Dynamics 365 Business CentralでVMIの処理を行ってみる

Dynamics 365 Business Central(BC) で預託在庫(VMI(Vendor Managed Inventory))の実現方法を考えてみます。

預託在庫(VMI)は、サプライヤー(BCでいうところのVendor/仕入先)が主導で在庫管理を行い、実際に使用されるまでがサプライヤー側の在庫(資産)で、カスタマー(買主)が使用(消費)して後、カスタマー側の資産となります。

 

単純なVMIプロセス

BCでの単純なVMIフロー

VMIプロセス

事前の設定・準備

  • Inventory Setup の「Average Cost Calc. Type」を Item & Location & Variant に設定。BCでStockkeeping Unit(SKU)を作成するため必要です。
  • VMI 用の Location(場所)の登録。これは VMI の品目を管理するための倉庫の役割をします。

    VMI用のLocation : VMI-WH

    VMI用のLocation : VMI-WH
  • 品目(Item)のStockkeeping Unitを作成。VMI Location の Stockkeeping Unit(場所別SKU)を登録します。VMI Location の 品目のSKUのUnit Cost(単位原価)は0とします。これはVMI品目納品時、この在庫はサプライヤーの資産のままです。

    Item and Stockkeeping Unit (SKU)

    品目と品目のStockkeeping Unit

VMIの品目の納品

サプライヤーからVMI品目を納品したと連絡を受け、BCで、Item Journalに連絡のあった品目と数量を登録し、Postします。日付を設定し、Type = Positive Adjmt. にします。VMIで管理するItem No.を登録し、LocationにはVMI用Locationである「VMI-WH」を設定します。数量も入力します。この時、Unit Costが0となっていることを確認してください。今回、VMI品目:1896-S-A1 ATHENS Desk A1 数量:100個としています。

Positive Adjustment for VMI Item

VMI品目の調整入庫

この時、原価0のため、Item Ledger EntriesとValue Entriesへ記録が作成されますが、会計側への影響はありません。

原価0でValue Entriesに登録

数量100、原価0でItem Ledger Entriesに登録


VMI品目1896-S-A1 ATHENS Desk A1に受注が入ったので、VMI-WHにある1896-S-A1 ATHENS Desk A1の数量を確認してから、Sales Orderを作成します。このSales Orderに設定する出荷元の場所は、VMI-WHではなく実倉庫のLocationコードにします。

VMI品目の数量を確認したので、販売に使用するため、サプライヤーから仕入をする必要があります。そのためのPurchase Orderも作成します。

Sales Order for VMI Item

VMI品目の受注

Purchase VMI Item from Vendor

VMI品目を仕入れする

売上計上日または出荷日で、VMI品目の数量は減少するため、Item Journalを使って1896-S-A1の数量を調整処理して減らします。

Negative adjustment for VMI Item on Item Journal

Item Journal でVMI品目を調整出庫

VMI品目の仕入と入荷、そして買掛金を計上するためにPurchase OrderをReceiveとInvoiceでPostします。

Post Receive and Invoice on Purchase Order for VMI Item.

VMI品目を実在庫とするためPurchase OrderをPostする

これでサプライヤーの在庫から当社側の在庫に変わりました。次に受注をPostし、在庫の払出と売上を計上します。

Post Sales Order for VMI Item

VMI品目の出荷(払出)と売上

品目の売上原価はPurchase Orderで仕入れた分のみ計上されていることがValue Entriesより確認できます。また、Item Ledger Entriesでは、Locationコード:VMI-WHの品目番号と在庫を確認し、それらのデータを仕入先へ送ることで次回のVMIの納品数量を調整することができます。

Value Entries for VMI item

VMI 品目のValue Entries

このような方法でBusiness Centralを利用した預託在庫(VMI)管理の方法はいかがでしょう。

 

 

Item Reference No.とItem Variant Codeを利用した価格リストの作成

Business Central には、Item Reference機能があって、Item(品目)に複数の品目番号のような特定の番号を持たせることができます。例えば、Item 番号:1896-S 「ATHENS Desk」という品目があります。こちらにItem Reference番号を複数持たせ、1896-S-BLK、1896-S-GRNのように異なる番号を割り当てられます。

Item No and Item Reference Nos

Item No. と Item Reference No.

またBCのItemにはVariant(バリアント)があり、1つの品目に対して複数のバリエーションの登録ができます。

Item と Item Variant の関係

Item と Item Variant

そして、Item VariantとItem Referenceを紐づけることができます。

Item VariantはItem Referenceに紐づく

Item Variant と Item Reference

ところで、Business Centralの価格リストは、Item No.ごとに価格を設定し、販売・購買のドキュメントで使用する単価(単位原価)を設定することができます。その価格リストにはItem Reference No.フィールドはありません。しかし、Variant Codeフィールドがあります。

Item Reference No.は、特定の得意先や仕入先に対して番号を割り当てるのに利用したりしますが価格リストには存在しません。そこで、Variantコードを登録し、Item Reference No. に紐づけられれば、価格リストで販売用、仕入用の単価を設定することができます。

Item Reference No.とVariant Codeと価格リストの関係図

イメージ:Item Reference No.とItem Variant Codeを利用した価格の絞込み

イメージ図では、Item Attribute CodeがItem Reference No. と関連しているので、価格リストのItem No. とVariant Codeの組合せで単位原価を自動で選択しています。この例ではPurchase Price List(仕入価格リスト)なので、Purchase Order(発注書)で、Item Reference No.を指定すると、単位原価を設定どおりに取得してくれます。

Purchase Price List通りに単位原価を取得して設定いるPurchase Order

Purchase Order (発注)

常に、Item Variant CodeとItem Reference No.を設定する必要がありますが、細かな価格リストの登録には便利な機能です。

 

 

Business CentralのCustom Report Layoutsページは削除予定なので、レポートをReport Layoutsへ移動する

Business CentralのCustom Report Layoutsページが削除予定です。代わりにReport Layoutsページを利用することを推奨しています。Custom Report Layoutsで管理しているレポートを、Report Layoutsページへ移動させる必要があります。

Custom report layouts feature は廃止される機能です

Custom report layouts feature は廃止される機能です

(Obsolete) Create and modify custom report layouts - Business Central | Microsoft Learn

Custom Report Layoutsページを開くと、Custom Report Layoutsページは将来削除されるメッセージが表示されます。

This page has been deprecated and will be removed in a later release.

About Custom Report Layouts

そのため、Custom Report Layoutsページで管理しているレポートは、Report Layoutsへ移動させる必要があります。そのためのツールはすでに準備され、Report > Migrate to System Layouts をクリックしてください。

Custom Report Layoutsページで、Report > Migrate to System Layoutsをクリックする

Migrate to System Layoutsボタンをクリックする

クリック後、Report Layoutsページへレポートが移動していることを確認できます。

Custom Report LayoutsからReport Layoutsへ308 TEST Reportが移動している

レポートがReport Layoutsへ移動

移動に失敗する場合、Custom Report Layoutsページから、当該レポートをExportし、Report Layoutsページへアップロードして登録します。

 

 

Business Central バージョン28でのExcelレポート利用注意事項

Business Central 2026 Release Wave 1 (バージョン28)より、古い形式のExcelレポートがBusiness Centralより削除されます。

Deprecated Features in the application - Business Central | Microsoft Learn

・Balance Sheet
・Income Statement
・Statement of Cash Flow
・Statement of Retained Earnings
・Sales Taxes Collected
・Customer Statements
・Aged Accounts Payable
・Aged Accounts Receivable

このExcep レポートは、Business ManagerとAccountantのロールセンターから出力できます。検索でも可能。特徴としては、マクロを利用したレポートとなっています。

Legacy Excel Report on Business Manager Role Center

Business Manager Role Center

Legacy Excel Report on Accountant Role Center

Accountant Role Center

Dynamics 365 Business Centralより標準機能として提供されていたExcel レポートを利用の場合、v28より利用できなくなるので要注意です。

 

 

Sales Order のLinesのLocation Codeを自動で設定する

Dynamics 365 Business CentralのSales OrderのLinesでLocation Codeを設定する必要があるときの小技です。

No inventory in Location Code ”EAST"

Location EASTに在庫が無い

このような場合、在庫のあるLocation Codeを探して、設定する必要があります。お客さんによっては、入荷まで時間あるから問題ない場合が多いですが、すぐ出荷手続きしてシステムにも登録して!と頼まれるようなときの小技?になるかも。

LinesのLine > Item Availability by > Location から、在庫数を確認します。

Item Availability by Location

Item Availability by Location

在庫数のあるLocation Codeを選択します。この場合、「MAIN」に15個あることがわかります。MAINの行を選択してOKをクリックします。

Location CodeをMAINに変更してよいか確認されるので、「はい」をクリックします。

Do you want to change Location Code from EAST to MAIN?

Location CodeをMainに変更してよいか確認される

Location CodeがMAINに変更されます。

Location Code in Lines has been changed to MAIN from EAST in Sales Order.

Sales OrderのLinesのLocation CodeがMAINに変更される

以上、Business Centralのちょっとした機能の紹介でした。

 

 

日本語でCopilotに指示して分析モードを使う

Dynamics 365 Business Central にはAnalysis モード(分析モード)という機能があります。名前の通り分析ようにデータをまとめたり、Excelのピボットのようなことができます。Copilot 機能があるので、自然言語で「○▲でまとめて」と言うふうな命令をするとCopilotが適当にまとめてくれます。

前バージョンまでは、日本語があまり通じなかったので使っていなかったのですが、2025年10月リリースの v27.0 で日本語が通じるか試してみました。

Sales Linesで試してみました。Sales Linesには、Sales OrderとSales Quoteの明細行のデータで、オープン状態となっています。

Sales Linesを表示し、Copilotに「場所ごとに販売数量と金額をまとめて」と指示しました。

Sales LinesでAnalysis Modeを使って分析する

すると、場所(倉庫)別で数量と金額に分けてくれました。前はそう簡単に行かなかったのですがすんなり行けました。

Sales Lines Analysis Mode 結果画面

「>」を開くと、内訳も確認できました。

Analysis Mode 詳細画面

「LocationのCodeではなく名前にして」と指示すると、Sales LinesのLocation Codeを参照して、別テーブルのLocationから名前を取得して表示してくれました。

Location CodeからLocation Nameに変更してサマリ

Locationは英語になってしまったり、と日本語で使うのは完全にうまくいくわけではないのですが、少しずつ日本語でも使えるようになってきていることがわかりました。

また、今回の例のような、指示をCopilotに与えて、自動で関連する別のテーブルから情報を取得するのは、バージョン27の新機能です。

learn.microsoft.com

 

 

Dynamics 365 Business Central で Power BI を利用して分析ができる

Dynamics 365 Business Central (BC) には、Power BIのレポートがたくさん用意されています。Power BI を利用するため、BCのライセンス以外に、Power BI のライセンスも必要になります。別途購入が必要となるか、それについて詳しくないですが、例えばM365 E5ライセンスがあればライセンスはすでに保持しているから問題ないとかあります。

この BC の Power BI レポートですが、2025年10月にリリースされるバージョン 27 以降、また少し新しくなる予定です。

Business Central のすべてのレポートを確認するには、All Reports(すべてのレポート)をクリックすると、一覧で確認できます。

全てのレポートをクリックすると全レポートリストが表示される

ここでレポート名に(Power BI)とついているのが Power BI レポートです。Dynamics 365 Business Central で Power BI のレポートを確認するには、Power BI にBusiness Central のPower BI appsをインストールする必要があります。これは、Power BI よりインストールします。

参考: Power BI に Business Central ダッシュボードを配置する - Training | Microsoft Learn

Business Central の Power BI apps は、AppSourceからインストールを行います。

AppSourceのBusiness Central のPower BI app一覧

Microsoft AppSource

これらのPower BI apps を利用すると、デフォルトで以下のようなレポートを確認できます(レポートはサンプルデータ)

Business Central Power BI Reports Samples

Business Central Power BI レポート(サンプル)

このレポートの .pbix ファイルはGitHubで公開されており、ダウンロードして Power BI Desktop で確認することができます。2025年9月14日時点では、v27用のPower BIファイルはPublic Previewとなっています。 

github.com

PBI26Apps

github.com

PBI27Apps

Business Central のデータを Power BI を利用して分析データの表示ができます。自社オリジナルの分析をする場合も Power BI で作成すればよいだけです。サンプルはpbixファイルを参考にしてすれば、変更や更新も外部業者に依頼することなく、社内ですぐに対応できます。