日本文学の代表作を読む|『源氏物語』の読みどころ~やまとごころに触れる旅
第5話 「限り」のなかを生きる 『源氏物語』のなかには、「前の世」とともに「限り」という言葉もよく出てきます。通常は「限りあれば」というふうに使われます。掟とか規則、規範といった意味です。たとえば「葵」の帖では、亡くな […]
第5話 「限り」のなかを生きる 『源氏物語』のなかには、「前の世」とともに「限り」という言葉もよく出てきます。通常は「限りあれば」というふうに使われます。掟とか規則、規範といった意味です。たとえば「葵」の帖では、亡くな […]
第10話 柿本人麻呂の意味 3世紀後半から4世紀にかけて奈良盆地を中心に成立した大和政権は、地方豪族との連携を通じて樹立された、日本で最初の中央集権的な統一政権とされています。それ以前は、父系または母系を通じて、出身を
第4話 「前の世」という世界観 『源氏物語』の最初の帖で、桐壺帝が他の女御更衣たちを差し置いて、桐壺更衣だけを寵愛するものだから、身分も後ろ盾もない彼女はいろんないやがらせをされ、心労が募って衰弱死してしまいます。自分の
第9話 死者を弔う歌 古代天皇の葬送儀礼に、「殯(もがり)」というしきたりがありました。これは死者の遺体を、かなり長い期間にわたって、喪屋と呼ばれる小屋に収めて葬送を行うことをいいます。7世紀に書かれた『隋書倭国伝』に
紫式部が仕えた彰子はときの最高権力者、藤原道長の娘です。つまり『源氏物語』が執筆された時代は摂関政治の最盛期にあたります。この時代の天皇にとって結婚を含めて女性との関係は公務であり、政局を安定させるための大切な政治的行
第8話 草摘みの歌 『万葉集』には、春菜摘みの歌が数多くおさめられています。ここでも白川静さんの説を参照させてみらいます。それによると、もともと草摘みは、天候の安定や豊作や村落の平穏無事などを祈願するために、共同体的秩
第5話 『井筒』を鑑賞した気分になってみる 見所(けんしょ)は開演前の心地よい緊張に包まれている。やがて揚幕の向こうから、遠い調べが聞こえてくる。それが止むと幕の片方が持ち上げられ、笛方を先頭に、小鼓、大鼓の奏者が現れ
第7話 「見る」と「褒める」 先ほどの人麻呂の歌に、「見らむ」「見ゆ」という動詞が出てきます。この「見る」には特別な意味があったようです。古代の日本には「国見」という農耕儀式がありました。天皇や地方の長が高いところに登
第2話 『源氏物語』は退屈か? 退屈です。退屈なところもあります。でも、正宗白鳥さんが「この作品こそ、日本の文学中では最大の世界的作品ではないかと考えてゐる」とおっしゃっているくらいですから、「退屈」と感じるのは表面的
第6話 「呪歌」ってなんだろう? 白川静さんによると、『古事記』や『万葉集』の古い歌、いわゆる古代歌謡の本質は呪歌でした。日本の場合、「古代」というのは、大雑把に言うと、大陸から漢字をはじめとする中国の文化が本格的に移
第1話 何をどう読んでもかまわない 明治から昭和にかけて活躍した小説家・評論家に正宗白鳥(1879–1962)という人がいます。現在はあまり読まれていないようですが、「入り江のほとり」とか「牛部屋の臭い」とか、いわゆる
第4話 世阿弥が夢幻能を完成させた 最初の演目である「翁」が終わり、「五番立」ではここから五種類の能を順番に上演していくわけですが、一つの演目が一時間から一時間半、長いものでは二時間くらいありますから、これらを一番目物
第5話 『万葉集』の恋の歌 『万葉集』の相聞は、のちに「恋」に収斂していくわけですが、古典和歌で詠われる「恋」は、ぼくたちが「恋愛」と呼んでいるものとはかなり違うようです。恋の語源は「乞う」だそうです。たんに思いを寄せ
第9話 いま『古事記』を読む意味。 『古事記』や『日本書紀』が相次いで編纂されたのは、日本で天皇を中心とする律令国家体制の確立がめざされた時期にあたります。それまでの日本は、中国に貢物を奉り、王として任命されるという、
第3話 能の原型をとどめる「翁」 能は室町初期(14世紀)に、観阿弥(1334~84)、世阿弥(1363~1443)の親子によって完成された舞台芸術です。それまで「猿楽(申楽)」と呼ばれていた民俗芸能が、当時流行してい
第4話 『万葉集』の中身を整理すると 以下に、全巻の内容をまとめておきます。 巻1 雑歌(額田王・人麻呂・天智・天武・持統の各天皇の歌など84首) 巻2 相聞・挽歌(大津皇子・大伯皇女・石川郎女・但馬皇女・人麻呂など1
第8話 面白いのはやっぱり神代記 というわけで、上巻(神代史)の内容を見てみましょう。最初に天地開闢(天地創成)。アマノミナカヌシ、タカミムスヒ、カミムスヒという三神が天上にあらわれ、つづいて天上に多くの神が生まれます
第2話 能の分類・五つのジャンル 能の曲はシテのキャラクター(種類)によって、つぎの五つのジャンルに分けられます。ちなみに( )のなかの演目は、父が使っていた『観世流謡曲百番集』の分類によりました。 ・神(シン)初番目
第3話 『万葉集』には、どんな歌が収められているの? 最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』(905年)は、四季・恋・雑(ぞう)という三つのテーマに沿って編集されています。これを「部立て(ぶだて)」といいます。以下、『後
第7話 『古事記』にはどんなことが書いてある? 『古事記』『日本書紀』の神話的物語は、いずれも人間を含まない神と天皇の世界です。普通の人間(民)はノーカウント。このあたりは神と英雄たちを主役としたギリシア神話などと似て
第1話 蝉丸の話から 小学6年生のころ、クラスでにわかに百人一首ブームが起こり、ぼくも親に遊戯用のかるたを買ってもらいました。もちろん歌の意味なんてわかりません。ただ読み札の平安調の絵を眺めたり、「春すぎて夏きにけらし