この国・地域との取引を具体的に検討していますか?
国ごとの規制・関税・物流事情は、年単位で変わります。 「この国からこの商品を運べるか」「費用はどのくらいか」—— 現時点の条件に基づいた個別回答が必要な場合は、お気軽にご相談ください。
「コンテナの空気を運ぶな」:梱包設計5cmの変更で年間物流費15%削減した実例
運賃交渉より先に見るべきもの
「海上運賃が高い。値下げ交渉してくれ」
多くの企業で、物流コスト対策はここから始まります。
しかし、実務者が最初に見るべきなのはフォワーダーの見積書ではありません。
コンテナの中身です。
コンテナ運賃は“本数単位”で発生します。
中が空いていても、満載でも同じ料金。
つまり、
隙間=お金を払って運んでいる空気
です。
問題は「あと5cm」だった
対象企業は電子部品メーカー。
年間100本の40ftコンテナを出荷。
分析の結果、問題は梱包箱の高さでした。
製品保護を優先した設計で、
箱の高さがパレット上で「あと5cm」高い。
その結果:
- 1パレット当たりの段積みが1段減る
- コンテナ積載パレット数が制限される
- 充填率が78%止まり
この“5cm”が年間数百万円を生んでいました。
積載率を可視化する
物流部門が最初にやったことは、
感覚を数字に変えることでした。
■ 現状把握
- コンテナ内寸
- パレット寸法
- 箱寸法
- 実積載数
これを3Dシミュレーションで可視化。
結果:
年間約15本分が「空気輸送」だったことが判明。
1本50万円と仮定すれば、
15本 × 50万円 = 750万円
利益そのものです。
なぜ空気を運ぶ構造になるのか
原因は部門分断。
製造
製品保護優先。梱包設計は製品完成後。
営業
顧客の発注単位固定。MOQ変更を嫌う。
物流
出来上がったものを運ぶだけ。
物流が“後工程”扱いになっている限り、
積載率は改善しません。
三位一体改革の進め方
この企業が行った改革は3段階。
1.物流が主導して「空気の値段」を提示
経営会議で提示した資料はシンプル。
- 現在の充填率
- 改善後の想定積載率
- 削減可能コンテナ本数
- 金額換算
感覚論ではなく、金額で話す。
ここが突破口です。
2.製造部門と逆算設計
考え方を変更。
製品 → 梱包 → パレット → コンテナ
ではなく
コンテナ内寸 → パレット → 箱寸法 → 製品緩衝設計
へ逆転。
緩衝材配置を変更し、
箱高さを5cm削減。
1パレット当たり入数20%増。
製品安全性は試験で確認。
3.営業部門と販売単位の調整
梱包設計変更に伴い、
入数が変わる。
営業が顧客へ説明。
- 物流単価低減
- CO2削減
- 倉庫効率向上
を材料に交渉。
販売単位を最適化。
ここまでやって初めて、
設計変更が意味を持ちます。
数字で見る改善効果
改善前:
- 年間100本出荷
- 充填率78%
改善後:
- 充填率92%
- 年間85本で同量出荷
差分15本削減。
削減対象は
- 海上運賃
- ドレー費
- 港湾費用
- 通関費
- 国内配送費
単なる運賃削減ではありません。
物流構造の改善です。
実務者がやるべきこと
今日できる行動は明確です。
- 主要SKUの箱寸法一覧化
- コンテナ充填率算出
- パレット上段数の確認
- 改善余地5cmの有無確認
改善余地が見つかったら、
- 金額換算
- 経営層へ提示
- 製造会議へ参加
物流担当は受け身であってはいけません。
「物流事務」から脱却する
貿易実務者は
- B/Lを切る人
- 通関書類を作る人
で終わる必要はありません。
設計段階から関与することで
- 利益創出部門
- 戦略部門
へ変わります。
運賃交渉は数%。
設計変更は二桁改善。
9. まとめ
コンテナの隙間はコストです。
5cmの設計変更が
15%の削減を生む。
物流最適化は
- 交渉ではなく
- 設計
です。
コンテナのドアを閉める前、
中の空気を疑う。
それが戦略的物流管理です。

この記事を登録この記事の内容について、個別の確認・相談が必要ですか?
「自社のケースではどうなるか」「この条件で進めて問題ないか」—— 記事の一般論だけでは判断できない実務上の疑問は、個別にお答えします。 初回相談は無料。メールで2営業日以内にご返信します。

目次
