
こんにちは。ネット予約システムの開発担当チームに所属しているたかいです。
私たちの開発チームは、現在完全リモートワーク体制で開発を行っています。通勤時間がなくなり、個人の集中時間を確保しやすいというメリットがある反面、チーム内のコミュニケーションにおいては「オフィス時代と同じようにはいかない」という課題に直面しました。
今回は、私たちがリモートワーク下で直面した課題と、それを解決するために「意図的に」設計したコミュニケーション施策について紹介します。
目次
リモートワークにおける「自然なコミュニケーション」の限界
オフィスに出社していた頃は、席が隣のメンバーと「最近どう?」と声を掛け合ったり、すれ違いざまに状況を把握したりといったことが自然にできていました。しかし、フルリモート環境ではこうした「偶然の、自然なコミュニケーション」はまず発生しません。
テキストチャット(Slack)中心のやり取りになると、どうしても「用件があるときだけ話しかける」ようになりがちです。その結果、相手の状況や人となりが見えづらくなり、心理的な距離やコミュニケーションの摩擦が生まれやすくなります。
チーム内からも「オフィスのように気軽に話せない」という声が上がったことをきっかけに、私たちは「自然に発生しないのであれば、仕組みとしてコミュニケーションの場を設計しよう」と考えを切り替えました。
私たちのチームが実践した施策
朝会や進捗確認など、一般的によく行われる取り組みに加え、私たちのチームでは「心理的・物理的なハードルを下げる」ための施策をいくつか実践しています。
1. バーチャルオフィスとGoogle Meetの臨機応変な使い分け
基本の勤務時間中はバーチャルオフィス上に常駐し、お互いが「今席にいるか」「話しかけて大丈夫そうか」を視覚的に確認できるようにしています。私たちは、それぞれのツールの特性(強み)に合わせて、以下のように臨機応変に使い分けています。
- バーチャルオフィス: 「ちょっといいですか?」という軽い声掛け、リアルタイムなステータス確認。また、「今、誰と誰が集まって話しているか」がマップ上で可視化されるため、気になる議論を見つけて自分から加わりに行ったり、オープンに情報をキャッチアップしたりする場としても機能しています。
- Google Meet: 画面共有を用いた込み入った設計相談、文字起こしや録画を残して後で再確認したり他のメンバーに録画やログをシェアしたいとき(バーチャルオフィスで話し始めても、必要だなと思ったらその場でカレンダー登録してMeet URLを発行して切り替え)。
2. 隔週30分の「プライベートメインの振り返り」
業務の進捗確認とは完全に切り離し、メンバーの「人となり」を少しだけ知るための時間を設けています。
こうした場を設けると「プライベートの開示を強要されている」と身構えてしまうかもしれませんが、決して重い私生活の話をする必要はありません。実際には「最近食べたコンビニスイーツが美味しかった」「休日にこんな映画を観た」といった、本当に些細な日常の共有でOKという共通認識にしています。
お互いに面と向かって話したことがない状態(人となりが全く見えない状態)の相手にテキストチャットで質問するよりも、ほんの少しでも「あのスイーツが好きな人だ」といった背景を知っているだけで、その後の業務連絡や相談における心理的ハードルはグッと下がります。
3. 毎日15時の「集合タイム」
リモートワークでは「気軽に聞いてね」と言われても、本当に些細な疑問(ドキュメントの場所、ちょっとした仕様の確認など)ほど、Slackでわざわざテキストに起こしてメンションを飛ばすのを躊躇してしまいがちです。 そこで私たちは、毎日15時に全員が一度集まる「集合タイム」を設けています。
固定の同期イベントを増やすことは、フルリモートならではの非同期・柔軟な働き方を一部制限するという側面もあります。しかし、チームには「自分から発信したり、テキストで言語化したりするのが少し苦手」というメンバーもいます。そうした細かな疑問が放置されて開発の手が止まってしまうリスクを防ぐため、チームの合意の上で、あえてこの「場」を固定化するアプローチを選択しました。
「15時になれば確実に聞けるタイミングがある」という安心感があることで、メンバー自身も「後でまとめてあの時間に質問しよう」と自律的に動きやすくなっています。
なお、会議の時間が長引いてメンバーの集中時間を奪わないよう、運用には以下のような工夫を徹底しています。
- 「お困りごとがなければ即解散」を原則とする: 明示的に全員に問いかけ、特に確認事項がなければ数分で終了します。
- 残るべき人を素早く判断する: 特定のメンバー間だけで深い議論が必要な場合は、「じゃあこの件は〇〇さんと〇〇さんで残って話しましょう」と判断を早めに行い、関係のないメンバーはすぐに自分の作業に戻れるようにしています。
4. 双方向に気づきがある、新メンバー向けの「なんでも会」
新しいメンバーがジョインした際、環境構築やプロダクトの基本情報はConfluenceに集約していますが、それだけではカバーできない「暗黙知」を解消するため、チーム歴の長いメンバーがホストとなる「なんでも会」を設けています。 この会は新メンバーの不安解消だけでなく、ホスト側の既存メンバーにとっても大きな気づきの場になっています。質問を受けることで「あ、ここのナレッジの準備が不足していたな」「実は自分もここの仕様を曖昧に理解していたな」と、チーム全体のドキュメントや知見をアップデートする強力なきっかけとなっています。
5. 雑談用Slackチャンネルの設置
これはリモートワークに移行する前から存在するのですが、通常業務で使用するチャンネルとは完全に切り離した雑談専用チャンネルも用意しています。技術的なニュースから日常のちょっとしたつぶやきまで、気兼ねなく発信・反応できる場所になっています。
オンラインとオフラインの適切なバランス設計
当初は「週次の出社日を設ける」「頻繁にオンライン飲み会を開催する」といったアイデアも出ました。しかし、メンバーによっては家庭の事情や居住地が遠方であるなど、一律での強制は負担になりかねません。 そこで、私たちのチームでは基本はフルリモートを維持しつつ、開発部全体のイベントや新メンバーの歓迎会など、「ここぞ」という非日常のタイミングに絞ってオフラインで集まるバランスに落ち着きました。
ちなみに、開発部全体で集まったイベントの様子は、こちらの公式note記事「開発イベントレポート|リモートワークにおけるコミュニケーション活性化施策~脱出ゲーム~」で公開しています。これは昨年(2025年)に開催された際のものですが、開発部では定期的にこういった社内オフラインイベントが企画・運営されています。
施策がもたらした成果
これらの施策を継続した結果、日々の業務に明らかな好影響が見られました。
日々の開発案件における臨機応変な連携 最も成果を実感しているのは、普段の案件を進める中でのコミュニケーションスピードです。テキストチャットでのやり取りで行き詰まりそうになったり、文章での説明が難しかったりした際、メンバーが変に遠慮することなく「一度、口頭で話しましょう」と即座にバーチャルオフィスで話しかけたりMeetへ切り替えるカルチャーが定着しました。 迅速な対応が求められる緊急トラブルの発生時であっても、スムーズに連携し、迅速に集まることができています。
外部パートナーからの客観的な評価 また、チームに参画している業務委託のメンバーから「今まで経験したリモート案件の中で、このチームが一番会話量が多く、コミュニケーションが取りやすい」というフィードバックをもらうことができました。身内だけの感覚ではなく、外部の視点からもチームのオープンさが証明された瞬間でした。
一見すると、これらの「定期的に集まる場」は非同期リモートワークの効率性を下げているように見えるかもしれません。しかし現実は逆で、こうした「確実に直接話せるタイミング」を意図的に組み込んだことで、非同期のテキストコミュニケーションにおける『レスポンスの待ち時間』や『テキストでの聞き方に悩む時間』が大幅に削減されたのです。
「15時になれば口頭でパッと確認できる」「バーチャルオフィスにいるからすぐ聞ける」という安心感が、日常のテキスト上の心理的摩擦を減らし、結果としてチームトータルのパフォーマンスを引き上げる結果につながりました。
おわりに
フルリモート環境におけるコミュニケーションは、「放っておけばうまくいく」ということはなく、チームの状況やメンバーのライフスタイルに合わせて、意図的に設計し、改善し続ける必要があると感じています。
今回ご紹介した施策によって、私たちの「チーム内」のコミュニケーション摩擦は大幅に減少し、開発案件をなめらかに進められる土台が整ってきました。しかし、他チームや他部署といった「チーム外」との連携においては、リモート環境ゆえの壁がまだ存在しているため、これからアプローチしていくべき新たな課題だと捉えています。
チーム内での取り組みを参考にしながら、チーム外ともよりオープンで滑らかな関係性をどう構築していくか、今後も模索を続けていきたいと思います。
