
1. はじめに:チームの「コミュニケーション」と「生産性」に悩んだ話
こんにちは!フロントエンド4名、バックエンド4名が所属するエンジニアグループでマネージャーをしている鈴木です。
私たちのグループは全員で1つのサービスを開発しているわけではなく、多種多様な事業のサービスを幅広く担当しています。メンバーそれぞれ異なる文脈、異なるタイムライン、異なるステークホルダーのプロジェクトを並行して進めているのが特徴の一つです。
さらに全員がフルリモート環境のため、どうしても「普段の業務で関わる人が固定化されがちで、チーム間の横串コミュニケーションや知見の共有、全体の目線合わせが難しい」という課題も抱えていました。
そんな中、「開発生産性」に関する勉強会を受講する機会があり、開発スピードや安定性(Output)を測る指標や、顧客への提供価値(Outcome)を重視するフレームワークは、チームを良くしていく上で強力な武器になると感じ、刺激を受けました。
ただ、その重要性を理解しつつも、担当サービスも事業フェーズもバラバラな私たちのチーム構造上、いきなり一律の数値指標を持ち込んだり、共通の成果(Outcome)を目指すというのは、手段が目的化してしまう懸念もあります。
また、外部で学んだ内容や資料をただ一方的に共有するだけではなかなか文化として定着しづらいかと思います。そこで、横串のコミュニケーションを活性化させながら、こうした思想の根底にある「リーンの考え方(無駄・認知負荷の排除)」や「アジャイルの基本ループのエッセンス」を、まずは日々の活動の中で体感してもらうことを最初のステップにしようと考えました。
メンバーがフランクに参加できる30分のミニワークショップをシリーズとして開催し、身近な文脈を通じて生産性の基礎を体得してもらうという、組織のカルチャー作りに手探りで取り組んだ事例をご紹介します。
2. 思想を日常に接続する:3つのミニワークショップ
全員に気軽に参加・交流してもらうため、あえて「一見業務に直接関係のない、親しみやすいお題」をテーマに選びました。
ワークショップ1:身の回りの「無駄」を省こう
- 内容:「実は無駄だと感じている些細な習慣」を書き出し、効率化や排除の方法を雑談。「Slackでの過剰に丁寧な挨拶文」など開発現場のリアルな悩みから、「夕飯の献立を考える時間」といったプライベートの無駄までフラットに洗い出しました。
- 結果:業務の課題を直接指摘し合うのは少しハードルが高いですが、身近な話題に置き換えたことで共感度が上がり、リラックスしながら「本質的ではない作業を減らして、価値ある時間に集中する(リーン)」という考え方に触れるきっかけになりました。
ワークショップ2:習慣化をハック!小さな実験で自己成長を加速する
- 内容:「今年こそ身につけたい習慣やスキル」を1つ挙げ、その達成を阻む「大きな壁」と、それを打破するための「小さな一歩(2〜3週間で試せる実験)」をセットで議論。
- 結果:完璧な長期計画ではなく、「まず小さく始めて試す」サイクルを、お互いの目標を応援しながらワイワイ楽しく練習できました。
ワークショップ3:これ試した?生成AIゆるシェア会
- 内容:生成AIを利用してうまくいったこと(成功例)や、うまくいかなかったこと(失敗例・悩み)を持ち寄り、自由に雑談。
- 結果:すごく立派な成果でなくても、こんなことを試したら全然うまくいかなかったという失敗談でも、各自の挑戦とたくさんの小さなナレッジをクイックにシェアすることで、チーム全体での最適化を狙う良い対話ができました。
3. 大人数・リモートの壁を解決するための「仕掛け」
こうしたワークショップを成立させるためには、チームの「コミュニケーションの構造」自体を工夫する必要がありました。 特にオンラインミーティングでは「特定の人だけが話し、他の人は沈黙する」という見えない分断が起きがちですよね・・
そこで、全員が主役となって対話を活性化させる土台として、「リーンコーヒー(Lean Coffee)」の手法を使ったオンライン雑談を先行して導入し、上記ワークショップの基本の進め方としました。
- メンバーシャッフル:毎回ランダムに3〜4名のグループを作成(話しやすい人数設定がポイント!)
- トピックの洗い出し:Miroを使い、話したいテーマを各自が無記名で自由に付箋を貼る
- ドット投票:関心のあるトピックに投票し、優先順位を可視化
- タイムボックス議論:まずは「5分間」の目安で雑談・議論を開始
この「段取りの仕組み」により、マネージャー以外のメンバーもファシリテートを経験しつつ、普段は業務で接点の少ないメンバー同士でもフラットに発言しやすい雰囲気作りの基礎を作りました。
4. おわりに
半年にわたってリーンコーヒーとワークショップを交互に繰り返した結果、日々の業務の中で「生産性」を向上するための心構えと、プロダクトや担当の壁を超えたコミュニケーションやナレッジシェアが生まれやすくなったと思います。
今回私たちが実践したのは、数値目標を追いかける前段階の簡単に始められる「小さな一歩」です。 一律のメトリクスを当てはめにくい組織だからこそ、外部の勉強会の学びをただ知識として共有するのではなく、「みんなで楽しく対話しながら、チームのカルチャーを作っていくこと」が、結果的に開発生産性を高めていくための何よりの近道になるのではないかと感じました。
今後もこうした日々の小さな対話と改善を積み重ねて、変化に強い健やかなチームをみんなで育てていきたいです。
