AI時代の今、Pythonを学ぶ必要はあるか

こんにちは、Pythonエンジニア育成推進協会 顧問理事の寺田です。私は試験の問題策定とコミュニティ連携を行う立場です。

2025年2月にAIエージェントについてのコラムを書きましたが、それから1年が経ち、また大きく時代に変化が訪れたように感じています。以前より、さらにAIによるコーディングが広まり、AIを利用してコーディングする人が非常に増え、AIを中心にコードを書くような世界になってきました。

そんな中、Pythonを学びつづけるか、そうでないかと聞かれることが出てきました。そこで今回はAI時代においてPythonを学ぶということの必要性についてお話したいと思います。

■AI活用の現実

私自身もAIにコーディングさせることが標準になりつつありますし、周囲でも半数以上の人がAIにコードを書かせるようになっていることもあいまって、AIにある一定レベルまでを任せるという世界観が広がっていると感じています。2025年2月に「AIエージェントを使いこなす側に行くには」というコラムを書きましたが、そこから大きく時代が変わってきたと実感しています。

そんな中、Pythonはもう学ばなくてもいいのかということが触れられることがありますが、実際問題、自分が知らない知識のものを作らせることはとても難しいのが実態です。

ある程度の出来のところまではAIが書いてくれるというのは認めざるを得ない事実ですが、本当にAIが出してきたものを見ないで実践投入できるかというと、2026年3月の時点ではまだそういったレベルには到達していません。

100%の品質にするために、残りの30%を埋めることについてはAIだけでは非常に難しく、また時間がかかります。そのため、細かく適切にAIに指示を出して100%に近づけていく必要があります。

自身が知らない分野や苦手な分野についてAIで対応しようと思っても、AIに適切な指示ができません。実際、AIが出した答えをそのまま鵜呑みにして実装させてみたことがありますが、実装してみると上手くいかず、そもそもの考え方からして全く違ったという経験をしたことがあります。

つまり、自分が知っている技術、または自分が得意としているものならば、AIに適切な指示が出せますし、AIから確認を求められた時にも、その内容が正しいかどうかを的確に判断して指示を出すことができます。そうして出た結果はそれなりにいい結果が生まれます。

そういう意味では、Pythonの基礎力や周辺システムの技術を知っておかなければ、最終的な形にまでもっていくのは非常に難しいと感じています。

プログラミングする際、やはり自分がどういう思想で、どう作ったらいいのかを頭に浮かべられるかで完成度も、仕上がるスピードも違います。そういう意味でも経験はとても大事です。

反面、AIがコードを書くスピードは人とは比べ物にならないほどに圧倒的に早いため、その面ではAIに、人は勝てないだろうとも思っています。ただ、適切なものを作るということに対しては、AIにはまだまだ難しい面がありますので、自身が技術を持っているかというのが重要になるのかなと思っています。

ではここで、2つのお話をしようと思います。

1つ目は何を学び、どう勉強するか、2つ目はAIとAIが出したコードをどう活用するかというものです。

■AIを上手く活用するために学ぶべきものと、学ぶ方法

私や周りのプログラマ、エンジニアたちはこれまでずっとたくさんのコードを書いてきましたし、また、人のコードを読むことで学習してきました。そうした手法で学習してきた立場からすると、自分で考えてコードを書けないということは、AIが出してきたものを鵜呑みにするしかないのではないかと思います。また同時に、実際に書く方法、コードの流れ、最終的に必要となるメンテナンス性といったようなことを理解するのも難しいだろうと思います。

例えば、小学校では書き取り学習というのがありますが、こういった方法はある一定のレベルに到達するまでは必要だろうと思いますし、私が初学者に教える際にはまずはAIを使わずにコードを書くように伝えています。

確かに、こうした学習方法はつらいです。「もうAIがこれだけのものを書いてくれるんだから、書かなくてもいいんじゃない…?」と思ってしまうのはわかります。わかりますが、やっぱり自分の手を動かしてとにかく書くということをしていかなければ、なかなか身につかないと思います。

技術や語学に限らず、何かを身に付けるということは思ったより難しいことです。

こんなに大変なら身に付けなくてもいいと思ってしまうかもしれませんが、やはり身についているか、いないかでは、AIを使ったコーディングへの影響が異なります。

AI自体は色々な知識を持っていますので、質問をすればそれなりに良い答えが返ってきますし、様々なアドバイスをくれます。ただ、ここでも質問力というのが必要です。適切な質問ができなければ適切な答えは返ってきません。まずは、基礎力を付けること、それとは別に学習にAIを使う方法もあるということを知っておいていただければと思います。

とはいえ、まったくもってすべてを自分でしなければならないかと言えば、そうでもありません。しっかり理解できるだけのプログラミング力を付けた後に、AIと新しい技術を学んだり、もっと効率の良い書き方をAIに聞いて教わることもできます。さらにそれを読み解いて自分自身のものにしていくことができれば、さらに学習を進めることができるだろうなと思います。

そうした中で、自分で学ぶべきものと、AIに手伝ってもらうもののバランスを整え、決めていくというようなことができるようになればいいだろうと思います。

■AIとAIが出したコードをどう活用するか

AIによって働き方が変わってくる可能性は大いにあります。例えば、ちょっと面倒な作業はAIにやってもらい、AIが出した答えを正しく評価して、判断するということをAIと共に確認をしていく、そんな世界観になっていくのではないかと感じています。

そういう意味では、ジュニアレベルのエンジニアの必要性を今後問われ、AIに置き換わるというような未来がもちろん可能性として出てきますので、怖い世界だなとも思います。ただ、それはそれとして、やはりAIと適切に向き合う力はつける必要があると思いますし、やはりプログラミングしてアプリケーションを作るという仕事はたくさんあります。また、自分を楽にする、もしくは自分のできることを増やすという場面ではプログラミングがとても便利に働きますので、やはり継続した学習はしていってほしいと思っています。

さて、AIを使ったコーディングの話にちょっと戻ってみます。

AIを使ったコーディングが得意な人と、そうでない人というのが、見えてきているように思います。上流工程や、システム設計、要求事項を上手く作れるような人たち、かつそれらを、仕様として適切な大きさのタスクとして分割できる人というのは、今の時点で上手にAIと向き合って、使いこなしてると感じています。

また、私は初心者にいつも環境構築を上手に簡単にできるようになることの重要性を伝えていますが、その環境構築が得意な人たちはAIを使いこなすための環境を作れますし、AIを怖がることなくいろいろな変更を施したり、思い切った改修をして新たなものにしたりといったことをしています。環境構築ができることというのも1つの要素になるのではないかと思います。

こうした状況を見ていると、基礎力や環境への理解を持っていることの重要性は変わらないのだろうと感じています。というのも、新しいやり方が出てきたとしても根本的な考え方は変わらないためで、そうだとすれば基礎の部分をしっかりできておくということは今後も大切なことと言えるでしょう。

■まとめ

AIによるコーディングが広まっていく中、最近は、新しい言葉としてバイブコーディング(Vibe Coding)やエージェンティックコーディング(Agentic Coding)という言葉が生まれました。こうしてAIをきっかけに出てくる技術をいろいろな人がいろいろなことをして実践しています

2025年から2026年にかけて、プログラマという仕事の役割が大きく変わってはきているように感じています。その変化をどう捉えて、どう柔軟に対応できるようになるか。それは今後の1、2年間で決まるのではないかと考えています。

そうした時に基礎力を持っていることは強みになると思います。AIと上手く付き合いながら、学習を進めてもらえればと思います。

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