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「世界のルールをみんなの手で」これが、オシンテックのビジョンです。

子どものころから、ずっと腑に落ちないことがありました。
なにかをグループで決めるとき、合理的な意見より、声の大きな人の意見が通ってしまうのはなぜだろうということでした。高校生になるころも変わらず、政治でも、国際関係でも、より権力の大きい者の意見が合理性と無関係に通ってしまう現象にしばしば出会いました。

大学時代にインターネットが登場し、きっとこれで社会は変わるんだと思いました。誰もが情報を持てる時代になれば、権力の非対称が崩れる。声の小さな人にも、力が宿る。そう信じていました。

しかし2000年代、オープンな情報の流れを既存の権力が押しとどめようとする出来事が相次ぎました。技術は変わっても、構造は変わりませんでした。


その間にも、地球の環境は悪化し続けていました。データは揃っています。科学者は警告しています。それでも集団的な意思決定は進まない。焦りと怒りと悲しみが積み重なっていきました。

それでも私は、情報がオープンになることへの確信を手放せませんでした。世界中で社会課題に向き合う人たちが、本物の情報を手にできれば、何かが変わる。その確信が、その後のオシンテックの出発点に繋がっていきました。

プラスチックが世界中の海を汚染し、気候変動が深刻さを増し、巨大企業の時価総額が国家予算を超える時代。国境を越える問題が増えるにつれ、国境を越えるルールの影響力も大きくなっています。

しかし、そのルールがどう作られているかを知る人は、とても少ない。各国政府・国連・NGOが毎日発信している公式情報——それが一次情報ですが、原文は、多言語のまま、膨大な量のまま、ほとんどの人の手に届いていません。

2018年に、機械翻訳が実用に耐えるレベルに技術進歩したそのタイミングで、
私はついに、その機能を使って多言語一次情報を可視化できると確信を持ちました。オシンテックを創業し、2年余りの開発の末、2020年にようやくRuleWatcherは船出しました。ヘブライ語、ベトナム語、アラビア語——これまで読めなかった情報が、手の届く場所に来ました。私たちは「多言語情報を取り扱える人類初の世代」。この幸運をプロダクトに活かしたのです。

いまや、市場の動きだけを見ていては、世界は読めません。法規制・社会規範・環境・技術の変化——これらの非市場領域を洞察し、世界のルールがどう動いているかを掴むこと。それをオシンテックはインテリジェンスと呼んでいます。公開情報からインテリジェンスを得る手法、それがOSINT(オープンソース・インテリジェンス)です。

では、情報が増えれば、人は賢くなるのでしょうか。

多くの人が、この問いに対してNOというのではないでしょうか。むしろ情報が溢れると、その認知の刺激に人は疲れて考えることをやめ、誰かのまとめ、誰かの答えを探し始めます。いま、AIが流暢に答えを出す時代に、その傾向はさらに加速しています。

オシンテックが一貫して大切にしてきたのは、「人の知性を奪わない」という設計思想です。答えを与えるのではなく、考えるための素材を届ける。一次情報に触れた人が、自分の頭で問いを立て、見立てを作り、他者と議論する——そのプロセスこそが、インテリジェンスであり、探究です。

RuleWatcherがユネスコIRCAIのグローバルトップ100に選ばれたのは、「人の考える力を奪わないソリューション」として評価されてのことでした。便利なAIがますます増える時代だからこそ、「答えを求める」のではなく、自分たちで答えを出すための補助として使うことが一層重要になっています。

量産される情報を前に、結局ひとびとが問うのは「あなた自身の見立ては何か」ということになるはずです。どこかの誰かが言っていた話の提示だけでは価値は乏しく、その引用をもとにどんな見立てを提示するのかが問われます。


オシンテックは、そうした人間のインテリジェンスと探究に着目し、情報ツールと教育サービスの両輪で、人と社会の知性を支えてきました。

ルールは、本来私たちの暮らしをよくするために設計されたものです。


しかし多くの人が感じているように、ルールはしばしば、声の大きな誰かのために機能します。環境も人権も、解決の難しい問題が山積しているにもかかわらず、集団的な意思決定は遅い。

それでもルールは、社会を変える力を持っています。より持続可能な活動に投資を向け、配慮のない技術に制限をかけ、課題を解決するイノベーションを促し、草の根の活動に資金を提供する——これらはすべてルールによって成り立ちます。

だからこそ、「声の大きい誰か」だけにルールづくりを任せてはいけません。遠くの国で議論され始めたルールを手に取れるようになれば、自分たちの判断の材料にできます。一人ひとりが世界の動きを知り、問いを立て、声を上げる。

その環境を作るために、オシンテックはRuleWatcherを日々進化させていきます。

世界のルールをみんなの手で。

Masato ODA

株式会社オシンテック

​代表取締役 小田 真人

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