はじめに
Corporate Engineering で社内システムの開発・運用を担当している瀧山です。
先日2025年11月14日に行われた、Salesforceが主催するハッカソンイベント「Agentforce Hackathon Tokyo」にTeam RevCommとして出場しました。今回は、そこで開発したソリューションの概要や技術構成、そして結果から得られた学びについて共有したいと思います。
本ブログ内で書かないこと
- Agentforceの設定に関する詳細な手順
- Apex等の具体的なコーディング内容
想定読者
- Salesforce Agentforce の活用に興味がある方
- 生成AIを用いたビジネスソリューション開発に関心がある方
- ハッカソンへの取り組みや振り返りに興味がある方
参加の背景
Salesforceは現在、CRMツールとしての側面だけでなく、AIエージェント機能である「Agentforce」を強力に推進しています。今回参加した「Agentforce Hackathon Tokyo」は、このAgentforceを使用して任意のビジネス課題を解決するソリューションを作成し、プレゼンを行うというものです。
日本のSalesforce界隈で初めて開催されるハッカソンイベントであり、最先端の技術に触れられる機会であること、そして何より入賞時の賞金(1位はなんと150万円)やSalesforceの一大イベントでの表彰という点に惹かれ、エンジニア2名(同じチーム所属の長谷部と参加)で挑戦することにしました。
開発したソリューションについて
チーム名・ソリューション名
- チーム名:Team RevComm
- ソリューション名:Book Concierge(AI書籍購入サービス)
解決したい課題
書籍購入において、読者(買い手)と書店(売り手)双方に以下の課題があると考えました。
- 読者の課題:レビューやランキングだけでは「今の自分」に最適な本がわからず、探すだけで疲れてしまう。
- 売り手の課題:個別の顧客に寄り添った対応をしたいが、オペレーションに時間がかかり、機会損失や労働体験の低下を招いている。
これらを解決するため、「従来の検索型の購入体験」から、「対話を通じてAIがレコメンドする購入体験」への変革を目指しました。
使用した技術
Salesforceプラットフォーム上の以下の技術要素を組み合わせて構築しました。
- Experience Cloud:ユーザーインターフェース(ECサイト)の構築
- Data Cloud:書籍データや顧客データの統合・管理
- Service Cloud:顧客対応・注文管理
- Agentforce / Agent API:自律型AIエージェントの動作基盤
- Prompt Builder:エージェントの回答精度の調整
- Custom Retriever:RAG(検索拡張生成)におけるデータ検索ロジック
処理概要
開発した『Book Concierge』の処理フローは以下の通りです。
- サイト訪問・対話開始:ユーザーがExperience Cloudで構築されたサイトへアクセスし、エージェントとチャットを開始。
- ニーズのヒアリングとレコメンド:ユーザーの曖昧な要望(例:「新卒IT社員に合う本」)に対し、AgentforceがData Cloud内の書籍情報を参照して最適な一冊を提案。
- 注文処理:チャット画面上でそのまま注文を実行。
- バックオフィス処理の自動化:注文受付後、エージェントが注文内容の要約を作成し、確認メールのドラフトを自動生成。オペレーターの工数を削減。
結果について
37チームのエントリーから予選を通過し、20チームによる本戦(プレゼン)に出場しましたが、残念ながら落選という結果になりました。
個人的な話ですが、結果発表の翌週はずっと体調を崩してしまい、悔しさと共に38度台の熱で寝込むことになりました...。
振り返りと学び
審査員の方々からのフィードバックはいただけなかったのですが、自分たち自身の反省を含め、敗因は大きく以下の3点にあったと考えています。
1. 課題設定の甘さ
これが最大の要因でした。初めての大会ということもあり、「わかりやすさ」を重視して一般的なECサイトの課題を設定しました。しかし、他の上位チームはより具体的かつ複雑なビジネス課題(特定の業界に特化した深い課題など)解決に取り組んでおり、課題設定の「深さ」や「温度感」で差をつけられました。
2. 準備不足
大会までの準備期間がタイトだったことに加え、業務の方でも重要な案件が重なってしまい、開発や資料作成に十分なリソースを割くことができませんでした。
3. チーム構成
今回はエンジニアのみの構成でしたが、プロダクトマネージャーやビジネスサイドのメンバー、あるいは他の技術領域のエンジニアなどを巻き込み、より多角的な視点でソリューションを磨き上げるべきでした。
今後について
今回のハッカソンでは悔しい結果に終わりましたが、Salesforceの最新AI技術であるAgentforceを実践的に扱えたことは大きな収穫でした。
本筋のハッカソンとは少し逸れますが、社内では現在、Salesforceに蓄積されたデータと、自社プロダクトである「MiiTel」の通話・会議履歴データを掛け合わせた業務効率化に取り組んでいます。
- 商談情報の自動サマリ作成
- 見積の自動作成
- インサイドセールス向けの業務効率化施策
今後は、今回の経験を活かし、社内のSalesforce活用においてもAgentforce等のAI機能を積極的に取り入れ、より高度な自動化やデータ活用を推進していきたいと考えています。また、次回の機会があれば、より強いチーム体制と練り上げられた課題設定でリベンジしたいです。