実際のオーダー例
40年3,000件を超えるオーダー実績
貴方のオーダーのヒントになさってください。
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毎年お作りするフルオーダー”黄色の長財布”
以前ご紹介した”黄色の長財布”
この方は7年の間
変わらずご注文くださるので、
すべてのお品を拝見したく、
なんとかお持ちくださるよう
お願いしました。
下のお写真が6つ全部です。
ありがとうございます!
同じオーダー品を
見比べられる機会なんて
滅多にありませんから、
じっくりご覧ください。
*6つ並んだ長財布の内側
じつはこの前にもうひとつ
最も古い長財布が
あったのですが、それだけは
ヌメタイプの黄色で、
「もしかすると
誰かにあげてしまったかも…」
とのこと。
ご覧いただいて
当然出るだろうご質問
”同じオーダー品”なのに
なぜ色が少しずつ違うの?
という問いに答えることで、
同じオーダー品を作る難しさを
ご理解いただけると思います。
さてこの6つですが、
外側は同じエルメス社の革。
同じ色の名前ですが、
微妙に色が違います。
これは、革も、布や糸と同じく
”ロットで色が変わる”から。
=同じ革の色は
同じロットで作られた革だけ、
という意味です。
ですから、もし製作途中で
革が足りないことになったら、
最悪のタイミングであれば
ロット違いの革しかなくて
新しいロットの革で
作り直し…という
恐ろしい結果に
なってしまうこともあります。
またデザイナーが
「革の色に、どうしてもこの色、
という厳しいご希望がある場合、
革はない、と思ってください。」
とお断りするのは、
ご希望にぴったりの色の革は
おそらくあり得ませんし、
例えその時気に入った
同じ名前の革であっても、
出来上がり時期で色が変わるから
という理由があるからです。
そして上のお写真は、コバ。
”コバ”とは”革のヘリ”のことで
広範囲の意味でのみがき仕上げを
施された革の縁を指します。
一枚目のお写真で
革の裏地(真ん中から右側へ
ちらっと覗く色違いの黄色)の
色も違うことに
気づかれたと思います。
この処理の仕方が違うことには
ふたつの理由があります。
まず第一に、
当店オリジナルレザーの
革の”裏地専用”以外の革を
裏地として使うことが
いかに難しいか、ということです。
表地用、裏地用と
革の作り方を変えているのが、
革製品の製作方法に合わせた
当店オリジナルレザーです。
だから苦も無く丈夫にできる。
でも
表用の革を裏地にするとなると
革質が問題になってきます。
しかもご依頼者は
裏地も黄色で作りたい、
とにかく薄くしてほしい、
というご要望です。
そうなると
外側と同じ革では
まず無理です。
またここ近年で変わりましたが、
黄色は革で見つけにくい色。
それでその時々
裏地にしてもよさそうな革を
選んできました。
この表の革と裏地の革の
革質が違う、ということが
ヘリ処理を難しくする
ふたつ目の要素です。
表の革と裏の革の製法が違うと
1ミリに満たない
両方の革の断面の性質が違うため、
それぞれに合った製法が違います。
ですから、その組み合わせに
一番合うと思われる方法で
いくつかの試作をしながら、
ベストチョイスをします。
余談ですが、
当店オリジナルレザーであれば
表革も裏革も、基本
同じ製法で作られていますから、
相性が良く
キレイに作る方法が決まります。
時間を開けて
同じ製品を作ることには、
こんな大変さがあります。
色だけでなく
革の状態には、
ロットとは関係のない
1枚1枚の”個体差”があります。
厳密に同じに作ろうと思うと、
毎回毎回、作り方を
少しずつ変えざるを得ません。
こんなご注文を頂くと、
”革は生もの”だと
あらためて認識します。













