RAGは、生成AIに最新かつ正確な情報を提供し、信頼性の高い回答を実現する技術です。この効果をさらに高めるには、次のような点を考慮する必要があります。
- 同じ意味でも表現が異なると検索できない場合がある
- 複雑な質問には複数回の検索が必要になる
- 検索精度を高めないと誤った情報を生成することがある
これらはRAGの欠点というよりも、活用を進める中で理解しておくべき特性といえます。
この背景を踏まえ、本記事では、RAGの課題を原因別に詳しく解説し、具体的な解決策を紹介します。
なお、RAGの特性上、解決が難しい課題の解消には、AIエージェントを組み合わせることが有効です。ネオスでも、RAGとAIエージェントを組み合わせた「OfficeAI社員」を提供しています。詳しくは、下記からご確認ください。
目次
おさらい:生成AIの課題を克服し高精度な回答を実現する技術『RAG』
生成AIは学習データに基づいて回答を生成するため、データに存在しない情報には対応できません。また、誤った内容を回答として出力してしまう「ハルシネーション」と呼ばれるリスクも抱えています。
こうした生成AIの課題に対処するために開発されたのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation)です。日本語では「検索拡張生成」と呼ばれるこの技術は、「検索」と「生成」を組み合わせることで、従来の生成AIの弱点を補い正確で信頼性の高い回答を可能にしました。
- 検索(Retrieval):ユーザーの質問に関連する情報を、外部のデータベースから探し出す
- 生成(Generation):検索によって得られた情報を基に、質問に対する自然な回答文を作成する

一方で、RAGを活用する際には注意が必要です。使用するデータベースやシステムの性能が十分でない場合、期待する成果を得ることが難しくなります。次章では、RAGの具体的な課題とその原因、さらに効果的な対策について詳しく解説します。
【原因別】RAGが抱える主な課題
RAGが抱える課題は、発生する原因によって大きく2つにわかれます。それぞれの課題について詳しく見ていきましょう。
- 検索・生成プロセスに起因する課題
- 設計・運用に起因する課題
検索・生成プロセスに起因する課題
RAGの検索・生成プロセスにおいて、次のような事象が発生することがあります。
- 同じ意味でも表現が異なると検索できない
- 関連性の低い情報を検索してしまう
- 図表や画像に書かれた情報を読み取れない
- 検索結果にない情報を追加してしまう(ハルシネーション)
- LLMが最新情報を無視して古い知識を優先する
同じ意味でも表現が異なると検索できない
RAGは、同じ意味でも表記にゆれがある場合、検索結果に差が出ることがあります。これは、RAGがユーザーの質問に含まれる言葉と似た言葉をデータベース内から探す仕組みのためです。
例えば、社員が「交通費精算のやり方を教えて」と質問したケースを考えてみます。
社内データベースには「交通費精算」「旅費交通費申請フロー」など、同じ業務を指す情報が登録されているとしましょう。この場合、表記の違いによっては、RAGが別の概念として認識し、適切な情報を取得できないケースがあります。
関連性の低い情報を検索してしまう
RAGは、質問とは関連性の低い情報をデータベースから検索してしまうケースがあります。特にキーワード検索ベースの場合、質問の文脈を理解できず、一部の単語だけで検索をおこなうため、このような事象が発生しやすくなります。
例えば「経費申請の承認フローを教えて」という質問をしたとします。
RAGが「承認」というキーワードに反応して「人事評価マニュアル」も検索してしまった結果「経費申請は、上司の承認を得てから人事部に提出する」という誤った回答を生成してしまいます。
図表や画像に書かれた情報を読み取れない
RAGツールがテキスト情報しか扱えない場合、画像や図表のような非テキストデータは検索できません。
例えば、社員が「製品Aと製品Bの価格を比較したい」と質問した際、社内の製品比較表が画像形式で保存されていると、画像非対応のRAGツールは価格情報を認識できません。
その結果「製品の価格に関する情報が見つかりませんでした」と回答してしまいます。
検索結果にない情報を追加してしまう(ハルシネーション)
ハルシネーションとは、検索結果に含まれていない情報を、LLMが事実であるかのように生成してしまう現象を指します。
RAGでは検索結果をもとに回答を生成しますが、LLMは自然で説得力のある文章を生成しようとする性質があるため、検索結果の情報が不足している場合や、質問に対して不完全な情報しか取得できなかった場合に、補足情報を自動的に生成してしまうのです。
例えば「製品Aの価格を教えて」という質問に対し、RAGが「製品Aの価格は50,000円」という情報を検索したとしましょう。
このとき、LLMが検索結果を補完しようとして「製品Aは50,000円です。高性能で多くの企業に導入されている人気製品です」と回答してしまうケースがあります。このうち、「高性能で多くの企業に導入されている人気製品です」という部分は検索結果に含まれておらず、LLMが文脈上もっともらしい内容を生成したものです。
このような情報が含まれると、顧客への誤案内や社内での誤った判断につながる可能性があります。
| 【合わせて読みたい】 ・生成AIのハルシネーションはなぜ発生する?原因と即実践できる対策を解説 |
LLMが最新情報を無視して古い知識を優先する
RAGが検索した最新情報をLLMに渡しても、LLMが事前学習で得た古い知識を優先してしまうケースがあります。特に、LLMへの指示が不十分な場合や検索結果に十分な説明が含まれていない場合に発生します。
例えば「出張時の上限額を教えて」という質問に対し、RAGが「出張時の食事代の上限金額は5,000円」という最新情報を取得したとしましょう。この場合でも、LLMが過去の知識をもとに「出張時の食事代の上限金額は3,000円です」という誤った回答を生成してしまいます。
検索・生成プロセスに起因する課題の多くは、RAGの検索精度や生成機能を向上させることで改善できます。
例えば、RAGツール「OfficeBot」は、独自の技術アプローチにより、RAGが直面しやすい以下の課題を解消可能です。
- 同じ意味でも表現が異なると検索できない
キーワード検索に加え、言葉の概念が近い情報を探す「ベクトル検索(Azure AI Searchによるハイブリッド検索)」を採用。表記ゆれや類義語も漏らさずヒットさせます。 - 関連性の低い情報を検索してしまう
ハイブリッド検索に「リランキング(再順位付け)」を組み合わせることで、検索結果の中からユーザーの質問に最も関連性の高い情報のみを厳選して抽出します。 - 図表や画像に書かれた情報を読み取れない
高精度なデータ取り込み(インジェクション)技術により、マニュアル内の図解や画像に含まれる情報も読み取ります。 - ハルシネーション(根拠のない回答)
検索結果に回答の根拠がない場合は、AIに無理に答えさせず「知らない」と回答させるプロンプト制御を徹底。あわせて回答の根拠となった「出典」を明示することで、情報の信頼性を担保します。 - LLMが最新情報を無視して古い知識を優先する
Azure AI Searchによるリアルタイム検索と出典表示を組み合わせることで、AIが持つ古い学習データではなく、常に最新の社内データに基づいた回答を優先させます。
このように、OfficeBotはRAG特有の弱点を技術力でカバーし、業務で実用できるレベルの回答精度を実現しています。詳細は下記サイトで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
設計・運用に起因する課題
RAGの設計・運用において、注意すべき点は次の通りです。
- 複雑な質問に1回の検索では対応できない
- データベースの更新・管理に手間がかかる
複雑な質問に1回の検索では対応できない
基本的なRAGは、1回の検索で得られた情報をもとに回答を生成する仕組みです。
そのため、複数のステップで調べなければならない質問や、背景情報がないと答えられない質問には対応できないことがあります。
例えば「過去3年間の売上推移と、その要因を教えて」という質問に答えるには、売上データと市場レポートを検索し、2つの情報を統合して要因を分析しなければなりません。しかし、基本的なRAGは1回だけ検索するため「売上は増加傾向です」といった不完全な回答を生成してしまうケースがあります。
また「承認が下りない時の対処法を教えて」という質問では、何の承認なのか、なぜ承認が下りないのかといった背景情報が不足しています。基本的なRAGは対話的な聞き返しができないため「承認が下りない時は、上司に確認してください」といった一般的なアドバイスしか返せません。
AIエージェント機能を持つRAGなら、この課題を解決できます。
質問を自動で分解し、データベースを何度も検索して情報を統合しながら回答を生成。また、背景情報が不足している際は「どの申請についてですか?」と問い返すなど、対話型で質問を補完できます。
| 【合わせて読みたい】 ・AIエージェントとは?業務を自動化し働き方を変える! |
データベースの更新・管理に手間がかかる
RAGの精度を維持するには、データベースを継続的に更新し、不足している情報を追加していかなければなりません。特に、規定や制度が頻繁に更新される企業では、データベースの品質管理が重要になります。
しかし、どの情報が不足しているかを特定し、適切な資料を探して追加する作業は、運用担当者にとって大きな負担です。
例えば、必要な情報がデータベースに登録されていないためにRAGが回答できなかった場合、運用担当者は次のような作業をおこなう必要があります。
- どの資料に必要な情報が記載されているかを調査する
- 該当する資料を見つけてデータベースに追加する
- 正しく検索できるかを確認する
この課題を解決するには、「回答できなかった質問を自動で記録し、不足している情報を特定できる」「資料をアップロードするだけで自動的にデータベースに追加され、すぐに検索可能になる」といった機能を持つツールを選ぶのがおすすめです。
RAGの課題を解決するなら「OfficeAI社員」

出典:OfficeAI社員
RAGが抱える課題を解決するには、複数のツールや技術を組み合わせなければならず、導入や運用のハードルが高くなります。
そこでおすすめしたいのが、RAGの課題を統合的に解決できるAIエージェント「OfficeAI社員」です。
特長1.マルチAIエージェントシステムで自律的に問題解決
従来のRAGは質問に対して情報を探して提示するだけでしたが、OfficeAI社員は5つの力で質問の背景を理解し、解決策を設計・提案できます。
| ヒアリング力 | 曖昧な質問に対しては深掘りを実施し、目標の解像度を上げる |
| 計画力 | 問題解決に必要な情報検索の方針と作業計画(タスク分解)を立案する |
| 検索力 | 質問タスクや検索クエリに応じて、複数の検索ツールと複数の検索アルゴリズムを使い分ける |
| 修正力 | 計画を実行した結果、ユーザーの要求を満たさないと判断した際は、再度計画を修正し実行する |
| エスカレーション | それでも解決しないものは人間にエスカレーションする適度な状況判断を実施する |
AIが自律的に深堀りすることで、1回の検索では回答できない複雑な質問にも対応可能。自己評価と修正を繰り返すことにより、LLMが検索結果を無視してしまうという課題も解決できます。
特長2.簡単運用で継続的に精度向上
OfficeAI社員は、運用担当者の負担を大幅に軽減する仕組みを備えています。導入時に既存の資料をアップロードするだけで運用を開始できるため、専門知識や準備は不要です。
また、過去のやり取りから学んだ内容を次回以降の回答に自動で活用するため、使えば使うほど回答の精度が自動で向上します。
導入は3ステップで、乗り換えも簡単に進められます。

特長3.業界トップクラスの検索性能
OfficeAI社員は、高性能なRAG「OfficeBot」の開発経験から生まれたツールです。このOfficeBotは、2025年5月の性能比較試験において、Microsoft 365 CopilotやNotebook LMと比較して、正確性・網羅性・信頼性(総合評価)のすべての指標で90%以上を記録しました。

※当社調べ
OfficeAI社員の検索性能には、下記の強みがあります。
- 質問内容や検索クエリに応じて、複数の検索アルゴリズムを自動で使い分け、高精度な情報探索を実現する
- IDP(高度文書処理)技術により、レイアウト認識や光学文字認識(OCR)、画像認識、テーブル構造認識を活用し、図表や画像形式のデータも正確に読み取る
- 画像・図・グラフなどの非言語情報も含め、資料内の情報を精読する読解力を備えている
このように「同じ意味でも言い方が違うと検索できない」「図表や画像に書かれた情報を読み取れない」といった、精度が低いRAGの課題を解決します。
これら3つの特長を備えたOfficeAI社員の性能を実際に体験してみたい方は、ぜひ無料トライアルでお試しください。
AIエージェントを活用し業務効率を劇的に向上させよう
RAGは、生成AIに最新かつ正確な情報を提供し、信頼性の高い回答を実現する技術です。しかし、ここまで解説してきたように、いくつかの課題が生じる可能性があります。
OfficeAI社員は、こうしたRAGの弱点を実務レベルで補うために設計されたツールです。
高い検索性能と自律的に問題解決するAIエージェント、そしてシンプルな運用フローにより、現場で使える精度と安定性を実現します。
- 業界トップクラスの検索性能(正確性・網羅性・信頼性すべて90%以上)
- 質問の背景を理解し自律的に問題解決するAIエージェント機能
- 資料をアップロードするだけの簡単運用
この仕組みにより、データベース内の情報を常に更新された状態に保ち、信頼性の高い回答を迅速に提供。社内の問い合わせ対応が効率化され、担当者の作業負担が軽減されるなど、業務全体の生産性向上にもつながります。
OfficeAI社員の具体的な機能は、下記からご確認ください。









