Founder`s Message#8 お客様のニーズに合ったカスタマイゼーションとは~その4~
筆者:廣瀬 朋由 株式会社お金のデザイン 取締役副会長 1982年に横浜国立大学経済学部を卒業後、三井信託銀行(現三井住友信託銀行)に入社。受託資産運用部の運用統括責任者を経て、1999年に世界最大の運用会社バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラック・ロック・ジャパン)にて、営業統括本部営業企画部長として、営業全般を統括。2009年ブラックロックと合併後、営業部門(ジャパン) COOに就任。2013年に株式会社お金のデザインを創業。
前回#7のブログで、わたしは、資産形成というものは老後自分が満足できる暮らをしたいということも含めた将来の自己実現のためにあるというお話をしました。
そして、将来自分がこうなりたいという漠然とした感情こそが資産形成の起点になるのではないかとわたしは考えているのですが、今回はそのことから話を始めたいと思います。
ここで参照すべきものとして、18世紀のスコットランドの哲学者、デヴィッド・ヒュームの「理性は情念の奴隷である」[1]という言葉があります。次のイラストは、そのイメージを示したものですが、これは、自己形成の起点となりうるのは、理性(LOGIC)ではなく、自分がこうなりたいというということ、すなわち自分の置かれた環境等によって自然発生的に生まれたある種の感情(EMOTION)こそが、自分の進む方向を決めているのではないかということです。

そもそも、理性というものはどのような働きを担っているのでしょうか。わたしたちは、将来の自分の姿と現在の自分の姿との距離を客観的に分析し、自分がどのような努力をすれば、将来そうなりたい自分の姿に近づけるのかということを考えます。そして、自分の能力(無形資産)の育成とそれを補うためのお金(有形資産)の育成という二つの視点から、その時々の状況に応じて両者に対して優先順位をつけながら、自分が取るべき具体的な行為を選択し、実行する。これが、理性の働きではないでしょうか。
それではなぜ、資産形成に自分が持つ感情、将来自分はこうなりたいという本能が理性よりも重要である、ということになるのでしょうか。
日々刻々と変化していく社会に対して、自分が得意とすること、自分のやりたいことは、簡単に変えられるものではありません。ということは、感情や本能は、自分の行動を制御するための長期の行動指針になりうるのではないかということです。
社会の変化から独立している自分を軸にして、能動的に社会の中から自分の得意とする分野、好きな分野を見つけ出して、その分野において自分の能力を伸ばして、社会の流れに乗っていければ、よりストレスの少ない方法で自己を成長させ、お金を成長させていくことができるのではないかと、わたしは思います。
「自分はこうなりたい」、或いは「自分はしあわせである」と感じられるようになるためには、どのようなことを心がければよいのでしょうか。
そこには近道がなく、自分のやりたいことを、時間をかけて徐々に明確にしていき、その上で社会のためにもなることを見つける。言い換えると、社会化(Socialize)した「自分」を意識できれば、社会と上手く折り合いをつけながら、自分のやりたいことが貫けるようになるのではないかと考えます。
すなわち、人は社会との関係性を遮断して生きるということはできないため、「わたし」を「認知」してほしいという欲求を満たすことと同時に、周りの人との間に「つながり」を持った「わたし」であることが感じられること、社会から孤立していない自分というものを実感することによって、わたしたちは「しあわせ」を感じることができるのではないでしょうか。
よく知られているアブラハム・マズローの欲求階層説に基づく消費者の「価値観・幸福」のピラミッドの図式において、人は、物質的欲求から精神的欲求へ、外的要因から内的要因へ、欠乏欲求から成長欲求へと、より高次の欲求を満たしていくに従って、一人ひとりの「しあわせ」感が充足されていくということが示されていますが、上にわたしが書いたことは、それに連関していると考えます
アブラハム・マズローが発表した欲求階層に基づく
消費者の「価値観・幸福」

つまり、「資産形成」に重要なことは、「金融リテラシー」ということより、自分がどうなりたいか、どのような「しあわせ」をつかみたいのかという、ある種「人生リテラシー」とも言えるような、大きな視点から考えたほうが資産形成に安定度が増すのではないかとわたしはそう感じています。
そのような視点に立って、自分を見つめ直してこそ、生活・人生における、「自己形成」に対するリスクの取り方は自ずと決まると考えます。そして、「人生形成」を実現するために「資産形成」を考えるということによって、「資産形成」のリスクの取り方についても、漠然とではありますが、一つの指針が持てるようになるのではないでしょうか。
「市場が20%下落したら、売却しますか、保有し続けますか、買増しますか」というような質問に対する回答によってリスク許容度を認識するというプロセスが一般的に行われているようですが、その時々の相場環境によって、回答は左右されがちです。回答時が相場の下落局面であれば、「売却」という消極的な回答になりがちで、相場の上昇局面での回答では、下落時の想定質問に対しては「買増す」という積極的な回答をする。そういった傾向が、当社の過去の質問回答にも明確に表れていました。このような回答を分析した結果、当社では、上記のような質問をして一人ひとりのお客様が持つ「リスク許容度」の特性であるとみなすようなやり方を廃止しました。
ここで、横道に少し逸れてしまいますが、当時の社内での分析の経緯について、もう少し掘り下げてお話をします。お客様が相場の下落時にどのような投資行動をするかという質問にたいして、これから資産形成を始めようとする方は、投資をするのだからリスクを取るのは当たり前だと頭で判断されることが多く、リスク許容度を高く設定されがちであり、そうすると選択されたポートフォリオは、株式比率の高い、高リスク型のポートフォリオを保有されることになります。ところが、運用開始後相場が弱含むと、高リスク型のポートフォリオであることが災いし、投資は思った以上に怖いものであると認識され、そのあと相場が戻った時に実現損がないうちに売却してしまうという事象が頻繁に発生していました。そのため、上記のように相場環境に影響を受けやすい質問をリスク許容度として判断することをやめた経緯がありました。
今年の7月には、リスク許容度について、お客様自身が判断して設定しなおすことができるように変更をしました。
当初のリスク許容度の質問のプロセスとの違いは、既存のお客様にお聞きするということを念頭に置いているという点です。運用開始時からの運用実感を重ねられた既存のお客様に、自分自身の目標とか、自身の成長を踏まえて、運用リスクを高くしたほうが良いのか、その逆なのかを改めて選択していただく機会を設けるということです。それが着実な資産形成、ひいては自己形成に結びつけられるのではないかと思ったからです。
話を元に戻しますと、相場に左右されない資産形成のために、相場を見ないことでおくことではなく、自分の特性に素直に耳を傾け、遠い先にある自分のあり方を見続けることの方が重要ではないかと、わたしは考えている次第です。
次回は、自分の特性をどう把握するのか、それをどのように資産形成に結びつけるのかということについて、現在当社が準備しているサービスと関連付けて、さらに詳しくお話しする予定です。
[1] “理性が行動を導くのではなく、情念が行動を導く”という、人間の行動を理解する上で、感情の重要性を強調しており、デイヴィッド・ヒューム(1711~1776)の情念論の中心的な考え方です。
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