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マガジン一覧

掌編小説集 樹を抱く

文芸同人誌『ignea』12号収録作です。ひとが樹になる、そんな世での物語を6編集めました。 ignea連絡先:ignea.tisso@gmail.com

掌編小説 すきま風

ぼくの両親があいついで樹になった。父が定年を迎えてすぐのことだ。まず母が、それから後を追うように父が樹になった。母はやさしげな白系に、父は重厚な黒系に。「おしどり夫婦」と評判のふたりだった。これからずっと一緒にいられるとしても、互いに好きなものを食べたり、あちこち旅行したりしたかっただろうに。妻が「そうねえ」と言った。 庭に並んだふたりは、十年ほどしてともに樹としての命を終えたようだった。ぼくには止められなかった。わずかに残る葉はどれも茶色い。細枝に手をかけると乾いた音を立

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掌編小説 まちに根づく

痛っ――やってしまった。 店でランチの仕込みをしているときに、スライサーで指先を切った。築後半世紀は経つ雑居ビルの一室に、小さなカフェをひとりで立ち上げたばかり。狭い厨房で、品数や内容をなんとかしようと、きりきりしているからこんなことになる。 鋭い刃は、右中指の爪の先から第一関節にかけての肉を、一気にそぎ落とした。サインペンでちょんと描いたようなほくろも一緒に。厚みはさほどでもないが表面積が広く、血管が集まっている場所だけあって派手に血が出る。薄切りきゅうりの山から赤い桜

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掌編小説 あなたは太陽

「あなたはわたしの太陽です」 そんなふうに言ってくれるひとと一緒になった。 マッチングアプリで知りあった相手だった。それぞれに重視する条件がぴたりとはまった。こちらは「辛い時でも明るいところを見られるひと」。向こうは「ほどよい距離感を保てるひと」。はじめて会ったとき、容姿も人柄も、若木のような伸びやかさのあるひとだと好ましく感じた。 何度か会ううちに、こう打ち明けられた。 「性的な関係はもてない。いわゆる『普通』の結婚ではないかもしれないが、将来的にあなたとの子どもは

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掌編小説 かれゆく

「おまえの、おしっこを飲ませてくれないか」 わたしは応えなかった。 思えば、あの日を起点に彼が枯れてきた気がする。ゆっくりと静かに。何十年もかけてわたしに何もかも与え尽くし、すっからかんになったあげく、わたしを残して枯れていく。 かつて、その顔はふっくらしていたし、目にも光があった。だがいまや頬骨が浮き出し、濁って焦点の合わない瞳はほとんどまぶたに覆われている。腕や脚の肉もそげて筋張り、簡単に折れそうだ。全身の皮膚はくすんだ茶褐色となり、深くひびわれ、表面がささくれてい

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ふかふか

よい創作はよい土から? 日々の雑記や小説以外の創作をいったんこちらへ格納しています。

繰り返すうちになじんでいる

何もかもが新しく映る特別な季節、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 窓の向こうには散りかけている桜が見え「今年もいいお花だったなあ」と静かに感動しております。四季をともに歩んでいるので、勝手に友人のように思っているところがあるかもしれません。 3月は1年の締めくくりと同時に、次への地固めともなる月でした。いつかかわいい「花」を咲かせられるとうれしいです。 1 いつものこと文芸同人誌関連 文芸以外にも行事や締切が重なり、かなり集中力を試されました。 「ignea」は次号発

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あしたちょっとだけ楽になるように

雨のにおいや風の温度に、春の気配がまじるようになりましたね。 みなさま、いかがお過ごしでしょうか。 2月は暦日が少なく例年慌ただしいのですが、先月から再開した早起きが効いているのか、今年はゆったりした気持ちで過ごせました。心がけていたのは「あしたの自分がちょっとだけ楽になるようにする」こと。すぐに作業に入れるようデスク周りを整えておいたり、締切までまだ間がある仕事に一部取り組んでみたり。大きなかたまりやカオスも、ちょっと手をつけていたら気持ちが楽なんですね。ひとつ進めたら次

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自分のネジを巻きなおす

2026年になり早くも1ヵ月、みなさまはいかがお過ごしでしたか。 すっかり遠いできごとのようになりましたが、初詣でひいたおみくじは小吉。「過去の仕合わせに酔わないこと」とあり、ドキッとしました。神様はよくご覧になっているのですね。ゆるんだネジを巻き直し、しっかりやっていきたいものです。 1 いつものこと文芸同人誌関連 今年は同人誌2誌を発行予定で、またあっという間に過ぎてしまいそうです。 ・「ignea」は月末の定例会で作品提出当番。次号掲載に向けて推敲を進めました。発行

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2025年は「わ(輪/環/和)」の年でした

本年もありがとうございましたあっという間に2025年も締めくくりの時期ですね。 みなさまはどんな年でしたか。わたしは「わ(輪/環/和)」でしょうか。たくさんの「輪」のなかで良いめぐり(環)を得られた和やかな年で、「わ!」と驚くような発見や喜びも多くありました。諸々の荒波に「わあ〜っ」と悲鳴を上げる場面もありましたが、年の瀬になってようやくひと息。文芸関連の活動を中心に一年を振り返ってみたいと思います。 2025年の記録うれしかったこと 4月はnote公式「今日の注目記事

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掌編小説集 空の向こうからやってきた

文芸同人誌『星座盤』19号収録作です。誌名にちなんで時空がらみの6編を集めました。 ☆星座盤☆ X https://x.com/seizaban_bungei BOOTH https://seizaban-bungei.booth.pm/

文学フリマ大阪のお礼とマガジン作成のお知らせ

9/14(日)開催の文学フリマ大阪では、ありがとうございました。 お会いしたかった方、はじめましての方、たくさんの方と交流させていただき、貴重な一日となりました。 わたし自身が文芸同人誌『星座盤』のブースで店番をしていたのはわずかな時間でしたが、「去年も買ったんですよ~!」とお声がけくださった方、前号との出会いをきっかけに新たに執筆の場を広げられた方、会場の見本誌コーナーで気に入ってくださりバックナンバーまでずらりとお買い上げくださった方など、対面だからこその触れあいがあり、

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掌編小説 輪が閉じるまでに

その輪を見たことはない。光だという者もいれば、シロツメクサで編まれているという者もいる。意識するとあらわれず、意識しなければ気づかずに消えてしまうこともあるという。何かはわからないけれど、みんな輪がすぐに閉じることは知っている。この入口が閉じてしまうまでに、くぐり抜けて向こう側に行かなければならないことも。 輪は、ある日突然わたしの前にあらわれた。コーヒーショップで書きものをしていたところだった。来月の家計のやりくりを考えていたのだ。視界がちらつくと思っていたら、天井がゆが

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掌編小説 月の子を捨てる

家に置いていた月の子を捨てることにした。 雨上がりの夜道で、秋蛍かと目をひかれ、引き寄せられるように持ち帰ったのが間違いだった。当時は石ころ同然だったのに、何を養分としているのか、どんどん大きくなる。はじめはめずらしがってクレーターなどの地形や、自転の様子を観察していたが、いまではバランスボール並みの大きさで、おまけにずっと胸の高さに浮かんでいるものだから狭い家では余計にじゃまだった。 それに、月の子が育つにつれて、わたしの不眠もひどくなっていた。明るさのせいかと思ったが

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掌編小説 ブロックの家

そのときは突然やってきた。妻の左頬にあるほくろに「ぼくのお星さま」と軽く口づけ、玄関を出たばかりだった。家が――黄色の直方体が――妻をなかに残したまま垂直にゆっくりと上昇する。とっさに引き留めようと飛びついたが、無常にも振り落とされた。ぼくを呼ぶ妻の声がどんどん小さくなっていく。やがて、おもちゃのブロックにしか見えなくなった家は西に向かって水平に移動し、雲の間に消えていった。   今や、世界の大半の人はブロックの家に暮らしていた。ときに「誰か」の気まぐれで積みかえられるようだ

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ぽろぽろ

掌編小説集(2000字程度まで)。こぼれおちた種のように小さな作品ばかりです。

掌編小説 指先の窓

爪が窓になった。縦に走った細かい筋が気になり、磨いたところだった。 「よし、これくらいでいいかな」 指の爪すべてにガラスのやすりをかけ終え、粉状のけずりかすをぬぐう。手の甲を上にして広げると、爪は窓辺の陽ざしを受けて濡れたように光った。 見とれているうち、右親指の爪の根元がちらついているのに気付いた。乳白色の半月が、爪の先へとゆっくり昇りながらそのまるい体を現していく。月が通りすぎたあとは青が深まって藍になった。控え目なラメを散らしたように星がまたたく。光は密になり疎に

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掌編小説 ひろいもの

歩いていると、何かを蹴った。つま先が痛んだ。げんこつほどの石だと思ったら、冷たく固くちぢこまった灰色の心臓だった。もってみると予想以上の重さだった。理科で使った分銅を思い出した。ひびが入っていた。蹴ったときに入ったのか。届けようと思った。 まわりの人に聞いてみても、心臓を落とした人はわからなかった。貼り紙をしても、ネットに書き込みをしても名乗りを上げる人はいなかった。知らない人から電話がかかってくることがあったが、いたずら、もしくは悪用をたくらんでいる人からだった。 心臓

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掌編小説 猫おばさん

猫おばさんと出会った。 猫のようだが、人間のおばさんだと思われた。わたしの母よりは若いくらいだろうか。 中学校の帰りに公園を通り抜けようとしたら、おばさんが裸でうろうろしていたのだった。恥ずかしそうには見えなかった。わたしがお風呂上りに部屋をうろうろしているのと変わりないように見えた。 おばさんは猫のように毛がふさふさと生えているわけではない。さわさわと頼りない産毛だけだ。公園の植え込みのところに、泥のついたオレンジ色の毛布がまるまっているのを見つけた。きっと、これにく

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掌編小説 海を持ち歩く

体の中に海を持ち歩いている。いつも波の音が聞こえている。 今日は凪いでいる。沖から運ばれた波は、静かに波打ち際に解き放たれる。一定のリズムが繰り返されている。深い緑色の冷たい水。太陽は雲の隙間から光を通すばかりだ。裸足で浜辺を歩くと、ひたひたに海水をたたえた砂がゆっくり沈んでわたしの体重を抱きしめる。足指の間がくすぐったい。点々と貝殻が落ちている。白、桜色、濃い紫。細いプリーツが刻まれたもの、突起のあるもの、ゆるやかに巻いたもの。拾いながら歩いていく。 時には、荒れている

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『夢幻』創刊号 収録作

noteで出会ったクリエイター様の文芸同人誌『夢幻』創刊号に参加させていただきました。「浪漫」をテーマとしたアンソロジーに小説5作を収録しています。

『夢幻』創刊号 参加のお知らせ

このたび、文芸同人誌『夢幻』創刊号に参加させていただきました。 「浪漫」をテーマにしたアンソロジーでは、小説、エッセイ、写真など、主にnoteで活動中の8人の作品を満喫していただけます。 光と闇が妖しく織りなされ、冊子そのものが作品! 表紙やカット、各章の構成にもこだわりを感じていただけるのではないでしょうか。 【公式アカウント】 【販売サイト】(A5判138ページ、本体400円+送料) 中心になって運営してくださっているのは、 螺鈿人形さま(小説、エッセイ、翻訳)と

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短編小説 穴の闇から

「あのこと」があったとき、わたしは四歳だった。四十年ほど前、幼稚園に入ったばかりだった。 母に連れられて、父方の祖母の病室にいたのを覚えている。病院はどこも白っぽく無機質で、ところどころ不自然に明るく彩られていた。虹の色の順に並べられた千羽鶴、風合いもとりどりの組みひもでできた犬や鳥。家ではかいだことのないにおいがした。薬や病院の建築材のせいだろう。病んでいる人、死んでいく人のにおいだったのかもしれない。 祖母は寝たきりだった。心臓手術を繰り返すうち、何かの合併症で昏睡状

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掌編小説 身代わり

「ねえ、一緒にこの家を出ましょう。もう、見ていられないわ」 ひとりきりのはずの部屋で、どこかから声がした。振り返ると、人形がこちらを見つめている。柔らかに弧を描く眉の下、ガラスの瞳はいまにも瞬きしそうだ。白磁のふっくらした頬を、豊かに波打つ栗色の髪がふちどっている。たっぷりとギャザーの入った淡い青色のドレスを着て、アンティークのチェストの上に腰かけている。 人形は、人形作家の夫が初めてつくったものだった。「初恋の相手のようなものだ」と言って、それだけは手もとに置いていた。

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掌編小説 チル散ル

父母の墓参りの帰りだった。ちりん、と鈴の音が聞こえた気がして目を上げた。 色づいた葉が、鳥のように舞っている。鳥が葉を真似るようになったのか。指揮者のタクトにしたがうように、風に乗って降りてくる。目を細めてよく眺めると、一葉一葉が鳥なのだった。 おおもとの木をたどると、枝が見えないくらい、びっしりと金色に覆われていた。風に耐えようとしているのか、今から飛び立とうとしているのか、全体がかすかにふるえている。またひとつ、木から離れた。 「チルチル?」 幼い頃に飼っていた小

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掌編小説集 ゆれあうからだ

「文學界」2024年12月号転載作です(文芸同人誌「ignea」11号より)。

「文學界」2024年12月号 転載のお知らせ

このようなご報告ができるなんて、ほんとうに夢のようです。 note外ではいくつかの文芸同人誌で活動しているのですが、その掲載作のひとつが「文學界」2024年12月号(2024/11/7発売)に転載していただけることになりました。 「三田文學」の新 同人雑誌評で優秀作として選ばれたものが半期ごとに掲載される仕組みのようです。 対象作は「ignea(イグネア)」11号の「掌編小説集 ゆれあうからだ」。note発の掌編から身体にまつわるものを集め、同人の批評を経て修正を加えた

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掌編小説 みつあめ

「秋のバラが咲き始めたから、夜の公園でピクニックをしようよ」 そう恋人と約束をした。 当日、急な残業をやっと終えて待ちあわせのバラ園に着くと、もう鈴虫が鳴いていて、暮れなずむ空の下、彼女がベンチに腰掛けているのが見えた。昔の女学生みたいに、三つ編みを両肩から長く垂らしている。片方の毛先はなぜか口の中だ。 だいぶ待たせたので、手持無沙汰だったのだろうと思ったが、そればかりでもないらしい。まぶたを閉じ、うっとりとした表情でいつまでも舌先を動かしているようだ。ぼくの到着にも気づ

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掌編小説 もの言う臓器

従兄のお見舞いで病院に行った。約束はしていたものの、本人はたまたま検査か入浴かでその場におらず、窓際のベッドは空いたままだった。病室で本を読んで待っていると、隣のベッドのカーテンがそっと開いて、おばあさんが微笑みかけてきた。襟足あたりでまとめられた白髪の髷も、菊模様の浴衣からのぞく手先も、ちんまりしている。「あれ、男女同室なのか。今どきめずらしい」 ふしぎに思いながら笑顔を返すと、おばあさんが口を開いた。 もの言わぬ臓器っていうでしょう。肝臓なんか。だけどね、わたしの内臓の

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掌編小説 寒天みたいな

幼なじみのユリエちゃんが、失恋をしてから寒天みたいになった。 ユリエちゃんは「黒髪のバービー」と呼ばれるほど端正な美貌で、社会人になってもずっとちやほやされていた。わたしが知るかぎり、彼女は容姿を武器に会話やスキンシップを巧みに駆使して、狙った相手を「百発百中」でしとめてきたはずだ。そのあとは飽きて乗り換えるか、同時並行でつきあうかしかなくて、相手から振られるなんて初めてだった。 ユリエちゃんは正体なく泣いているうち、とろりと溶け出して透きとおり、ついに輪郭までなくしてし

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とりどり

クリエイター様との響きあい(コラボ)はnoteならでは!花束のように多彩な世界へはこちらのご紹介記事からどうぞ。

伝吉_TellGladさまが『夢幻』創刊号と拙作「あなたに食べさせる肉がない…

伝吉_TellGladさまが『夢幻』創刊号と拙作「あなたに食べさせる肉がない」をご紹介くださいました。 その彫刻作品や制作秘話などから、真のクリエイターとして憧れていた方だけに感激もひとしおです。 伝吉さま、ありがとうございます! https://note.com/tellglad/n/n04a139983246

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yaya☆さまが拙作「身代わり」を声劇にしてくださいました。 完成された作品…

yaya☆さまが拙作「身代わり」を声劇にしてくださいました。 完成された作品世界に、小説の方が後付けだったような錯覚も…。聴き惚れてラストに鳥肌が立ちました。 yaya☆さま、ありがとうございます! https://note.com/yaya312/n/nef47c3c69637

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『夢幻』創刊号 参加のお知らせ

このたび、文芸同人誌『夢幻』創刊号に参加させていただきました。 「浪漫」をテーマにしたアンソロジーでは、小説、エッセイ、写真など、主にnoteで活動中の8人の作品を満喫していただけます。 光と闇が妖しく織りなされ、冊子そのものが作品! 表紙やカット、各章の構成にもこだわりを感じていただけるのではないでしょうか。 【公式アカウント】 【販売サイト】(A5判138ページ、本体400円+送料) 中心になって運営してくださっているのは、 螺鈿人形さま(小説、エッセイ、翻訳)と

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Hello-byeさまが、お孫さんの保育園入園準備にからめてミモザの投稿をご…

Hello-byeさまが、お孫さんの保育園入園準備にからめてミモザの投稿をご紹介くださいました。 花柄の布地に気持ちを託すのも素敵ですね! これこそ一生もの。 お祝いとお礼を込めて😌💕 https://note.com/jicchan0422/n/n9c5ccb19513e

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さやさや

短編小説集(2000字~12000字程度)。言の葉のふれあいから聞こえるささやかな物語をまとめています。

短編小説 磁石の恋人

「わたしたちって磁石みたいだよね」 調子に乗って言っていたこのセリフが、まさか現実になるとは。 せっかくの休日なのに、あいにくひどい台風だった。風がうなり、ゴミ袋や小枝が空を舞う。震える窓ガラスに、雨がたたきつける。外に出るにも出られなかったので、同居人の直人とベッドでだらだらと過ごしながらも、ニュースを見て状況を探ったり、「万一に備えて」と携帯電話の緊急連絡先に互いの番号を登録しあったりしていた。 窓の外がフラッシュを焚いたように激しく瞬き、直後に雷の音が鼓膜を殴った

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短編小説 シシラソ

「どこかに行こうか」 その言葉がはじまりだったと記憶している。 駅前の商店街にある、こぢんまりした居酒屋だった。まだ七時にもなっていないのに、いくつかあるテーブル席は、すでに地元のなじみ客や仕事帰りのサラリーマン、大学教授とその教え子らしき人びとで埋まっていた。壁には、仕入れ先なのか、鶯色に白抜きで名前の入った豆腐店ののぼりが飾られている。メニューには季節の魚や野菜、日本各地の酒の名が並んでいる。わたしは入口に一番近い、カウンター席のはじにひとり腰かけていた。 ふだん、

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短編小説 龍宮

乙姫は観賞魚や水草を売る「龍宮」の店主である。本当の名前は知らないが、心のなかで勝手にそう呼んでいる。年齢もよくわからない。姫と呼ぶにふさわしい若さにも思えるし、母親よりもずっと上のように感じることもある。わかるのは、とりまく空気がいつも露をふくんだようにしっとりとしていることぐらいである。 龍宮を知ったのは、ある夜のことだった。わたしの職場には、いつか誰かが山奥から採ってきたメダカがおり、えさをどうしてもその日じゅうに買う必要があった。「買いにいかなければ」と思ってはいた

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短編小説 糸を吐く

のどの奥がむずむずする。つい咳き込んだら、手のひらに何かがついた。目をやると、蜘蛛の糸のようなものが細く光っている。つまんで捨てようとすると、糸の端はまだわたしの中にあり、口からつるつると伸びて手にからみついた。 糸はきまって、恋人がそばにいないときに出た。 「今、どこにいるんだろう」 「何をしているのかなあ」 会社員のわたしよりも七つ年下の聡は、まだ学生である。自転車で十分ほどのところにある大学に通いながら、近くの小さな喫茶店でアルバイトをしている。 もともとは、彼

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小枝を折りながら

読書メモです。英語の勉強を兼ねて、対訳があるものを中心に楽しんでいます。

読書メモ『赤い魚の夫婦』グアダルーペ・ネッテル著

『赤い魚の夫婦』(原題:El matrimonio de los peces rojos) グアダルーペ・ネッテル 著/宇野和美 訳 現代書館 2021年 ※原著は西語。英題は Natural Historiesです。  「動物占い」をされたことはありますか。わたしは「猿」だそうで……お調子者のイメージになんとも言えない複雑な気持ちになったことがあります。 どうも人間は他の生き物の習性や類型に、自分が見たいもの/見たくないものを投影してしまうところがあるようですね。 本書

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読書メモ『スモモの木の啓示』ショクーフェ・アーザル著

『スモモの木の啓示』(英題:The Enlightenment of the Greengage Tree) ショクーフェ・アーザル著/堤 幸 訳 白水社 2022年 ※原著はペルシャ語。英訳からの邦訳だそうです。 亡命イラン人作家による長編。イスラーム革命に翻弄される一家の姿が、末娘である13歳の少女の視点から語られます。首都テヘランから、隔絶された北部の村へ。革命の火の手を逃れたつもりが逃れきれない。果たしてどうなることか……。そんな様子がマジックリアリズムの手法で描か

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読書メモ『掃除婦のための手引き書』ルシア・ベルリン 著

『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』(原題:A Manual for Cleaning Women: Selected Stories) ルシア・ベルリン 著/岸本佐知子 訳 講談社 2019年(文庫は2022年) 年の変わり目、「書くこと」への気持ちに火を入れ直したい人へ。 ルシア・ベルリンの著作が「古くて新しい」と多くの人を虜にしていることは、本好きの方ならすでにご存じかもしれません。 とにかく、すごい引力なのです。 1936年生の作者による自伝的な

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読書メモ『キルケ』マデリン・ミラー著

『キルケ』(原題:Circe) マデリン・ミラー著/野沢佳織 訳 作品社 2021年 ギリシャ神話の女神のひとり「キルケ」をとても近しく感じ、長編ながらのめりこんでしまいました。地理的にも時間的にも遠く、何より神という存在なのに。抱え込んだ孤独、心のこまやかさ、自分の足で前に進もうとする強さに魅了されます。 この本をアメリカ在住の友人にすすめられたとき、実はキルケのことをよく知りませんでした。 そのため、少し下調べをして ・太陽神ヘリオスとニュンペのペルセーとの間の子

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