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バス運転エピソード

バスを運転中に起きた出来事をまとめました。ほっこりする内容からちょっとジーンとくる内容までお気軽に読んでいってください。

6 本
¥300

美しい年輪

秋も深まり、木々の葉はオレンジや黄色に染まり、冬が間近に近づいてきていることを感じずにはいられない。いつも同じ場所を運転しているはずなのに、タッピーはまるで別の世界に来たかのように錯覚を覚える。はらはらと落ちてくる色とりどりの落ち葉を車体にかすめながら、バスは目的地を向かう。 団地が連なるバス停につくと、老夫婦が待っていた。おそらく 傘寿を迎えているであろう夫婦は、二人とも帽子をかぶっていた。杖を片手に持っていた奥さんが、先にゆっくりとした動作でバスに乗り込む。旦那さんが、

6
¥100

となりのお客さん

今日は休日。親子連れや、カップル、学生が遊びに出かけて、みんなが楽しい時間を過ごす日。そんな中、タッピーは今日も目的地まで、みんなの移動をお手伝い。 あるバス停で、お母さんと2~3歳の子どもが待っていた。お母さんは左手て子供を抱っこし、右手には折りたたまれたベビーカーを掴んでいる。つまり両手が塞がっているのだ。実際、車内は混んでいたので、ベビーカーが乗るスペースはなかった。ベビーカーに子供を乗せても、結局じっと座っているのが出来ないので、ベビーカーをあらかじめ畳んでからバス

11
¥100

一杯のオアシス

10月とはいえ、昼間はまるで夏のように暑い日が続く。 バスの車内は冷房をかけている。換気対策で窓も開けているので、車内はなかなか冷えない。そのため冷房も強めにかける。 暑い中運行を続けていると、おばあちゃんが乗車時に「はい。飲んで」と冷えた缶コーヒーを差し出してくれた。 お客さん(特におばあちゃん)が、運転士に飲み物やお菓子を渡してくれることは、実はそれほど珍しくない。 「いえいえ、結構です。頂けません。」 タッピーはいった。 しかし、おばあちゃんは

8
¥100

未来への懸け橋

2021年夏、日本で二回目のオリンピックが始まった頃、外は猛烈に蒸し暑かった。 夜になってもあまり気温は下がらない。 感染対策のため窓を開けているせいか、車内もあまり涼しくならない。 大通りに出るための交差点で、赤信号のため停車した。 運転席の窓から吹き込んでくる熱風に耐え切れない。 窓を閉めるため、ふと右を見ると美容院が目に入ってきた。 美容院の中にお客さんは誰もいない。代わりに女性が一人で店内にいるのが見える。 マネキンに向かって何やら作業している。 後日

9
¥100
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