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マガジン一覧

短編小説まとめ

自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました

【短編小説】架空闘病日記

すべてうそです。ほんとうじゃないよ。 架空の闘病日記の話。  最初に断っておきたいのはここから先に書くことは全て嘘ということだ。嘘の闘病日記だから誰も死んでいないし、ベッドの上で七転八倒した人間もいない。暇つぶしに書いた架空の日記ではあるが、もしも私以外にこの日記を読む人がいるならば、それを念頭に置いて読んでくれれば幸いだ。  月曜日。何の変哲もないごくごく普通の仕事始めに「それ」はやってきた。スキップでもするように軽やかに、そして街中で偶然友人を見つけたときのように親し

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【短編小説】お葉菜見日和

見方が変われば新しい楽しみ方が見えてくる。 「お葉菜見」にいく女の話。  そうだ、お花見しようと思い立ったのは日曜の朝のことだった。  空は一点の曇りもない青。小鳥は軽やかにさえずり、心地よい風が葉を揺らしている。あいにく香ばしいパンの香りもほのかに甘い炊き立ての米の香りもしないが、とにかく理想的な朝だった。  女は伸びをしてベッドから起き上がった。  お花見。なんてやわらかくて素敵な響きだろう。デスクの上に積み上がった書類の山だとか、パソコンのメールボックスに表示された青

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【短編小説】灰色の羊

いつも半歩浮いている。 ある女の孤独な人生の話。  私はいてもいなくてもいい人間でした。彼女の話はそんな言葉から始まりました。  背筋を伸ばして座る男の顔をじっと見つめる。シミ一つないワイシャツに紺色のジーパン、短く切られた髪、顎にはひげ一本たりとも見えない。  しかし同時に目立った特徴もない顔立ちだった。好感がもてる雰囲気なのに、この部屋から出たらすぐに景色と混ざって消えてしまいそうな、ありきたりな顔。  田村修。三十二歳。独身。T県出身で、兄弟はなし。ある企業のA県支社

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【短編小説】Midnight Meat Night

肉は至高。 肉が大好きな友人と一緒に肉を食べる話。  昔どこかで、生ハム原木がきっかけで結婚した話を聞いた。  気持ちはわかる。私だって家に生ハム原木があると誘われたら即座にその手をとるだろう。  豚の足一本丸々使って、長い時間をかけて旨みを凝縮させた肉の宝石。シンプルでいながら、肉の魅力を最大限引き出す、ヨーロッパが作り上げた食の芸術。そんな至高の品を前にして誘いに乗らないほうが失礼だというものだ。  ああ、あの上質ななめし革のような皮を愛でて、とろける脂肪と芳醇な香りを

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長めの小説まとめ

自作小説1万字~10万字程度の話のまとめです。世界線が同じものもあれば違うものもあります。

【小説】ガー子のヒナ祭り

今年のひな祭りは騒がしい。 家出したアヒルが十年ぶりにヒナ祭りをしにやってきた話。 2月の試験が終わったら再開するつもりと言っておきながら、その後もいろいろありまして結局再開が3月になってしまいました。しかも久しぶりの投稿がこんな変則的な日時です。すみません。 来週からはいつも通り日曜に投稿します。よろしくお願いします。  扉をあけたらアヒルがいた。扉を閉めてもう一度開ける。やはりいる。 「ちょっとひなちゃん! 僕みて扉しめるってどういうこと!? そこは久しぶりー! って

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【小説】第十一回ぽんこんがっせん

さあさあ、今年はどちらに勝利の女神は微笑むのか。 狸と狐の化け合戦の話。 すみません、最近多忙のため投稿するのが遅くなってしまいました。今後も投稿時間が遅れることがあるかもしれませんが、よろしくお願いします。  ぎらつく日差しがようやく鳴りをひそめ、夏毛から冬毛に変わる頃。黒白山も青い衣から色鮮やかな錦に衣替えをし、爽やかな秋風が紅葉を撫でていく。  桂の砂糖を煮詰めたような甘い匂いが鼻をくすぐり、木々は艶やかに輝く実を袖からちらり、ちらりと覗かせる。どこもかしこも華やかな

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【小説】むくろひろい 下

バイト帰りに自転車を走らせていた少年、朔が出会ったのはツクヨミと名のる月の神だった。ひょんなことから朔はツクヨミの月の欠片探しに付き合うことになるが――? 上記の話の続きです。これで終わります。  蝉のけたたましい声で目が覚めた。扉を開けるとむわっとした熱気が部屋になだれこんでくる。朝からこれでは今日も酷い暑さになりそうだ。  いつも通りの朝。強いて言えば今日は部活もバイトもないので一日中だらだらできるということくらいか。やはり夏休みは暑ささえなければ最高である。  そこ

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【小説】むくろひろい 上

散ったあなたの面影を探して。 月の破片を集める子どもに出会った少年の話。上下二本で終わる予定です。下は来週だします。  その晩は月が冴え冴えと光り輝く日だった。アスファルトにできた水たまりがその光を反射し、増幅させ、月はいよいよこの世のものとは思えないほど神秘的な輝きをまとっていた。  夕立が駆け抜けた後だというのに、虫の音はおろか蛙の声すら聞こえてこない。寝静まった田舎町に響くのは少年がこぐ古ぼけたママチャリだけだ。  まるで人間のいない世界に迷いこんでしまったようだった

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三人組シリーズ他まとめ

くだらなくて騒がしいが、仲良しな三人組の話のまとめ。または同じ世界線にある話のまとめ。ひとつひとつ独立しているので全部に目を通さなくても読めます。

【短編小説】夜明け探し

こじれて互いすら見えなくなった兄弟に夜明けは訪れるのか。 三人組シリーズに出てくる炎野白海が己の進路に関して初めて兄に打ち明ける話。 上記の話を話を読んだほうがわかりやすいかもしれません。登場人物の簡単な説明は下記にまとめてありますが、読まなくても読めます。 また次回はクリスマスの話のため。次の投稿は12/24夜にあげる予定です。よろしくお願いします。  乾いた風が緩んだ空気を切り裂いて、白海は顔を上げた。換気のためだろうか。廊下の窓が僅かにあいている。肌が粟立つような

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【短編小説】夏、最後の始まりを

以前書いた「夏、いつもと違う始まりを」から一年後の話です。 三人組の高校最後の夏の海の話。  窓から見える青空にはソフトクリームのような入道雲が立ち上っている。蝉の声が雨あられと窓ガラスを叩き、放課後の教室に大合唱を響かせていた。その教室の隅に三つの机がぴったりとくっついている。向かい合う形で座っているのは二人の男子生徒、お誕生日席に座っているのは明るい茶髪の女子生徒だ。  ノートをひっかいていたシャーペンがふいに止まる。男子生徒たちは広げていた参考書から目を上げて、ちらり

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【短編小説】潮風香る万華鏡

きらめく水面が映し出すのはどんな心か。 三人組シリーズに出てくる炎野白海が心見とわと一緒に水族館もどきに寄り道しつつ海に行く話。 上記の「夏、いつもと違う始まりを」と関連してますが、読まなくても読めます。  少女の明るい声が廊下まで響いている。聞き覚えのありすぎる声に白海は顔をしかめた。 「ああ、今年もやってきたね。夏の風物詩」  隣の親友、とわがくすりと笑った。 「風物詩なんてそんないいもんじゃないだろあれ。別にアイツら夏じゃなくても海いくし」 「でも夏は必ず行く

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【短編小説】真昼の残照

たとえ天高く照る真昼の太陽でなくとも。 三人組シリーズに出てくる剣道部コンビの片割れ森田迅介の夕暮れ時の独白。  赤みがかった西日が窓から差しこんでいる。心地よい温度は眠気を誘うのに十分だ。これが昼食後の日本史だったのならば、自分も舟をこいでいたかもしれない。 (いやないな)  即座に否定した自分自身に、迅介は苦笑をこぼした。  きっと眠るくらいなら資料集のコラムやら教科書の隅に載っている歴史上の人物のちょっとしたエピソードを読んでいるだろう。教師の話が冗長でも、内容自体は

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不完全なワンダーランド他まとめ

不完全なワンダーランドと同じ世界線の話をまとめたものです。妖怪など人外がでてくる現代ファンタジー、または和風ファンタジー。

【小説】回想、あるはなについて(9) 彼岸花

前作「回想、あるはなについて(8)梅」の続きです。これで完結となります。 「不完全なワンダーランド」にでてくる妖怪はなの過去話。 一女がいなくなった後も時は進む。はなは彼女が約束を果たしてくれるのを待ち続けていた。 第一話はこちら 今回の話は「不完全なワンダーランド」を読んでいたほうが分かりやすいですが、春香=夢魔と仲良くなった女の子、夢魔=すったもんだあった末に春香と交流をもち続けている悪夢をみせる悪魔ということだけおさえてくれれば大丈夫です。 あれから何年も、何十

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【小説】回想、あるはなについて(8) 梅

前作「回想、あるはなについて(7)散り桜」の続きです。次で最後となります。 「不完全なワンダーランド」にでてくる妖怪はなの過去話。 親友の一女が亡くなった後、茫然自失のはなは家に閉じこもりふさぎこんでいた。 第一話はこちら 家に帰ってから、はなは膝を抱きかかえ、火も焚かずに冷たい部屋の中でうずくまった。何日そうしていただろうか。日が昇っては沈み、それが幾度繰り返したのかも覚えていない。 はながやっと動く気になったのは、我慢ならないほど腹の虫が喚いたからである。空腹で腹

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【小説】回想、あるはなについて(7) 散り桜

前作「回想、あるはなについて(6) 菖蒲」の続きです。後二話で終わります。 「不完全なワンダーランド」にでてくる妖怪はなの過去話。 結婚式も無事終わり、またいつも通りの日常がやってくる。しかしその平穏は長くは続かず―― 第一話はこちら 「あーあ、せっかく咲いたのにね。残っていたらここでお花見しようと思っていたのに」 はなの足元には無惨にも根元からぽっきり折れた枝が転がっている。泥水にまみれ、人を惹きつける薄桃色の花びらには醜い土気色のまだら模様が浮き上がっていた。

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【小説】回想、あるはなについて(6) 菖蒲

前作「回想、あるはなについて(5) 桃」の続きです。 「不完全なワンダーランド」にでてくる妖怪はなの過去話。 結婚祝いの贈り物を無事見繕うことができたはなは一女の結婚式の当日渡しにいくことになる。 第一話はこちら 松枝紋様の布で包んだ書物を抱え、はなは山を駆けていた。 「はな様、落とさないようくれぐれもお気をつけてくださいね」 「わかっているわよ、そんなこと!」 烏に変化した影が頭の上で釘を刺した。それに叫び返しつつ走り抜けていく。 まだ日が昇っていない森の中をはな

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