父の残した小説「新出雲物語」をまとめています。須佐之男や稲田姫など、日本神話の古代出雲を題材にした新解釈の物語です。とても長い物語になっていますが、少しづつ書き写して公開していきます。最後までお付き合いいただければ幸いです。
この作品は、父が生前に書き残したものです。 原稿用紙のまま残されていたものを、書き写して公開しています。 原文には手を加えず、読みやすさだけ整えています。 興味を持ってくださった方は、是非最初からお読みいただければ幸いです。 翌朝、出雲の山間の地、横田の郷は秋の冷気に包まれていた。須世理姫は母と共に、祖母、手名椎の隣の部屋で眠り朝を迎えた。目を覚すと、足首の痛みもうすれていた。母の姿が見えない・・・急ぎ隣の部屋へ入ると、祖母、手名椎が、 「須世か、足の痛みはどうじゃ?」
この作品は、父が生前に書き残したものです。 原稿用紙のまま残されていたものを、書き写して公開しています。 原文には手を加えず、読みやすさだけ整えています。 興味を持ってくださった方は、是非最初からお読みいただければ幸いです。 館を出て畦道を通り色づき始めた三十枚ほどの稲田を過ぎると橅と楢《なら》の林が広がっていた。穴持は山野草採集のために野山を歩き回っていたから歩行は速く須世理姫は穴持に付いていくのが精一杯であった。〈も少しゆっくり歩いて〉の言葉が喉まで出かかったが誇があ
この作品は、父が生前に書き残したものです。 原稿用紙のまま残されていたものを、書き写して公開しています。 原文には手を加えず、読みやすさだけ整えています。 興味を持ってくださった方は、是非最初からお読みいただければ幸いです。 穴持は一人住いの我が家へ帰って須世理姫との不思議な出会いを想い出していた。父母は穴持が幼き日、神門の入江から漁に出て時化に遭い帰らぬ人となり、祖父母に育てられた。その祖父母も三年前に天国に旅立ち天涯孤独の身の上であった。 穴持は幼き頃から聡明であ
この作品は、父が生前に書き残したものです。 原稿用紙のまま残されていたものを、書き写して公開しています。 原文には手を加えず、読みやすさだけ整えています。 興味を持ってくださった方は、是非最初からお読みいただければ幸いです。 冷夏が過ぎ去り出雲国に穏やかな日々が戻った三年目の初秋、須佐之男命は大歳、下春を伴い筑紫の出雲支庁の交替要員と共に二隻の筏舟で中海を発った・・・それは筑紫の動勢を確かめるためでもあった。 その年の夏頃から出雲では麻疹が流行し始めていた・・・麻疹は