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お気に入りの詩

自分の作品で個人的に気に入ってるもの

悲しさだけ

 桜が散っていく  ひらひら  ゆらるら    風に飛ばされ舞い上がる       春の薄い青空が  花びらでいっぱいになる    歓声が上がるほどの光景が    少しだけ  ほんの少しだけ  悲しく感じるのはなんだろうか        ああ、そうか    神聖な美しさと  艶やかな儚さが  空の向こうに飛んでいき  残されたのは

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雲のように

 人の気持ちは  まるで形を変えて漂う雲のようで    太陽の下では真っ白で  はっきりとした影を落とし    嵐の日には跡形もなく  吹き飛ばされてしまう      風に抗うことはできない    自然の摂理に逆らえないのは当たり前    どこかで諦めた自分がいる    もしかしたらこの気持ちも  風の作用を受けただけの心かもしれない    私の本当の気持ちではない      そんな気持ちも  時が経てば  あっという間に流される    風に吹かれて雲が飛んで

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春の雨

 春の霞に鷹が鳴く  若い緑の山が立つ  花時雨を浴びたなら  新たな予感に心は震え  薄い景色は美しく  全てが墨に変わったように  光と影の濃淡が  雨に滲んで伸びていく    この世が切り取る魂を  涙に溺れて足掻いても  どうにもできぬ無力さを  悔いて心に誓い言    遠く月日が流れても  春の霞に鷹が鳴き  若い緑の山が立ち  花時雨を浴びたなら  己の心に従って  涙に溺れて滲まぬように  光と影を引き連れて  君にこの手を差し伸べる

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色のない僕

 少しずつ色づく季節の中で  僕だけがモノクロ  ずっと前から色はなく  僕の世界は切り離されて存在している      鮮やかな花にそっと触れても  その色が移ることはなく  僕の手は温度を持たない色のまま      寂しくはない    色づく世界を目で見て感じることができるから      全ての中で僕だけが違っていても  周りを見れば  僕は確かにこの中にいるのだと  気付かせてくれる      僕は一人だけモノクロだ  でも僕は目が眩むほどの  鮮やか

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鬼神の住む山 第五話 完

麓の村の入り口に着くと村は静かに静まり返っているようだった。 三郎が村に入ろうとすると村を囲む塀から何人か男が現れた。 三郎は男たちに睨みつけられている。 三郎が恐る恐る「どうかしたのですか?」と聞くと男の一人が「お前さん、今この山から降りて来たよな?」と乾いたような緊張した声で聞いてきた。 三郎は「ええ。」とだけ答えると男たちは何やらコソコソと話始めた。 「どう思う?」 「姿はどう見ても人間だけどな…。」 「馬鹿!化けてる可能性もあるだろう!」 ああでもないこうでもな

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鬼神の住む山 第四話

村を通り抜けてしばらくすると二つ目の山に着いた。 山の中は妙に暗くて怪しい雰囲気が漂っている。 山の中を歩いていると音がしないことに気がついた。 鳥の鳴き声も風の音も聞こえない。 三郎は気味が悪いと思い、足早にこの山を抜けようとしていた。 すると木の影から誰かがこちらを覗いているのが見えた。 目を凝らしてよく見てみると、その人物の背中には大きな黒い翼が生えていて口は嘴になっていた。 「天狗か…?」 三郎は思わず後退りする。 天狗は三郎の前に出てくると意外にも話かけてきた。

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鬼神の住む山 第三話

山道を下っている時だった。 三郎は一羽の鳥に話しかけられた。 「そこのあんた、あんたは人の姿のまま山を下りるんだな。」 悲しそうな声に三郎が鳥の方を振り返って事情を聞いてみると鳥は興奮したように話し出す。 「最初は俺もたとえこの山から出れなくても何度も生まれ変わりながら生きていくのも良いと思ったんだ。いろいろな生き物になって、いろいろなことを知って、自分がいかに狭い世界で生きていたのかを思い知った。それは俺にはすごく新鮮で楽しいことだったんだ。でも何十年、何百年経っても

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鬼神の住む山 第二話

老人は霧の中でも迷うこともなく、杖をついているのに足早に歩いて行った。 男は狸か狐に化かされているのではないかと思いながらも、この霧の中一人で道を引き返すこともできないので必死にその背中を追った。 すると老人は一本の大きな木の前で立ち止まり、男の方を振り向いてこう言った。 「ほれ、この木はお前さんの父だ。」 老人に並んで男が木の前に立つと辺りに声がこだました。 「おぉ、三郎…!久しいな。こんなに立派になって……」 「この声は父上か…?」 三郎が耳を凝らすと確かに父の

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