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ラミとまめは、元・野犬の子です。

「野良犬と一緒でしょ」──そんな軽い気持ちで、私はラミを迎えました。
けれど、“初めての散歩”という日を境に、私たち家族の思い込みはガラリと崩れたのです。


ワクチン接種を終え、いよいよ待ちに待った散歩デビューの日。
快晴の空、ドキドキの私。準備は万端。

ところがラミは、玄関から一歩も動けませんでした。

私たちが外から名前を呼んでも、顔だけこちらに向けてじっと静止。身体は固まり、動かないのです。

初代ボーダーコリーのボウは、玄関を開けた瞬間、うれしそうに外へ飛び出していく子でした。
だから私たちは、「犬は散歩が好きなもの」と、いつの間にか思い込んでいたんです。

でも、ラミは違いました。

私は抱きかかえて、腕の中で家の前の道を歩きました。
そのときラミのしっぽはきつく巻き込まれ、身体は小刻みに震えていたのです。

次の日も、同じでした。
地面に下ろすと、即座にUターンして玄関に向かって全力ダッシュ。

まめもまた、足が震えて動けず、地面にはくっきりと足跡が残っていました。
私たちは、結局「抱っこでのお散歩」から始めるしかありませんでした。


それでも、あきらめずに毎日、ほんの少しずつ「外」に慣れる練習をしました。

まずは玄関前で空気に触れるだけ。
匂いもかがず、音がすればビクッと跳ねて後ずさる。
それはまるで、「外は生きるか死ぬかの場所だ」と思っているかのような反応でした。

そのとき、私は初めて思ったのです。

「この子には、“野犬のDNA”が残っているのかもしれない」

野犬は、音に敏感でなければ生きていけなかった。
慎重であることは、命を守るための本能だった。

そんな本能をもったラミの姿が、私たち家族に教えてくれたのは、

「慎重さは、弱さじゃない。生き抜くための力」

ということでした。

今では、静かな時間帯を選んで、家族みんなで散歩するのが日課です。
無理をさせず、少しずつ積み重ねてきた日々が、今につながっています。

このシリーズでは、元・野犬だったラミとまめとの暮らしの中で、
私たちが気づいたこと、学んだことを全10話にわたってお届けします。

今後の連載予定▼

第2話:いつもの道しか歩けない
第3話:お散歩の途中で帰りたがる
第4話:群れの中には静かなルールがある
第5話:1人じゃ歩けないけど、仲間がいれば進める

もし、あなたが「犬を迎えたい」と思ったとき、
「元・野犬」という選択肢も、少しだけ思い出してもらえたら──。

このシリーズが、誰かの心にそっと届いてくれたら嬉しいです。

そして、元・野犬の子たちを迎えるための準備や心構えについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらのガイドブックもどうぞ▼

小さな声で、そっと伝えたいこと

初めて「外」に出たラミが、動けなかった日。
それはただの“失敗エピソード”なんかじゃなくて、
慎重であることの美しさを教えてくれる一歩だったんだと思う。

私たちって、「ちゃんと歩けた」とか「すぐ慣れた」ことばかりを、“成長”って呼びたくなっちゃう。
けれど 本当は、「動けなかった日」こそが、信頼の芽が埋められた、かけがえのないスタートだったのかもしれない。

そんなラミとまめの物語が、いつか誰かの“スタートの勇気”になりますように。

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いっしょに、お話ししませんか?

第2話「第2話:いつもの道しか歩けない」はこちらをどうぞ。


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