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マガジン一覧

みんなの「#文活」

読者のみなさんが書いてくれた「#文活」記事をまとめていきます!ハッシュタグの使い方は自由です。小説の感想、最近読んでおもしろかった本、書いてみた小説作品など、なんでも気軽に書いてくださいね。書いてくれた記事はすべて、文活運営が読みに行きます!

言葉が咲く【感想文の日㊶】

こんばんは。折星かおりです。 第41回感想文の日、今夜感想を書かせてくださったのは雪柳 あうこさんです。 短編小説や詩を中心に、noteの内外で言葉を紡いでいらっしゃる雪柳さん。現在は「ノベルメディア文活」「詩誌OUTSIDER」にも参加されています。筆名にもされている『雪柳』などお花の写真に詩を添えた作品も多く、色とりどりの作品をたっぷりと楽しませていただきました。改めて、ご応募くださりありがとうございます! 今回は短編小説の中から3作品をピックアップさせていただきま

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小説「原罪」

※この記事は投げ銭制です。全文読めます。  ああん、おっきい、おっきい。  ネットに放られていた動画の行為をノートパソコンに映し出し、千夏は見つめていた。千夏とおなじ四十くらいの女の、わざとらしい嬌声が流れてくる。ソファの上で女は全裸になっていて、ズボンと下着だけを脱いだ若い男に跨られ、喘いでいる。  おっきい、もっと。また女が喘いだ時、部屋のドアが開かれた。 「音、でかくないか」  スライドドアの取っ手を握ったまま、直幸は音をよけるようにして顔を傾けていた。 「これぐらい

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¥150

小説「あなたがここにいてほしい」

 これ、乗ってみてもいいすか?  それがはじめて、あなたがわたしにかけてきた言葉でした。  わたしはその時、車いすから背もたれを倒した椅子に移り、うとうととまどろんでいました。職場の昼休み、軽い昼食をすませると、そうしてからだを休めるのが常でした。別に車いすのまま机に突っ伏してもいいのですが、一日のどこかで、五歳の頃から二十年以上乗り続けているタイヤと肘掛け付きの乗り物から解放されたい時間が欲しかったのです。  瞼を開けると、あなたは空の車いすのそばに膝をつき、興味深げに眺め

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小説「ひかりとコアラといちまいごはん」

「あれ、乗ってきていい?」  ほぼひと月ぶりに会ったひかりは公園に着くと、小声でどこか遠慮がちにささやいた。私は一瞬言葉につまった後、いいよ、とうなずく。ひかりは軽く手を添えていた私のアルミ製の松葉杖から離れた。細い両脚を重そうに運び、向かったのは、パンダの乗り物だった。まるっこく、垂れ目の頭の上に取っ手がついていて、乗るとおなかの下から伸びているばねが前後に動く乗り物。  ひかりはこのパンダの乗り物が以前からのお気に入りだ。隣にはおなじつくりのコアラやくまの乗り物もあるのだ

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群像劇企画:猫が消えた日

同人誌『文と生活』(https://bunkatsu.base.shop/items/54931672)に収録されている、「猫が消えた日」の小説を集めたマガジンです。「猫の銅像がとつぜん消えた」事件を題材に、おなじ街、おなじ日に起きた6つの物語を、それぞれの作家が寄せます。

駅前猫と三時|左頬にほくろ

   0時は夜で、6時は朝。それなら、3時は夜と朝のどちらに属する時間なのだろうか。深夜にしてはすこし深すぎて、早朝にしてはすこし早すぎる。3時は夜ですか? 朝ですか? 誰かにそう訊ねてみても、きっと年齢や職種によって人々の答えは異なるはずだ。 「・・・という訳で、今回の撤去作業は11日に決定、となりました。イトウちゃん、すまんけど当日は3時に会社前集合で。あー、3時っていうのは11日になった数時間後の方ね? 15時じゃなくて午前の3時。AM、エーエムね?」  11月の月

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都会の男|みくりや佐代子

 「なんで?」とその人は鼻で笑った。公共施設とオフィスビルが雑多に混ざっているのを窓から見て、私が「この街好きですよ」と言ったから。 「とびヶ丘のどこがいいの?俺、この街大っ嫌い」  初対面だった。このへんで働いていると言った。何度かやりとりして優しそうな印象だったから、会ってみることにした。 「マッチングアプリよくするんですか?」 「うん、よくするよ」 「私したことないんです。今回が初めて」 「あー。きみ、北の方の出身って言ってたもんね。こっちだと普通だよ」 なるほ

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猫とドロケイ | なみきかずし

★11月11日 きょうのミッション★  ねこがいなくなったことをつたえる   六限目。どうとくの授業がもうすぐ終わるころ。  ハルカくんは、自分のノートのはじのところに、今日も「ミッション」を落書きをしました。  ハルカくんのノートのはしは「とくべつコーナー」。今日のミッションをじゅんばんに書いていく場所なのです。  ★11月10日 きょうのミッション★  おにいちゃんが読み終わったマンガをかすやくそくをする  ★11月9日 きょうのミッション★  きのうみたドラマ

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シュレーディンガーとポッキーの消失による哲学的省察|雪柳 あうこ

 11月11日、11時11分。   あたしのシュレーディンガーがいなくなっているのを、観測した。   朝8時15分頃だと、中央改札の鳶色のロータリーには等間隔で同じ制服の女子達が並んでいる。皆、友達が来るのを待っているのだ。そこから数分、坂を上ったところにある中高一貫の私立の女子校。その数分を、わざわざ一緒に登校するために。   あたしは、皆が電線の雀みたいに見える、その時間帯が大嫌いだった。   だからあたしは、とびヶ丘駅に到着するのは早くても9時半以降の電車だと決め

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シェアハウス・comma

文活の作家陣が物語をつないでいく、リレー小説企画「シェアハウスcomma」シリーズがまとまったマガジンです。

シェアハウス・comma /御原 由宇 編

 くらしの、おとがする。  18:00、起床。ベッドから上体だけを起こし、ベッドサイドに置きっぱなしだった水とプロテインバーを口にする。  この部屋の遮光カーテンは優秀だから、時計以外に時を示すものはない。夏場はもっと遅く起きて、太陽を避ける。冬場は逆に今より早起きしたりもする。もっと北の地域に引っ越せばいいのにといつか言われたけれど、まぁそれはそのうちと言いながら、もう10年は経っただろうか。  この部屋からほとんど出なくても、このシェアハウスの中の動きは、手に取るように

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シェアハウス・comma /河野 絵梨花 編

「河野さんは、頼りになるよ」 上司にそう言われて、そこにどの程度の本心がこめられているのか勘繰ってしまった。定時過ぎたばかりのオフィスを出ると、金曜のせいか街はどこか浮き足立っている。 秋の季節にまとわりつく雨の気配が嫌いだ。一年前の雨の日、ちいさな嘘をついたあの日からずっと。 「絵梨花!」 トンと肩をたたく手は、同級生だった。「久しぶりだね。今、帰り?」 「うん。何してるの?」 「みんなでお茶してた」 みんなで、の一言が心をかすかに曇らせる。大学の四年間、お互

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シェアハウス・comma 賀島 実紀編

この作品は文芸誌・文活のリレー小説シリーズ『シェアハウス・comma』の第5話です。シリーズを通して読みたい方はこちらのマガジンをご覧ください。 ひたすらプログラミングをしていると、きっと音楽を奏でるひともこんな気分なんだろうなと感じる。キーボードにばらばらに並んでいる、"W"だとか"H"だとか"control"だとかの記号を、コードのバランスをくずさないように、ていねいに打ち込んでいく。考えるでもなく、考えないでもなく、何百回もつくってきた朝食をまた今朝もつくるかのように

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シェアハウス・comma「三善 哲宏 編」

耳にべたついて残るのは、ゆうべ電話越しに聞いた母からの声だ。 『ね、哲ちゃん。少しでいいの。ほんの少しでいいから。でないと今月、お米も買えないのよ』 何も感じてないフリをしながら、俺はATMのボタンを操作して、実家の母の口座に四万円の送金をした。米を買えない、というのは嘘ではないのだろう。このあいだは『もう電気が止められちゃう』という言い草だった。 でも俺は、自分が送金したなけなしの金が、ときには高いワインや見栄のための小さなアクセサリーに化けていることを知っている。俺

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