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マガジン一覧

観客

観客について、観客論、観客の視点、学生インターン記事

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その4

三浦さんへ 人には人の固有振動数があると思います。歩く、食べる、考える、などの生きる上での基本的な活動からしてやりやすいBPMがあります、ものの書き方にも。 誰かと生きる上では、なんとなくそれが同期しなくちゃいけませんよね。みんなで移動するのに一人独走っていうのは、日本だけじゃなくてきっと、どこでもあんまり歓迎はされないでしょう。だからなんの仕掛けもなく自己主張すると、理解されなかったり煙たがられたりしてしまう。チューニングが要りますね、速すぎも遅すぎもダメだし、拍子の取り

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『巨匠とマルガリータ』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その5

三浦さんへ 本番を拝見しました。 どこから手をつけたらいいのやらわからずに、数日経ちようやく感想を書くことができそうです。とはいえまとまりはありません。それになんとか体よく仕上げたとしても、あまり実りはないでしょう。読みにくいところは私の不足ですが、ご容赦ください。 まずはっきりしているのは、あの小説の壁が「正しかった」ということです。壁ではなく暖簾でしょうか。わかりませんがとにかく、細かな文字がプリントされた紙が繋ぎ合わされてできた平面は、開演前から異様でした。やがて文字

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その3

快君へ こちらは稽古も佳境に入りましたが、常にあなたからもらった返信を意識しながら、冷静に『三文オペラ』に進めています。 世界を、ポエットとして読む(歌詞として読む)VS起承転結として読む(展開として読む)が融合するのかというのが、私の中での闘いです。 なるほど、なるほど、テンポね。〈『三文オペラ』を貫く独特の気品は、そのリズミカルな展開にあります〉とは、その通りだ、と思いました。当たり前のようで偉大な気づきです。正直に告白すると私は、ブレヒト戯曲を読むのに、苦手意識を持

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『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その2

三浦さんへお返事お待ちしておりましたところ、寝耳に水でした。それも『三文オペラ』ですか。読んでいなかったので、ちょうどよい機会でした。なかなか手が出なかったというのは詰まるところ偶然なのでしょうが、それでも、ブレヒトという革命児がなにやら好き放題している実験場というイメージが手をすくませていたのは否めません。要はめんどくさそうでした。 ......タイトルが『三文オペラ』であるからして、身構える必要はありませんでしたね。原作と、今度の公演用にアレンジしたヴァージョンを読みま

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批評・論考

批評家、研究者、思想家、哲学者などからの批評・論考・分析など

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その4

三浦さんへ 人には人の固有振動数があると思います。歩く、食べる、考える、などの生きる上での基本的な活動からしてやりやすいBPMがあります、ものの書き方にも。 誰かと生きる上では、なんとなくそれが同期しなくちゃいけませんよね。みんなで移動するのに一人独走っていうのは、日本だけじゃなくてきっと、どこでもあんまり歓迎はされないでしょう。だからなんの仕掛けもなく自己主張すると、理解されなかったり煙たがられたりしてしまう。チューニングが要りますね、速すぎも遅すぎもダメだし、拍子の取り

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『巨匠とマルガリータ』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その5

三浦さんへ 本番を拝見しました。 どこから手をつけたらいいのやらわからずに、数日経ちようやく感想を書くことができそうです。とはいえまとまりはありません。それになんとか体よく仕上げたとしても、あまり実りはないでしょう。読みにくいところは私の不足ですが、ご容赦ください。 まずはっきりしているのは、あの小説の壁が「正しかった」ということです。壁ではなく暖簾でしょうか。わかりませんがとにかく、細かな文字がプリントされた紙が繋ぎ合わされてできた平面は、開演前から異様でした。やがて文字

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その3

快君へ こちらは稽古も佳境に入りましたが、常にあなたからもらった返信を意識しながら、冷静に『三文オペラ』に進めています。 世界を、ポエットとして読む(歌詞として読む)VS起承転結として読む(展開として読む)が融合するのかというのが、私の中での闘いです。 なるほど、なるほど、テンポね。〈『三文オペラ』を貫く独特の気品は、そのリズミカルな展開にあります〉とは、その通りだ、と思いました。当たり前のようで偉大な気づきです。正直に告白すると私は、ブレヒト戯曲を読むのに、苦手意識を持

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『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その2

三浦さんへお返事お待ちしておりましたところ、寝耳に水でした。それも『三文オペラ』ですか。読んでいなかったので、ちょうどよい機会でした。なかなか手が出なかったというのは詰まるところ偶然なのでしょうが、それでも、ブレヒトという革命児がなにやら好き放題している実験場というイメージが手をすくませていたのは否めません。要はめんどくさそうでした。 ......タイトルが『三文オペラ』であるからして、身構える必要はありませんでしたね。原作と、今度の公演用にアレンジしたヴァージョンを読みま

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言葉

ことば、言語、発話、発声などについて

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その4

三浦さんへ 人には人の固有振動数があると思います。歩く、食べる、考える、などの生きる上での基本的な活動からしてやりやすいBPMがあります、ものの書き方にも。 誰かと生きる上では、なんとなくそれが同期しなくちゃいけませんよね。みんなで移動するのに一人独走っていうのは、日本だけじゃなくてきっと、どこでもあんまり歓迎はされないでしょう。だからなんの仕掛けもなく自己主張すると、理解されなかったり煙たがられたりしてしまう。チューニングが要りますね、速すぎも遅すぎもダメだし、拍子の取り

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『巨匠とマルガリータ』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その5

三浦さんへ 本番を拝見しました。 どこから手をつけたらいいのやらわからずに、数日経ちようやく感想を書くことができそうです。とはいえまとまりはありません。それになんとか体よく仕上げたとしても、あまり実りはないでしょう。読みにくいところは私の不足ですが、ご容赦ください。 まずはっきりしているのは、あの小説の壁が「正しかった」ということです。壁ではなく暖簾でしょうか。わかりませんがとにかく、細かな文字がプリントされた紙が繋ぎ合わされてできた平面は、開演前から異様でした。やがて文字

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その3

快君へ こちらは稽古も佳境に入りましたが、常にあなたからもらった返信を意識しながら、冷静に『三文オペラ』に進めています。 世界を、ポエットとして読む(歌詞として読む)VS起承転結として読む(展開として読む)が融合するのかというのが、私の中での闘いです。 なるほど、なるほど、テンポね。〈『三文オペラ』を貫く独特の気品は、そのリズミカルな展開にあります〉とは、その通りだ、と思いました。当たり前のようで偉大な気づきです。正直に告白すると私は、ブレヒト戯曲を読むのに、苦手意識を持

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『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その2

三浦さんへお返事お待ちしておりましたところ、寝耳に水でした。それも『三文オペラ』ですか。読んでいなかったので、ちょうどよい機会でした。なかなか手が出なかったというのは詰まるところ偶然なのでしょうが、それでも、ブレヒトという革命児がなにやら好き放題している実験場というイメージが手をすくませていたのは否めません。要はめんどくさそうでした。 ......タイトルが『三文オペラ』であるからして、身構える必要はありませんでしたね。原作と、今度の公演用にアレンジしたヴァージョンを読みま

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演出

演出論、巻頭言、パンフレット・著書抜粋、など

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その3

快君へ こちらは稽古も佳境に入りましたが、常にあなたからもらった返信を意識しながら、冷静に『三文オペラ』に進めています。 世界を、ポエットとして読む(歌詞として読む)VS起承転結として読む(展開として読む)が融合するのかというのが、私の中での闘いです。 なるほど、なるほど、テンポね。〈『三文オペラ』を貫く独特の気品は、そのリズミカルな展開にあります〉とは、その通りだ、と思いました。当たり前のようで偉大な気づきです。正直に告白すると私は、ブレヒト戯曲を読むのに、苦手意識を持

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『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その2

三浦さんへお返事お待ちしておりましたところ、寝耳に水でした。それも『三文オペラ』ですか。読んでいなかったので、ちょうどよい機会でした。なかなか手が出なかったというのは詰まるところ偶然なのでしょうが、それでも、ブレヒトという革命児がなにやら好き放題している実験場というイメージが手をすくませていたのは否めません。要はめんどくさそうでした。 ......タイトルが『三文オペラ』であるからして、身構える必要はありませんでしたね。原作と、今度の公演用にアレンジしたヴァージョンを読みま

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『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その1

快君へ 久しぶりです。元気ですか? こちらは、『巨匠とマルガリータ』の最終の返事を書こう書こうと思いながらも、しばらくボーっとしていました。また追って巨匠の件は返事します、というのもあの作品は、来年の夏に規模を大きくしてさらに演出を練るつもりなので、そのことも含めてプランをおさらいするところからはじめるつもりなのです。 さて、お手紙したのは、さすがにもうボーっとしていられず、別件で相談というかおしゃべりがまた必要になってきたからです。実は先週から東京に入っています。年末に

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『巨匠とマルガリータ』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その4

快くんへ 初日、あけました。演劇は一日で変わることは稀ですが、ゲネプロまでの消化不良が一気に解決して自分で言うのもあれですが、やりました! おもしろいです。期待して見に来てください。 さて今回はとにかく稽古に追い込まれていたこともあって返事を書くが遅れてしまいました。何がおもしろいのか具体的には見てもらうまで触れないこにしますが、本番を見ながら思うことはやはりモスクワとエルサレムの往復というこの小説の時間的飛躍と空間的なねじれが舞台で表現できたことが勝因だと思います。それは

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音声

ショートトーク(ラジオ)、舞台録音音源(セリフ)、音声コンテンツなど

『三文オペラ 歌舞伎町の絞首台』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その1

快君へ 久しぶりです。元気ですか? こちらは、『巨匠とマルガリータ』の最終の返事を書こう書こうと思いながらも、しばらくボーっとしていました。また追って巨匠の件は返事します、というのもあの作品は、来年の夏に規模を大きくしてさらに演出を練るつもりなので、そのことも含めてプランをおさらいするところからはじめるつもりなのです。 さて、お手紙したのは、さすがにもうボーっとしていられず、別件で相談というかおしゃべりがまた必要になってきたからです。実は先週から東京に入っています。年末に

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かもめは鳴いている | ナビゲーター : 畑中晴日(インターン) 第1回 杉本さん

演劇ブルペン修了公演『かもめ』を機に、アントン・チェーホフによる戯曲『かもめ』を題材におしゃべりしていこうというインターン企画です。 第一回は、京都で詩人「戸竹一悳」として活動していらっしゃる杉本さんをゲストにお迎えしてお送りします。 『かもめ』における戯画化と複雑さのバランス感覚/さまざまな思想が多声的に提示される/象徴、絶対者になれないカモメ/神の有無の中間の議論がある程度共有されたポストモダンの社会/我々は複雑系の中に投げ込まれている/世界を認識するのが困難な現代に

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地点についてざっくばらんに話してみた|美川永騎(学生インターン)とそのお友達(3/3回)【音声配信】

地点ではイェリネク戯曲連続上演を機に、「公演の運営・プロモーション」を活動目的として学生インターンを募り、昨年9月からオンラインでの定期的なミーティングを重ねています。その活動の一環(?)として各々の得意分野で「演劇」について何かしらのアウトプット/表現をしてみることになりました。今回は美川永騎さん(とそのお友達)によるザ・雑談です。録って出し、ノー編集、熱量たっぷりのクロストークを全3回に分けてお届けします。今回はその第3回目。どうぞお聞き下さい! ★学生インターン記事の

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イェリネク戯曲の言葉について『騒音。〜』稽古場音声日記【小林洋平編】

新作『騒音。見ているのに見えない。見えなくても見ている!』の稽古場から、俳優と演出家のやりとりを音声でお届けします。イェリネク戯曲への挑戦は、いつも「言葉」へのまさに体当たりから始まります。 音楽:三輪眞弘 

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演技・俳優

演技、上演台本、稽古、身体、俳優について

シェイクスピア『マクベス』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その6

三浦さんへ お返事遅くなりました。 自由、をめぐる試みというか企み、がありふれているなかでそれでも、あの祈りにも似た挑戦がどのような意味をもちうるのか、じつはそれなりに懐疑的でした。自由を語ることがいつでも陳腐になりかねない昨今のわたしたちの現実的な弛み、が物質的にも精神的にもさまざまな貧しさをもたらし果てには戦争とそれをとりまくSNSの罵詈雑言にまで至ります。恐れていました。自由のあり方を実験する企みこそがわたしたち自身を思いあがらせているのではないか、わたしたちは「自由の

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シェイクスピア『マクベス』 〜往復書簡 薄井快&三浦基 その5

快君へ 『マクベス』前半の本番が終わり、6月の後半戦が始まろうとしています。こないだ、快君にみてもらって、今まで見た地点の中で一番よかった、と言ってくれましたね。詳しい感想をあまり聞く間がなかったので、次の返信でいろいろ雑感なども含めて教えてください。 やはり予感した通り、今回の作品は特別のようで、チケットも完売、追加公演もするほどの人気となっています。いつも思うのですが観客は正直です。どんなに、難しかろうが尖っていようが、いいものはいいと教えてくれます。これだから演劇はや

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演劇ブルペンで『かもめ』を選んだ理由 三浦基

もう30年も昔の話ですが、私は18歳から22歳の4年間を演劇の⼤学で学びました。実技の授業が⼤半を占め、エチュードの課題や発表会の稽古で、毎⽇、喉が乾いていました。例えると、砂漠で天敵から必死に逃げる⼩動物のような者でした。もちろん私の天敵は、課題を発表しなければならない⽕曜⽇と⽊曜⽇の授業であり、年に4 回ほどやってくる発表会の初⽇です。逃げると⾔っても、決して授業や初⽇を⽋席するというわけではありません。 ちゃんと課題をこなし、ちゃんと台詞も全部覚えて舞台に⽴っていました

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かもめは飛んでいるか 少考7 薄井快

 いきなりですけどね、裸の現実ってあると思いますか? あるいはそんなものがあったとして、わたしたちが裸の現実にアクセスできると思いますか? ぜんぶの動物に、というか個体に共通する目も耳も鼻も口も頭もないということをふまえればなかなかむずかしいんじゃないかなって気がします。みんなちょっとずつずれている。ずれた仕方で現実にかかわっている、というより現実がちがう仕方でなりたっている。翻ってわたしたち自身でさえ、いつも同じところにとどまってはいられないからちょっとずつずれていく。だか

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海外

海外公演の情報、スナップ写真、映像など

シェイクスピア『マクベス』 〜往復書簡 薄井快&三浦基

三浦さんへ先日『マクベス』を読みました。腰をすえて、といっても研究者とはいきませんし気楽に、せいぜい気になる言葉を丸で囲ったり好きなセリフに線をひいたりするぐらいの、ささやかな気のいれようです。青インクのボールペンで、幕ごとに便宜的な名前をつけて物語の節を見やすくしたり、適宜メモをとったりしてなにかを見つけようとしました。わたしより余程すぐれた読み手たちが立派な解釈をしていますし大したことは見つかりません。たいていは過ぎていく言葉の中にふと、ちょっとした手触りを感じると標をつ

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『罪と罰』の問いと答え5 エレーナ・ゴルフンケリ

概して休止(ポーズ)の手法は、この日本人演出家が好むもののひとつだ。それが彼流のアクセントである。小さな、そして同じくドラスティックな編集を経たマルメラードフ(ルスタム・ナスイロフ)も、休止の手法をベースに作られている。果てしない自分語りのセリフから切り取られて残された断片を道連れに、何度か酔った足取りで橋の下から這い出して来ると、マルメラードフは(ドストエフスキーの原作ではしっかり馴染みになったはずの)ラスコーリニコフを見ても知らんぷりのまま、演出家が「ストップ」の声を掛け

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『罪と罰』の問いと答え4 エレーナ・ゴルフンケリ

ここでまた日本で構想されたこの芝居におけるロシア性という話題に戻るべきだろう。ロシアの俳優たちは三浦基の提起した構想やイメージに従い、それもかなり正確に実現することに成功したが、成功したのはそれだけではない。彼らはそこから、作者の志を傷つけることなく、自分なりの興味や利益を引き出している。例えばセリフの冒頭の「ア」と「オ」の音だが、ロシアの俳優には日本語のような軽い音の飛翔がない。その代わり彼らには、我が国の舞台経験から生まれる自然な、微細な感情のニュアンスがある。演出家が提

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『罪と罰』の問いと答え3 エレーナ・ゴルフンケリ

日ロ共同版の『罪と罰』の主題は何か? 私はこれが意識の運命的な過ちについての劇だと思えた。傲慢な知性を持った近代人が偽の目的のために一線を〈踏み越える〉物語。付言すれば、彼の知性とは、性急な知性だ。せっかちなこと――それが近代人のメンタリティーである。小説の中でラスコーリニコフは例の「論文めいたもの」を書き、あれこれと推論し、考察した。そうして自分の人生を一新することのできる出来事に向けて、準備を重ねた。ドストエフスキーの登場人物にとって大事なのは根拠であり、そしてみじめな存

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劇場文化

劇場論、劇空間、アンダースローについて

演劇ブルペンで『かもめ』を選んだ理由 三浦基

もう30年も昔の話ですが、私は18歳から22歳の4年間を演劇の⼤学で学びました。実技の授業が⼤半を占め、エチュードの課題や発表会の稽古で、毎⽇、喉が乾いていました。例えると、砂漠で天敵から必死に逃げる⼩動物のような者でした。もちろん私の天敵は、課題を発表しなければならない⽕曜⽇と⽊曜⽇の授業であり、年に4 回ほどやってくる発表会の初⽇です。逃げると⾔っても、決して授業や初⽇を⽋席するというわけではありません。 ちゃんと課題をこなし、ちゃんと台詞も全部覚えて舞台に⽴っていました

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かもめは飛んでいるか 少考3  薄井快

この記事は「読む『かもめ』」をテーマに、3月の『かもめ』公演をもりあげようと書かれています。魅力的なセリフを紹介しつつ、『かもめ』をとらえなおしてひきうけなおしてみるつもりで書いているのですが、3回目になって思うのは、『かもめ』は今日を生きるわたしたちの演劇性を凝縮した戯曲だということです。『かもめ』を動かすチェーホフの強固な洞察は1世紀後の日常を生きるわたしたちを見事にからめとって、わたしたちがわたしたちであるドラマを静かにうつしだします。劇的ではないドラマの表面性にわたし

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『罪と罰』の問いと答え5 エレーナ・ゴルフンケリ

概して休止(ポーズ)の手法は、この日本人演出家が好むもののひとつだ。それが彼流のアクセントである。小さな、そして同じくドラスティックな編集を経たマルメラードフ(ルスタム・ナスイロフ)も、休止の手法をベースに作られている。果てしない自分語りのセリフから切り取られて残された断片を道連れに、何度か酔った足取りで橋の下から這い出して来ると、マルメラードフは(ドストエフスキーの原作ではしっかり馴染みになったはずの)ラスコーリニコフを見ても知らんぷりのまま、演出家が「ストップ」の声を掛け

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『罪と罰』の問いと答え4 エレーナ・ゴルフンケリ

ここでまた日本で構想されたこの芝居におけるロシア性という話題に戻るべきだろう。ロシアの俳優たちは三浦基の提起した構想やイメージに従い、それもかなり正確に実現することに成功したが、成功したのはそれだけではない。彼らはそこから、作者の志を傷つけることなく、自分なりの興味や利益を引き出している。例えばセリフの冒頭の「ア」と「オ」の音だが、ロシアの俳優には日本語のような軽い音の飛翔がない。その代わり彼らには、我が国の舞台経験から生まれる自然な、微細な感情のニュアンスがある。演出家が提

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レパートリー作品

アトリエ「アンダースロー」などで上演するレパートリー作品について

『罪と罰』の問いと答え5 エレーナ・ゴルフンケリ

概して休止(ポーズ)の手法は、この日本人演出家が好むもののひとつだ。それが彼流のアクセントである。小さな、そして同じくドラスティックな編集を経たマルメラードフ(ルスタム・ナスイロフ)も、休止の手法をベースに作られている。果てしない自分語りのセリフから切り取られて残された断片を道連れに、何度か酔った足取りで橋の下から這い出して来ると、マルメラードフは(ドストエフスキーの原作ではしっかり馴染みになったはずの)ラスコーリニコフを見ても知らんぷりのまま、演出家が「ストップ」の声を掛け

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『罪と罰』の問いと答え4 エレーナ・ゴルフンケリ

ここでまた日本で構想されたこの芝居におけるロシア性という話題に戻るべきだろう。ロシアの俳優たちは三浦基の提起した構想やイメージに従い、それもかなり正確に実現することに成功したが、成功したのはそれだけではない。彼らはそこから、作者の志を傷つけることなく、自分なりの興味や利益を引き出している。例えばセリフの冒頭の「ア」と「オ」の音だが、ロシアの俳優には日本語のような軽い音の飛翔がない。その代わり彼らには、我が国の舞台経験から生まれる自然な、微細な感情のニュアンスがある。演出家が提

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『罪と罰』の問いと答え3 エレーナ・ゴルフンケリ

日ロ共同版の『罪と罰』の主題は何か? 私はこれが意識の運命的な過ちについての劇だと思えた。傲慢な知性を持った近代人が偽の目的のために一線を〈踏み越える〉物語。付言すれば、彼の知性とは、性急な知性だ。せっかちなこと――それが近代人のメンタリティーである。小説の中でラスコーリニコフは例の「論文めいたもの」を書き、あれこれと推論し、考察した。そうして自分の人生を一新することのできる出来事に向けて、準備を重ねた。ドストエフスキーの登場人物にとって大事なのは根拠であり、そしてみじめな存

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『罪と罰』の問いと答え2 エレーナ・ゴルフンケリ

そして今回は日本流演出のロシア版である。何よりも興味深いのは、この地の、BDTの舞台で、京都で行われたことの多くが、より明確化されていることだ。時にはそれが全く新しい形で展開されている。それでこんな問いが生まれる――ロシア人の俳優たちが演出家の解釈に影響し、彼らが何か自分たちの、独自のものを持ち込んだのか? あるいは演出家自身が、改めてロシア的な土壌に合わせた形で、何らかの部分やモチーフについての考察を深めた、あるいはまったく発想を変えたのか? そう、影響もあったし、また発想

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舞台美術

舞台美術について

『罪と罰』の問いと答え3 エレーナ・ゴルフンケリ

日ロ共同版の『罪と罰』の主題は何か? 私はこれが意識の運命的な過ちについての劇だと思えた。傲慢な知性を持った近代人が偽の目的のために一線を〈踏み越える〉物語。付言すれば、彼の知性とは、性急な知性だ。せっかちなこと――それが近代人のメンタリティーである。小説の中でラスコーリニコフは例の「論文めいたもの」を書き、あれこれと推論し、考察した。そうして自分の人生を一新することのできる出来事に向けて、準備を重ねた。ドストエフスキーの登場人物にとって大事なのは根拠であり、そしてみじめな存

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『罪と罰』の問いと答え1 エレーナ・ゴルフンケリ

近年ドストエフスキーの小説『罪と罰』への関心が増しており、演劇界においても同様である。関心が高まるとともに、演劇界がこの小説及び作者に寄せる問いの数も増えている。古典作品が時代を経るうえで、これは自然な現象であり、作品はますます難解なものとなる。古典は世界とともに時間の中を移動しながら、その時々の〈与えられた状況〉を吸収し、昔から知られた筋を様々な見知らぬ方向へと展開させていく。二人の人間を殺した主人公ラスコーリニコフは、後悔したか? その後悔の代償は何だったか? 自己を確立

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騒音。稽古場レポートより0125

みなさま お疲れ様です。 今日の稽古では騒音問題の解消に時間を割く前に全体の構成をもう一度考えてみようということで、前半は話し合いをして、後半で演算の16〜37までを組みました。 ・前半は舞台が揺れない ・後半のあるタイミングで舞台が不安定になる ・舞台が不安定になって以降はこれまでの動きのモチーフは踏襲されつつ、舞台が大きく動く&音をたてるという大地の変化によって全体の動きが大きく変わっていく 例: →これまでジャンプをしていたディスタンスの人は動かなくなる(寝たりしゃ

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騒音。稽古場レポートより0121

みなさま お疲れ様です。先週までの稽古の進捗状況等共有いたします。 三輪さんから送っていただいた音楽を稽古場で流しながら稽古しています。 基本的には台詞(場合によっては2人以上が並走してしゃべる)とお囃子(多くの場合2名以上によって発語される)が同時に出力されるつくりとなっていますので、音楽の聞かせどころをつくるべく、間をいれる箇所など模索したり、台詞を確定していったりなど、少しずつつくっていって、台本は添付の通り9ページの半ばくらいまで確定しました。 ほか、各セクショ

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