グローバルに拡販する繊維資材 ―ミシン糸の独自技術で幅広いニーズに対応
記者の目/ここに注目
□グローバルな事業展開で海外での活躍機会がある
□若手社員が何事にも挑戦できる環境が整っている
グンゼの繊維資材事業部はアパレル事業の一角を担い、工業用ミシン糸の製造、販売を行っている。衣料用、かばんや靴などの産業資材用、エア バッグなどの車両用の三つの分野向けに展開する。その他、一カ所からの給水で水を幅広く行き渡らせる「地水シート」など、ミシン糸の製造技術を応用した土木資材や産業資材の新規製品も開発、販売している。
繊維資材事業は海外向けの売上高が約8割を占め、グンゼの中で最もグローバル展開が進む事業部だ。生産と研究開発を行う津山工場(岡山県津山市)をマザー工場として、中国、バングラデシュ、ベトナム、インドネシアにも生産拠点を持つ。
海外拠点で人材活躍、市場の開拓
繊維製品を扱うグローバル企業は主にアジア圏に生産拠点を持つため、繊維資材の主要市場もアジア各国が中心だ。同事業部ではアジア4カ国5 拠点の生産拠点によってグローバルな生産・販売体制を整え、この市場に対応する。多種多様なミシン糸製造における独自技術や、さまざまなニーズへの対応力によって、他社との差別化を図っている。縫いしわなどのパッカリングを防止するミシン糸「ファインμ」はグンゼ独自の製造技術で、国内外で需要が増加している。また、ミシンのノウハウを持つ技術者が所属し、顧客側で縫製トラブルなどが発生した場合にも対応できる生産技術面でのサポート体制を構築することで、顧客からの信頼を獲得してきた。
海外拠点を多く持つ同事業部では若手社員の海外への派遣を積極的に行う。「日本では経験できないことが多く、海外へ赴任することでグローバ ルな見方が身につく」という執行役員石川賢三繊維資材事業部長の考えのもと、海外拠点での勤務を希望する社員を積極的に派遣しており、ベトナ ムの拠点には20代の社員も赴任しているという。また、さらなる海外市場での販売拡大のため、衣料向けで欧米メーカーへの提案にも注力している。欧米メーカーが西アジアや南アジアに工場を多く持つため、現時点で最も西に位置するバングラデシュの拠点よりさらに西側への拠点進出を計画し、さらに市場を開拓する。これに向けて海外メーカーへの提案・交渉が必要となるため、「語学力のある人材は即戦力として期待している。また海外で働きたいという意欲のある人材にぜひ来てもらいたい」(石川繊維資材事業部長)。
自由な発想で新規製品の開発加速
2024年から中国子会社の常熟郡是輔料(江蘇省)にミシン糸生産用の紡糸機を導入。紡糸から最終製品まで一貫して手がけられ、産業資材向け機能糸など新製品の開発に向けた試験も可能となった。機能性樹脂を組み合わせて一つの糸を作り出す紡糸技術によって、複数の機能を持つグンゼ独自の高性能糸を提供していく。この技術はフィルム製造にも通じる技術であるため、今後同グローバルに拡販する繊維資材――ミシン糸の独自技術で幅広いニーズに対応グローバルな事業展開で海外での活躍機会がある若手社員が何事にも挑戦できる環境が整っている社の機能性プラスチックフィルム事業と連携した製品開発も検討する。
国内拠点の津山工場は2025年の開発・生産体制刷新に伴って工場規模を縮小し、開発部門の人材を増員・強化した。研究開発棟の新設も計画し、自動車向け資材や土木材料などの産業資材の開発に注力する。
現在、静電防止や冷感、蓄熱などの機能を持つミシン糸、これらを活用した蓄熱シートなどの土木資材や産業資材のほか、牛の受精卵の凍結保存容器といった糸の製造技術を応用したまったく新しい領域の製品開発も行っている。産業資材向け製品を拡充することで、現状産業向け売上高比率3割を2030年度には5割まで引き上げることを目指す。これに向けて「他社にないものを生み出すため、自由な発想でまずはトライしてみる」(同)ことを重視。このチャレンジ精神の浸透により、実際に開発にスピード感が出てきているという。幅広い市場を見ることで、さまざまな分野で使われる糸の技術を活用して、今までにないグンゼ独自の製品を生み出していく。
理系出身の若手社員に聞く
提案しやすく、挑戦できる環境が整う
海外で働くことに興味があり、海外事業に注力している繊維資材事業部を希望して入社しました。2023年からインドネシアの拠点に駐在しました。現在は津山工場で、大学院で学んだポリエステルの知識を活かしながら衣料や土木、農畜産業などさまざまな用途の新製品の開発や、海外生産における品質維持のための開発などに携わっています。さまざまな場面で若手社員の提案を積極的に受け入れて挑戦させてもらえるため、多くの経験を積むことができ、やりがいにつながっています
会社DATA
所在地 大阪市北区梅田二丁目5番25号 ハービスOSAKAオフィスタワー
創業 1896年8月10日
代表者 代表取締役社長 佐口 敏康
資本金 260億7100万円(2025年3月31日現在)
従業員数 1,401名(単体)4,339名(連結)(2025年3月31日現在)
事業内容 プラスチックフィルムなどの機能性材料やインナーウエアなどの製造・販売
URL https://www.gunze.co.jp/