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【「スーパーガール」撮影現場に潜入:第1回】西部劇「トゥルー・グリット」に影響を受けた物語、美術のこだわりとは

2026年6月12日 11:00

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「スーパーガール」(6月26日に日米同時公開)
「スーパーガール」(6月26日に日米同時公開)
© & TM DC © 2026 WBEI

ジェームズ・ガン率いるDCユニバース最新作「スーパーガール」が、6月26日に日米同時公開を迎える。映画.comでは、同作のセットビジットレポートを入手。全4回にわけて、その詳細をお伝えしていこう。

2025年4月22日、撮影は英国リーブスデン・スタジオで行われており、終盤に差し掛かった70日目に、各国からジャーナリスト、インフルエンサーが招かれた。

本作は、スーパーマンことクラーク・ケントのいとこであるスーパーガール/カーラ・ゾー=エル(ミリー・オールコック)を主人公に、彼女が等身大の新世代ヒーローとして活躍する姿を描く。

この日は物語の大半が展開するという、ビルキス(Bilquis)のエヴェリー(Evely)のセットに案内される。クリプトン星同様、滅亡する運命の星とのことで、海賊たちが潜伏するのに絶好の場所である荒廃したディストピアという雰囲気の街だ。劇中では砂埃が舞い、スモッグに覆われた様子が描かれるという。どこか中東の村風の雰囲気があり、インダストリアルな感じのパブもある。瓦礫の上には、ブリガンズの戦車が停まっている。原作コミックのイラストレーター、ビルキス・エヴェリーの名前から名付けられたと思われる。

屋外では、カーラの母の葬儀のシーンで登場する、クリプトンの首都アルゴのカテドラルの外観とそこに続く柱廊、その周辺の景色の一部も見学することができた。柱廊のセットはかなり大きいが、視覚効果でさらに拡張されるそうだ。前方には劇中で湖として描かれる水槽があり、緑色の汚水の上には朽ち木が浮かぶ。柱廊の側には村人が寝泊まりするというテントも見られた。

なお、“セドリック”と呼ばれる大きくて白い芋虫のようなクリーチャーのうんちという設定のピンク色のスナック菓子(持ち帰り自由!)や、マジパンでできた目玉のお菓子などを勧められる。

画像2© & TM DC © 2026 WBEI

ユニット・パブリシストのソフィー・スコットは、撮影現場を巡りながら、さらに製作秘話を明かしてくれた。

本作のタイムラインは、「スーパーマン」の後の物語。脚本はトム・キング原作のコミック「Supergirl: Woman of Tomorrow(原題)」を基にアナ・ノゲイラが脚色している。原作は「トゥルー・グリッド」の影響を受けているとのことで、本作にも西部劇風の雰囲気があるそう。

劇中ではフラッシュバックシーンとして描かれるとのことだが、クリプトン星から父親に送られて脱出した10代のカーラ・ゾー=エル/スーパーガールは、スーパーマンとは異なり、滅びゆく故郷を目の当たりにした壮絶な過去を持ち、今では愛犬クリプトだけが心の拠りどころ。そんな彼女が23歳の誕生日を祝い、悲しみを紛らわせようとやってきたのは、赤い太陽が浮かぶとある惑星だった。クリプトン人は赤い太陽の惑星では超能力が使えないため、カーラは酔っ払うことができる……というわけだ。

パブで出会うのはルーシーという少女だ。本作のヴィランであるクレムに家族を殺害された仇を取ろうとする彼女は、カーラに協力を懇願する。最初は乗り気ではなかったカーラも、クレムの放った毒矢によって瀕死の状態のクリプトの命を救うため、協力することになる。カーラのキャンピングカーはクレムに強奪されたことから、2人はバスを使って移動を余儀なくされ、さまざまな惑星を訪れるという、ロードムービー的な要素もあるようだ。

その後、道中では宇宙の海賊スクラリアン・レイダース(原作では女性だけで構成されるとなっている)に襲撃されるも倒し、クレムを探して旅を続け、ビルキス星のエヴェリーでようやく彼を見つけるという。

画像3© & TM DC © 2026 WBEI

すでにスーパーガールとしてヒーローであるという設定だが、ありのままの自分というわけではなかった彼女が、自分という存在や過去を受け入れ、葛藤しながら成長していく物語となるそうだ。最終的にそれがなされる終盤になってから、スーパーガールのスーツ姿が見られるというのは、そんな成長を象徴しているからだとのことだった。

大まかな流れは、原作のあらすじに沿って展開していくものとなるそうだが、コミックには登場しないジェイソン・モモア演じる宇宙最凶の賞金稼ぎロボが登場する。プロデューサーのシャンタル・ノン・ヴォによると、彼の出演シーンは「インパクトの強い15%」とのことだが、物語の展開に予想外の捻りを加え、流れを変える存在として投入された革新的なシナリオに適したキャラクターとして位置付けられている。独自の信条があり、善悪の判断が難しい黒に近いグレーゾーンにいる男として描かれるようだが、独特の存在感が光り、彼のアクションシーンも見どころになりそうだ。

ここからはスコットと、現地に集まったジャーナリスト&インフルエンサーのQ&Aが展開した。

画像4© & TM DC © 2026 WBEI
――数多くの惑星や衛星などが(宇宙に)広がっていますが、コミックの物語はルーシーの視点から、かなり長いフラッシュバックとして語られており、最後にはみんな年老いています。それは本作でも同じなのでしょうか。それともカーラの視点から描かれているのですか?

本作はスーパーガールの映画です。スーパーガールの映画ですが、二人は旅の仲間です。ご存知の方もいるかもしれませんが、トム・キングのコミックは西部劇「トゥルー・グリット」からインスピレーションを得ており、その構成は、本作でも非常に顕著に表れていると思います。二人が一緒にいるシーンが、映画の大部分を占めています。他に質問はありますか? ぜひお席を立って会場を歩き回り、アートワークをもう少し近くで見てみてください。模型もご覧になっていただいて構いませんが、ハンナが言ったように、お手を触れないでください。

――スクラリアンの模型は、本作に登場するものと同じですか?
はい、そうです。同じロケーション、同じ撮影セットです。私たちにとって、ここリーブスデンの屋外セットで過ごした1月は、まるで北極にいるかのような、本当に寒い月でした。キャストにとっては非常にリアルな体験だったのです。気温はマイナス3度で、実際に息が白くなるのが見えたので、VFXの予算を少し節約できました。
――拝見していると、多くのものが「スター・ウォーズ」からインスピレーションを受けているように見えます。実際にそうなのでしょうか?

いえ、「スーパーガール」のグラフィックノベルからインスピレーションを受けていますので、その作品のアートワークをご覧になれば、それが本作全体に反映されているのがお分かりいただけると思います。 それに、ニールは世界中の建築物からもアイデアを得ており、実にさまざまなものからインスピレーションを受けているのです。私のお気に入りの小ネタの一つが、ゾー=エルのアパートです。そこには素晴らしい大きなガラス窓があるのですが、実は彼がインスピレーションを得たのは、私が生まれ育った南海岸の近くにある発電所です。多くのプロダクションデザイナーがそうであるように、彼は世界各地やグラフィックノベルからアイデアを得ているのです。

画像5© & TM DC © 2026 WBEI
――もっとも大変だった学びとは何だったのでしょうか?

どのセットにもそれぞれの難しさがあったと思います。エヴェリーについて私が気に入っている点の一つは後ほどご覧いただけると思いますが、破壊された瀕死の惑星なので、砂利がたくさんあります。映画制作の観点から言えば、スタッフにとって、ほこりっぽい砂利の中で作業するのは、人として単純に大変なものです。しかし、彼らは今にも崩れ落ちそうに見えつつ、当然ながら私たちが安全に使えるセットを作り上げることに成功しました。その点が大変でした。私たちはイギリスで、バックロットにセットを建設したわけですが、天候には本当に恵まれました。本当にラッキーでしたね。

あの素敵な白やクリーム色の柱廊といった建造物や、アナ(・B・シェパード/衣装デザイナー)と彼女のチームがアルゴのために作り上げたクリーム色の衣装の数々は実に見事ですが、撮影場所はイギリスの野原にある屋外セットだというのがこのセットの課題の一つでした。それらをきれいに保つのは本当に大変だったのです。それに、セットを本来あるべき姿に保つという、スタッフにとって日々の撮影を円滑に進めるための実務的な問題も常にあります。

――それは確かに課題ですね。

ええ、ワームホール・バスの中は、飛行機のようなものですが、飛行機よりも幅が広いのです。それに、マスクを装着したさまざまなエイリアンやクリーチャーがいましたので、クリーチャー制作は「レガシー」という会社に依頼しました。中は暑いのですが、あの種の衣装を着て、あの環境下で作業するのに耐えられるからという理由で、スタントマンをたくさん起用しています。それでも、スタントマンにとって、あの大きな特殊メイクを装着すること、そして密閉された空間内で撮影を行うことは、身体的に非常に過酷な挑戦です。

――私が好きなプラクティカルな効果もたくさん使われるのでしょうね。

はい、極めてプラクティカルです。この映画の世界全体が、非常にプラクティカル重視なのです。 もちろん、いくつかのセットではブルースクリーンによる拡張撮影も行っています。スーパーガールが飛ぶシーンでは、ブルースクリーンが必須です。VFXで除去する必要があるワイヤーもたくさんあります。クレイグ(・ギレスピー/監督)、ニール(・ラモント/美術)、リー(・ブリッグス/視覚効果)が作り上げたこの世界全体が、非常に物理的で実写志向であり、クリーチャーやレガシー社の物理的な特殊メイク、アニマトロニクスのクリーチャーを使った撮影が行われています。これは非常に昔ながらの伝統的な映画制作手法です。

例えば、あるステージでは、エヴェリーのパブのために、手描きの背景拡張画を用意しています。最近では、セットに行くとデジタルスクリーンを見かけることが多いですが、こうしたステージのいくつかにはブルースクリーンもたくさんあるのがご覧いただけるでしょう。私たちは本当に昔ながらのスタイルに戻りました。手描きの背景画を使っているのです。他に質問はありますか?立ち上がって周りを見て回ってください。ぜひ、探検してみてくださいね。

――(ワームホール・バスについて)これは接合部ですよね。何か象徴的な意味があるのでしょうか?

ワームホール・バスは、揺らせるように仕掛けられていました。宇宙を移動するには、あまりスムーズな乗り心地ではないのです。それに、スクラリアンに襲われた時は、ガタガタとした振動がより必要でした。そこでSFX部門が、物理的な動きが出るように仕掛けを施したのです。また、戦車は実は屋外に設置されていたのですが、 戦車の一つが横転するシーンがあったので、戦車用回転台を用意し、クレムとカーラを戦車の中に乗せて撮影しました。

実は、それはステージの一つから撤去されたばかりで、今は外に停めてあるだけです。実物大の戦車が6台あり、そのうち2台はディーゼルエンジン、1台は電動で、この3台はすべて自走可能です。現場内を移動させるには、実際に走らせるのが一番です。そして、残りの3台は実物大の小道具用の戦車で、木製なので配置を変えたり、持ち上げたり、移動させたりできます。

画像6© & TM DC © 2026 WBEI
――ロボはカーラがクレムを探す手助けをするわけですね?

ロボは独自の行動をする人物です。彼は賞金稼ぎで、カーラと手を組むことが彼にとって都合が良いということになります。「手助け」という言葉が適切かどうかは分かりません。彼はクレムのブリガンズの中にいて、自分にとって高額な賞金首を追っているのです。その賞金首を追う過程で、時折彼とカーラ、ルーシーは任務において協力しますが、結局のところ、彼にとって都合の良いように動くだけです。 戦闘の場面では、必ずしも彼を信用できるとは思いません。

――本作のトーンについてはいかがでしょうか。ほぼパロディかコメディではないかと思うのですが。

パロディではありません。本作のトーンは実に見事にバランスが取れていると思います。カーラは幼少期のトラウマを抱えており、ルーシーはもちろん家族の死を目の当たりにしたばかりですが、重苦しくはないのです。 クレイグ・ギレスピー監督の「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」「ラースと、その彼女」「クルエラ」といった作品をご存知であれば、彼のスタイルや描くキャラクターには、本当に軽やかさがあるのがお分かりでしょう。そして、本作には軽快さがあり、コメディ要素もありますが、同時にアクション映画でもあり、ルーシーとカーラには真心が感じられます。

――下品な言葉はたくさん出てくるのでしょうか?
それは市場や現地の検閲規定次第だと思います。様子を見なければなりません。
――建設したセットの数は?
A、B、N、Oなど、サウンドステージが5つとバックロットがあります。正直、セットをいくつ作ったか数えきれません。これは冒険物語であり、彼女らは銀河を駆け巡るので、セットの建設と撤去を何度も繰り返してきました。少なくとも20は超えていると思います。正直、正確な数は分かりませんね。 正確な数は後で確認しご連絡しますが、北極のセットや、ポッド、カーラのアパート、宇宙船といった小規模なセットは、本当にたくさん作りました。それに、攻撃用車両の内部を再現した戦車のセットもあれば、別のセットに配置された戦車もあります。本当にすごい数ですよ。
――一番大きなセットは何ですか?

それは面白い質問ですね。これはエヴェリーの町の広場です。今日の午後、皆さんをご案内しますが、ここはイベントステージ全体を占めており、非常に大きなステージです。一方、バックロットには巨大な柱廊もあり、それとは別にクレムの戦艦の甲板部分も設置されています。そのスケールを見ると、戦艦の中央にある広場を、高台の上に再現したような感じです。

残りの部分については、店舗全体を建設しました。つまり、実際に店として機能するようになっていたのです。通路を歩き回ることができ、セット装飾担当のリー・サンデイルズと彼のチームはそれを完成させた後、カートの一つを持ち出し買い物に出かけ、すべてが機能することを確認しました。つまり、そこは完全な店舗だったのです。ですから、Nステージこそが人々を圧倒するセットだと思います。 非常に大規模なセットで、セット内部全体を占めるほどですが、もちろん、バックロットで建造する場合、特に巨大な柱廊を建設する際は、その規模がさらに拡大されます。現時点では、この巨大な柱廊の一部しか完成していません。

画像7© & TM DC © 2026 WBEI
――今日は撮影17日目ということですが…。

70日目です。

――クランクアップまでにあとどのくらい必要なのでしょうか?

今、イギリスでは祝日が続いているので、本当に変な時期なんです。

――ああ、確かにそうですね。

あと3週間ありますが、もちろん今週は4日間の週です。来週は少し移動があり、その次の週も4日間の週になりますので、実際何日あるのかよく分かりません。というのも、先々週が最後の5日間の週だったことに気づいたのです。この時期のイギリスの事情はそういうものですからね。この時期に祝日があるというのはいいものだと思います。

――どう言えばいいでしょうか、現場でセットを見てから、「いや、ここのある部分を変えなければならない。うまくいっていない」と気づいたようなことはありましたか?

制作チーム全員がステージに足を踏み入れる前に、そういったことは決めておかなければなりません。ニール・ラモントは敏腕ですから、制作の先回りをしています。

――それは素晴らしいですね。
すべては監督のクレイグによって事前に承認済みですが、常に微調整はしています。現場には常に待機しているセット装飾担当がいて、物を動かしたりしているのです。特に店内のシーンを撮る時なんかは、カメラのためのスペースを確保するために物を外に出したり、また戻したりすることもあります。でも、すべてうまくいくものです。
――順調なのだとは思います。ただ気になったのですが、時には、すべて準備して、すべて整えて、撮影を始めてから「ちょっと変えよう」ということもあるのではないかと。

ええ、それも工程の一部で、美術部門や造形部門が事前に準備を進めているわけです。

――そこにはたくさんのディテールがありますよね。

ええ、彼らはすべてを準備するために事前に作業を進めています。そして、撮影班が到着した際には、予備の小道具係、予備の美術装飾係、予備のセット整備係が同行し、細かい調整を行います。カメラに映る映像に少し手直しが必要な場合、彼らの出番がやってくるわけですが、それも計画の一部なのです。

――今のところ私はエヴェリーが一番好きです。

ええ、エヴェリーは素晴らしいですよね。最初のパブ「Clothes of Neon」は、みんな大好きだったと思います。撮影初日に撮った、ミリーの後頭部が映ったショットも、あのパブで撮ったものです。セットはどれも没入感があり、実用的ですから、仕事をするのが本当に楽しいのです。

――それに、俳優にとっても助けになるでしょうね。

ええ、きっとそうであるはずです。特に13歳の子と仕事をする時はそうですね。イヴがセットに足を踏み入れた時に実物大のセットがあるのは、彼女にとって非常に助けになるのです。

(取材/野津千明)

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