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職場におけるしあわせな三角関係の作り方〜もうひとつの『トリニティ組織』〜

「それぞれが しあわせな 'はたらく'を つくりだす」を掲げて仕事をしています。心理的安全性やウェルビーイングという言葉が職場で注目されるようになりましたが、心理的な充足を表す「しあわせ」って概念は、本当につかみどころがない言葉ですよね。最近『トリニティ組織』(矢野和男著/草思社)という本が出版され、チラホラSNSでも感想をあげている方がいらっしゃったので手に取ってみました。まさに内容はこの職場におけるつかみどころのない「しあわせ」の因子を大量のデータから分析したもの。職場において三角形をなす関係性が幸福度を上げ生産性を向上させるというのです。

こんにちは、ナラティブベースのハルです。私の運営する組織ナラティブベースでも実はかなり前からこの三角形を意識して関係性構築を行なってきました。ですから、本はなるほど最新のテクノロジーやデータ分析を使うとこんなふうに実証されるだなと頷く内容でした。でも、私が実感している効果はそれだけではないぞ!とも。そこで、今日はナラティブベースの職場における三角形の作り方、そして『トリニティ組織』では取り上げられていなかったもうひとつの効果について、自社の実践知からご紹介してみたいと思います!『トリニティ組織』を読まれた方もそうでない方も、ぜひお付き合いください。


いつでも三角になる準備をしておく

三角形って本当に不思議です。トリニティは「三位一体」というキリスト教の考えからきている言葉ですが、前述の書籍でいうトリニティはあくまで3点でつくる、3人の間の関係性のことを指しています。しかし、この3人という場の作り方は「永続」において非常に有効なマジックナンバーだと思うのです。お分かりの通り、1人ではまず考えが偏り視野が狭くなります。もしものときのリカバリーも効きづらい。2人だと壁打ちができる、視野が広がりアイディアが出やすくなる。でも困ったことに関係性が固定しやすく、時がたつとすぐにお決まりのパターンができてしまいます。ところがそこにもう1人足すと、2人の時にあった視野の広がりをさらに広げつつ、関係性の固定化をふせぎ永続する関係性が作りやすくなる…。これは、まったく体感値なので何か実証データがあったわけではないのですが、この感覚から私はながらく自社のチーム運営をできるだけ3人で行うようにしてきていて、それが今では会社の仕組みとなりカルチャーとなっています。

ナラティブベースにはチームコンダクターという職業があって、業務依頼を受けてチームを組成する際に、このコンダクターが中心にアサインや業務伴走の体制構築を行なっていきます。もっというと、その仕事の中で、チームがよりよくなること(個々がこの機会を活かして成長し、お客様にもクオリティがどんどん上がっていく体制を提供する)を意識した動きをしていく
それがチームコンダクターです。この点が、一般的なプロジェクトマネージャーとは違うところなのです。で、このチームコンダクターがいることで、ナラティブベースのチームは、初期が1名や2名の立ち上げでも、タイミングやニーズをみてすぐに3名チームになれる準備をしています。や、むしろ無理をしてでも(予算の範囲内で積極的に)3名にすることで、このチームの永続性とクオリティを担保する動きをしている。これが、私たちのチームづくりの一つのコツでもあり強さでもあります。

「相手」が消え、潜在が表出しやすくなる

お客様に提供している業務委託のチームの話をしましたが、それと別にナラティブベースには「ワーククラフティング」という自律キャリアを支援しあう活動があります。合言葉は「「はたらく」はつくれる!」。自身が自分の語りから自分の経験を意味付けし、強みに気づき、これからのストーリー(道筋)をつくる、そしてそれを仕事仲間同士で手伝い合います。

通常の企業では、1on1や評価面談、目標設定などで上司と部下の2人で行なっていることを、ナラティブベースではフラットな関係の3名で行います。
キャリアカウンセリングやコーチングにも近いのですが、クライアント(主役と呼んでいます)が1名、コーチ役の人が1名、そしてゲスト(いわゆる脇役、3角形の1点になってくれる人)が1名。ゲスト(脇役)はクライアント(主役)の人が選びます。普段いっしょに仕事をしている近しい相手でもいですし、いっしょに仕事をしていないけど気になっている人でもいい。自分のことをもっと知ってほしい!あの人のアドバイスやアイディアは自分に必要そう!という人を自由に選んで3角の場に招くのです。

この三角形の場で主人公の語りを2人が聞きながら、言語化を手伝います。このときの効果は、通常2人の1on1だと「相手」がいるので、いやでもその人に向けて話すことになります。実はこれ、無意識でも「相手がどう解釈するか」を意識した話し方になるのです。まして上司や部下のような関係の場合、評価とも結びつきますからその意識はもっと緊張感をもったものになります。「ざっくばらんに」「いつも話さないことでも」などといっても、構造的にそういった話がしづらいのです。ところがここに1点加えるとどうなるかといいますと、いい具合に「相手」が消えます。三角形は線ではなく面が生まれる図形。2点で行き来していた会話は自然と相手に到達することを意識しますが、3点ではこの面に向けて話す力が働き、不思議と1対1では出づらい言葉や話し方、内容がするすると出てくる効果があるのです。「潜在的なものが出やすくなり、言語化する」これが、三角形の効果です。

主役と脇役を入れ替えながら繰り返す

「ワーククラフティング」では、主役と脇役はどんどん入れ替わっていきます。誰もが、あるときは主役で、あるときは脇役。そういった組織の中の「とある主人公」のキャリアを聞き、次の道筋を作り出す対話を繰り返しながら、物語をいくつもつくっていきます。
(まったく必要ない情報ですが、ここら辺の運営は私の趣味がかなり反映されています。昔から、小説なら短編集、映画ならオムニバスが大好きです。いくつもの物語が交錯していることに異様な興奮を覚えるフェチ的なところがあるので、個人的にこの取り組みを愛してやまないのです笑)
そうしていくことで、職場にどんどん「自分を知ってくれている人」が増えていきます。「あの人ってこういう人だよね」「確かこういうことしたいって言ってた気がする」そんな断片的な情報が職場のあちらこちらにあるので、その人がその人らしく、強みを活かして働く機会が作りやすくなります。そして、何より周りに自分のことをよく知っていてくれる人が増えると、人は、そう、安心し、しあわせな気持ちになるのです。(三角形の繰り返しが、心理的安全性やウェルビーイングにもつながるわけです。)

もちろんこういった関係性は、自然発生的にも出来上がっていくことがあります。ただ、組織に仕組みとして組み込むこと関係性構築のスピードはあがりますし、程よく公式であることオフィシャルであることが建設的な対話やポジティブなカルチャーを生むことにもつながっていきます。お客様にもよく「愚痴や不満などの意味付けが職場に蔓延する前に、前向きなストーリーラインを作り出す公式の場を先につくっておきましょう」と提案するのですが、この取り組みもそういった効果に近しいものがあります。

「知っていてくれる人」が増えていくと起きること

さて、ここまでナラティブベースが実践している三角形の作り方を紹介してみましたが、そのことによって得られる効果をまとめてみましょう。
『トリニティ組織』の中では、トリニティ(三角形)の関係性が多い職場は、問題解決能力が高く、生産性向上につながるという実証データを紹介しています。(詳しくはここでは触れないので書籍をご参照くださいm(_ _)m)「問題解決能力が高く」なるのは、前述した二人の壁打ちより三人の壁打ちの方が視野が広がるということとも近しいですが、助け合ったりすることも含め、問題解決がスムーズにいく効果ですね!
別の効果としてお伝えしたかったのは「ワーククラフティング」においてご紹介したように、同じ三角形の場でもキャリアや働き方をテーマにすることで、組織の中で人が「強みを発揮しやすくなる」という効果です。三角形の中でお互いに資質理解が進み、日常的な仕事の中でも自分の資質、相手の資質を意識しやすくなる。そして、オフィシャルな場を通して、過去、そして日々起きていることの意味付けのプロセスを一緒に行ったという共有体験から、ともに物語を紡いでいるという連帯意識や充実感が生まれます。これが、私がぜひお勧めしたい、「しあわせな 'はたらく'を つくりだす」三角形の効果です。


いかがでしたでしょうか?これ以外にもトリニティ(三角形)の効果はいろいろとありそうです。こんなのあると思う!など、他の視点があれば、ぜひ教えてください。
本の中では元素の構成などネイチャーの視点からトリニティの意義も紹介していましたが、果てしなく応用の効く本質的な法則のように思います。
私もまだまだこれから探究していきたいです!
それでは、また。

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