vol.07 そのお酢、発酵していますか?——種類より「作り方」を見てほしい
お酢選び、種類で迷っていませんか?実は見るべきところは別にあります。あっこ/フルグラ大好き栄養士・発酵料理士インストラクター
◎ お酢コーナーで迷ったことありませんか?
スーパーのお酢売り場に行くと、りんご酢・純米酢・穀物酢・黒酢・バルサミコ酢……種類がたくさんあって、どれを選べばいいか迷いますよね。
実はわたし自身も、発酵を学ぶ前は「体にいいらしいりんご酢にしておこう」くらいの感覚で選んでいました。
でも本当に見るべきところは、種類よりも「どうやって作られたか」なんです。
◎ お酢の歴史——実は世界最古の調味料のひとつ
お酢の歴史は古く、紀元前5000年ごろのバビロニア(現在のイラク周辺)にまでさかのぼります。当時はナツメヤシや干しぶどうから作られたお酢が始まりと言われています。
その後、古代エジプト・ギリシャ・ローマでも薬や保存料として広く知られていました。「ヒポクラテスの酢蜜」として古代ギリシャの医師が薬として処方していた記録も残っています。
15世紀〜17世紀前半の大航海時代、長い航海中に新鮮な野菜や果物が不足することで壊血病が深刻な問題になっていました。そこでお酢が壊血病の予防として船に積まれるようになりました。この時代を境に、世界ではお酢が薬としてだけでなく、食用として日常的に使われるようになっていきました。
一方、日本にお酢が伝わったのは4〜5世紀ごろ。中国から酒造りの技術とともに渡来したと言われています。奈良時代にはすでに調味料として使われており、江戸時代には寿司の発展とともに米酢の文化が花開きました。
世界では「ぶどう・麦・ワイン」から作る酢が主流。日本では「米」から作る純米酢が独自に発展した——これがお酢の面白いところです。原料は違っても、発酵という知恵で生まれた調味料であることは世界共通です。
◎ お酢も発酵食品——でも作り方で全然違う
お酢は「酢酸菌」という菌がアルコールを酢酸に変えることで作られます。立派な発酵食品です。
でも作り方によって、腸への届き方がまったく違います。
静置発酵(せいちはっこう)——昔ながらの製法。酢酸菌が表面に膜を張りながら、ゆっくり時間をかけて発酵させます。数ヶ月〜1年以上かけて作られるものも。この過程でアミノ酸・有機酸・ミネラルなどが豊富に生まれます。味や香りに深みがあり、体への働きも豊か。黒酢や昔ながらの純米酢に多い製法です。
連続発酵法(工業的製法)——タンクに空気を送り込みながら、短時間で大量に酢酸発酵させる方法。数時間〜数日で完成します。効率的ですが、静置発酵に比べると発酵由来の旨みや栄養成分は少なくなります。スーパーに並ぶ安価なお酢の多くがこちらです。
◎ 種類の違いより、まず自分で飲み比べてみてほしい
りんご酢・純米酢・穀物酢・黒酢——それぞれに風味や香りの個性があります。
「どれが一番いいか」より「自分はどれが好きか、どの料理に合うか」を自分で感じてみることが大切です。
りんご酢——フルーティーな香り。ドリンクにしたり、ドレッシングに使いやすい。飲みやすいので毎日続けやすい
純米酢——米を原料にした、まろやかな酸味。和食全般に合う。静置発酵のものを選ぶと旨みが豊か
穀物酢——クセが少なく使いやすい。料理に幅広く使える。ただし連続発酵法のものが多い
黒酢——アミノ酸・有機酸が豊富。静置発酵のものが多く、健康目的で飲む場合に向いている。独特の風味があるので料理との相性を確認して
まずはそれぞれ少しずつ試してみて、自分の「好き」を見つけてください。続けられることが一番大事です。
◎ 実は逆!知らないと損——健康にいいからといって摂りすぎは逆効果
「お酢は体にいい」——だからといって、たくさん飲めばいいわけではありません。
原液を多量に飲んだり、毎日何杯も飲んだりすると、胃の粘膜に負担がかかります。歯のエナメル質を傷つけることもあります。
お酢を飲むときの基本はこれです。
1日の量は大さじ1〜2杯。必ずコップ1杯の水で薄めて飲む。原液のまま飲まない。食後に飲むと胃への負担が少なくなります。
「体にいいから」と頑張りすぎない。これもあっこのコラムの大切なテーマです😊
◎ 裏ラベルの見方——選ぶときのポイント
原材料がシンプルか 「米・水」「りんご・水」など原料がシンプルなものが◎。「醸造用アルコール・酸味料」が多く入るものは連続発酵法の可能性が高い
「静置発酵」「長期熟成」と書いてあるか ラベルに明記しているものは発酵にこだわっている証拠
価格の目安 360mlで400円以上のものに静置発酵が多い。まず1本試してみてください
◎ 明日からの小さな一歩
今週のチャレンジ(1つだけでOK)
① 今家にあるお酢の裏ラベルを見る 原材料が何か、静置発酵と書いてあるか確認するだけでOK
② 大さじ1杯をコップ1杯の水で薄めて飲んでみる 食後に試してみてください。続けやすい飲み方を自分で見つけることが大切です
③ 今度スーパーに行ったとき、2〜3種類のお酢を比べてみる りんご酢・純米酢・黒酢、それぞれ裏ラベルを見てみてください。見え方が変わってきます
次回予告 — vol.08
食べる順番を変えるだけで腸が喜ぶ——血糖値と栄養吸収の話
同じものを食べても、食べる順番で血糖値の上がり方がまったく違います。次回はいよいよ時間栄養学の入口。「何を食べるか」より「どの順番で食べるか」——明日の食事からすぐ使える話をお伝えします。
お酢は「頑張って飲むもの」じゃなくて、毎日の料理や食卓にそっと加えるもの。
自分の好きな味を見つけながら、無理なく続けていきましょう😊
——あっこより
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