住友商事の特徴を解説|業績や社風から見る就活対策・企業研究
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最終更新日:2025年12月5日
記事公開日:2016年9月1日
住友商事のセグメント別収益と事業内容
ここからは、住友商事の実際の収益構造を、セグメント別に分けて見ていきましょう。
(単位(億円))
◆セグメント別利益 |
2014年度 |
2015年度 |
|
資源分野 |
資源・化学品 | ▲1,910 | ▲1,516 |
| 金属 | 325 | 120 | |
非資源分野 |
輸送機・建機 | 406 | 734 |
| 環境・インフラ | 229 | 256 | |
| メディア・生活関連 | 571 | 648 | |
| 海外現地法人・海外支店 | ▲227 | 211 | |
| その他、調整・消去 | ▲126 | 292 | |
| 合計 | ▲732 | 745 |
先ほども述べましたが、同社は2014年度に1999年3月期以来、16年ぶりの業績赤字に沈みました。上の業績表を見ていただければ分かる通り、特に資源・化学品で大損失を被ったようです。その中身を、少し具体的に見ていきましょう。資源分野では、15年度計上した損失のうち、770億円もの赤字となったマダガスカルにおけるニッケル事業は同社に多大なる影響を与えました。他にも、ボリビアにおける銀・亜鉛・鉛事業やブラジルの鉄鉱石事業で、市況価格の下落に伴い、損失を計上しました。
一方、14年度から大きく業績を改善したといえるのが、非資源分野の輸送機・建機事業とメディア・生活関連事業です。15年度、伊藤忠商事よりも高い収益を確保したこの非資源分野に、大きな期待がかかります。
ここからは、住友商事が展開する具体的なビジネスに関して、各セグメントに分けて紹介していきたいと思います。他商社とは異なる、住友商事ならではの事業の特徴をしっかりと掴みましょう。
資源分野
①資源・化学品事業
「マダガスカル」という地名から、ニューヨークの動物園から逃げ出した4頭の動物が繰り広げるコメディ映画を思い出す人は多いのではないでしょうか。住友商事はそんなマダガスカルでも「アンバトビー・プロジェクト」と呼ばれる、ニッケルやコバルトの鉱山開発に参画しています。こうした鉱山開発の場合、総合商社には採掘地域の発展にも寄与することが求められており、事実、同社はマダガスカルの住民に対する教育制度の改善や健康指導にも一躍買っています。
②金属事業
原油の産地の代表格といえば中東地域であり、実際に世界の原油埋蔵量のおよそ6割がこの地域に集中しているようです。そんな原油の採掘に欠かせないのが、油井管です。油井管とは、石油やガスを地下から汲み上げるパイプのことであり、地下深くに埋められるそれらのパイプには並外れた圧力がかかるため、強い圧力耐性が求められます。住友商事は新日鐵住金製の強固な油井管の輸出、その在庫管理からトータルなサービス展開を手掛けることで、世界中の石油・ガスの開発に貢献しているようです。
非資源分野
①輸送機・建機事業
総合商社は航空機のリース事業にも参画しています。総合商社によるリースとは、商社が航空機を購入し、それを世界中の航空会社に貸し出すことで利益を上げていくビジネスのことを指しており、市場環境の激しい変化によって航空会社が自ら航空機を保有するリスクが高まっている近年、リース事業に対する需要は伸び続けています。グループ会社である三井住友銀行グループとの提携で得た潤沢な資金を用い、住友商事はこのリース事業でも存在感を発揮しています。
参考:
「持たざる経営」を支える事業力と資金力
SMFL Aircraft Capital Corporation B.V.をはじめとする航空機リース事業のSMBC Aviation Capitalへの統合について
②環境・インフラ事業
近年の就活生から高い人気を誇るのが、この環境・インフラ事業だと思われます。その中でも、経済発展著しいインドネシアの地熱発電事業を見ていきましょう。地熱発電には、原料の輸入が不要かつ発電量が天候に左右されず、環境への負荷も小さいといった利点が存在し、世界第二位の地熱資源大国であるインドネシア政府もこの発電に注力しています。住友商事は70年代頃から同国における電力関連ビジネスを始め、2010年にはスマトラ島での地熱発電所建設に富士電機と共同で参画しました。
③メディア・生活関連事業
現在の日本では当たり前のように使われているスマートフォンですが、その普及が遅れていた途上国もありました。その一つがミャンマーです。住友商事は2014年、KDDI、ミャンマー国営郵便・電気通信事業体(MPT)と共同で同国における通信事業に参画しました。同国の携帯電話普及率は13年時点で10%であり、今後大きな需要増加が見込まれます。住友商事は、自社の持つノウハウとKDDIの技術力を組み合わせ、通信面からミャンマー国民の生活の質の向上に務めています。
事業内容から考える住友商事が求める人材

この章では実際の事業を参照しながら、住友商事が就活生に求める素質を、「ES・面接で人気企業内定者が企業に伝えていた5つの強みとは?」を参照しながら考えていくことにしましょう。
住友商事がイラクにトヨタ製の自動車を輸出するようになったのは、65年からだ。〈中略〉しかし、なぜ米国や欧州ではなく、中東だったのだろうか。福島は説明する。
「住友商事が本格的に貿易ビジネスを始めたのは、第二次大戦が終わってからです。戦前から貿易を行っていたほかの総合商社と比べると完全に後発で、欧米の先進国にはすでに他社が進出していました。だから、住友商事は新しいマーケットを開拓しなければならなかったのです。その一つが、イラクだったということです」
地理的に欧州企業のマーケットであったイラクに、性能、品質に優れた日本のプロダクトを先駆者として導入することに成功した住友商事は、イラクにおけるナンバーワン日本商社の地位を得ることとなった。〈中略〉
潮目が大きく変わったのは、91年の湾岸戦争からだ。イラクによる隣国クウェートへの侵攻に対し、国連は多国籍軍の派遣を決定し、イラクへの攻撃を開始した。イラク攻撃の方針をいち早く支持したのが日本だった。
「日本人は我々を裏切った──。そのような感情がイラクでは一般的になりました。日本製品がボイコットされ、自動車もしばらくの間、売ることができなくなりました」〈中略〉
イラクにおけるビジネスを何とか途絶えさせずに、日本企業の信頼回復に努める。それが当時の谷口の役割だった。
「ある日突然、『自動車の商談を再開するのでバグダッドに来い』というテレックスが送られてきました。当時課長だった私は、部長とともにすぐにバグダッドに入りました。その後、無理難題を突き付けられる交渉が2週間続いたのち、戦後初のトヨタ車の契約に至りました。そのときは、本当にうれしかったですね」〈中略〉
自動車ビジネスは、輸出・販売によって完結するわけではない。メンテナンスや部品提供といったアフターサービスが自動車には欠かせないからだ。80年代までイラクで展開していたそのようなサービスを再び本格化させながら、現地の人々に日本の技術を供与していくこと。さらに長期的には現地生産を実現し、雇用を生み出しながら、日本ブランドの自動車をイラクにより深く根づかせていくこと──。それがこれからの目標であると藤元は話す。〈中略〉
「イラクは文化水準が高く、情に厚い人たちの多い素晴らしい国であると感じています。私たちは何人ものイラク人と友人になることができました。その関係をこれからも何とかして続けていきたいと思っています」
今回紹介したイラクでの自動車事業において、住友商事は「湾岸戦争」という大きな障壁を乗り越えることになりました。その経過の中で同社は、日本企業の信頼回復に務めるという使命の下、自動車の商談再開のために困難を極める交渉を経験し、結果、戦後初のトヨタ車契約にこぎつけました。また自動車ビジネスを輸出や販売で完結させるのではなく、アフターサービスの充実にも寄与する方針を立てました。さらに長期的な視点として、同社主導の下で、雇用を創出しながら日本の自動車をイラクに根付かせていくことを目標に掲げています。
こういった点を踏まえると、住友商事が求める人材には、「2.関係者と信頼関係を構築し、課題やニーズを引き出し、解決のための提案から実行までを行える」、「3.リーダーシップを発揮し、周囲の人と目標を共有し達成することができる」、「4.価値観や立場を異なる人と協力して成果をあげることができる」に加えて、「5.今までにない仕組みや企画を提案し、周囲の協力を得た上で実現することができる」といった素質を備えていることが必要であると考えられます。
住友商事の社風について
ここからは、「五大総合商社比較|三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅の強みや社風の違いとは」を参照しながら、住友商事の社風について考えていきます。実際のOB・OG訪問で、社員の方の雰囲気を理解することも非常に大切ですが、ここでは同社の歴史的な背景や理念にも注目してみましょう。
住友は書物と薬品の店が起源で、銅の鉱山経営や精錬、貿易も手がけていた。「日本の15大財閥」(平凡社新書)の著者・菊地浩之氏は「戦前、三菱は造船や鉱業が中心、住友は素材産業が中心だった。どちらも製造業で、技術と社員教育を重視していた。〈中略〉住友は、生え抜きは大切に教育し、それに加えて中途採用組も積極的に登用。能力本位で分け隔てなく処遇する平等主義が、「結束の住友」の風土を生んだ。
引用:朝日学情ナビ
「住友商事グループらしさ」は、「住友の事業精神」と住友商事グループの「経営理念」にその原点があると考えています。常にこれらに照らし、「信用を得られているか」「浮利を追っていないか」と確認を重ね、長い時間をかけて醸成してきた精神が当社グループの社風となり、「住友商事グループらしい」企業文化を形成しています。健全な事業活動を通じて、社会に貢献し、社会と共に成長することは、「住友の事業精神」と「経営理念」に根ざした「住友商事グループらしさ」です。
まず住友という財閥に関して、その特徴を表現する言葉に「結束の住友」があります。生え抜きの社員を大切に教育することはもちろんのこと、中途採用にも積極的な姿勢を貫いてきたようで、能力に基づいた人材配置を行うことで平等主義を実現し、社内に「結束心」を生み出しました。
さらに住友商事に関して、その社風を言い表すとすれば、ずばり「信用」や「コンプライアンスへの強い意識」ではないでしょうか。実際に上述した社長のメッセージからも読み取れるように、常に「他者からの信用が得られているか」、「浮利を得ていないか」といった点に重きを置いて事業活動を行っているようです。これはもちろん住友という財閥で代々受け継がれてきた家訓でありますが、1996年に発生した「銅事件」も、同社の信用やコンプライアンスに対する意識の徹底的な見直しに繋がりました。
参考:受け継がれるDNA
住友商事内定者のES解説

①これまでの会社説明会やHP、...
場合によっては「成果なんて出したことがない!」と思う人もいるかもしれません。
住友商事の選考について

最後に、住友商事の選考フローを確認していきましょう。
エントリーシート→筆記試験(テストセンター)→一次面接(個人)→二次面接(集団)→三次面接(集団)→最終面接(個人)
参考:住友商事 本選考情報
住友商事では、総合職と一般職に分けた採用活動を行い、総合職ではおよそ130名の募集を行っているようです。
先ほど解説したように、エントリーシートの字数は他商社と比較しても多くないと感じられるため、面接でのフィーリングが重視されるケースが多いのではないでしょうか。
実際に同社の面接は4回行われるようになっており、3回の面接で内定を出すことが普通である他商社以上に、就活生の「人となり」を見ているように感じられます。事実、ロジックよりも、「素」を引き出すような質問が多かったと感じる学生も多いようです。
また二次面接や三次面接では、グループ面接が行われるため、時間配分に気を使いながら回答することが求められているようです。
最後に、住友商事ではどの面接でも一貫して、「学生時代頑張ったこと」、「なぜ総合商社か」、「なぜ住友商事なのか」、「何がしたいか」といったオーソドックスな質問がなされるため、徹底的な自己分析に加えて、OB・OG訪問や説明会への参加、HPの読み込みも行い、業界研究・企業研究をしっかりと進めていくように意識しましょう。
最後に
いかがだったでしょうか。今回は、三菱商事、三井物産と並んで、財閥系商社の1つに数えられている住友商事を扱わせていただきました。14年度に業績赤字に陥った同社ですが、今後も多くの上位学生が目指す企業であることに変わりはないと思われます。OB・OG訪問でヒトを知るのはもちろんのこと、事業内容の理解もしっかりと深めた上で、本選考に臨むようにしましょう。頑張ってください。
photo by Martin Thomas






