No.15
人生をともにする
チェアの原型を求めて。
No.15
人生をともにする
チェアの原型を求めて。
2024年10月に発表したチェア『No.15』。そっと柔らかく身体に馴染む座面と、背もたれのユニークなカーブから脚にかけて描かれる美しい流線的なフォルムによって、エレガントでありながら温もりのあるデザインとなった。
私は、生涯に1つでも「椅子の原型」と言えるデザインを作りたい。椅子とは、背面、座面、脚と、極めて少ない要素で構成されるプロダクトであるがゆえに、ごまかしが利かないものだ。例えば、既に26文字が存在するアルファベットに、ルールに従いながらいかに新たな1文字をデザインできるか――それが原型をデザインする際の考え方である。
『No.15』のデザインは、ラタン素材の背もたれが持つ丸みを軸に展開していった。わずかな角度や座り心地を実際に確かめながら、粘り強く微調整を繰り返し、原型のデザインに挑戦するチェアが完成した。
流れるような滑らかな曲線が
心地よく身体になじむ木の座面
最も近い距離感で人の生活と融合するプロダクトは、ファッションのように自由であり、優しく、繊細なディテールを持ち、長く人生をともにできるものであってほしいと考える。そのようなアイデンティティを持つ『No.15』は、DAFT about DRAFTのシグネチャーとなる可能性を秘めている。
ABCという26文字のアルファベットが既にある中で、A’B’C’をデザインするのは容易い。椅子のデザインにおいて原型とは、新しいアルファベットを作る作業に似て難しい。
ハンス J. ウェグナーは、92年の生涯で500脚以上の椅子をデザインしたが、原型と呼べるのは2つ、3つだ。それほどに椅子の原型を生み出すことは極限的である。
例えば、Σ(シグマ)がアルファベット26文字の中に入ることはできないだろう。なぜならデザインとしてEに似すぎているからだ。
座りやすさを追求していけば、シェイプも必然と美しくなる。
身長も体格も様々であるから、すべての人に当てはまるプロダクトデザインというものはない。大多数を想定してデザインするのである。
一度は通るものだが、人間工学というのはいい加減なものだと思う。
ソファと椅子のデザインは決定的に異なる。ソファは「服」を作るのに近く、椅子は「造形」を作ることに似ている。
普通に座るのはもちろん、椅子の背に身体の正面がくるように座ったとしても、かっこ悪くならないフォルムを考える。
モダン、シンプル、というものは溢れているが、僕は何かを絡めたい。1個のジャンルを愚直に表現しようと思っていない。
ディティールが記憶に残る、存在感のある家具。
空間の中にただ家具を落としていくと、時々退屈なアプローチになる。空間に変化が生まれ、使い方も空気も変わるものを生み出したい。
家具は空間と連動する。家具もきちんとデザインすると全てが繋がり、空間の中で浮かない。
難しいオーダーでも応えてくれる職人さんと生み出していく。デザイナーには職人を育てる側面がある。
時代を経るほど、新しいものは生まれにくくなるものだ。それでも、「まだ作れるんじゃないか」と思っていたい。
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