台湾の公用語は中国語で、一般的に「台湾華語」とも呼ばれます。しかし、台湾語(台語)は中国語とはまた別の言語です。
台湾語から、日本語、そして中国語
日本統治時代の台湾人は、もともと台湾語を話していました。しかし、当時の人々を日本国民とするための「皇民化運動」などにより、台湾人は少しずつ日本語を話すようになりました。
私の祖母は農民で、日本語はカタコトしか話せませんでした。日本人のことを「大人(だいにん)」と呼んでいましたが、日本語がわからなかったので、理由もわからないまま叱られることもあったようです(笑)。
この時期について、「KANO」という映画をおすすめします。日本統治時代の野球を描いた作品です。
1945年に第二次世界大戦が終わり、中国国民党が台湾に来ると、彼らは台湾を統治し、台湾の人々に中国語を話すよう強いました。
当時、中国語(北京語)を話すことは「上品なこと」とされていました。権力者や政府の人、いわゆる社会のピラミッドの上層を目指すには、中国語が必要だったのです。

学校でも台湾語が禁止されました。父はよく昔のことを思い出して、こんなふうに言いました。「台湾語を喋っちゃったら、先生に怒られるし、罰金まで払わされたんだよ!」
国の文化を変えるには、いちばん早い手段は教育だと思います。当時の国民政府も、そうやって教育を行ってきました。
台湾語を話す人のイメージ
私の父は、まさにこうした時代の中で育ちました。
家では台湾語を喋りますが、学校では政府の方針で禁止されていました。当時の台湾人にとっては、台湾語や客家語、先住民の言葉がそれぞれの母語だったのに。
もし学校で台湾語を話してしまったら、子供たちはひどい罰を受けました。首から「私は方言を話しました」や「私は国語を話します」と書かれた木の札を下げさせられたのです。

この制度のせいで、多くの子供たちは自分の母語を「恥ずかしいもの」と思うようになりました。その結果、今の若い世代は台湾語がうまく話せなくなってしまったのです。
わたしの台湾語
私の世代(30代)は、もう自然には台湾語を話せなくなった世代です。でも、これは地域にもよります。例えば、台中から北部の人は台湾語を話せないことが多いです。特に台北の人は話せないという印象が強いです。
私の場合は桃園出身(台北の少し南)で、台湾語しか喋れない祖母と一緒に暮らしていたので、ある程度は理解できますが、流暢ではありません。

テレビでは台湾語のドラマが放送されていて、それをよく祖母と一緒に観ていたので、聞く分には大体問題ないですが、会話となると簡単なフレーズしか使えません。
初めて台湾語が流暢な若者に出会った
大学に入って、南部(嘉義、台南、高雄)出身のクラスメイトが、流暢な台湾語で家族と電話しているのを見て衝撃を受けました。
当時の私にとって、父や叔母のような大人が台湾語を話せるのは普通でしたが、自分と同じ年頃の人がペラペラの台湾語を話せるのを見たのは初めてだったからです。家で台湾語を使って喋るのも、初めて見ました。
その時の気持ちを一言でいうなら、「かっこよかったーーー!!!」。
本当に、まるで外国語を使いこなしているかのように、自分ができないことができるので、すごくかっこいいと思っていました。
未だにドラマなどでは「台湾語を喋る人は下品」というイメージを植え付けていることもありますが、私の世代では、もうそんなに強くはないと思います。
少し悲しいのは、台湾語は私の母語のはずだったのに、今は少し外国語に近い存在になってしまったことです。ですが、北京語もまた台湾独自のスタイルが生まれて、素敵な「台湾華語」になっているのも、なかなかいいことですね。
商売には台湾語が必要
台湾南部を観光したことがある人なら、気づいているかもしれません。お店の人が台湾語を喋っていることが多いです!
例えば、ちょっと頑固な職人さんと一緒に働くときに、台湾語で話すと物事がスムーズに運ぶようになったという話もたまに聞きます。

社会的地位のある人たちは、仕事以外の場所では実はよく台湾語で話していて、相手との距離を縮めるために、台湾語は一つの手段だったりします。
私の経験ですが、この前、大手企業の副社長クラスの人が出席する会議に参加しました。もちろん会議は中国語で進みますが、核心的な部分や親しみを込めた冗談などは、いつも台湾語でした。その場では台湾語ができなくても会議は進められますが、みんなが笑っているときに自分だけ内容がわからないと、少し距離を感じてしまいますね。
台湾語が話せると信頼感を得られやすいと思います。それで、商売ももっとうまくいくようになります。
台湾語は「耳」で教わる言葉
最近、台湾に来る海外の芸能人が、台湾の人への挨拶として台湾語を使う場面をたまに見かけるようになりました。以前は簡体字での挨拶が多かったですが、最近は変化を感じます。
きっと親しみを持って気を使ってくれているのだと思いますが、実は…台湾語を「読めない」人が多いです。

もちろん台湾語にも正式な漢字がありますが、台湾語は主に「耳」で教わる言葉なので、話せる人が必ずしも読めるわけではありません。
外国の方がわざわざ台湾語で挨拶してくれること自体は嬉しいですが、正直、私には読みづらかったです(笑)。
まとめ
私の中で、台湾語は下品な人が話す言葉ではなく、まるで一つの外国語のように「台湾南部の人がよく喋っている言葉」だと思っています。
英語がペラペラの人がかっこよく見えるのと同じように、台湾語がペラペラの人もすごいと思います。実際、台湾語を「ダサい」と思っている台湾人もまだまだいるかもしれませんが、少なくとも私の中ではそんな風に思っていません。

台湾人だけど、台湾語は日本語より下手かも…(笑)

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