作品
あの子が明日も明後日も生きているのなら、真実かどうかなんてどうでもいい
FS-自害対策センター支援員 澤井希子-
「死の足音」が、年々その音量を増している現代日本。 長引く経済停滞と、SNSの普及とは裏腹に希薄化した人間関係は、日本社会に深刻な精神的空洞を生み出した。 増え続ける「死にたい」という悲鳴に対し、既存の医療体制はすでに限界を迎えており、この医療の空白地帯を埋めるべく台頭したのが、民間のメンタルケア事業だった。しかし、その多くは「傾聴」という名の無為な時間稼ぎか、救済を餌にした高額セミナーへの勧誘に過ぎない。 その混沌とした救済ビジネスの最末端において、医療機関から密かに『最後の砦』と目される組織があった。 『株式会社FS(エフエス) 自害対策センター』 彼らの使命は、自らの命を絶とうとしている者の、その指先を死の引き金から引き剥がすこと。ただそれ一点に特化した、自害対策のスペシャリスト集団である。 その”自対”の絶対的エース・澤井希子。 真実と嘘の境界線を踏み越えた狂気じみたカウンセリングで、彼女は今日もクライアントの絶望と戦い続けている。 <登場人物紹介> 澤井 希子(さわい きこ)30歳 本作の主人公。自対の”エース”支援員。鋭い洞察力と冷徹なロジックを武器に、クライアントを現代世界に繋ぎ止める。かつて実の父親から「鬼の子」と呪われて育った壮絶な過去を持っている。 「あの子が明日も明後日も生きていられるのなら、その中身が真実かどうかなんて、私にとってはクソほどどうでもいい」 クライアントが生きるためなら嘘も厭わないカウンセリングを行う。深緑の瞳でクライアントの歩く道を灯している。 緒方 大(おがた まさる)22歳 自対の新人支援員。正義感が強く、実習先の病院で不誠実な診療を告発して爪弾きにされた経験を持つ。クライアントの「心」や「生きがい」を尊重したいと願う理想主義者。当初は澤井のやり方に猛反発していたが、彼女の過去を知ることで、自らも「命を背負う」覚悟を固めていく。FSに新たな風を吹き込む。 松本 玲一(まつもと れいいち)42歳 株式会社FSの代表であり、自対の創設者。元精神科医であり、澤井の恩師・如月文とは大学時代の同期。飄々とした性格で事務所のムードメーカーだが、その心のうちには深い後悔を抱えている。澤井を同志だと思っており、彼女と一緒に自対を護っている。 向島 拓斗(むこうじま たくと)40歳 自対の支援員。かつては製薬会社のトップ営業マンだったが、ある出来事を機に株式会社FSへ転職。論理的かつ冷静な分析力を持ち、元薬剤師の知識を活かしたアプローチでクライアントの嘘を見抜く。現在は娘を男手一つで育てる慈愛に満ちた父親の顔も持つ。定時に必ず退社する。 森 章子(もり あきこ)60歳 自対の事務員。個性豊かなメンバーたちを母のような包容力で支える、事務所の良心。張り詰めた空気の相談室に絶妙なタイミングで現れ、温もりのある言葉を投げる彼女の存在は、メンバーにとってもクライアントにとっても救いとなっている。 如月 文(きさらぎ ふみ) 澤井の中学時代の担任であり、かつての恩師。松本とは医学部時代の同期である。松本と一緒に子供たちが笑える居場所『放課後相談ラボ・ハニカム』を設立した。「信じ抜くこと」を武器に、絶望していた15歳の希子を救い出した。
- 1,445
- 8,883
- 全15話仕事・人間ドラマ
風を奏で、過去と未来を繋ぐ。心に響くバイオリニストたちの夢。
風のバイオリニスト(完結)
この物語は少年・藍澤律音がバイオリンを通じて音楽の楽しさを再発見し、友情や家族との絆を深めながら成長する感動物語です。厳格なレッスンに縛られ、バイオリンを楽しめなくなっていた律音は、公園で出会った同級生・若葉颯太の自由な演奏に心を動かされ、彼の「師匠」重村総一郎の型破りな指導を通じて、音楽への情熱を取り戻します。律音の父親・大祐は、かつてウィーンで総一郎と「天才日本人デュオ」として活躍したが、コンクールでの突然の断絶により夢を諦めた過去を持つ。律音は、颯太の「風のような」演奏や家族の温かい思い出に触発され、「音を楽しむ」ことの意味を学び、自身の演奏を解放。ジュニアコンクールで颯太とダブル優勝し、ウィーン留学への道を切り開きます。一方、大祐と総一郎は過去の傷を癒し、和解。律音と颯太は、音楽を通じて過去と未来を繋ぎ、夢の第一歩を踏み出す。音楽が世代を超えて人々を結ぶ、詩的で情感豊かな物語です。 〇登場人物紹介 ・藍澤律音(あいざわりつと) 本作の主人公。11歳。厳格なバイオリンレッスンに縛られ、音楽を楽しめなくなっていたが、同級生・若葉颯太の自由な演奏と総一郎の型破りな指導を通じて情熱を取り戻す。ジュニアコンクールで颯太とダブル優勝し、ウィーン留学の道を切り開く。音楽を通じて成長し、父親・大祐の過去と自身の未来を繋ぐ存在。 ・若葉颯太(わかばそうた) 本作のもう一人の主人公。11歳。律音の同級生で、健太と風花の息子。スポーツ好きだったが、総一郎の影響でバイオリンを始め、聴覚優位と絶対音感の才能を発揮。自由で「風のような」演奏が律音に影響を与え、ジュニアコンクールで律音とダブル優勝し、ウィーン留学へ。物語を通じて律音の親友であり、音楽の楽しさを再発見させる重要な存在。 ・重村総一郎(しげむらそういちろう) 40歳(ウィーン時代は20歳)。大祐の元デュオパートナーで、情熱的かつ自由なバイオリニスト。ウィーンのコンクールで突然演奏を止め、大祐の前から失踪。ドイツに渡り、妹・風花と過ごした後、日本に帰国。帝都大音楽団のアドバイザーとなり、颯太のバイオリンの才能を見出し、指導する。律音と颯太の成長を支える。 ・藍澤大佑(あいざわだいすけ) 40歳(ウィーン時代は20歳)。律音の父親。かつてウィーンで総一郎と「天才日本人デュオ」として活躍したが、コンクールでの失敗(総一郎の演奏中断)により夢を諦める。帰国後、如月コーポレーションに入社し、社長の娘・祥子と結婚。律音が小学生になる前にバイオリンをやめ、取締役に就任。 ・藍澤(旧姓:如月<きさらぎ>)祥子(あいざわしょうこ) 38歳。大祐の妻で、律音の母。如月コーポレーション社長の娘。大祐と結婚し、律音を育てる。家族として大祐と律音を支える存在。 ・若葉(旧姓:重村)風花(わかばふうか) 39歳。総一郎の妹で、ピアニスト。ドイツで出会った健太と結婚し、日本に帰国後、颯太が生まれる。母として颯太を見守る。 ・若葉健太(わかばけんた) 享年:35歳。颯太の父親で、風花の夫。絶対音感を持つピアニストだが、成功せず、帝都大音楽団の専属アドバイザーに。総一郎をアシスタントとして雇うが、颯太が4歳の時に事故死。物語の過去に影響を与える人物。 ・立花冬季(たちばなとき) 11歳。律音と同じバイオリンレッスンに通う少女。社長令嬢で、幼少期からバイオリンを学び、高い実力を持つ。律音に好意を抱くが、素直になれず、つい強く当たる。ジュニアコンクールに出場し、律音や颯太と競う。
- 581
- 5,419
- 全13話青春
