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女子高生殺害の疑いで「19歳」逮捕 「少年法でも厳罰、実名報道ありうる」弁護士が解説
相模川付近(ringoame / PIXTA)

女子高生殺害の疑いで「19歳」逮捕 「少年法でも厳罰、実名報道ありうる」弁護士が解説

17歳の女子高校生の首を絞めて殺害したとして、神奈川県警は6月11日、元交際相手の男性(19)を殺人の疑いで逮捕したと報じられました。

報道によると、女子高校生は、6月10日に元交際相手に会いに行くと言って外出した後、連絡が取れなくなっていました。逮捕された元交際相手の男性は、「復縁を断られ犯行に至った」という趣旨の供述をしているとのことです。

今後どのように手続きが進むのかについて簡単に解説してみました。

●逮捕〜勾留までは成人と同じ

逮捕された少年は19歳ですので、少年法が適用されます。

民法上は、2022年4月から成人年齢は18歳となりましたが、少年法では20歳未満が少年とされています(少年法2条1項)。

18歳以上の少年は「特定少年」として(同法62条1項)、後で説明するように、死刑も選択可能であったり、一定の場合に実名報道ができるなど、少年法の中でも少し特殊な扱いがされています。

少年法の適用がある場合も、逮捕から勾留(身柄を拘束し続けること)までの流れは、成人の刑事事件と同じです。

逮捕後、48時間以内に事件が検察官に送られ、それから24時間以内に検察官が裁判所に「勾留請求」を行うか、身柄を解放します。裁判所が勾留を認めた場合、さらに最大で20日間の勾留が続きます。

●家庭裁判所に送致される

少年事件では、成人事件と大きく異なり、全ての事件が家庭裁判所に送致されます(「全件送致主義」といいます)

成人の刑事事件では、検察官が起訴か不起訴かを判断しますが、少年事件では、犯罪の嫌疑があると判断されれば、必ず家庭裁判所に送致されます(少年法41条、42条)。家庭裁判所が、少年の非行や家庭環境などを調べたうえで処分を決めるしくみです。

画像タイトル 少年事件の手続きの基本的な流れ

●少年鑑別所に収容される(観護措置)

家庭裁判所に送致されると、「観護措置」という決定により、少年は一定期間、少年鑑別所に収容されます(少年法17条1項2号)。少年鑑別所では、少年の性格や心理・生活環境などの調査が行われます。

収容期間は原則2週間です(同法17条3項)。1回更新することができ、通算で最大4週間となります(同法17条3項ただし書・4項本文)。

さらに、証人尋問や鑑定など特別な事情がある場合は、通算で最大8週間まで延長できます(同法17条9項)。

今回のような殺人事件では、観護措置が決定される可能性が高いでしょう。

●少年審判で「逆送」になる可能性が高い

少年鑑別所での収容中に、家庭裁判所で「少年審判」が開かれます。

少年審判の結論はいくつかあります。何も処分されない「不処分」というケースもありますし、保護観察や少年院送致などの「保護処分」というケースもあります。

しかし今回は、「逆送(ぎゃくそう)」になる可能性が非常に高いと考えられます。

逆送とは、事件を検察官に送り返して通常の刑事裁判に移行させる手続きのことです。

今回のようなケースで、逆送になる可能性が高い理由は以下の2つです。

少年法には、一定の重大事件については原則として逆送を義務づける規定があります。

19歳少年の殺人事件、という場合、2つのルールがあてはまります。

1つめは、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で、行為時に16歳以上の少年に係るもの」については原則逆送とするルールです(少年法62条2項1号)。

2つめは、「特定少年」が、死刑または無期、もしくは短期1年以上の拘禁刑にあたる罪を犯したケースで原則逆送とするルールです(同法同項2号)。

19歳の少年は特定少年にあたり、また、殺人罪(刑法199条)の法定刑は「死刑、無期、または5年以上の拘禁刑」です。短期1年以上の拘禁刑にあたる罪ですので、上の2つのルールにあてはまります。

なお、犯行の動機や態様、少年の性格・環境などを考慮して、例外的に刑事処分以外の措置が相当と認められる場合は、逆送されないこともあります(少年法62条2項ただし書)。

●逆送後は通常の刑事裁判・裁判員裁判に

逆送されると、事件は再び検察官に戻ります。検察官が起訴すれば、通常の刑事裁判が始まります。

殺人罪は、裁判員裁判の対象事件です。一般市民から選ばれた裁判員が裁判官とともに審理に加わることになります。

●「特定少年」には少年法の特別な規定が適用されないことがある

少年法には、18歳未満の少年について、罪を軽くするなどの規定がいくつかあります。しかし19歳の「特定少年」には、それらの規定が適用されません。

1つめは、「死刑を無期拘禁刑に軽くする」という特例(少年法51条1項)です。

この規定は、罪を犯したときに18歳未満の少年にしか適用されません。したがって、19歳の少年の場合、理論上は死刑判決もあり得ます。

ただし、成人の刑事事件でも、被害者が1人の事件で死刑になることは多くありません。

2つめは、「不定期刑(ふていきけい)」の特例(少年法52条)です。少年事件では、同条により「長期〇年、短期〇年」という幅のある刑を言い渡すことができます。少年の更生可能性を考慮した制度です。

しかし、特定少年については52条が適用されません(少年法67条4項)。そこで、成人と同じ「拘禁刑〇年」という形の定期刑が言い渡されることになります。

●起訴されると実名報道が解禁される

少年事件では、本人を特定できる氏名や顔写真などの報道を禁じるルールがあります(少年法61条)。これを「推知(すいち)報道の禁止」といいます。

現段階(逮捕・勾留)では、19歳少年であっても、このルールが適用されます。現時点でメディアは実名や顔写真を報道できない、ということです。

ただし、特定少年については、起訴された後はこのルールが適用されなくなります(少年法68条本文)。起訴された時点で、実名や写真による報道が可能になります。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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