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「今年こそインフルエンザ予防対策を!」ワクチン接種を医師が推奨する理由

コロナより高い子どもの重症化リスク

緊急事態宣言が全面的に解除され、コロナ禍ではありつつも緩んだ空気が漂う10月上旬。冬に来るであろう第6波を警戒する声と、コロナワクチン接種者の増加、マスク着用の日常化等で、コロナに対しての不安は抱えつつも知識と対策のおかげで少しずつ安心感が広がってきているように思う。

その一方で、コロナ対策の影で軽視されがちとも言えるのがインフルエンザ予防対策だ。

「去年はインフルほとんど流行らなかったから今年も流行らないのでは?」「マスクしていれば大丈夫そう」「コロナワクチンとインフルワクチン、同時期に接種するのに抵抗がある」「子どもは2回接種となると、そこまでする必要があるのか考え中」という声も聞こえてくる。本来、秋冬はインフルエンザが流行り始める時期なので、10月から年末にかけてはインフルエンザワクチンを接種する頃だが―――今年はどうだろうか?

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感染症に詳しい医師は「今年こそインフルエンザ対策を重視すべき」と声をあげている。新型コロナウイルス感染症やワクチンに関する正確な情報を届けるプロジェクト「こびナビ@covnavi(インスタアカウント)に携わり、小児感染症医である池田早希医師は「インフルエンザも重症化すると命にかかわる危険性があり、きちんとした知識と予防策が必要。特に乳幼児や高齢者はリスクが高く注意が必要です」と語る。

そこで今回、コロナ禍だからこそ考えたいインフルエンザについて取材し、その内容をQ&Aでお伝えする。改めて学び、しっかりと予防・対策して、感染症の危険に備えたい。

池田早希医師 
小児科専門医、米国小児科専門医、アメリカ熱帯医学学会認定医。
千葉大学医学部卒業後、沖縄県立中部病院、神奈川県立こども医療センターを経て、2015年に渡米。ミネソタ大学小児科でレジデンシー、ベイラー医科大学・テキサス小児病院 小児感染症科フェローシップ修了。2019年よりロンドン大学熱帯衛生大学院の疫学修士課程所属。アメリカ・ヒューストンにあるテキサス小児病院小児感染症科に2021年6月まで勤務。
こびナビ」副代表 Twitter:@covnavi Instagram:@covnavi

そもそもインフルエンザとは

Q:インフルエンザとは何ですか? 
基礎知識と、その感染リスクは?

A:インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染しておこる病気です。

大きく2つに分けられて、いわゆる毎年はやる“季節性インフルエンザ”と、過去にもパンデミックを起こしたような危険性の高いもの(新型インフルエンザ・鳥インフルエンザ等)、がありますが、今回お話しするのは“季節性インフルエンザ(以降:インフルエンザ)”についてです。

症状は、比較的急速に現れる発熱(38℃以上)と、それに伴う喉の痛み・咳・鼻汁・くしゃみ等の気道症状、全身の症状(頭痛、関節痛、筋肉痛、寒気、全身倦怠感等の症状)が特徴です。3~7日でほとんど治りますが、一部で重篤な合併症を起こすことがあります。

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子どものインフルエンザの状況を見ると、新型コロナ流行前のシーズン(2019/2020シーズン)までは、主に学校や幼稚園・保育園等で大流行が起こることが多く、学級閉鎖の原因にもなってきました。子どもがインフルエンザにかかると、高熱で脱水のリスクや、稀にインフルエンザ脳症等の合併症を起こすこともあります。特に5歳未満の子ども・持病がある場合は重症化しやすいということもわかっています。

また、子どもでもそうですが、高齢者や免疫が低下している人の場合、肺炎球菌や黄色ブドウ球菌など、二次性の細菌感染(肺炎など)をおこして重症になることがあります。年齢問わず、重症化してしまうと最悪の場合は亡くなることもあります。

Q:今年のインフルエンザは、例年より流行するのでしょうか?

A:去年(2020/2021シーズン)は新型コロナウイルスの感染対策の影響で、インフルエンザの累積の推計受診者数は約 1.4 万人でした。例年は1000万~2000万人ですので、去年は流行しなかったことがよくわかりますよね。

(※)さらに、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する、超過死亡概念の推計によると、インフルエンザによる年間死亡者数は日本で約1万人と推計されている。

しかし、これによってインフルエンザに対する抗体を持たない、または抗体が減っている人(感受性のある方)が増えた、ということになり、これは調査でも裏付けられています。感染対策の状況によりますが、今年はインフルエンザワクチンや感染対策の予防を徹底しなければ大流行する可能性がある、ということです。また、そうして起こるインフルエンザの流行時に、新型コロナの流行(第6波等)が重なり、医療が逼迫する危険性があります。

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Q:子どもの感染リスクはどれくらいあるのでしょうか?

A:子どもに目を向けると感染リスクは明らかです。アメリカだと近年、毎年140〜200人が亡くなっています。実際はインフルエンザだと確認されていない死亡者もおり、2019/2020のシーズンでは約430名が亡くなったのではないかと推定されています。

去年は新型コロナの感染対策のおかげでインフルエンザは流行らなかったとお話しましたが、子どもにとっては、新型コロナよりもインフルエンザのほうが重症化リスクが高いんです。私が以前勤務していたテキサス小児病院では、毎年インフルエンザで重症化してしまった子が多く運ばれてきました。「ワクチンを打っていたら防げたかもしれないのに…」と悔しい思いをすることが多かったです。

Q:インフルエンザワクチンは接種すべきでしょうか? 
子どもや妊婦も打てますか?

A:はい。ワクチンはインフルエンザを予防するもっとも効果的な方法で、小児のインフルエンザの死亡予防効果は研究でも裏付けされています。

ワクチンは生後6カ月以上の方に推奨されていて、ワクチン効果は40-60%程度といわれていますが、これは効果的な数値なんですよ。また、軽症の感染予防は完全ではなくても、重症化や死亡を予防してくれます。5歳未満だと重症化しやすいので特に接種をお勧めします。

妊娠中も、インフルエンザワクチンの接種が可能です。インフルエンザは重症化すると流産する等、多くのリスクがありますので予防が大切。また、妊娠中に接種することで胎盤から抗体が届けられ、赤ちゃんも生後数カ月間守られます。

これ以外にも高齢者、神経疾患、特定の持病がある方も接種をお勧めします。もちろん、健康な大人も家庭内感染やご自身の重症化を避けるために接種しましょう。

「今までインフルエンザにかかったことがないから大丈夫!」と思われている方も要注意です。免疫が無いと、より重症化しやすいため、ぜひワクチン接種を検討してください。

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Q:インフルエンザワクチンの接種は、いつ頃、
何回受けるべきですか?

A:理想的には、流行前に接種をすることが望ましいです(※アメリカでは10月末までに接種完了をすることが望ましいとしています)。国内では今年は供給に遅れはありますが継続的に供給される見込みですので安心してください(※10月第5週の時点では出荷見込み量全体65%程度の出荷量にとどまる一方、11~12月中旬頃まで継続的にワクチンが供給される見込み)。また、今年は供給量の多かった昨年より少なくなりますが、例年の使用量に相当する程度は供給される見込みです。

国内での接種回数は生後6カ月から12歳以下が2回、13歳以上が1回接種となります。接種は流行前がいいですが、供給量の問題もありますし、12月中旬頃(厚労省インフルエザQ&Aサイト)までには接種完了という心構えでもいいと思います。

Q:新型コロナのワクチンを接種していても、問題なく
インフルエンザワクチンを接種できるのでしょうか?

A:はい。少なくとも現時点では厚生労働省は新型コロナのワクチンと前後二週間空けて他のワクチンを接種することを推奨しています。実際にはmRNAワクチンは生ワクチンではないため、同時接種でも安全性には問題ないと考えられ、アメリカCDCはインフルエンザワクチン等他のワクチンと同時接種可能としています。予約のタイミングなど様々な理由でワクチン接種の機会を失わないようにと、むしろ同時接種を推奨している国もあるんですよ。

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Q:インフルエンザに感染した場合、新型コロナではないかと
不安になりそうです。2つの違いや判断基準はありますか?

A:症状だけでは区別がつかず、検査をしてみないと分からないことが多いです

特に小児の場合は、コロナでも鼻水だけや少し熱が出たりと、風邪なのか、インフルエンザなのか、コロナなのか…と、悩ましいと思いますので、悩んだらまずは医療機関に相談してください。その際、住んでいる地域の流行具合と、感染者と接触したか等の疫学的情報が非常に参考になります。

インフルエンザは現在(本記事公開日)はまだ流行しておらず、発熱している場合(お子さんの場合)は他の風邪ウイルスか新型コロナウイルスにかかっている可能性の方が高いと考えられます。診察した医師が判断することですが、新型コロナかインフルか悩んだ時は、現時点では新型コロナウイルスの方が優先だと思います。今後の流行具合によっては両方検査が必要になるかもしれません。

いずれにしても、感染してしまったら迅速に正しく対処することが最善なので、疑わしい場合は迷わず医療機関に相談か受診してくださいね。

取材・文/細川麻衣子

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